魔法少女まどか☆ゴースト 〜命を紡ぐ物語〜 作:スターダストライダー
リョーマ魂が異常にカッコよすぎる……!(フーディーニ魂も)
「さやかちゃんは偉いね」
上の階のCD屋へ向かう途中のエスカレーターで、まどかがそう言った。対するさやかは照れながら笑みを浮かべた。
「急にどうしたのよ?」
「だって、いつも自分のお小遣いを上条君の為に使ってるから」
「そうですわね」
「確かにそうだな」
仁美とタケルも同意した。が、さやかは首を横に振ってから、否定した。
「あたしなんて、恭介のしてる苦労と比べたらどうって事ないよ」
それから、彼女は天井からぶら下がっている飾りを見つめながら呟いた。
「……だけどさ、神様って残酷だよね。今の恭介は満足に左手も動かせないわけだし……。あんなにもの凄いバイオリン弾いてたのにさ」
「だよな……。まぁ、俺はまだあいつの演奏聴いた事ないんだけど」
誠司もしみじみと呟いた。他の3人は何も言えなかった。
そうこうしている内に、CD屋の看板が見えてきて、店内に入っていった。
「んじゃあ、みんなは好きなとこ見てて」
「さやかさん。私もよろしければ、お手伝いしますわ。2人で探せばすぐに見つかるかもしれませんし」
「サンキュー、仁美。じゃあお願いね」
というわけで、さやか、仁美は恭介が好んでいるクラシックのあるコーナーへ、他の3人はしばらくその辺を回りながら、視聴コーナーの所で曲を聴く事にした。
タケルと誠司がまどかから少し離れた所で、どの曲を聴くか話している中、まどかは迷う事なくお気に入りのアーティストの新譜を聴く為にヘッドホンを手に取って耳に嵌めた。しばらくその曲を聴いていると、
『助けて……!』
不意に声が聞こえてきた。
「……?」
まどかは思わずヘッドホンを外した。誰かが助けを求めているのかと思ったが、周りを見回してもそれらしい事は起こっていない。空耳かと思って再びヘッドホンを嵌めようとした時、さっきよりもハッキリとした声が聞こえてきた。
『助けて……! まどか……!』
声の主がまどかの名前を呼んでいる事に、まどかは驚いた。その声はなんとなく、耳というよりも、頭の中に響いているようだった。
『僕を、助けて……!』
「……誰? 誰なの?」
そう呟きながら、まどかはフラフラと店の外に出た。
「……?」
「まどかさん……?」
その様子を、CDを選んでいたさやかと仁美が遠目で見ていた。
その頃、タケルと誠司は未だにどの曲を聴きたいか悩んでいた。
「う〜ん。やっぱ氣◯團の『我ら思う、故に我ら◯り』が一番でしょ。なんてったって、この迫力感といったら……」
「いやいや、時代はアイドルだって。それに迫力っていうなら、この◯lariSの『◯ミナス』だろうよ。まどかだってさっき、同じアイドルグループの『◯ネクト』聴いてたし」
「そりゃそうだけどさ……」
お互いに一歩も譲らない駆け引きが続く中、タケルの携帯電話が鳴り出した事で均衡が崩れた。タケルが発信者を確認すると、思わず手の動きを止めた。それは、一昨日親友になった小川 星斗だったのだ。何かあったのかと思って、誠司に声をかけた。
「悪ぃ、ちょっと知り合いから連絡が来た。外で話すから、また後で」
「えっ、おっ、おい……」
タケルはすぐに背中を向けて、店の外に出た。CD屋が見える範囲で、人声が聞こえない所についてから、タケルは電話に出た。
「もしもし? 星斗か?」
『よう、タケル! 今って忙しいか?』
「いや、特には……。それより、何かあったのか?」
タケルがそう尋ねると、星斗は早速本題に入った。
『いや、実はさ。前に戦い方とかいろんな事を教えてくれた先輩達がいるって話したじゃん? それで昨日、先輩達にタケルの事話したらさ。魔法少女の方……マミさんって言うんだけど、マミさんが嬉しそうに喜んでてさ。んで、良かったら明日家に来るように誘ってもらえないかって言われたんだ』
「えっ、って事は、今からって事か?」
『あぁ。マミさんもケーキを焼いてたみたいで張り切っててさ。それでお前に会おうとしたんだけど、どこにもいなくて、それで電話をかけたんだ。んでもって、お前って今どこにいる?』
どうやら向こうは歓迎モードらしいようで、今から断るわけにもいかないようだ。特に用事はない為、先輩の家にお邪魔する事に決めたタケルは自分がいる場所を告げた。
「今はCD屋にいるんだ。ほら、駅前のショッピングモールにある……」
『あぁ、あそこか。それなら近いな……。じゃあさ、俺達もその近くにいるから、今からそっちに向かうぜ。どこで待ってる?』
「おぅ、それじゃあ……」
タケルが集合場所を言おうとした時、視界にさやか、仁美、誠司の姿が見えた。なぜかそこにはまどかの姿は無く、他の3人も、どこと無く焦っているように見える。何か嫌な予感がしたタケルに、星斗が声をかけた。
『? タケル、どうした?』
