魔法少女まどか☆ゴースト 〜命を紡ぐ物語〜   作:スターダストライダー

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お待たせしました。

今回からかずマギ編をベースに話を進めていきます。


69. 聖者気取りのプレイアデス

「ワルプルギスの夜の事……?」

「はい。こないだ、ほむらとマコトからその名前を聞いて、マミさんや隼人さんなら詳しいって言い方をしてたから、聞きたかったんです」

「そうか……」

 

次の日は土曜日ではあったが、午前中だけの授業があり、昼休みに入って、昼食の最中、さやかが気になっていた事を尋ねた。

この場にいる何人かは、その名を耳にした事が最近あったが、まどか、タケル、仁美、晶、そして先日仮面ライダーとなった上条にとっては今日初めて聞くような単語だった。

 

「あの……? ワルプルギスの夜って何ですか? そいつも魔女なんですか?」

 

晶が質問すると、マミが説明し始めた。

 

「そうよ。ワルプルギスの夜は魔女の中でも最大級の強さを誇る、超大型の最悪の存在よ。私も八谷君も直接目撃したわけじゃないけどね。聞いたところによれば、魔法少女や仮面ライダーても1人や2人ではまず勝てないぐらいって言われてるそうよ」

「2人がかりでもダメなのか……」

「じゃあ、あの2人もその魔女と戦ったりしてたのかな……?」

 

さやかが首を傾げながらそう呟くと、誠司が唸りながら答えた。

 

「そいつは分かんないが……。でも杏子から聞いた話じゃあ、やけに詳しかったらしいぜ。こないだマコト達から話を聞いてたけど、どこに現れるかも分かってたからな」

「えっ? でも魔女は場所を選ばずに、負の感情が溜まっている所に現れるって聞いたけど、そのワルプルギスの夜って居場所が特定出来るんですか?」

 

上条が怪訝な顔つきになって隼人に質問した。隼人は困惑した表情で口を開いた。

 

「……ワルプルギスの夜に関しては、俺達も話を聞いてからは各地からの情報を寄せ集めてみたんだが、どうも不確定要素が多すぎて、行動パターンが読めない。従来の魔女とは違って事故現場とかに姿を現すわけでもない。……そもそも、ワルプルギスの夜が出る場所が最初から分かってたらさすがに俺やマミもそこから遠ざかるようにするさ。それだけ近くにいて得する事はないからな」

 

どうやら隼人やマミなどのベテラン組も、ほむらやマコトが何故ワルプルギスの夜について詳しいのか疑問に思っていたようだ。

 

「なんか、ますます謎めいてきたな、あの2人」

 

星斗がそう呟く中、まどかとタケルだけは、頭の中でその魔女の名を繰り返し呟きながら考え込んでいた。

 

「(……何でだろう? 私、聞いた事や見た事なんてないはずなのに……、全然初めてな感じがしない)」

「(ワルプルギスの夜……。何か違和感を感じるな……。どこかで聞いた事あったか?)」

 

心のどこかで認識していたような気がするが、モヤがかかったようにハッキリと思い出せず、2人は何も語れなかった。

 

「ちょっと、他の街にも連絡しておきましょうか。信じてもらえるかは分からないけど、注意を呼びかけるぐらいはしておいた方が良いかもしれないわね」

 

やがて、マミが弁当箱を片付けながらそう言うと、隼人も頷きながら言った。

 

「それが良いな。となると、先ずはアラタ達のプレイアデス星団からだな。隣町だから近いし、最近は繋がりも出来たからな」

「プレイアデス星団……?」

 

この場では唯一彼らに関する事を知らない上条が、首を傾げながらそう呟くと、仁美が説明をした。

 

「隣町のあすなろ市で活動なさっている魔法少女や仮面ライダーのグループ名ですわ。実は最近、訳あってその皆さんと交流を深めましてですね……」

「あぁ⁉︎」

 

不意に、さやかが素っ頓狂な大声をあげたので、周りのメンバーはビックリして一斉にさやかの方を向いた。

 

「ど、どうした⁉︎」

「ね、ねぇ。ここにいるあたし達はさ。みんな魔法少女や仮面ライダーがどういうもので、魔女の正体とか知ってるけどさ……。かずみとかって、その事知ってるのかな……?」

『……!』

 

それを聞いて、一同に緊張が走った。

そして、その会話を陰ながら耳にしていた者が1匹。

 

