『余命一年。長く保てば、一年半くらいでしょう』
それが私に言い渡された事であった。
その瞬間は、今でも鮮明に覚えている。
私を産んだ母親は泣き崩れ、父親は目を伏せ、そして兄は私を抱きしめていた。
原因不明の病だった。
治療法も見つからず、そして世界にも知れ渡っていない病気。私はその病気に運悪く掛かってしまった。
それはがんと似ていて、私の体は既にそれに侵され、もう手の施しようがない。というか、治療法がないので、下手に治療しても悪化するだけだと思う。
しかし、寿命はわかった。
余命一年。もしくは一年半。それが、私の生きる時間。
書き換えられることのない、時間。
私は長い髪を垂らしながら、息を吐いた。
『
病院から出た時、兄からそんな話が出た。
私がこの一年間にしたいこと。
皆とお祭りに行きたいし、家族と一緒に海に行きたい。それに、一度漫画というものを読んでみたい。
………………いや、願いが、あった。
私は前の願いより、本当の願いがあった。
長年の夢だった、『もう一人の兄』が目指していた夢の分岐点。
私は、兄に言った。
「舞網チャンピオンシップに出たい」
この願いに兄は驚いていたが、直ぐに穏やかになり、母達には説得しておくからと言って、出場を許可してくれた。
私は引き出しの中に収納されている、自身のデッキを思い出す。
ああ、あのデッキは、カード達は、こんな風になった私を、許してくれるであろうか。
そしてまた、私の為に戦って下さい。
私は祈った。
◇
デュエル大会出場を許可してくれた父は、新たなカード達を勧めてきた。
しかし、私は一年後にはこの世にはいないのだ。もしそのカード達を組み込んだとしても、短く生涯を終わる私にとっては苦痛である。
だから私はそのカード達を悲しいが断り、今までのカード達で戦うことにした。そうすれば、私に関係することで涙を流すカード達は、増えなくて済む。
私は自分の部屋へ移動し、自分の机の引き出しを開ける。
そこには、一つのデッキがあった。
私はそのデッキを手に取り、一枚一枚感触を確かめ、そしてじっくりと見つめる。
「お願い、私の愛しいカード達…」
名前は違うけど、種族は違くても。
この子達は、私の支え。
例えこの子達のせいで私の命が落ちようとも、私の運命はそれだけということだ。
…さぁ、共に行こう。
お菓子の国の妖精達。
闇に舞い踊る人形達。
◇
出来れば、思い出を作りたい。
私の我儘にお医者様は快く二つ返事をくれ、私は家へと帰ってきている。そして、私は自宅で治療もし、ほぼ毎日のように通勤する。
これが私の新たな生活。
私はデッキとデュエルディスクを持って、外へと飛び出した。
アクションデュエルは極力避けてくれ、と言われた。けど舞網チャンピオンシップに出る権利を得るには、アクションデュエルをしなければならない。
なので私はあまり動かない。アクションカードも無理には取らないと母と約束し、私は舞網チャンピオンシップに出る許可を頂いた。
余命を宣言される随分前はアクションデュエルは良くやっていた。今は50勝を越しているので、私は舞網チャンピオンシップに出られる。
こんな事になるとは思わなかったけど、早く診察して、余命も言い放たれてもよかったと思う。私があの時、息が苦しい。目が痛い、と言わずに過ごしていたら…考えるだけで震え上がってしまう。
そんな事はもう考えないでおこう。
今は、目の前のことを考えよう。
私を愛してくれる家族のため。亡きもう一人の兄のため。
私、
私は歩き出した。
◇
「本当に良かったの、
十羽と同じ群青色の髪をした美しい女性が、目の前で顔を伏せている、こちらも整った顔立ちをしている男性に言う。
男性ーー伊吹 湊ーーは、「ああ」と返した。
「あの子がそうしたいと言ったんだ。私達が口を出す事ではない」
「
「この一年。あの子の好きなようにしよう。もしかしたら、あの子の自由な気持ちで、病が消えるかもしれない」
