作者はまだ学生でありまして急に風邪をひき、しかもあと数日後に試験が...。と、イベント盛りだくさんです。
そうですね。次回、もしまた投稿が遅れる事があれば活動報告にしっかり書いておきます。
こんな小説ですが、楽しんでもらえると幸いです。
どこまでも暗く、どす黒い深淵の闇。人間の心をこう例える者は少なくないだろう。だが、金城は違う。束縛されすぎたこのシステムから解放され、人間が人間らしく振舞い、人間が人間らしい生活を送る事で真の完全世界が生まれると心から思っている。
そんな金城は、ハッキングによって携帯情報端末で店内のカメラから店内を自在に見る事ができる。
廃棄区画の地下。豪華な内装を見せる室内ホログラムの中、一人ソファでそれを見る。立体ホログラムにはセントモール七階の電気店内が映し出されている。
「さて、彼は期待に応えてくれるかな?」
コーヒーを一口飲むと、ゆっくり立ち上がりながらカップをテーブルへ戻した。
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「ここがセントモールか...」
その巨体に唖然とするのは道咲。何せ彼は執行官である為、外出を許されていない。いくら大手ショッピングモールといっても、執行官が簡単に見ることはできない。
「エリアストレスが上昇したのはここの七階だわ」と、桜木が携帯情報端末をいじりながら立体ホログラムの七階を指差す。
桐ヶ谷はいつもの現場とは違う何かを感じる。その疑問は頭の中で騒ぎ出す。周りを見渡すとそれは一瞬で分かった。
「浪河!ここら辺の街頭スキャナはどうなってる!」
叫ぶように問うと、浪河は手持ちのPCで即座に調べる。周囲の街頭スキャナの状態を細かく調べていくと、画面に『-WARNING- これ以上進むと、パソコンまたはデータに異常をきたす場合があります』と赤文字で出てくる。
それを見た浪河は唇を噛む。
「探知される事を前提に強力なウイルスが仕掛けられてる!これは公安局の権限で一時街頭スキャナを停止させないとリセットできない!」
浪河から悲報を聞いた桐ヶ谷は渋い顔をするが、桜木はドミネーターを掲げると、セントモールの入り口へ走り出す。
「皆んな!犯人を優先して!店の中のエリアストレスが上昇してる!これじゃあ大半の人が潜在犯になっちゃう!」
焦り気味な一係をよそに、道咲は口元が緩む。その悪戯な笑みはセントモールの七階を向いていた。
ドミネーターを掲げた道咲は仲間にこう言い放った。
「焦ってねーで、さっさとクズを引きずり落とそうぜ!」
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賑やかな時間は過ぎた。恐怖で支配されたその空間はすすり泣く声や、泣きながら母親に寄り添う子供もいる。善良な市民ほど悪化したサイコパスの影響を受けやすい。悪化したサイコパスの影響を受けた子供が幼いまま施設送りになる事さえありえる。
しかし、そんな絶望的空間にも光は現れる。
「公安局だ!両手を上げて地面に伏せなさい!」
桜木は他の刑事とともに、電化製品店へ入って行く。ドミネーターを向けた方向には気翔。ドミネーターの持ち主は桜木。
桜木はドミネーターを向けるがそんな行為と警告も虚しく、気翔は半笑いになりながら狂ったように笑う。
「きたきたきた...。公安局!お前らもろとも消し去ってやる!」
気翔の絶叫とともに、対象を視界にとらえた道咲のドミネーターは指向性音声で呼びかける。
『犯罪係数・335・執行モード・リーサル・エリミネーター・慎重に標準を定め・対象を排除して下さい』
その音声とともに、ドミネーターの装甲が展開。側面の装甲が半回転しながら前方に押し出ながら、ハンドガンで言う所のコッキングレバーも同時に前方へ押し出る。こうして銃身を展開し、一回り大きく見せたその姿はシビュラシステムの怒りの姿そのものだ。
道咲他、一係のドミネーターも対象の脅威判定を共有し、エリミネーターモードへ変形する。
素早く対象を排除しようとした道咲がトリガーに指を当てた時。
「なあ、金城...。あんたの言う通りにするよ...。この世界はクズばかりだ...」
気翔の弱々しい発言を聞き、道咲はトリガーから指を弱めた瞬間、後方からドミネーターが発砲される。道咲の右を弾が通過すると、気翔へ命中。
エリミネーター弾を腹部に受けた気翔の腹部内の血は急激に沸騰し、巨大までに膨張した腹部は破裂、頭部と下半身を残して気翔は絶命した。
破裂した際に飛び散った血液を浴びた市民は絶叫。ドミネーター所持時に表示されるエリアストレス情報が急激に上昇した。
