六月二十三日十四時二十分
俺が目覚めてから二ヶ月とちょっとがたった。目覚めてすぐに永琳にナイフで腕を切られた後、血がすぐにとまったことに恐怖を覚えたが、今ではそれにもなれ、永琳の家での生活も慣れ始めた。なぜこのような身体なのか永琳に聞くと、
『あなたは永遠の命を、捨てられない命を持ってしまったって言うことよ。いわゆる不老不死というものね。』
と言い出した。そして、
『ごめんなさい...。』
急に俺に対して頭を下げた。
『あなたをそんな体にしたのは、私よ。そして、その身体を作るために何百人という命を奪ったわ。そして、その中にはあなたの友達の命も含まれている。』
と、衝撃の事実を言った。俺は叫んだ。「なぜ俺の友達を使ったんだ」「俺はこんな身体になりたいとは思わない」「早く元の身体に直せよ」と、何度も、何度も言った。途中からは涙が出てきて、顔はその涙や鼻水でくしゃくしゃになりながらも叫んだ。俺が何も言わなくなるまで永琳は何も言わずに頭を下げ続けた。
しかし、俺には今まで関わってきたきた人たちの顔が、名前が、声が、分からない、記憶に無い、覚えていない。今度は叫ぶのではなく、鳴き続けた。その間は、永琳はずっと俺が泣き止むまで俺の頭を抱いて何も言わなかった。
俺が泣き止んでからは、永琳は俺を引き取って育ててくれた。まぁ、本当は育ててくれなくても生きていってしまうのだが、それでも永琳は俺を不老不死にしたためか、その責任を感じてか育ててくれた。
今はスーパーに買い物に来ているのだが、永琳に頼まれた野菜や肉、そして研究に使用するのかなんだかよく分からない薬品や何かの干物のようなものを酢のような変な液体の中に入れているものを買ったりしていた。
「よし、これが最後っと」
買い物が終わり、最後は帰るだけだ。俺は、永琳は今日はどんな薬を作るのだろうかと頭の中で考えながら家までの道のりを歩いていった。
---背後に迫る黒い影に気づかないまま...---
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六月二十三日十七時三十八分
永琳side
今日は夢叶の帰りが遅い。どこかで道草でもしているのだろうか。そのように考えた後、手に持っていた試験管を落としてしまう。パリンッと音を立てながら割れたそれから、中に入っていた黄緑色の液体が音を立てずにじわりじわりと床に広がっていった。
「あら、やっちゃったわ」
急いで雑巾を取りに走り、戻ってきて、しゃがんでその液体を雑巾でふき取ろうとしたとき、
---ブチッ---
と靴の紐が切れた。
(なんだか、不気味ね...)
立て続けに起こった演技の悪いできこと。そして、夢叶の帰宅が遅いこと。何かあったんじゃないかと思ってしまう。
(何もなければよいのだけど...)
そのような小さな願いをあざ笑うかのように、その日、夢叶は帰ってくることは無かった...。