「そんな軽々しく言えることなのですか?その前に、あの子の命が失われるのかもしれないのですよ?そうなったら私は…デュエルを、今度こそ恨みます」
「
湊は、未桜の苦しむ理由をわかっている。
また、デュエルで愛する家族を失うのは嫌だから。湊だって、心の底では反対だった。
しかし、あの子がそうしたいなら。もうあの子の自由を縛るのは、嫌だから。
湊は立ち上がり、窓の側にへと行く。
空は雲一つもなく、心地よい風が吹いている。
しかし彼らの心は、渦巻いていた。
今日起こった問題の数々。これから一年間、あの子には苦しい日々が続く。
そう考えると、湊は頭を抱える。
何故、あの子までこんな事になるんだ。
何故、私達だけこうなるのだ。
私達家族だけ。
「父さん」
ドアの方から、湊を呼ぶ声がした。
湊と未桜はそちらの方に向くと、ウルフカットをした青年が、デュエルディスクとデッキを持って立っていた。
「
「十羽のところに行ってくる。俺が付いているから、大丈夫だよ」
「そうか、行ってきなさい」
「うん、行ってきます」
そう二人にいい、蒼斗は十羽を追うようにして、家のドアを開けた。
蒼斗が完全に外に出たのを見計らって、湊は未桜の元に行き、未桜を抱きしめた。
「大丈夫だ。あの子は、あの子達は、私達の子だ」
「……もしあの子が命を落としてしまったら、責任は湊さんにとってもらいます」
「ああ、わかった。信じよう、あの子達を」
「……ええ」
そして彼らは、静かに涙を流しながら、口付けを交わした。
◇
「兄さん、あなたも出るの?」
十羽は公園で兄、蒼斗と出会い、不意に気になったことを質問した。
蒼斗は少し唸り、そして笑いながら答えた。
「ああ、出るよ」
「そうなの?なら、ライバル同士ね」
「ははっ、負けないよ」
「こっちも負けないわ」
微笑ましく笑いあう二人。
十羽はデッキを取り出し、一番上に置いてあるカードを手に取る。
蒼斗はそんな妹の姿を見て、少し顔を俯かせた。が、直ぐに元通りになり、話題は舞網チャンピオンシップへ。
「やはり大会では、そのデッキでやるのか?」
「ええ。この子達は、私の心だもの。兄さんのデッキは何?」
「おおっと。それは教えられないな」
「……ケチ」
「ケチで結構」
十羽は群青色のロングヘアーを搔き上げ、耳にかける。
そして、湧き出る噴水に目を向けた。
蒼斗もそちらを見て、零す。
「……こんな事になるなんて」
「仕方ないわ。それが運命だったのよ」
「……お前は、悲しくないのか?」
蒼斗はただ噴水を見つめる十羽に言う。
十羽は間を空け、静かな声で、実の兄に言った。
「悲しいわ。私、まだしたいことがあった。でも仕方ないわ。これが運命なら、私は受け入れる」
自身の右目を右手で覆い隠す。
「何が原因でも、私は自分の死が近くまで足掻いてみせるわ。そして、運命の死じゃなかったら、私はもっと足掻く」
「……十羽」
「だから見ていて、兄さん。私の足掻きを。…でも、私の相手になったら、容赦はしない」
「こっちのセリフだ」
それぞれの思いを打ち明けた二人は、また笑いあった。
舞網チャンピオンシップは、二日後。
その時まで、彼らはまだ笑いあう。
運命の舞網チャンピオンシップ。
ーーー当日。
◇
「凄い人…」
「そりぁ、色々な塾が受けているからな」
私、伊吹十羽は人の多さに少し圧巻した。
LDS内部には沢山の人が集い、一つの塾に一つのパネルが置かれていた。
私は兄さんと共にその塾達を回り、時間を潰す。
今日は私の運命の日。この日で、私の全てが決まる。
私の実力で何処まで行けるのかはわからないが、出来る限りの事はやって、満足したい。
兄さんと当たるのであれば、私は全力で迎え討たなくては。
私は癖と言われた、髪を搔き上げて耳にかける仕草をする。そして、祈るようにして胸に手を置いた。
心を落ち着かせるため。大丈夫。私はいける。
兄さんが私の頭に手を置いた。
「大丈夫だ。俺がいるからな」
「……子供扱いはしないでほしいわ」
「でも、頼ってくれよ?…俺のいないところで、家族がいなくなるのは、もう嫌だから」