エリミネーターによる射殺は一種の見せしめみたいなものだ。「この様に無惨に死にたくなかったら罪を犯すな」と言っているようなものである。
そして、その数秒後。
「道咲、対象を前に気を緩めるな。お前も俺らも、いつ死ぬか分からないんだぞ」
ドミネーターをホルスターへ戻しながら言ったのは桐ヶ谷。気翔を執行したのも彼だ。
道咲は「あ、ああ...」と呟くと自分のドミネーターを見つめる。なぜ自分はトリガーを引けなかったのか。その疑問が頭を巡る。
それは気翔がかわいそうに思えたからではない。
「同情...?」
そう道咲は呟く。この世界はクズばかりだ。この言葉が頭から離れない。まるで脳に磔にされたようだ。
そんな道咲をよそに、桜木達、一係は公安ドローンとともに市民のサイコパスを測定しながら、脅威のある人を探している。
道咲の頭の中が混乱する中、気翔の下半身辺りからはみ出た直径三センチくらいの四角い金属から音声が流れる。
『やあ、愚かな公安局諸君。気翔を執行したようだね』
市民は状況を理解できないため慌てふためいているが、刑事達は一瞬にして凍りつく。
その透き通るような声は電気店内を駆け巡る。
『気翔君なら君達を二人くらい殺ってくれると思ったのに。非常に残念だ。まあ、そのためにこれを撮っといたんだけどね。外気に触れたら音声が再生されるなんて素晴らしくないかい?まるで小さな鳥籠から解放された小鳥のようだ。まあ、そんな事はどうでもいい。最後に僕から君達へ言いたい事がある。今回は君達公安局が一枚上手だったって訳だ。おめでとう』
その音声は静かに消え、小型録音機は内側からショートし、その場で小さな火花をあげた。
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「それはどういう事かね。桜木監視官」
公安局局長執務室にて、桜木の前に一人の老婆が座っている。
両手を机の上で組み、背もたれにもたれかかるその姿は威厳を放っている。
彼女の名は禾生 壌宗(かせい じょうしゅう)公安局の局長だ。
「先程も申し上げた通り、三年前にあった悪意の代償事件の主犯、金城から送られてきたと思われる気翔という男と体内にあった録音音声が...」
桜木は次の言葉を言おうとした途端、禾生が割って入る。
「実に面白い事だとは思わないかね。桜木監視官」
「はい?」
桜木は正直禾生の言葉の意味が理解できない。桜木の情けない返答のあとに禾生が続く。
「気翔の体内にあった。しかも外気に触れると再生される。まるで公安局の行動を予測していたみたいではないか」
やっとあの発言の意味を理解した桜木は疑問をそのまま禾生へ問う。
「しかし、彼もろとも爆発していればその音声は無かった事にできるのでは」
禾生は手を組み直すとその問いに答える。
「あの爆弾は直接起爆できない」
桜木はまた、聞きなおそうとした時。
「慌てるな。そうだな、簡単に言えば気翔が押した起爆スイッチは何処かに潜伏している金城へ信号が来る。そしてその信号を受けた金城が起爆するかしないかを決められる...という事だ」
なるほどと思う前に桜木の頭の中でまた疑問が浮かぶ。
「何故そこまで詳しいのですか?」
禾生はいつも通りの顔つきでその問いに答える。
「そんなものは起爆スイッチの内部構造を見れば分かる事だ。スイッチから爆弾まで直結しているものは無かった。それに金城は仲間をそんな簡単に殺さない性格だからな」
禾生は「帰っていい」と桜木に告げる。
桜木は迷う事なく局長室を出ようとするが、扉の前で立ち止まり顔だけを禾生へ向ける。
「何故金城の性格を知っているのですか...」
禾生はまた手を組み直すと冷静にいつも通りの口調で言い放つ。
「失礼。それは私の失言...いや、予想だ。彼の今までの行動から予測したまでだ」
数秒の沈黙の後、自動ドアが開いた。
桜木は「...そうですか」と呟くと禾生の顔も見ずに局長室を後にした。
「投稿おせーくせに全然良い内容じゃないry」
はい、すいません。
と思っている方も少なからずいるでしょう。
でも、私はこの作品を楽しんで見てくれる人が一人でもいれば、その人の為に書き続けます。
え?いなかったら?...それは...えーと...自己満足です!!
それと、道咲が口にした『同情』
これと似た言葉を探したところ、『人の苦しみへの理解と同情』の欄に『哀れみ』という言葉がありました。
そして今回のサブタイトル。これを『執行する哀れみ』か『生きる哀れみ』
どちらにしようか迷ったところ後者を選ばせて頂きました。
毎回サブタイトルをつけるとき結構悩んで、内容にあったタイトルにしているので気にしてくれたら嬉しいです。