「……なるほど。今度はあすなろ市に向かうわけだ。まぁ、無駄な事だろうけど」

 

そしてそいつは、タケル達に気づかれないままその場を後にしながら、青空を見つめて呟いた。

 

「……さて、今度は上手くいきそうかい? プレイアデス」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん?」

「どーしたの?」

「いや、タケルからだな」

 

その頃、あすなろ市にある海香邸に住んでいるかずみとアラタは、家の中で掃除をしていたが、電話が鳴ってアラタが確認すると、それはタケルからの電話だった。アラタは特に気にする事なく電話に出た。

 

「もしもし、タケル?」

『おう、アラタ! ちょうど良かった。今ってみんな近くにいるか?』

「いや、今家にいるのはかずみだけだ。後のみんなは出かけてる」

『そっか……』

「何かあったのか?」

『あ、あぁ……。ちょっと話したい事っていうか、聞きたい事があったからさ……。出来ればみんなに聞いときたい事もあって、もしこの後暇だったら、こないだ集まった公園にみんなを呼んどいてくれないか? まどか達も連れてくから』

「まぁ、今日なら大丈夫だと思うけど。どうしたんだよ急に?」

『悪い。ちょっと電話だけじゃ話しづらい事だからさ。じゃあよろしく頼む』

 

それだけ告げると、タケルは電話を切った。

かずみはエプロンを外しながら近寄って尋ねた。

 

「何て言ってた?」

「みんなと話がしたいってさ。というわけでかずみ。お前も着替えて出かける準備をしてくれ。龍達には俺が連絡しとくから」

「はーい。でもどうしたんだろうね?」

「さぁ……」

 

かずみは自分の部屋に戻り、アラタは腑に落ちないまま、龍達に連絡を入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アラタらプレイアデス星団が公園に集まったのは、夕日が見え始めた頃だった。

 

「……んもー。何なのよこんな休みの日に……」

 

みらいがふくれっ面をしている中、サキは空を見渡していた。

 

「そろそろ来る頃だな。……しかし、一体何を話そうっていうんだ? しかも電話越しではなく、直接とは……」

「何かトラブルでもあったのでしょうか……」

 

士道も首を傾げていると、海香が口を開いた。

 

「まぁ、せっかく会いに来てくれるから、そのついでにあの擬似グリーフシードの事も話しておいた方が良いわね」

「ふむ。まぁ彼らも疑問には思ってただろうね」

 

ニコがカプセルの中に入れていた擬似グリーフシードを見つめながらそう呟いた。

すると、

 

「おーい!」

 

という声と共に、タケル達が走りながら公園に姿を見せた。昼間にはいなかった杏子やゆまも合流して駆けつけている。かずみはそれに気づくと手を振った。

 

「あ! まどか、みんな!」

「遅いぞみんな!」

「悪い、ちょっと手間取っちゃって」

 

みらいの一喝に、星斗は軽く頭を下げた。そんな中でも里美はニッコリと微笑みながら声をかけた。

 

「みんな、久しぶりね」

「あ、あぁ、そうだな」

「見かけない奴がいるな。そいつも魔法少女や仮面ライダーか?」

 

廉が上条、杏子、ゆまの方を見てそう呟くと、3人は自己紹介をした。

 

「あ、はい。上条 恭介と言います。タケル達とは長い付き合いで、昨日契約したばかりなんですけどね」

「佐倉 杏子だ。一応前までは風見野を担当してたんだけどな」

「千歳 ゆまだよ! ゆまも魔法少女なんだ!」

「へぇ、そうなんだ!」

『……』

 

かずみが関心した目つきで見つめる中、他のプレイアデス星団のメンバーは何とも言い難い表情を見せていた。そんな中、カオルが質問をした。

 

「……でさ。今日は何か用でもあった? 話したい事があるって聞いてたからさ」

「あ、そうそう。ちょっとみんなに確認したい事があって」

「? 何を?」

「魔法少女や仮面ライダーの事だよ。お前らってもしかして……」

 

タケルが説明しようとした時だった。

 

「おいおい。珍しいお客さんのご登場だな。おいらも混ぜてくれよ」

 

そう言って皆の前に姿を現す者がいた。それを見て、見滝原組は息を呑んだ。

それは人間ではなく、赤い瞳や金色の輪っかのついた長い耳、そして白っぽい顔の猫に近い生き物であり、その外見は、彼らにとって憎っくき相手でもあるキュゥべえによく似ていた。唯一違いをあげるならば、胴体や尻尾が黒くなっているところだけだろう。