「……ええ、甘えるわ」
私は兄さんの想いを無駄にせずに、戦おう。
すると、アナウンスが鳴った。
『間もなく始まります。選手の方々は準備をーーーー』
「……行こう、十羽」
「ええ、兄さん」
兄さんの手に引かれ、私達は入場口に向かった。
◇
私達が所属する塾のパネルを発見し、並ぶ。
次々と塾名が発表され、いよいよ私達の出番になった。
私達の他に数名同じ塾生がいる。今大会では仲間ということになっているが、運が悪ければ当たることがある。
だから、ライバル同士だ。
私達は入場口に並び、私は深呼吸する。
やっと、この舞台に立てる。
やっと、観衆の面前に立てる。
『さぁ次はーーー!』
司会者の声が聞こえた。
その声が、私達の合図。
兄さんが私の背中を押す。
「行こうか」
私は傾いた。
『さぁ次は、数々の勝利をつかみ取ってきた優勝候補!桔梗塾です!』
そして私は、舞台に出る。
私達は大歓声に包まれていた。
上空では紙吹雪が舞い、観客にはそれぞれの応援旗が振られている事もある。恐らく、塾生の応援であろう。
ああ、この声は、この空間は。
とても、心地が良い。
私がこの舞台に感動していると、兄さんが声をかけてきた。
「十羽」
「……ごめんなさい。感動していたわ」
「大丈夫、俺もだ」
兄さんも、この空間に圧倒されていたのかしら。
…兎に角、歩かなければ何か言われそうだ。
他の塾生はもう先に行っている。待ってくれていた兄さんに、私は一言お礼を言った。
私と兄さんは横一列に並び、お互いを抜かさぬように歩いた。その間、司会者から私達の紹介がある。
『桔梗塾は毎年上位に君臨している優勝候補塾!今回の見どころ選手は、今大会初出場の伊吹兄妹!兄、伊吹蒼斗選手は勝率6割以上を占めており、妹、伊吹十羽選手も中々の腕前でございますっ!そして何と言っても彼らは美男美女!これは…私直視できませんっ!』
「わぁ〜…蒼斗様かっこいー!」
「ふつくしい…」
「「「十羽たぁぁぁぁぁん!!」」」
悪寒が走ったような気がするけど気のせいですよね?
私達は遊勝塾の隣に立ち、そして見上げる。
一つのマイクが置かれているということは、恐らく誰かが喋るであろう。
と、隣の子からボソリ、と何か聞こえた。
「……綺麗」
兄さんの事ね。わかっているわ。
隣をチラリと見れば、そこにはツインテールの女の子が、私達を見ていた。
うん、兄さんに見惚れているのね。わかっているわ。…あれ、これ二回目?
『さぁ舞網チャンピオンシップ、選手宣誓のお時間です!選手宣誓はああーー……榊遊矢選手っ!』
「え、俺!?」
女の子の後ろにいた男の子が驚きの声を上げた。
あの子が、榊遊矢…確か、榊遊勝の息子…だったかしら。
噂でしか聞いたことないけど、ペンデュラム召喚というものを使えると聞いたことがある。
それは本当なのだろうか。一部では、インチキだ!と言われているが。
でもルール上何も問題がなければ、それはルールに則った、正当な召喚法なのだろう。
何れ戦ってみたいものだ。私の命が終わる前に、一回でもいいからデュエルしてみたい。
と、思っていたら。
『レディース&ジェントルメーン!』
榊さんの選手宣誓が始まった。
『先程は大変失礼いたしました。
気を取り直してこれより選手宣誓!と行きたいところですが……俺の話を聞いて下さい。
俺の父親はデュエリストの榊遊勝です。
世界最高のエンタメデュエリストです。
でもみなさんの知ってのとおり、三年前にデュエルが始まる前に、どこかに行っちゃいました。
みんなにトンコしたデュエリストの子供と
後ろ指指され組されて、負けるもんかってエンタメデュエルを必死でやって……。
でも、どこかデュエルから逃げていたんだと思います。
けどペンデュラム召喚と出会って、すごく強いデュエリストと戦って、どんどんデュエルが楽しくなって、もっとデュエルを好きになりたいと思いました!
そして俺は…榊遊勝の様に、誰かの誇りにされる、最高のプロデュエリストになりたいです!
