東方永命伝   作:璃蘭

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部活が忙しすぎて、家に帰れば飯食って風呂入れば、書くことなくそのままベットで熟睡しています。


第五話 幻想郷の夜空と、とある一匹の式神

 先ほどまで繋達を朱色に染め上げていた日の光は、太陽が沈んだため今ではすっかりその色を失い、空を黒く染め上げていた。その代わりに、光り輝く三日月がその顔を覗かせ、多くの星々が色鮮やかに散りばめられ、幻想的な夏の夜空を作り出していた。

 

 そんな幻想郷の夜空を、繋と心は木の根元に座り込んで静かに眺めている。聞こえてくるのは虫の鳴き声と風が木の葉を揺らす音だけだ。

 

「綺麗」

 

 と、心が言うと、繋は頷き、

 

「そうだな。綺麗だ」

 

 と言った。

 

 そして、二人の間に静寂が訪れる。

 

 心の瞳はじっと空へと向けられている。繋の耳がぴくぴくと何かに反応したかのような動きを見せ、そのまま目を閉じた。何か物思いに耽っているような、何かを感じ取ろうとしているかのような、そんな感じである。

 

 暫らくした後、繋が目を開ける。そして、小さな声量で言う。

 

「へぇ、面白いものがいるな」

 

 繋は薄く笑った。

 

 そんな繋を、心は目だけを動かしちらりと見たが、すぐに目線を戻した。

 

 繋は、自分の座る木の根元の隣へと目線を移す。

 

 すると、そこからかさかさと音が鳴った。背が高めの草と草の間から音が聞こえて来ようだ。暫らくすると、一匹の狐がゆっくりと姿を現す。何かを警戒しての行動なのか、それとも獲物でも狙っているのか、伏せた上体からそろりそろりと音を立て無いように這い出て来た。

 

 繋は、その狐をなでようとしたのか手を出したが、すぐに引っ込んでしまった。繋は苦笑いをする。

 

 しかし、狐はそのままどこかには行かず、草と草の間でじっとしている。狐の目線がゆっくりと、繋が座っていた木の根元に動いていく。狐は、同じ狐の繋のことを意識していたのだろうか分からないが、繋の全身を確認できる位置にまで目を動かした。

 

 しかし、その瞳は繋の姿を捉えることは無く、暗く不気味な森と多くの星達が輝く夜空を移していた。

 

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---藍視点---

 

 輝く星々に彩られた幻想郷の夜空は、闇に染まった部分をすっかり青空の色に染め上げ、輝く星達を隠し、太陽がその顔を覗かせ、動物や人間が眠りから覚めるように、活発的に動き出せうように、太陽が幻想郷中を日の光で明るく照らしていた。

 

「ひー、ふー、みー・・・よし、これで全部だな」

 

 そう言いながら、私は長ネギの出た膨らんだ大き目の手提げ鞄を片手に持ち、豆腐屋の前を出て、人里の大通りを歩いていた。茶屋や八百屋、服屋に飲食店など、多くの店が立ち並び、食材を物色する女性や、複数人で集まり遊ぶ子供達、この後の仕事について話し合う男の集団など、いろいろな者達がこの大通りにいる。

 

 ここ最近、妖怪と人間との仲が改善されてきている。妖怪がこの通り堂々と歩き、店で飲んだり遊んだりしていくこともおかしくはなくなってきた。寺子屋で教師をしているあの人は獣人ではあるし、紅魔館のメイド長(彼女は人間か・・・)などがここに来るため、人間と妖怪の仲が良好になってきていた。命蓮寺という寺がここ幻想郷にやってきたのも、その仲を良好にさせていることの一因でもあるだろう。かなり信仰を集めていると聞いている。まぁ、そのようになってきた理由の一部に博麗神社が関係しているような気がするのは私だけではないだろう。(なんせ妖怪神社などと呼ばれている場所だからな・・・)

 

 通りの様子を観察しながら、人里の出口へと歩いて向かう。まだ時間はある(紫様に仕事を押し付けられなければ、または緊急の用事が入らなければだが)はずなので、ゆっくりと出口へと向かっていく。

 

 子供の笑い声や大人の怒鳴り声、女性と八百屋の店主との壮絶な値切りバトルが繰り広げられたりと、今日もにぎやかな日々をすごしているようだ。

 

 そんな人里の大通りに、場違いな服装の少女を見つけた。人里にいる人間の着ている服は、外の世界で言う和服といわれるものが大体である。色は、男は紺や黒などが多く、女は赤に桃などが多い。しかし、その少女の着ている服は、そのようなものではない。

 

 外の世界(日本国内だけに限る)では、もう見ることが無くなったといっても過言ではない、メイド服というものを着ている。外の世界にある「メイド喫茶」などという場所で見る露出度の高い、主に男を喜ばせるための卑猥なものではなく、スカートもきちんと膝下まであるロングスカートで、露出のあまりない清潔感の漂う青と白を基調としたメイド服だ。(まぁ、バトル時になればロングスカートは邪魔らしく、ミニスカートのようなものになるのだが・・・)

 

 銀の髪のショートボブで、両方のもみ上げの近くから、三つ編みに結った髪の先端を緑のリボンで結んでおり、白いカチューシャをつけている。左手に取っ手のついたバスケットを持ち、八百屋の前で野菜を手に取り質を見ているようだ。

 

(やはりメイドというものはこういうものでないとな・・・)

 

 と思いつつ、足を進めていく。話しかけるようなことはしない。彼女は今現在、食材の買出しという仕事をしているのだ。話しかけて彼女の仕事を中断させるようなことはしない。

 

