ダンジョンで全てを焼き尽すのはナニカサレタヨウダ 作:獅狼
うーん、今回はファミリアの説明回のつもりだったんだけど、まともに説明できていない気がするぞ。
団員それぞれ、誰が元ネタかみんなわかるかな?
「おう、今帰ったぞ」
いつの間にかあの重い門を音もなく開けて室内に居たのは鬼だった。
何と言うか鬼の形相?すさまじい?何と言ったらいいのだろうか、身なりはきちんとしていて、とてもじゃないがダンジョン帰りには見えない。
「ユージロー、ファミリア内ぐらいでは気を抜けば良かろうに」
「出来ねえな、誰だ?その小僧は」
「つい先ほど入団したアームズだ、与えられた試練は【全てを焼き尽す暴力】」
「……ッ
「うぬの【血】もよっぽどではあるがな」
「ダンジョンのおかげでそこまで退屈はしてねぇよ」
「ふふ、アームズと言いましたか?どうせまともに
「ああ、頼んだぞ、コーメー」
「あ、私もお願いします副団長」
「ああ、ユウカさんもですか……ああ、そういえば座学はやっていませんでしたね、ちょうど遠征の準備で忙しい時期でしたから」
「いきなりダンジョンに連れて行かれてどんどん奥へ潜っていくとか、ふざけているのかと思ったわよ!!」
「それはカオスかネイトに言ってください。でも、アマゾネスですから何とかなったでしょ?」
「なによ、その理論!!」
「あなたの受けた試練を考えても大丈夫でしょう、ユウカ・オリオトライさん」
「私が根っからのアマゾネスだって言いたいんでしょ!!喧嘩売ってんの!?」
「はは、新人は可愛いですね~ほら、先にお風呂に入ってステイタスの更新をしてもらいなさい、その間に基本的なことをアームズ君に教えておきますから」
「ッ~~~レベル7だからって馬鹿にしないでよね!!」
なんだか蚊帳の外でどんどん話が進んでアマゾネスだと思われる女の子がプンプンと怒りながら奥の通路へ消えて行った。
「息が良くて結構だ、貴様も努めろよ」
強面の団長が楽しそうにそういって同じように奥へ
「さて、それではこのファミリアのことについて説明しましょう」
副団長こーめー?さんがそういって視線を俺の部屋へ向ける。
「なるほど、黒い鳥……間違いではないようですね」
「え?」
「いえ、確認しただけです。それでは、まずここ、ご存じとは思いますが二階三階は団員の私室となっていて、此処は食堂兼店です」
「店……ですか?」
「はい、我らが神阿呑様の気の向いたときに開くレストランとなっています。あと、我々が遠征中は温泉も解放することがあるそうですね」
「温泉!?」
「はい、団長とユウカさんが向かった先、本館に有りますよ、今後使い放題なので今はこちらの話を聞きなさい」
「あ、はい」
さすがはレベル7、笑顔ですら怖い。
いや、関係ないか?
「さてホームは簡単に言ってしまば円形の建物を中心として放射状に施設が在ると言った感じですね、その円形の建物は二つ、一つがここ、食堂兼寮の玄武館」
手を広げ説明するその姿は随分と様になっていた。
「そしてもう一つは黄龍館、ホームの中心であり、最も大きな施設集合体だよ。中心の広間も此処の五倍の直径はある巨大な館だ」
此処ですらレストランと言われて違和感のない広さだというのにこの五倍、直径ということは面積で言えばさらに二乗二十五倍の広さがあるということだ。
馬鹿げた広さじゃないか!!
「そして黄龍館の施設は……まあ、あとで地図を渡そう。それを見て、実際に使って覚えて行ってくれ
「そんなことよりも重要な話がある。
君は、いわゆる【前世の記憶】というやつを持ち、【何か】に出会ってそしてこの世界に生まれ落ちたね?」
「な!?」
「なに、驚くことはない、此処に所属する10名はすべて【同類】だ!!」
「なんですって!?」
驚愕した俺の目を覗き込み、さらに奥を見るような瞳で副団長は言う。
「そして全員が【試練】としての能力を与えられている。不相応な、手に負えるか怪しいものをね、これを使いこなすのが試練というわけだ」
「な、なるほど」
確かに、俺の力もあまりに不相応、というよりも規格を無視した設計というだけあって使用者のことなんぞ考えていないだろう。
使いこなせるのか、これ?