みんなもデュエルが好きになる……そんなデュエリストになりたいです!』
『終わります!』と、榊さんの選手宣誓が終わる。
なんとも心にくる選手宣誓だった。
こんな選手宣誓、ここまで生きてきて聞いたこともなかった。
だからなのだろうか、一人の人物の拍手まで、呆然としていたのは。
パチ、パチ、とマイク越しから聞こえる拍手。
ハッとして、私はその拍手を聞く。
マイク越しから聞こえるということは…関係者の拍手だろうか。
それが伝染していくかのように、拍手が大きくなっていく。
隣にいる兄さんも、徐々に拍手をする。
私も、それにつられて拍手をした。
それは大きくなり、会場を包み込む大きさになっていく。
榊さんは戸惑いながらも一礼して降りていき、戻っていった。
私の斜め右後ろに戻っていった榊さんに、私は心の中で褒める。
ーー良かったですよ、榊さん。
『さぁ皆様方!デュエルディスクを手に取ってください!』
司会者の言葉で、私はデュエルディスクと、受付の時に貰ったカードを取り出す。
どうやらスキャンするだけで、私の相手がわかるようだ。
他の人がカードをスキャンし始めたので、私もカードをスキャンする。
そして、自分の相手が映し出された。
相手はーーー
梁山泊塾は、確か乱暴なやり方でデュエルをする強豪塾だったはず。
「十羽、お前は誰だった?」
兄さんが私のデュエルディスクを覗いてきた。
相手を知った時、兄さんの顔色が変わる。
「っ梁山泊!?……嘘だろ」
恐らく、兄さんは知っているのだ。梁山泊塾の悪行を。
そして私の病が悪化すると、不安になっているのだ。
日時はーー今日の一試合目。つまり、この後始まる。
私の、相手とのデュエルが。
私は不安になっている兄さんに、安心できる言葉をかける。
「大丈夫よ、兄さん
ーー暴力でねじ伏せようとしている臆病者達には、勝つから」
だから安心して?兄さん。
このデュエル、絶対に勝つから。
私は髪を耳にかけ、そして梁山泊塾の方を見て、笑った。
『さぁ記念すべき初日一試合目はああああ!!梁山泊塾の松野晋作選手!』
別口から、梁山泊塾の松野晋作がやってくる。
頭をスキンヘッドにし、紫の衣に包まれた彼は、なんとも言えない威圧感を出していた。
『対する選手は、今大会初出場!桔梗塾の、伊吹十羽選手ー!!』
そして反対のところから、十羽がやってくる。
腰まで伸びた群青色の髪をさらりと靡かせ、膝まで伸びた膝丈の薄いピンクのロングスカート。そしてゆったりとした白いブラウスを着込む姿はまるで姫の様だった。
さすが自慢の妹。俺は心の中で妹を自慢した。
『さぁ彼らが戦うアクションフィールドはーーーー……これだぁ!』
ばら撒かれたカードから一枚のカードが姿を現し、それはフィールドへと変わる。
フィールドは、『森林』。
「戦いの殿堂に集いし決闘者達が!」
「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い」
「フィールド内を駆け巡るぅ!」
「見よ、これぞデュエルの最強進化系」
「「「アクショーーーン!!」」」
「デュエル!」
「デュエル」
伊吹十羽
LP4000
手札×5
松野晋作
LP4000
手札×5
「先行は俺だ。俺のターン!」
松野晋作
手札×5
「俺は【真六武衆ーカゲキ】を守備表示で召喚!」
【真六武衆ーカゲキ】
☆3
風属性
戦士族
攻200/守2000
松野のフィールドに、四つの腕と四つの刀を持った武士が現れる。
「【真六武衆ーカゲキ】の効果発動!このカードが召喚に成功した時、手札から【六武衆】と名のついたモンスターを特殊召喚することができる。こい、【六武衆ーカモン】!」
【六武衆ーカモン】
☆3
炎属性
戦士族
攻1500/守1000
「カードを一枚伏せて、ターンエンド」
松野晋作
LP4000
手札×2
【真六武衆ーカゲキ】守備
☆3
風属性
戦士族
攻200/守2000
【六武衆ーカモン】
☆3
炎属性
戦士族
攻1500/守1000
『伏せカード×1』
ここから、十羽のターンが始まる。
「私のターン、ドロー」
伊吹十羽
手札×5→6
「……私は【
【
通常魔法
このターン自分は通常召喚を2回まで行う事ができる。
「そして私は、【マドルチェ・マジョレーヌ】を召喚します!」
十羽のフィールドに、魔法使いの少女が、大きなフォークを構えてやってくる。
【マドルチェ・マジョレーヌ】
☆4
地属性
魔法使い族
攻1400/守1200
「【マドルチェ・マジョレーヌ】の効果を発動します。この子が召喚に成功した時、デッキから【マドルチェ】と名のつくモンスターを一体、手札に加えることが出来ます。私は【マドルチェ・バトラスク】を手札に加え、召喚!」
【マドルチェ・バトラスク】
☆4
地属性
魔法使い族
攻1500/守800
「【マドルチェ・バトラスク】の効果発動!このカードが召喚に成功した時、自分フィールド上に【マドルチェ】と名のつくモンスターがいる場合、デッキからフィールド魔法一枚を手札に加えることが出来ます!私は【マドルチェ・シャトー】を手札に加え、発動!」
瞬間、森林だったステージは徐々にお菓子の国に変化していく。
【マドルチェ・シャトー】
このカードの発動時に、自分の墓地に「マドルチェ」と名のついたモンスターが存在する場合、そのモンスターを全てデッキに戻す。このカードがフィールド上に存在する限り、フィールド上の「マドルチェ」と名のついたモンスターの攻撃力・守備力は500ポイントアップする。また、「マドルチェ」と名のついたモンスターの効果によって、自分の墓地からモンスターをデッキに戻す場合、デッキに戻さず手札に戻す事ができる。
「私は、【マドルチェ・マジョレーヌ】と【マドルチェ・バトラスク】で、オーバーレイ!」
【マドルチェ・シャトー】が発動した途端、十羽の方からある召喚法の前座が聞こえた。
来るぞ、十羽のエクシーズモンスターが…!