 

「? な、何だよ。そんなおっかない目つきしやがって」

「お前は……!」

 

隼人が掴みかかろうとした時、里美がいち早くその生き物を抱き抱えて胸に押し付けた。

 

「べぇちゃんに乱暴しちゃダメよ」

「? べぇちゃん……?」

「だからべぇちゃん言うなし」

 

べぇちゃんと呼ばれた生き物は苦しげにそう告げた。そしてようやく解放されたところで、廉が説明した。

 

「そいつは俺達を仮面ライダーや魔法少女にしてくれた妖精……ジュゥベえだ。定期的に魔力の回復を手伝ってもらっている。それからジュゥベえ、こいつらが隣町で活動しているメンバーだ」

「へへ、まぁよろしくな。見滝原の契約者さんよ」

「じ、ジュゥベえ……? (キュゥべえじゃ無いのか……?)」

 

タケルだけでなく皆が訝しんでいたが、キュゥべえとは明らかに雰囲気が違うように見られる。とはいえその外見上、仲間の可能性もある為、警戒を怠らないようにした。

そんなジュゥベえは、不意にニコの方に視線を向けてため息をついた。

 

「おいおいニコ。お前さん、まだそんなもん持ち歩いてたのかよ」

「イーブルナッツの情報はまだ足りないからね」

「イーブルナッツ……?」

 

聞き慣れない単語を聞いて、仁美が尋ねた。その質問に答えたのは海香とジュゥベえだった。

 

「私が命名したのよ。このイーブルナッツには、強い魔力が込められていて、触れた人に影響を及ぼす事もあるそうよ」

「詳しい事は分からんがな。とにかくゲロマズだったから、もう食いたくねぇけど」

魔女の種(グリーフシード)から生まれた悪意の実(イーブルナッツ)。食らわばあなたも魔女もどき。くわばらくわばら……」

 

ニコがそう唄いながらカプセルをしまうと、かずみが声をかけた。

 

「あ、そうそう。結局のところ、話って何なの?」

「え、あ、あのね……」

 

隣にいたまどかが、皆に代わって説明しようとしたその時、ジュゥベえが叫んだ。

 

「! みんな、逃げろぉ!」

「「「「「「えっ?」」」」」」

「……!」

 

何人かが訝しむ中、タケルは気づいてしまった。皆の足元に、いつの間にか巨大な魔方陣が展開されて、光り輝いている事に。

その直後、光を中心に爆発して、内側にいた全員が散り散りに吹き飛ばされた。

 

「きゃあ!」

 

まどかの悲鳴が耳に聞こえる中、全員がうずくまっていたが、いち早くタケルの意識が元に戻った。

 

「な、何が……⁉︎」

 

ふと、タケルが周りを見渡すと、さっきまで隣にいたはずのまどかの姿がない。更に、

 

「かずみ⁉︎ どこにいるんだ⁉︎」

 

アラタが同じく隣にいたかずみの行方を気にしている。段々と目が慣れてきて、何人かの姿は確認出来たが、やはりまどかとかずみの姿だけがない。やがて煙が晴れてきた時、時計台の上に2つの人影が見えた。よく見ると、その人影のそれぞれの片腕には、タケル達に向かって手を伸ばしているまどかと、対照的に気絶しているかずみが抱き抱えられているではないか。

 

「タケル君、みんな!」

「! まどか、かずみ!」

「テメェら、あの時の……!」

 

アラタ達はその人影に見覚えがあった。それは以前かずみを殺そうとした魔法少女やその仲間と思しき仮面ライダーだった。まどかを抱えたライダーは余裕綽々と言わんばかりに声をかけた。

 

「よう、プレイアデスさんにそのお仲間ご一行さんよぉ! このディスピア様に、こちらのユウリ様の事が気になるご様子で!」

「……ユウ、リ……?」

 

みらいが訳も分からず困惑していると、その彼女の体を弾丸が貫いた。

 

「ガハッ⁉︎」

「! みらい!」

「おんやぁ? 覚えてないのぉ?」

 

かずみを抱き抱えた、ユウリと呼ばれる少女の右腕には、ハンドガン型の武器……『リベンジャー』が握られており、銃口はみらいに向けられていた。次にユウリが無抵抗のゲンヤに狙いを定めて、その右腕を撃ち抜いた。

