東方永命伝   作:璃蘭

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 投稿が長くなってすみません・・・。


第七話 永久の命、オチル

 鉄に囲まれた暗い部屋の中・・・。一つの人のようなものが倒れている・・・。その身体は傷一つついていない。肌の色も健康そのものの色をし、何不自由なく過ごしていたのだろうと思わせるほどきれいな肌をしていた・・・。

 手や足には豆は無い。顔や身体には傷跡なども無い。しかし、それは異様な形をしていた。額からは一本の、地獄や日本の妖怪などの話の中によく登場する、『鬼』と思わしき赤い角が生えている。また、頭からは狐と思わしき耳が、腰の辺りからふさふさとした健康的な一本の鮮やかな黄色い尻尾が、左の目は深い黒の瞳に対し、右の目は金色に輝く鮮やかな虹彩と黒の瞳孔を持つ瞳。狐の瞳をしていた。

 右の手足や左腕は、その身体の大きさに合っておらず、皆身体より大きくなっている。しかし、それも徐々にだが手足がその身体に適合しようとしているのか、徐々に小さくなっている。

 目から耳の方にかけて水滴が通った後のようなものが薄っすらとと線を引いている。来ている服は真っ赤に染まり、ぱりぱりに乾燥している。ぼろぼろに破けていて、何年も使い続けてぼろぼろになった布の方がまだ良いといえるような状態だ。

 

 徐々に体の大きさに合っていく腕を見る。先ほどまでは無理やりつなぎとめたと言ってもおかしくは無いほどにバランスが合っていなかったが、今では少し違和感を感じる程度になっていた。

 先ほどまでは死なないからという理由で人体実験のモルモットとなっていた体。生きている状態での腸や肝臓の動きや喉の解剖。

 腕や足をチェーンソーのような刃物が高速回転するもので切られ、その傷口にほかの腕や足を縫い付けられる。一瞬で回復するというほど不死能力は高くはなく、時間を少しかけて回復していく、まだ不完全な不死なので、早く直ろうとする身体によって、縫い付けられた腕や足と融合してしまい、今では自分の体の一部と化していた。

 目はたこ焼きで使うようなピックのようなもので刺され、抉り取られてしまった。その後、再生しようとする前にこの狐の瞳のようなものを入れられ、腕や足同様に一部となった。

 

 まだ不完全な不死なので、痛覚も人と同じようにあり、口はうるさいからと切られたため声を荒げることなく、縛り付けられた状態で一切動くことも叶わずに目から涙を流しに流し、その死んだ方がマシと言える激痛を受け続けたのであった。

 

 その、記憶を失い、不完全な不死の能力を持ち、数人の白衣を着た者にモルモットのようにされていた一人の男の子は、名を『夢叶』と言った。

 それは、行方不明になってからずっと探し続けている永琳の探し人でもある・・・。

 

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 ピクリッ・・・と指が動く。徐々に目蓋が開いていく。視界はまだぼんやりとしているが、意識が徐々にだが戻ってきたようだ。

 

 少しの間、意識がハッキリと戻るまでボーっと天井を見ていたが、やがて意識がハッキリとしてくると、自分に行われてきた行いを思い出し、体がブルブルと震えだしてくる。麻酔薬をかけても不死だからあまり効果はなく、切られたり、えぐられたりするたびに全身を駆け巡った強烈な焼けるような痛み。うるさいからという理由で切られた喉によって、肺に酸素が行き渡ら無くなり、出てきた窒息感。思い出しただけでも体が震え、目からは涙がにじみかけてきた。

 

 不意に、頭や額、腕や足や腰より少し下の辺りに違和感を感じた。腕や足は何も変化は無い。しかし、なぜか自分のものではないような感覚になる。頭を触ろうと手を伸ばしてみると、フニフニとした、さらさらとした感触が感覚神経を刺激した。そして、これが自分のものだと主張するように、触った手を動かすたびに、触られていると感じるくすぐったい感覚を覚えた。

 

「な、なにこれ・・・」

 

 目をいっぱいに見開き、あまりの驚きに呼吸をしているのを忘れた。そのまま手を腰の辺りまで持っていくと、ふさふさとした、さわり心地の良い感触がした。

 

「う、うそだろ・・・」

 

 この世には妖怪と呼ばれる存在がいる。人を殺し、食らい、恐怖を与えていく存在。人を食らうことで力を増し、妖怪特有の妖力と呼ばれる力を駆使する。人を食らう以外にも、長い年月を過ごすことでも力を増していくといわれている。

 ある妖怪は昆虫の姿を、またある妖怪は動物の姿を。力が強く、知性のある妖怪などは人の姿をとっていたりし、姿かたちはさまざまだ。

 

「は、はは・・・」

 

 夢叶の身体の奥から急に笑いが湧き出てくる。

 

「は、ははは、ははははははははハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

 

 この光景を誰かが目撃したのなら、皆同じことを思うだろう。

 

「ハハッ、ハハハッ、フフ、クククククククク・・・」

 

          狂ったように笑う、『化け物』だと・・・

 

「クスクスクス、フ、フフ、フフフッ、ア、アハハ、ハハ・・ハ・・・ハ・・・・」

 

 『可笑しい』と思っていた感情が笑いとなって出て行く。しかし、夢叶の目からは徐々に暖かい小さな水滴が落ちてくるようになっていった。

 

「あ、アア、アアアアああああああああああああああああぁあああああ!」

 

 それはどんどん夢叶の感情を埋め尽くしていった。目からはどんどん涙を流し、顔をくしゃくしゃにしていく。

 

 

 

          このとき、初めて夢叶は、

             人を止め、『化け物』になったことを自覚した・・・。

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