東方永命伝   作:璃蘭

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 ちょっとしたギャグをするつもりだったのに・・・

 そして後書きが長い・・・


第六話 とある一匹の式神 弐

「空弧とは何か、藍は知っているかしら?」

 

 紫様のその言葉に小さく頷く。

 

「はい、少しは知識として持っています。少し前に、私はこれからどのように成長していくのかと思いまして、少し調べて見たことを覚えています」

 

 私は紫様の式神としてどのように成長していくのか、少し疑問に感じ、以前御阿礼の子のところで少し調べたことがあった。しかし、あまり文献は残っておらず、少ししか調べることができなかったが・・・。

 

 紫様は、私の言葉に微笑んだ。その瞳は優しさや嬉しさが映っていた。

 

「そう、空弧に関してはあまり記録が無かったのね・・・。まぁ、それもそうかもしれないわ。なんて言ったって、三千年以上生き続けなければならないもの。大抵の妖怪は三千年以上生きていられるものは数少ないからね」

 

「あぁ、そのようなことも書いてありました。そして、人間の姿に近いものだとも・・・」

 

「いえ、人の姿に近いものではなくて、ほとんど人間その物の姿をしているわ。違うところといったら、狐の耳があるくらいかしらね」

 

 そう言い、紫様は右の手をスゥーと横に軽く振る。すると、動く手の起動に沿って一本の線が引かれていく。紫様が動かし終わると、その線はぱっくりと目の形に開いた。左右の開き目の部分は何故かリボンでくくられている、何時も見ている光景である。

 

 これが紫様の固有能力、『境界を操る程度の能力』によって作られた、言わばワープゾーンのようなものである。この中は、多くの目が見えるため、初めて入ったときは足がすくんだ。この光景は紫様曰く、「外の世界の欲望が渦巻いている様子がここに現れている」らしい。時々良く分からないものが浮かんでいたりする。

 

 紫様は、その割れ目(通称:スキマ)の中に腕を入れ、急須と二つの湯のみ、そして御摘み(お煎餅)が乗せられてあるお盆を取り出した。それを机の上に置き、湯飲みにお茶を入れ、私の前と紫様自身の前のに置く。

 

「すいません、ありがとうございます・・・」

 

「いいのよ、気にしないで。今日、あなたはとても疲れているだろうからね」

 

 実際、今動いてこれらのものを用意して来いと言われても、いつもより時間がかなりかかってしまうだろう。それだけ今の私は精神的に疲れてしまっていたのだ。

 

 目の前に置かれた湯飲みを持ち、口をつける。口の中に広がる抹茶の香りと緑茶の味が心と身体を温めてくれる。紫様の気遣いに感謝した。

 

 紫様が急須から茶を湯飲みに注いでいるときに、ふと疑問に思ったことを聞いてみる。

 

「しかし紫様。人間と容姿で違うところが耳だけって行っていましたよね?」

 

「ええ、そうね。そう言ったわ」

 

「すると、この九本あった尾はどうしたのですか?」

 

 ここで紫様も喉を潤す。コトリと湯飲みを置いた。

 

「そうね、狐の妖怪は尻尾の数が多いと妖力が大きいというのは分かっているわよね」

 

「はい。実際私はその感覚を実感してきましたから」

 

「そうね、私も見てきているから知っているわ。でもね、尻尾の数が多いほど強い、なんていうのは間違った認識なの」

 

 その言葉に、私は驚く。

 

「し、しかし、現に私は尾の数が増えるにつれてどんどん強くなっていきました」

 

「えぇ、そうよ。確かに尻尾の数が増えると妖力が増えて強くなっていくわ。でもね、藍。空弧の尻尾の数が何本か分かるかしら・・・?」

 

 答えを知らない私は、すぐには回答できなかった。

 

「零本よ。尻尾は消えて無くなってしまうの」

 

 紫様は、腰を少しだけ上げて座りなおす。

 

「確かに妖力が一番多いのは九本の尻尾を持つ『天狐』と呼ばれる者だわ、アマツキツネとも呼ぶわね」

 

 紫様は、私に対し狐の妖怪について説明を始めた。

 

 狐の妖怪は、妖力の高さから順に表していくと、

       天狐>空弧>気弧>野弧

 と順位付けがされている。妖怪としての力は空弧より天弧の方が大きいのである。しかし、妖力の大きさで強さが決まるということは無い。空弧は天弧の約三倍以上生きているのである。その間に蓄えられた膨大な知識や経験があるため、紫様は天弧が空弧に勝つことはほとんど無いだろうと言う。

 

 天弧は神に等しく、人間に崇められる対象となり、お社などで祀られたりする。そして、天狗と同一にあると言われている(昔、とある天皇が大流星のことを「天狗」と書いて「アマツキツネ」と読んだからだそうだ)らしい。だいたい、あの「東方のブン屋」と大体同格と思えばよいそうだ。

 

「でも、あの子もう千年以上生きているくせに、何故私の方がおばさん扱いされるのかしら。見た目も特におばさんでは無いはずなんだけれど。月の賢者なんか私より生きているでしょうに・・・」

 

 紫様は急に話の方向を変える。今は必要ないような気もするが・・・。

 

「まぁ、紫様は周囲の者から見れば『胡散臭さ』が半端ではないからなのも原因の一つではないですか?」

 

「藍、あなたもっとオブラートに包んで言うことができないのかしら?」

 

 紫様はジト目で私を見てくる。あまり考えずに発言してしまった。私は少し苦笑いをする。

 

「まぁ、いいわ。話を続けるわね」

 

 紫様は途中で切ってしまった話を続けていく。

 

「天弧と空弧の話だったはね・・・」

 

