キャラ崩壊、過去捏造などが含まれますのでお気をつけください
黒森峰女学院の更衣室。
戦車道の隊長、西住まほと副隊長の逸見エリカはタンクジャケットから制服に着替えていた。
「隊長、今度の連休はなにか予定でもあるんですか?」
「あぁ、大洗に遊びに行く予定だ。
みほが街を案内してくれるそうだ。」
「・・・そうですか。」
みほ、その名を聞いてエリカは少し顔を曇らせる。
(隊長とみほ、すっかり仲直りしたみたいね。
・・・私もいつか・・・。)
「お前はどうする?」
「・・・え?」
エリカの考えを見透かすように、まほが聞いてきた。
「全国大会の決勝戦、大学選抜との試合、機会はいくらでもあったはずだ。
それなのにお前は、いつまでそうしているつもりだ?」
「・・・」
逸見エリカと西住みほ。
二人は親友同士だった。
気の弱いみほの背中をエリカが押し、
逆に気の短いエリカをみほが諭し、落ち着かせる。
そうやって2人はいつしかお互いに必要不可欠な存在となっていった。
そしてそんな2人が、将来黒森峰の戦車道を支えていくと誰もが信じて疑わなかった。
だが去年の全国大会決勝戦、
川に転落した仲間を助けるために、みほは自身が車長をしていたフラッグ車から降りていき、それが原因で黒森峰は十連覇を逃す事となった。
その後、みほは黒森峰から大洗へと転校し二人の道は分かれることとなった。
「無理ですよ、今更。」
エリカは吐き捨てるように言う。
「私は会う度にあの子にひどいことを言ってきたんです。
今更謝ったって許してくれませんよ。」
「それはやってみてから言うことだエリカ。」
少し苛立ったような声にエリカがまほの方を見ると、まほはまっすぐにエリカを見て言う。
「何を怯えているのかは知らんが、やる前から決めつけては何も変わらないぞ。」
「ですが・・・」
顔を俯かせるエリカにまほは続ける。
「エリカ、お前が望むなら機会を与えてやらんでもない。」
「・・・え?」
「ただしお前次第だ、どうする。」
「・・・私は」
エリカは顔を伏せ考える。
(私に出来るの?昔みたいにあの子と話すことが、あの子と笑うことが・・・。
そんな権利が・・・私にあるの?
でも、もし・・・もし出来るなら)
エリカは顔を上げてまほを見る。
「隊長、私はみほと仲直りしたい・・・です。」
「・・・そうか。」
まほはエリカの肩にポンと手を置く。
「分かった、任せろ。」
#####
茨城県、大洗町。
大洗女学園、戦車道の隊長西住みほは大洗の駅前に不安そうに立っていた。
(一体だれが来るんだろう。)
不安の原因は今朝、姉のまほから掛かってきた電話である。
『すまないみほ、こちらで急な用事ができて到着が遅くなる。
代わりと言ってはなんだが前から大洗に興味を持っていた奴をそちらによこす。
そいつを私の代わりに案内してやってくれ。』
と言うことで、みほはその人物を待っているのだった。
(分かったって言っちゃったけど安受けあいだったかなぁ。)
そんなことを思いながらキョロキョロしていると、改札から見知った顔が出てくるのがわかった。
「・・・え?」
ベージュ色のセミロングの髪に気の強そうなつり目をしている少女、逸見エリカはみほに近寄ると目の前で静止する。
「エリカ・・・さん?」
「・・・何よ、幽霊にでも会ったような顔してんじゃないわよ、失礼ね。」
「な・・・なんで・・・」
「用事で遅れる隊長の代わりに来たのよ。
隊長から電話があったでしょ。」
「え!?で・・・でも。」
「あぁ、もう!」
エリカはみほの手を乱暴に掴むと引いて歩いていく。
「案内してくれるんでしょ!?サッサっと行くわよ!」
そう言って自分の手を引っ張って歩いていくエリカに
「・・・うん!」
みほは楽しそうに微笑む。
#####
二人はまずショッピングモールに足を運んだ。
たくさんの店が並ぶ建物の中を二人で歩いていく。
「・・・」
「・・・」
(な・・・何してんのよ私は、せっかく隊長が御膳立てしてくれなのに全然会話できてないじゃない。
なにか・・・なにかないの?
・・・ん?)