「ああ、そうだ。自己紹介がまだだったね」
そこまで言って、なぜかニヤリと笑い、己の名前を言った。
「私の名前はコーメー・ショカッツ。わかりやすく言えば諸葛孔明、ご存じのとおりの軍師の名前を襲名させていただく事に成った元一般人さ」
その名前に驚愕を覚えた。何というか、そのまんまじゃないか?
「そして特技は情報さえそろえば未来予知に近い形で未来を演算できる事、そして火計、保有している魔法も火計、主な戦闘方法は大火計。最近のマイブームは追い込んだ敵を火に巻く事かな?」
「結局火計しかないじゃないですか!!」
「ははは、そうだね。ちなみに団長の名前はユージロー・ハンマー、つまり範馬勇次郎が元だね知っているかい?範馬勇次郎」
「地上最強の生物じゃないですかヤダー」
「知っているようだね、安心したよ。まあ、他の人はちょっとばかり名前がひねってあるから解り難いかもしれないけど、もとはみんな一般人だ、仲良くできるよ」
なんだかビッグネーム過ぎて何と言ったらいいか……
地上最強の生物と天才軍師かー……それが団長と副団長でタッグ組んでいるとか……敵さん涙目。俺だったら逃げるね、全力で逃げるね、そして逃げられないか追い込まれるか逃げる前に狩られるかしてお陀仏だね!!
おお、怖い怖い
「ちなみにさっきの女の子は?」
「ああ、彼女はユウカ・オリオトライ。アマゾネスで……君と同じくらいかな?十代前半の元気な女の子さ。入団したのはちょうど前日、軽い遠征に出かける前の話だよ」
「遠征って……ダンジョン遠征ですよね?新人をいきなり連れて行っても大丈夫だったんですか?」
「大丈夫だったよ、ほら、四肢に欠損もないし大して大きなけがもない。まあ、彼女の試練は御しやすいものが多かったから割と楽だったよ」
話の最中だが、黄龍館と呼ばれる施設に次々と団員が移動をしていく中、丸メガネをかけた筋骨たくましいそりこみの入った短髪の黒人男性が目に映った。
「ああ、そうだ、忘れるところだったよ。ワイリー」
「ん?なんですか」
「彼の登録をお願いするよ」
「ああ、そうでした大変な事に成るところでした」
「え、え?」
「初めまして、私はワイリー・ネルソン。主に工兵の真似事をやらせてもらっているよ。
このファミリアは神阿呑の道楽でいろいろとやっていてね。ファミリア外の人を多く入れるから、セキュリティーが仕掛けてあってね……」
「」
「だからちょっとした情報を登録しておかないと……HAHAHA★」
「なにそれ怖い」
笑顔も怖いです。きらりと輝く丸メガネで目が見えないのも怖いです。
「うん、OKもうこれで大丈夫だ」
登録とやらは数秒で終った。
「ありがとうワイリー、それじゃあ続きを話そうか。とはいっても実際に見たりやったりしてもらった方が早いわけだが、ここは訳有りが集められた訳有りの神様の住み家ってところかな、レベルが高い順にユージロー、私、カオス、ワイリー、ネイト、ユリコ、アツシ、ティファ、ユウカ、そして君だ」
「結構聞いたことのある名前が多いんですが」
「おっと、恐らくユウカは今回の遠征でレベル2に成るだろうからティファの前に来るね」
「え?この間入団したばかりだって……」
「このファミリアでは常識だよ?」
「いや、でもランクアップ最速でも一年「このファミリアでは常識だよ」
「え「このファミリアでは常識だ」……はい」
「なーに、神々もギルドの人も諦めているからね登録して一月以内のランクアップでもアドンファミリアだと言えば即座に納得してくれるよ」
「まさかとは思いますが、団長のラックアップは……」
「10日と16時間だね、下層まで行ったんだってさ」
「………えっと……何回目で」
「3回目だよ?」
「あ、三回目、なるほど……ってなんでさ!!三回で下層ってなんでだよ!!」
上層で一生を終える冒険者が多いという話を聞き、実際に下層まで往ける者についてもある程度、情報を仕入れて置いたが、個人で下層まで降りれるものなど存在しない。
中層ですらパーティーを組まなければ自殺行為だというのにだ。