 

「ギャ……⁉︎」

「まぁ、あたしらにとってはオンリーワンでも、あんたらにとっては十把一絡げだもんねぇ?」

「や、止めろ……!」

 

上条が必死に抵抗しようとして、アイコンに手を伸ばしたが、不意にその腕が地面に叩きつけられた。よく見ると、ディスピアと呼ばれたライダーの手には杖の形をした武器……『ガンガンロッド』が握られており、そこから発生した波動が上条の身動きを封じていた。

 

「! 上条君!」

「でしゃばってんじゃねぇよ。そういやこないだは随分と横入りしてくれたよな。こいつはそのお返しさぁ!」

 

そう言ってディスピアがガンガンロッドを振り下ろすと、見滝原組を含む全員が地面に叩きつけられて、更に銃弾の嵐が降り注ぎ、皆は必死に逃げまくるが、時折避けきれずに体を貫き、悲鳴が飛び交っていた。

 

「ぎゃははははははは! 悲鳴合唱団最高! ……でも許してあーげない」

 

ユウリがゾッとするほどに低い声で呟いていると、まどかが涙目で目の前に広がる悲惨な光景を見て叫んだ。

 

「だ、ダメ、もう止めて! みんなを傷付けないで! このままじゃみんな死んじゃうよ!」

「うるせぇな。ギャーギャー喚くなってんだ!」

「う……!」

 

ディスピアがイラつきながら、まどかの口を手の力で強く押さえつけて、喋らせないようにした。

 

「まどか!」

「……」

 

さやかが傷つきながらも親友のもとに向かおうとするが、銃弾の壁に阻まれてしまっている。一方、ニコも起き上がって右手の人差し指を体に当てようとしたが、それよりも早く矢がニコの体に刺さった。

 

「!」

「ニコ!」

「洒落臭いんだよ」

「この野郎……!」

 

杏子が睨みつけながら口調を荒げるが、足を撃ち抜かれてしまった為に、回復してない状態では起き上がる事すら出来ない。

 

「じゃあな、聖者気取りのプレイアデス。それから見滝原のご一行ども。かずみは預かっておくぜ。こいつはオマケだ」

「ちゃんと読んでよ、ラブレター」

 

そう言って2人は高笑いしながら、まどかとかずみを抱えたまま飛び去っていった。

 

「タケル君! みんなぁ!」

「ま、まどかぁ!」

 

まどかが腕を伸ばして彼の名を呼び、タケルが血の流れている右手を伸ばして彼女の名を呼んだが、どうあがいても届かない。

やがてまどか達の姿は完全に豆粒のように遠ざかって見えなくなってしまった。

 

「かずみ……!」

「く、クッソォ……!」

 

タケルとアラタが悔しげに拳を地面に叩きつけた。

他の一同も苦痛な表情を浮かべながら起き上がろうとしている。幸いな事に、今この場にいるのは魔法少女や仮面ライダーであり、魂がソウルジェムやアイコンに移っていた為、肉体的苦痛が和らぐ作用が起きており、ある程度の痛みは引いていった。その中でもさやかやマミ、ゆまといった回復要員がすぐさま回復して、皆の治療に入った。

 

「キョーコ、大丈夫⁉︎」

「あ、あぁ。何とかな……」

「晶、どこか痛いとこない⁉︎」

「は、はい。僕は大丈夫です」

「八谷君、腕の方は何ともなってない?」

「あぁ。擦り傷でどうにかなったらしい。けど、まどかやかずみが……」

 

隼人はまどか達が消えていった方向を睨みつけていた。

そんな中、ニコが突き刺さった矢を痛がりながらも引き抜いた。

 

「ニコちゃん、大丈夫なの⁉︎」

「結構痛いけど、ねっ」

 

ニコが抜き取った矢を眺めていると、羽根のついた部分が開いて、モニターらしきものが皆の前に現れた。そして、ユウリと呼ばれた少女の声色でメッセージが入れられていた。

 

『かずみや小娘を返して欲しかったら、今夜0時に、あすなろドームに来い』

「!」

 

そのメッセージを最後に、モニターは空気に溶け込むように消え去った。

 

「今夜0時に……」

「取引でもしようってのか……!」

 