エリカはある店の前で停止する。
「ここは・・・アパレルショップね。」
「そうですね。」
「そういえば前から思ってたけど、アンタって服とか自分で買ってるの?」
「いえ、その・・・あまりこういうのは分からなくて。」
エリカは深く溜息を吐いた。
「だと思った、アンタって見るからにそうだもの。」
「うっ・・・」
エリカは腰に手を当てて言う。
「しょうがないわね、今日は私が見繕ってあげるわよ。」
「え!?そんな!わるいよ!」
「世話になってばかりなのも癪だし丁度いいわ。
ほら、さっさと行くわよ。」
「え・・・えー!?」
エリカに手を引かれ、みほは店内へと入る。
エリカは並べてある服をじっくりと見て、1着の服を手に取る。
「ほら、これとか似合うんじゃない?ちょっと着てみなさいよ。」
「えぇ・・・似合うかなぁ」
「いいからさっさと着てきなさい。」
「う・・・うん。」
エリカに促されみほは服を持って試着室に入る。
そしてしばらくすると、用意した服を着て試着室のカーテンを開く。
「ど・・・どうかな////」
エリカはみほを上から下まで見て言う。
「うん、結構似合うじゃない。」
「あ・・・ありがとう。」
次の瞬間、エリカはニィと意地悪そうに笑みを浮かべる。
「こうなると、色々と試してみたくなるわねぇ。」
「・・・え?」
「他にもいろい持ってくるから着てみなさいよ。」
「そ・・・そんなぁ・・・」
その後、少しの間みほはエリカの着せ替え人形と化すのであった。
#####
アパレルショップでの買い物を終え、ふたりは再びショッピングモールの中を歩いていた。
「本当にそれだけでいいの?」
先程の店で買った服の入った袋を持っているみほにエリカが聞く。
「うん、これが一番気に入ったから。」
「そう、それならいいけど。」
エリカはふと物思いにふける。
(そう言えば昔は、戦車の事ばっかりでこんなふうに遊んだことは無かったわね。)
みほは楽しそうに微笑んでいる。
(こんな顔してるの、初めて見たかも。)
その視線に気づき、みほがエリカの方を見る。
「どうしたの?エリカさん。」
「な・・・何でもないわよ。
・・・ちょっとお花を摘みにいってくる。」
「お花?・・・あ!うん、わかった。
ここで待ってるね。」
エリカはみほから一旦離れる。
そして用を足すと、みほのところへ戻っていく。
その最中、みほが数名の男子に詰め寄られているのが遠目に見えた、どうやらナンパのようである。
エリカは面倒そうにため息を吐くと、みほの方へ歩いていき、男達からみほを守るように割り込む。
「エリカさん。」
「ちょっと、この子は私のツレだから、
どっか行ってくれない?」
だが男達はなおも食い下がる。
「ねぇ、君も良かったら一緒に遊ばない?」
「・・・聞こえなかったのかしら?」
エリカは男達を睨みつけると、怒気を孕んだ声で言う。
「アンタ達にはこの子は分不相応だから消えてって言ったつもりなんだけど?」
「す・・・すいませんでした。」
エリカの迫力に圧され、男達は退散していく。
「ごめんなさい・・・エリカさん。」
エリカはみほの方を向くと無言で額にチョップを食らわせる。
「あう。」
「まったくもう、アンタの気が弱いのは今に始まったことじゃないけど、せめてあれくらいは受け流せるようになりなさい。」
「うん・・・えへへ。」
「ちょっと・・・何笑ってるのよ。」
「えっと・・・その・・・」
みほはチョップされた額を撫でながら嬉しそうに微笑む。
「久しぶりだったから・・・」
「・・・」
エリカが返事に悩んでいると。
みほのお腹の虫がなった。
「あ・・・」
「そう言えば、小腹が空いたわね。
何か食べましょうか。」
「ご・・・ごめんなさい/////」
#####
2人はファーストフード店で食事を注文し席についた。
そして食事を開始して少ししてからエリカが口を開く。
「ねぇアンタ、最近はどうなの?戦車道。」
「え?どうしたの?急に。」
「昔と比べて随分楽しそうにやってるみたいだから気になってね。」
「あはは・・・」
みほは飲み物を一口飲むと穏やかな表情で言う。
「確かに昔はあまり戦車道は好きじゃなかったけど、今はみんなのおかげで私の戦車道を見つけることが出来た。
だから今は・・・戦車道が大好き。」
「・・・」
エリカは本当に楽しそうに語るみほの顔を見つめる。
(
私なんかとじゃ見つけられなかったものをこっちに来て見つけたのね。
・・・やっぱり、今更遅いのかもね。)
「ん?どうしたの?」
「なんでもない、それより口にソース付いてるわよ。」
みほはエリカに指摘され口についたソースを急いで拭き取る。
それを確認してエリカは立ち上がる。
「お腹も膨れたし、そろそろ出ましょうか。」
「あ、うん。」
二人は料金を払って、店をあとにする。
そして、再び歩き出したその時。
「あっ・・・」
みほが躓きコケそうになる。
「みほ!」
エリカがみほを支え、転倒を防ぐ。
「全くアンタは、危なっかしいんだから。」
エリカがそう言いながらみほの顔を見ると、
みほは目に涙を浮かべて、嬉しそうに微笑んでいた。
「な・・・何泣いてんのよアンタ。」
「す・・・すいません、やっと昔みたいに名前を呼んでくれたからその、ぐすっ、嬉しくて。」
「!!!」
みほの言葉でエリカの中で何かが弾け、溜まっていた言葉が自然と溢れ出た。
「みほ・・・私、ずっとアンタに謝りたかった。」
「そんな!エリカさんが謝ることなんて何もないよ。」
「そんなことない!