あの範馬勇次郎とて、最初は人間相手に冷や汗をかいたり、驚愕したりもしていたのだ。
それが三日で下層まで行くとはどれ程の……
「巨人はなかなかに楽しめたと言っていましたね、その時点でステイタスはオールSSです」
「ヒエェェェ」
成長速度がおかしいのですがそれは……
「まあ、それがユージローの試練、範馬の血(原液)なんですよね、進化と言っていい成長と人間の上位種、あっという間に戦いになる相手がいなくなってしまい、孤独を感じる呪いともいえるものです。まあ、ダンジョンのおかげで潜れば潜るだけ強い敵が出てくるので、なんとかなっていますけどね」
「えっと、今どこまで……」
「うーん、たしか百層まで行ったと前日聞いたね」
「え?」
「うん?」
「だって現在の到達最下層って……」
「まだ五十に至ってないね、公式では」
「え、え?」
「このファミリアはね、公式な記録には残らないんだよ」
「何故です?」
「少人数のファミリアが立てた記録でほかのファミリアが行けると思って行動したら全滅、そんな記録ばかりだからね~
事実、そんなことが多かったためにファミリアの記録が大々的に公表されることはなくなったのですよ。
ランクアップした時の条件、公開だけで数十人が帰らぬ人となったときは自己責任だというのにこちらを糾弾する者もいましたけどね」
いや、さすがに十日でランクアップとなれば真似する人も……出ないでしょ。
絶対おかしいもん。
「まったく、行動の割合、軌道計算、誘導その他で相手の動きを百手先まで読んで焼くだけじゃないか、何ができるわけがない、いかさまだ!!ですか、出来ないのに真似した人が悪いに決まっているではないかと」
「……」
「あなたたちもやることになると思うよ、単騎での
早ければレベル2、遅くてもレベル3で
あ、いや、君ならレベル1で出来そうだね」
「うん?」
「だってさ、オーバードウエポンだよね、君の試練」
「あっ(察し)」
「うん、大丈夫きっと行けるどれを使ってもきっと大丈夫、まだどんなものかは見てないから断言はできないけどね」
「でも、グラインドブレードだけは勘弁してください、左腕パージとかしたくないです」
「そこは大丈夫だと思うよ?多分人体で行えないことは多少融通が効くよ。まあ、腕をアームでつぶされるかもしれないけどね」
「全然安心できないのですが、それは……」
「まあ、
ああ、そうでした、レベル1でゴライアス倒しているのが一人、というよりも恩恵を受けてから一回も更新していない猛者がいます、あなたのことですよ、ティファ・アナスタシア・サラスティー」
「なんで、居ると」
「新人の
「……ばれてたかー」
「まったく、日常生活での行動を調べてどうするつもりですか」
「情報は多い方がいいんだよ?」
「ダンジョンアタック以外はのんびりしなさい、ただでさえダンジョンでは奇行が悪目立ちしているのですから」
「え」
「モンスターを死にかけの状態で引きずり回したとか、安物のナイフでゴライアスを寸刻みにしていたとモンスターを素通りしたかと思ったら3歩進んだモンスターが塵に還ったとか……」
「ドロップアイテムを確実に出すため、あの時はそれが早かったから、魔石を盗んだだけ」
「他にも、なぜか攻撃する前に一度しゃがんだり、素振りをしたり、サイドステップをしたり……まあ、これはいいでしょう。
変な動きで高速移動をしたと思ったら壁を切りつけてそこから何やらアイテムがでた、地面を掘り始めたと思ったら数階層下につながっていただとか、壁をすり抜けたとか……バグ技なんてどうやって見つけたんですか?」
「……ひみつ」
「はぁ、まあ他人にはできないことなんでしょうが、人の目には気を付けてくださいよ」
「考えて置く」
「……と、まあ、こんな感じで奇行の目立つファミリアではありますが、悪い人は…いないはずなので」
何やら、おかしなことを言っている気がするが、とりあえずおなかいっぱいです。
俺に言えることは一つ。
「うちのファミリア、全員おかしい」