「人形達の女王よ、甘い香りを漂わせ、今、その美しき姿を晒しだしなさい。エクシーズ召喚!ランク4、【クイーンマドルチェ・ティアラミス】!」
【クイーンマドルチェ・ティアラミス】
エクシーズモンスター
効果モンスター
★4
地属性
天使族
攻2200/守2100
「きたぞきたぞ〜。十羽のエース3!」
俺はワクワクしていた。
あのような最悪なことが起きてしまったけど、十羽が楽しそうだから、その事も忘れてしまう。
相手が梁山泊塾ということも、つい忘れてしまうのだ。
……梁山泊塾で思い出したが、何故松野は動かないんだ?別に動いても良いだろ。十羽に攻撃して怪我させたらボコボコにしてやるけど。
「【マドルチェ・シャトー】の効果を発動します!フィールド上に【マドルチェ】と名のつくモンスターは、攻撃力守備力共に、500ポイント上がります」
【クイーンマドルチェ・ティアラミス】
攻2200→2700
守2100→2600
「チィ…!」
松野が口を歪める。
その間に、十羽はバトルを仕掛けた。
「バトル、【クイーンマドルチェ・ティアラミス】で、【六武衆ーカモン】を攻撃!」
ティアラミスの魔法?の力で、カモンは姿を無くす。
松野晋作
LP4000→2800
「ッ罠発動!【紫炎の計略】!自分フィールドにいる【六武衆】と名のついたモンスターが戦闘によって破壊された時、手札から【六武衆】と名のつくモンスターを二体、特殊召喚できる!こい!【六武衆の影武者】!【六武衆ーニサシ】!」
【六武衆の影武者】
☆2
チューナーモンスター
地属性
戦士族
攻400/守1800
【六武衆ーニサシ】
☆4
風属性
戦士族
攻1400/守700
「…カードを二枚伏せて、ターンエンドです」
伊吹十羽
LP4000
手札×2
【クイーンマドルチェ・ティアラミス】
エクシーズモンスター
★4
地属性
天使族
攻2200/守2100
『「マドルチェ」と名のついたレベル4モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、自分の墓地の「マドルチェ」と名のついたカードを2枚まで選択して発動できる。選択したカードをデッキに戻し、戻したカードの数まで相手フィールド上のカードを選んで持ち主のデッキに戻す。』
【マドルチェ・シャトー】
『フィールド魔法
このカードの発動時に、自分の墓地に「マドルチェ」と名のついたモンスターが存在する場合、そのモンスターを全てデッキに戻す。このカードがフィールド上に存在する限り、フィールド上の「マドルチェ」と名のついたモンスターの攻撃力・守備力は500ポイントアップする。また、「マドルチェ」と名のついたモンスターの効果によって、自分の墓地からモンスターをデッキに戻す場合、デッキに戻さず手札に戻す事ができる。』
『伏せカード×2』
「俺のターン!ドロー!」
松野晋作
手札×0→1
「よしっ、俺は【真六武衆ーキザン】を特殊召喚!」
【真六武衆ーキザン】
☆4
地属性
戦士族
攻1800/守500
「このカード以外の【六武衆】の名のつくモンスターがフィールドにいる時、こいつは特殊召喚ができる!さらに!【六武衆】と名のつくモンスターが表側表示で二枚以上いる時、こいつの攻撃力は300ポイントアップだ!」
【六武衆ーキザン】
攻1800→2100
「そして俺は、【真六武衆ーカゲキ】に、【六武衆の影武者】をチューニング!来い、レベル5【真六武衆ーシエン】!」
【真六武衆ーシエン】
☆5
闇属性
戦士族
攻2500/守1400
『ここで松野選手シンクロ召喚だああああ!しかし、【クイーンマドルチェ・ティアラミス】には届かない!どうするんだ!?』
「それはもちろん!」
「アクションカードか…」
俺と同じ塾の奴が舌打ちする。