タケルとアラタが、モニターのあった方向を睨みつけながら呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その一方で、ユウリとディスピアは笑いながら工場の建物の屋上を経由して足場にしながら、タケル達から遠ざかっていた。彼らの傍らにはユウリが魔法で呼び出した牛が付いてきている。

 

「きゃははははははは! ねぇコル、雅彦! あいつらのマヌケな顔見た⁉︎」

「ったりめぇよぉ! あの悲鳴も最高! いやマジ笑えるわぁ!」

 

ディスピア……もとい雅彦は歓喜に満ちながら笑いが止まらなかった。牛の方も鳴いて答えている。

まどかは必死に抵抗しようとするが、今振り解けば地面に放り出されて、パラシュートや魔法もないまどかでは助からない為、どうする事も出来ず、タケル達の助けを待つしかないと思った。すると、ようやくかずみが目を覚ました。

 

「うっ……」

「! かずみちゃん!」

「チッ。起きたか」

 

かずみはぼんやりしながらも、まどかや自分の現状、そして見た事のある人物に抱えられているのを確認して状況を把握した。

 

「またあなたなの。どうしてこんな事を……」

「お前、こないだから『何故』、『どうして』ばっかだな。ったく、バカの一つ覚えが……」

 

ユウリが呆れ口調でそう呟いた時、ムッとした表情になったかずみが足だけを動かしてユウリの首に組み付いた。

 

「んがっ⁉︎」

「ユウリ⁉︎」

「何言ってんのよ! あなたが、答えて、くれないからでしょうが!」

「ま、待ってかずみちゃん⁉︎ あ、危ないよ⁉︎」

 

ユウリは落ちないように鉄塔の足場にとどまって、かずみを振り解こうとしている。雅彦がそれを手伝い、まどかが慌ててかずみを説得しようとした。

 

「わっ、バカ! これから死ぬ人間が知る必要なんてあるわけないだろ!」

「それ前も聞いた! バカの一つ覚えだ!」

「えぇい、バカバカ言うな!」

 

それからしばらくの間、かずみとユウリの口論が続いた。

 

「そっちが始めたんでしょバカー!」

「んじゃあお前はアホだ! アホだ、このアホ毛!」

 

ユウリが舌を出していると、かずみも倍返しだと言わんばかりに、同じく舌を出した。

 

「何よ、こっちだって! ベェー!」

 

刹那、ユウリの表情が固まった。そばにいた雅彦も、表情は分からなかったが、動揺でもしているのか、動きが止まっていた。

その様子を不思議がっていたまどかだが、不意に彼女の頭の中に、見た事のない映像が流れ込んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜それは、かずみとは別人の、おっとりした感じの金髪の少女が、今のかずみと同様にユウリの首に足で抱きついている場面〜

〜そして、それを苦笑いしながら止めようとしている、晶と雰囲気の似た、大人しめな少年〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え? 何、今の……?」

 

まどかが思わずボソッと呟いたのを聞いて、ようやく正気に戻ったのか、雅彦がかずみの首根っこを握りしめた。

 

「⁉︎ イッ……⁉︎」

「……そんな顔、二度とすんじゃネェ。今度やったらブッ殺ス」

 

それは今まで聞いてきた中でも恐ろしくドスの効いた、殺意に満ちた言葉だった。かずみやまどかが身震いする中、ユウリは魔法を使ってかずみを縄で縛り付けて袋に入れた。

 

「お前はもう、黙ってろ!」

「わっ⁉︎ んもー!」

 

かずみは左右に動くが、自由が奪われてはどうしようもない。ユウリと雅彦は再び行動を開始した。まどかが潮風に吹かれながら周りを見回していた時、彼女は気づいた。

隣を飛んでいるユウリの首元には、ネックレスのように銀色のスプーンがつけられている事に。そして彼女の目から、水滴が滴り落ちているのを。

 

「(ユウリちゃん、泣いてる……?)」

 

ユウリの涙、そして先ほど脳内に再生されたビジョンを思い浮かべながら、彼女やかずみを抱えた2人は建物の合間を渡っていった。

 

 

 




というわけでこちらも久しぶりの、ユウリとその仲間である仮面ライダーディスピア登場回でした。

明後日には劇場版「WIXOSS」の円盤発売という事もあってその日が楽しみです!

そして次回はいよいよ見滝原、あすなろ組とユウリ、雅彦組の対決です。

次回もお楽しみに。
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