「……あっ、悪ぃ。ちょっと切るわ。んじゃあ、出口の所で待ち合わせな。それじゃあ!」
『あっ、ちょ……』
星斗が何かを言い終わる前にタケルは電話を切った。そして、駆け寄って来た3人の方を向いた。
「タケル。誰と話してたの?」
「いや、ちょっと知り合いとな……。それよりもどうしたんだ?」
「あっ、そうだ! ねぇタケル。まどか見なかった?」
さやかにそう言われて、タケルは首を横に振った。
「いや、見てないけど……。っていうより、まどかは?」
「それが、先ほど店をフラリと出たきり、戻って来ないんですの」
「その辺探しても見つかんないし……。どこに行っちまったんだ……?」
皆がはたと悩む中、タケルが声を出した。
「とりあえず、御成達と合流しよう。もしかしたら本屋の方に行ったのかもしれないし……」
他の3人も頷き、一同は1階の噴水広場に向かった。広場には既に2人の姿が見えた。
「おっ、皆の衆! お戻りになられましたか!」
「……あれ? まどかちゃんは?」
いち早く異変に気付いた晶が首を傾げた。
「実はさ……」
タケルは今起こっている事を2人に説明した。
「まどか殿が……⁉︎」
「あぁ。2人は何か見てないか?」
「そう仰られましても……。拙者はあれから1度も見かけておりませんし……」
御成が力なく首を横に振っていると、晶が何かを思い出したように呟いた。
「……あっ。まどかちゃんなら、途中で見かけたような……」
「えっ? どこで?」
さやかが尋ねると、晶はある一角を指差した。そこは人通りの少ない一本道だった。
「本を探してた時にね。まどかちゃんが周りをキョロキョロしながら向こうに歩いてるのを見たんです。トイレかなって思ってあまり気にしてなかったんですけど……」
「……でも、変ですわね? お手洗いなら、ここにありますし……」
仁美が近くにあった電光掲示板にあった見取り図を指差して見ながら呟いた。確かにトイレの場所は、まどかが向かったとされる場所とは真反対の方向にある。
「……あれ? 言われてみれば……」
「……っていうより、まどかの行った所って、まだ改装中のエリアがある所だよな? 何でそんな所に……?」
誠司が掲示板を見て呟いた。
「とにかく行ってみようぜ」
タケルが先頭に立って走り出し、さやか達もその後を追った。
しばらくまどかが向かったとされる通路を走っていると、非常階段へ繋がる扉が見えてきた。その前には立ち入り禁止の札が付いたロープが張られていたが、明らかに動かされた形跡がある。比較的最近、つまりまどかがこの中に入っていった証拠である。
「この先にまどかが……」
「で、でも、ここって立ち入り禁止の場所ですよね……? か、勝手に入っちゃっていいんですか……?」
「けど、まどかがこの中にいるなら、すぐに呼び戻さねぇと」
「行ってみましょう」
仁美が少し怯えながら中に入ろうと呟いた。タケル、さやか、誠司、御成も頷いて扉を開けて先に進んだ。晶もおっかなびっくりその中へ進む事にした。
階段を登った先に広がっていた、鉄製の機材が放置されている、コンクリートが剥き出しの室内を見回しながら、皆はまどかを探していた。そんな中、タケルはなんとなく周りから嫌な気配を感じて、人一倍警戒を強めた。
「(なんか不気味だぜ……。これってまさか、魔女が近くにいるなんて事は無いよな……)」
皆が慎重に進む中、晶が声をかけた。
「どこにもいませんね……。やっぱりここじゃないんじゃ……」
「しっ! 静かに……!」
不意にさやかが立ち止まって耳を傾けた。
「……どうかなされましたか? さやか殿」
「……なんか、声が聞こえない? あっちの方から……」
さやかが指差した先から、確かに女性の声が聞こえてきた。皆が声のした方へゆっくりと歩いていくと、人影が見えた。
「……! まどかだ……!」
誠司の言う通り、そこにはまどかがしゃがみこんでいる姿が見えた。
が、もっと驚いたのは、その先に佇む人物だった。6人はその顔に見覚えがあった。
「……あ、暁美さん……?」
晶がそう呟いたように、そこには今日転校してきた電波さんこと、暁美 ほむらがいたのだ。しかも、
「暁美さんのあの姿は一体……?」
仁美の言う通り、その格好は見滝原中の制服ではなく、黒と白とグレーでデザインされた服装だったのだ。明らかに異色を放っているその姿に一同は困惑していたが、ほむらが何かを呟きながらまどかに近づいているのを見て我に返った。
「ね、ねぇ、ちょっとヤバいんじゃないこれ……⁉︎」
「は、早くまどか殿を助けださなければ……!」
さやかと御成が、まどかの安否を心配する中、誠司はこの状況を打破する為に辺りを見回した。するとあるものが視界に映り、誠司は咄嗟にそれを手に取って、ほむらに向けた……。
キリがいいので今回はこの辺で。
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