・・・私は自分勝手なの、親友のアンタが一番苦しんでる時に何も出来なかったくせに、居なくなった途端子供みたいに拗ねてアンタにあたって・・・本当に最低よ・・・。」
「エリカさんは最低なんかじゃない!
急にいなくなったのは私が悪かったんだし、
それにあの時もずっと私の事励ましてくれてた!」
「それでも私は・・・あなたに酷いこと・・・」
本当は全国大会の抽選会の会場で見た時はとても嬉しかった。
喫茶店で見た時も本当なら抱きつきたいほどだった。
でも何故か怒りが沸き上がり、つい悪態をついてしまう。
そして、その後悔が今、嘘偽りのない言葉と共に溢れでた。
「私、知ってるよ、
エリカさんが本当は優しい人だってこと。」
みほの言葉にエリカは伏せていた顔を上げる。
「エリカさんの言葉はたしかに厳しいけど、その裏には優しさが隠れてる。
だから、優しいからこそ私が逃げたのが許せなかったんだよね。」
「みほ・・・。」
みほは、エリカに優しく微笑んで言う。
「私は、そんなエリカさんの優しさが・・・大好きだよ。」
エリカはその言葉に、涙目で顔を伏せる。
「ねぇみほ、私達、また友達になれるかしら。」
「どういうこと?。
私はエリカさんの友達をやめたつもりなんてないよ?」
「・・・え?」
みほは、再び笑顔をエリカに向ける。
「エリカさんはこれからも、私の大事な友達だよ。」
みほがそう言うと、エリカの目から涙が溢れ出す。
そしてエリカはみほに抱きついた。
「グスッごめんなさい!ごめんなさい!」
「うん、私こそごめんなさい。」
「ありがとう・・・みほ・・・大好き。」
「うん、私も大好き。」
その後しばらくの間、エリカはみほに抱きつきながら子供のように泣いたのであった。
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エリカは泣きはらした顔でみほに言う。
「まったく・・・公衆の面前で泣かせんじゃないわよ・・・グス。」
「あはは。」
すると、エリカの携帯に電話がかかってきた。
エリカは電話に出る
「もしもし・・・分かりました、今すぐ行きます。」
エリカが電話を切ると、みほが話しかける。
「お姉ちゃんから?」
「ええ、もうすぐ到着するらしいから駅に迎えに行かないと。」
「それじゃあ行こうか。」
「そうね・・・一応言っておくけど、さっきの事は隊長には内緒だからね。」
「ふふ、うん、分かってる。
あ、そうだ、ちょっと寄りたいお店があるんだけど・・・いいかな。」
「・・・すぐに終わるならいいけど。」
「ありがとう!じゃあこっち。」
#####
大洗の駅前で、西住まほはエリカとみほを待っていた。
(エリカ・・・上手くいっているといいが。)
そしてしばらくすると、
「お姉ちゃーん!」
声がした方を見ると、エリカとみほが近くまで来ていた。
駆け寄ってこようとしてコケそうになるみほを
エリカが支えていた。
(・・・どうやら、問題は無いみたいだな。)
その様子を微笑んで見ているとエリカとみほが側まで来た。
「お疲れ様です隊長、遅くなって申し訳ありませんでした。」
「別にいい、ついさっき着いたところだ。
では行こうか。」
「あ、ちょっと待ってお姉ちゃん、渡したいものがあるの。」
みほがポッケから何かを取り出してまほに渡す。
それはみほが大好きなキャラクター、
ボコられグマのボコのストラップであった。
「これを私に・・・ありがとうみ・・・ほ。」
まほが顔を上げるとみほとエリカが色違いの同じストラップを持っていた。
エリカは少し照れくさそうにしている。
「えへへ、色違いだけど3人でおそろいだよ。」
「わ・・・私は恥ずかしいからやめなさいって言ったんですけど、みほが強引に。」
「え?エリカさんノリノリで色選んでたよね。」
「う・・・うるさいわね!////」
まほは無言でみほとエリカに近づくと二人まとめて抱えるように抱きつく。
「た・・・隊長!?」
「ど・・・どうしたの!?お姉ちゃん!?」
まほは嬉しそうに微笑む。
「ありがとう、みほ、エリカ。
私は・・・いい妹と後輩を持った。」
そう言ったまほの腕の中で、エリカとみほは二人で目を合わせ笑いあった。
みほ、まほ、エリカ。
三人の変わらぬ絆を、3つのストラップが表していた。