 空弧はその天弧が引退した存在だと思えばいいそうだ。天弧になれば神通力(じんつうりき、またの名を霊能力)が備わり、眼通力(別名:千里眼)を持つようになるという。空弧になれば、その神通力を自在に操ることができるようになるそうだ。

 

「神通力を自在に操ることができるということは、巫女と同格、またはそれ以上のことをすることができる用になるの」

 

 神通力によって、さまざまなことができるようになる。

 

 「霊視、除霊、浄霊、眼通力、霊と会話、幽体離脱、審神(さにわ)」などの霊能力、

 「自動筆記、テーブル・ターニング、ヴィジャボード、口寄せ(別名:神降ろし)」などの霊媒能力

 

 空弧は、これらを自在に扱うようになっていくのだそうだ。

 

「まぁ、藍の場合は私の式だから天狗と以下って言うことはないけれどね」

 

 「心配しないで」と紫様は言う。少しホっとした。ここで紫様に一つの疑問を尋ねてみる。

 

「しかし、紫様。先ほど繋とやらは

     『神といってもおかしくは無い』と言いましたよね?」

 

 紫様はきょとんとした表情をする。そのまま数秒フリーズした状態でいたが、「あぁ」と納得したように頷き言った。

 

「ちょっと表現方法がおかしかったわね。ええと、本当に言いたいのは、彼は

          『神の中の神』に匹敵する強さを持つ

 と言いたいの。有名どころで言えば、「建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)、天照大御神(あまてらすおおみかみ)、月詠(つくよみ)」の三貴子(みはしらのうずのみこ:さんきし)と同格、またはそれ以上の存在ということよ」

 

 えぇ!と私は机に乗り出し驚いた。その拍子に湯飲みがこぼれるが、湯飲みの下にスキマが開き、机の上から茶の入った湯のみが落ちてきた。あわてて尻尾でキャッチする。

 

「す、すいません・・・」

 

 少し赤くなった顔で紫様を見てみれば、クスクスを小さく笑っていた。

 

「ふ、ふふ、あはは、ふー、こんな藍久しぶりに見るわ」

 

「わ、笑わないでください!」

 

「ごめんごめん、あは、あはは・・・ふー、あーおもしろい」

 

 紫様は、はぁーっとながい息をつく。

 

「まぁ、こんどその男にあったら私を呼んでくれないかしら。本当に私が言っていた者かどうかを知りたいし、私彼の居場所を特定することはできないから」

 

「はぁ、まぁ、いいですよ。そのときはもし寝ていても布団を取っ払ってでも起こしますから」

 

 エッと紫様の表情が固まる。

 

「で、できれば私が起きている時間帯にしてほしいなぁ~、なんて・・・」

 

 両手を合わせて片目を瞑る。なかなか見れない紫様の仕草だ。

 

「知りません。私を散々笑った罰です」

 

 プイっと顔を背けてみる。すると、小さな声で「なによ、私のこと『胡散臭い』だなんていったくせに・・・」と紫様が言っているのが聞こえる。

 

「まぁ、いいわ。そのときはそうしてでも私を起こして頂戴。よろしく頼むわね。さて、お昼の時間になってきたわ。私にとっては朝食なのよ、早く準備しましょう」

 

 と言うと、紫様は席を立ち、後ろの襖へと向かって行く。私は、紫様に対し言う。

 

「私も、空弧のように強くなれることができるのでしょうか・・・」

 

 (紫様の式として、恥じない力を持つことができるのでしょうか・・・)

 

 少しだけ静寂が訪れる。すると、後ろに立つ紫様から声が聞こえた。

 

「空弧になるには、人間に祀られたりしたことのある善弧(善良とされる狐の総称のことである)でないといけないらしいの。私の知るその『繋』って男は一度人間に祀られたことがあったそうよ。だから、今のままでは必ず空弧にはなれないわ」

 

 少し悔しさがこみ上げてきた。しかし、紫様の言葉はまだ続く。

 

「でもね、空弧に成れなかったとしても、それ相応の力は手に入れることはできると思うわ。・・・がんばりなさい」

 

 その言葉に、不安になっていた自分の心は、一気にそれが吹き飛んだ。

 

「はい!」

 

 私と紫様が住むこの屋敷は、誰にもたどり着くことのできない場所にある。その屋敷の庭には、太陽の光が燦々と降り注いでいた。どこまでも続くような美しい薄い青の色に雲による白の色によってできる空はとても美しい。

 

 (紫様にも感知できない存在か・・・)

 

 そう思いながら、藍は席を立った・・・。




 前書きで述べた通り、ほんとちょっとしたギャグを入れるつもりだったのに、どう入れればいいのか分からなくなり入れれませんでした・・・。

 入れる予定だったギャグ
「紫様は『胡散臭い』ですから、なんとなくおばs「なにかいったかしら?」いっいえ、何でもございません・・・!」

 目だけを動かし自分の下を見る。すると、薄くスキマが開いているのが見て取れた。

 (や、やばい!選択肢ミスってしまった!ど、どうしよう・・・このままじゃ何されるか分からねぇぞ!)

「ゆ、紫様、そんな実年齢が人間で言う死に掛けのおばあちゃん二十人分だとしても・・・」

 (あ、おわた・・・)

「藍、何を言ったのか分からなかったわ・・・。もう一度言ってごらん?今なら百回ピチュる程度で許してあげるから・・・」

 紫様の顔が般若顔である・・・。

「も、申し訳g(ピチューン)・・・」

書かなくて良かったかもしれない・・・。


 一様原作設定を大事にしているつもりです・・・。

 藍さんの身長は紫さんより小さいです

追筆

 テーブル・ターニング(コックリさんの原型)
 ヴィジャボード(コックリさん、エンジェルさまなど)
 
 武甕槌神→建速須佐之男命に訂正しました。
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