PSYCHO-PASS/悪意の代償   作:フィルト

8 / 8
8話です。

はい。

どうぞ!


#8 盲目な犯行

 

「は!?痴漢!?」

 

腑抜けた声がオフィスを漂う。道咲はデスクに足を乗せたまま開いた口がふさがらない。

それを見た桜木は呆れた表情を掲げながら立ち上がる。

 

「そうよ。痴漢よ。あと、足。下げなさい」

 

道咲は監視官からの命令で渋々足を下ろす。

桐ヶ谷は黙って今までやっている作業を続けている。

調査に向かうということで浪河も椅子から立ち上がる。

 

「全く。痴漢で行くなんて。しょうもないですねー」

 

浪河も道咲同様やる気が感じられない。

現在、金城を見つけ出す事を重点的に捜査してきた一係が、取り調べで終わるような調査をしなければならいという事で今までの緊張感が一気に消え去った。

 

「文句ばかり言ってないで行くぞ。痴漢も立派な犯罪だ。犯罪を起こした者にはそれ相応の罰を与えないとな」

 

その桐ヶ谷の一言で一係のモチベーションが上がると思った桜木だったが、道咲や浪河にとってそれはやる気を無理やり高めようとする教師の言葉のように聞こえた。

 

「あらやだ奥さん。あの子、かっこいいわねぇ」

 

道咲が浪河に向かって言うと、浪河は腹を抱えて笑いだす。

 

「あ〜。もういい!早く行くぞ!!」

 

ーーーーーーーーーー

 

駅構内にて、一係は上着でドミネーターを隠しながら最後に反応のあったスキャナーの前まで来る。

 

「ここが最後に確認のあった場所ね」

 

桜木は携帯情報端末で調べながらそう呟く。真昼間からこのような事件が起こる事は珍しく、慣れていないため、スキャナーを頼りに辺りを探索する。

桜木は携帯情報端末で駅構内の地図を確認する。

 

「被害者の女性の証言ではこの辺りで逃走したそうです。近辺のスキャナーに異変がない事から犯人はまだこの辺にいるはず」

 

桜木は携帯情報端末から目を離し、周りを見回すが浪河と道咲の姿がない。

 

「おい!浪河!めっちゃ自動販売機並んでるぞ!!」

 

「ホントだ!でも、種類は局内の方が多いね〜」

 

「このジュースってどこの会社なんだろ?」

 

呆れた桜木は二人を連れ戻しに踏み出そうとした時、桐ヶ谷がそれを止める。

 

「桐ヶ谷さん?」

 

桐ヶ谷はいつもの無表情を見せながら桜木に言う。

 

「あいつは悪意の代償事件で目の前にいた執行官を二人殺されてる。あいつにとって道咲は心を許せる存在なのだろう」

 

桜木はいきなりの桐ヶ谷の言葉が理解できない。

 

「でも、しかし、捜査はちゃんと...」

 

桜木の発言の途中、桐ヶ谷は割って入る。

 

「それに、調査はちゃんとやってるしな」

 

「え...」

 

桐ヶ谷の言葉の後、二人を眺めていると道咲と浪河はベンチに座っている帽子をかぶった男に話しかける。

 

「ねえお兄さん!そこのジュースってどこの会社が作ってるか知ってる?」

 

道咲の言葉に一瞬戸惑う男に浪河が追い打ちをかける。

 

「お兄さん一人?仕事は?」

 

男は帽子を深くかぶると、道咲と浪河に反抗する。

 

「お前らこそ何をしている。こんな昼間から、学生じゃないのか?」

 

道咲は男の肩に手を乗せると、胸ポケットから手帳を取り出す。

 

「え?俺らの仕事?公安局でーす」

 

道咲と浪河は男の前で手帳を見せる。そこにはホログラムで顔写真とともに公安局局員である証明が映し出されている。

浪河は腰につけたドミネーターを見せると男に言う。

 

「眠らされたくなかったら署まで同行願います」

 

その言葉に男は一瞬戸惑うが、ベンチから立ち上がると一目散にエスカレーターの方向へ走り出す。

 

「まじか...」と道咲は呟くとホルスターからドミネーターを引き抜く。

 

『犯罪係数・235・執行モード・ノンリーサル・パラライザー...』

 

道咲が発砲したパラライザーは男へ命中すると、男は脱力したかのように地面に転がる。

昼間といえど、駅には絶えず人がいるため、周囲の混乱は避けられなかった。

一係は歩いてその男の元へ向かう途中、道咲が桜木と桐ヶ谷に向かって苦笑いをする。

 

「ドミネーター見せないで混乱起こさず連行〜。とかできたら良かったけど、意味なかったな」

 

その言葉に桜木は二人を見ながら問う。

 

「なぜ犯人が分かったの?」

 

すると浪河は答える。

 

「スキャナーとの間隔。周りに溶け込めてないとか、見ればわかるんです。潜在犯なんで」

 

ーーーーーーーーーー

 

「なあ、ずっと気になってる事があるんだけど...」

 

公安局内、男の取り調べが始まる前に道咲が桐ヶ谷に話しかける。

桐ヶ谷は「なんだ」と聞き返すが、道咲は言うべきか悩んでいる。

 

「実はさ、幻聴かも知れないけどさ、俺、撃つ時やつの犯罪係数が200を超えてたんだ。痴漢でそこまで上がるか?」

 

少し悩んだ末、桐ヶ谷が返そうとした時、桜木の指示によって取り調べ室に入らされる。

 

白い机を前に椅子に座った男。その周りには一係。

 

「なぜ痴漢なんかしたんですか。この時代、すぐに捕まると言うのに」

 

桜木の問いに対して男は薄ら笑いを浮かべる。緊張感漂う空間で一人異質を放っている。

 

「俺がしたのは痴漢じゃない」

 

桜木を含めた一係一行は戸惑いの表情を隠せない。

 

「じゃあ、何を...」と桜木。

 

男の表情は変わる事がなく、周りにいる一係を見回した後、話し始める。

 

「盗んだんだ。重要参考資料をな」

 

そこで道咲は男の犯罪係数の真意を知った。

 

「その女は尻ポケットにUSBメモリを入れてごく普通の一般人になりすましていた。まあ、そんなことは専門家の俺からしたらとっくに調べが付いていたがな」

 

その男の言葉に桐ヶ谷は疑問を覚える。

 

「盗んだメモリの中身はなんだ」

 

桐ヶ谷の鋭い目線を睨みつけるように男は見つめ返す。

男はため息をつくと、腕を組む。

 

「公安局刑事課のメンバーが全て記されている」

 

それを聞いたその場にいた刑事達は絶句する。なぜ一般人になりすまして重要資料を運んだのか、全てがわからないまま時間が経過していく。

 

「誰に頼まれた...」

 

桐ヶ谷の質問に男は薄ら笑いを浮かべる。

 

「あのお方だ。名前は言えない」

 

その言葉に桐ヶ谷は即座に返す。

 

「金城か!?」

 

怒声のような声も気にせず、男は薄ら笑いを浮かべたまま言う。

 

「さあ、どうだろうな」

 

ーーーーーーーーーー

 

「桐ヶ谷、浪河、桜木、道咲...」

 

腕にはめた携帯情報端末に読み込まれたメモリが、ホログラムとなって映し出される。

廃棄区画ビルの屋上。黒色の髪が風でなびく。全てを魅了する眼は日中の街中へ向いている。

 

「公安局よ。本番はこれからだ。衝撃に備えろ」




最近ネットサーフィンにはまった私です。

ネットサーフィンって死語って言われてるけどホントかなぁ。

ってどうでもいい!!

では!また会う日まで!
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