 足を進めていくと、人里の門が見えてきた。人里は紫様によって守られているので、人間にとっては安全地帯である。しかし、一歩この門を潜れば、そこから先抵抗力の無い人間にとってはいつ心死んでもおかしくは無い場所が広がっている。紫様も人里を出た者を守ろうとはしない。そんなことをすれば妖怪側に不満が募り面倒なことになるからだ。

 

 だから人間はこの門をあまり潜ることはない。生きていくのに必要な物が揃っているこの里から、死のリスクを背負ってまで出て行こうとはあまり思わないからだ(まぁ、いろいろと例外はいるが・・・)。

 

 私はそのまま門を潜る。門にはきちんと門番(中国ではない・・・)が二人ほど立っているが、私は特に何も言われることなく潜ることができる(俗に言う顔パスというものだ)。私は、この里を(一様)守っている紫様の式神であるため、特に何も言われないのだ。

 

 門を潜ってみると、一組の男女がこちらに歩いてきているのが見えた。どちらも見慣れない顔である。男の方は、一瞬女っぽく見えたのだが、よく見てみれば体つきなど男のそれである。髪が黒と金が入り混じった(決して混ざり合い色が暗い金色になっているというわけではなく、白に黒の点ができているといったかんじである)色をしており、腰ほどまであるその髪を紐で一つに束ねている。だいたい人間で言う青年といわれるほどの外見をしており、顔は美青年といわれるほどぐらいだろう。かの「大国主」と言い勝負をするのではないだろうか・・・(実際会ったことは無いので分からないが・・・)。

 

 女の方は、私よりも十以上低く、こちらも髪を腰ほどまで伸ばし、男と違ってくくることなく、そのまま流している。全体的に細く華奢であり、それによってさらに小さく見えた。だいたい十五前後の外見をしている。

 

 彼らは一見「人間」と同じような格好をしているが、一目見たときに彼らが妖怪であることが分かった。揚力はできるだけ抑えているのか、この周辺にいる雑魚妖怪よりも妖力が無い(人の姿をすることができるので雑魚ということは無いと思うが、本当に雑魚なのかもしれない)。

 

 すれ違いざまに、少し里での注意を言おうと思い、足を進めていった。ザクザクと足が土を踏む音が聞こえる。ほんの少しだけの静かな時間、鳥の鳴き声が良く聞こえてきた。

 

 彼らとすれ違おうとしたとき、私は開きかけた口を

 

「ッ!!?」

 

 すぐに閉じることになった・・・。

 

 すれ違った瞬間に感じたとてつもない恐怖感。それは男の方から感じてきた。狐としての本能が「これはやばい!すぐに逃げろ!」と呼びかけてくる。全身がびっしょりと冷や汗を掻き、身体全身ががたがたと震えだした。ふわふわとしていた九本の尻尾もピンと伸び、歯はかちかちと小さく音を鳴らす。

 

(なんだ、何なんだ!こいつは!)

 

 目に涙をため、声を出して泣き出すのを必死で抑えることで精一杯だった。私はその状態のまま動くことができなかった。

 

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「ただいま~・・・」

 

 からからと玄関の戸を開け中に入る。そのまま、手に持つ食材などなどが入った手提げ鞄を台所に置くことはせず、十何畳か畳の敷かれた部屋にうつ伏せで寝っ転がる。汗を掻くいてべとべととしているが、とてつもない脱力感が身体を襲い、そのまま少しの間動きたくは無かった。

 

「はぁ~・・・」

 

「どうしたの藍。そんなにだらしない格好をして・・・」

 

 首を動かし、顔だけを声のする方へと向けると、私の主である紫様が後ろに立っていた。

 

「あれ、もう起きたんですか? いつもより速いですね」

 

「もぅ、そんなこと言ってないで、ちゃんと座りなさい。服にしわがついてしまうし、はしたないわ」

 

 そう言われて、私はのろのろと身体を起こし、正座の状態で机の前に座った。鞄は紫様によってもうこの部屋には無い。紫様も私の正面に座る。

 

「で、今日は何があったの?そんなに汗を掻いて、情けない顔をして」

 

「いえ・・・」

 

「なに、何か怖いことでもあったの?蛇ににらまれた蛙みたいに動けないような状態になったとか」

 

「うぐっ・・・」

 

 紫様のその言葉にぐさりと心が抉れる。軽くへこんだ・・・。

 

「言ってくれないと分からないじゃない。何か変なものでも見たりしたの?」

 

 紫様はその気になれば相手の記憶を覗き見ることができる。しかし、私にそのようなことをせずにきちんと言葉で言わせようとするのは、私が紫様大事にされているからなのか、それとも私に恥ずかしい思いをさせたいためなのか・・・。

 

 私は、ついさっきあった出来事を紫様にすべて話した。

 

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「ふ~ん、なるほどね・・・」

 

「わ、笑わないですよね?」

 

 私は、泣きかけたことを笑われるのではないかと少し不安になったが、そのようなことはならなかった。

 

「あなたが言ってたその男が大体予想ついたわ。あなたがすれ違っただけで泣きそうになったのも頷けるわ」

 

 そう紫様が言ったことに、少し驚く。

 

「そうなんですか?」

 

「ええ。あなたがすれ違ったって言う男はね、『繋』って言うはずだわ。女の子の方は分からないけど、彼ね、

 

              【空狐】よ・・・                         

                                          」

 

 その言葉に、私は目を見張る。紫様の言葉はまだ続く。

 

「いえ、空弧なんて言うちっぽけな存在じゃないわね。もう、

       『神って言ってもおかしくは無いんじゃないかしら・・・』 

                                          」

 

 その言葉に、言わなくて良かったと第一に思った。

 




長い間待たせてしまって申し訳ありません・・・。

次話どうしよう・・・。そして今だ繋たちの服装を考えていない・・・。
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