アクションカード。どんな時でも使用できる魔法カード。しかし、手札には一枚しか入れられない。
彼らの予想通り、松野は走り出した。恐らく、アクションカードを探すためだ。
俺は十羽の方を見て、様子を見ようとする。
だが。
「……早いな、行動が」
そこに、十羽の姿はなかった。
「あったぁ!」
松野は木の枝に挟まっていたアクションカードを取り、発動する。
「アクション魔法【ハイダイブ】発動!このターン、モンスター一体の攻撃力は1000アップする!俺は【真六武衆ーシエン】の攻撃力を上げ、バトルだ!」
【真六武衆ーシエン】
攻2500→3500
「バトル!【真六武衆ーシエン】で、【クイーンマドルチェ・ティアラミス】を攻撃!」
「罠発動!【万能地雷グレイモア】!相手の攻撃宣言時、相手のモンスターの攻撃力が一番高いモンスターを破壊できます!」
「残念だったな!【真六武衆ーシエン】の効果!1ターンに一度、相手が魔法、罠を発動した時、その効果を無効にし、破壊する!消えろぉ!」
十羽の罠カードは粉々に消えていく。
これで彼女は残り伏せカード一枚。
松野は余裕の笑みで攻撃を再度宣言した。
「攻撃を続行しろ!シエン!」
「罠発動!【聖なるバリアーミラーフォースー】!」
「……あ」
俺の口から零れたのか、それとも隣のやつから零れたかもわからない呟き。
今の二連コンボ。そして恐らくアクションカードはもう手元にあり、次のアクションカードも恐らく十羽の直ぐ近くにあり、準備が整っている。
……あらら。
「相手フィールド上の攻撃表示モンスターを全て破壊します!」
「【真六武衆ーシエン】のさらなる効果!このカードが破壊される時、フィールドにいる【六武衆】と名のつくモンスターを破壊することで、破壊を免れる!」
「しかし、シエン以外のモンスターは全て破壊されます!」
シエン以外のモンスターが破壊され、シエンだけが残された。
「【真六武衆ーシエン】の攻撃は、まだ続く!そのまま続行しろ!」
「アクション魔法【奇跡】。これでモンスターは破壊されず、ダメージは半分になります!」
伊吹十羽
LP4000→3600
「ぐぅ…ターンエンドだ…」
松野晋作
LP2800
手札×0
【真六武衆ーシエン】
シンクロモンスター
☆5
闇属性
戦士族
攻2500/守1400
『戦士族チューナー+チューナー以外の「六武衆」と名のついたモンスター1体以上
1ターンに1度、相手が魔法・罠カードを発動した時に発動する事ができる。その発動を無効にし、破壊する。また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊される場合、代わりにこのカード以外の自分フィールド上に表側表示で存在する「六武衆」と名のついたモンスター1体を破壊する事ができる。』
「私のターン、ドロー!」
伊吹十羽
手札×2→3
「………私は【マドルチェ・エンジェリー】を召喚!」
【マドルチェ・エンジェリー】
☆4
地属性
天使族
攻1000/守1000
「そして【マドルチェ・エンジェリー】の効果発動!このカードをリリースすることで、デッキから【マドルチェ】と名のつくモンスター一体を特殊召喚します!さぁ、舞いなさい。【マドルチェ・プディンセス】!」
フィールドに、金髪の女の子が上品にドレスを靡かせながら現れる。
【マドルチェ・プディンセス】
☆5
地属性
天使族
攻1000/守1000
「……ハッ、そんなモンスターを出しても、俺のライフは削りきれないぜ?」
松野が余裕の笑みで挑発する。
対して十羽は、ゆっくりと歩き出した。
その意味がわからないのか、松野は首を傾げているように見えた。
十羽は腰を下ろし、『何かを拾う』。
「大丈夫です。もう、勝利の方程式は見えていますから」
そして、見せびらかした。
十羽が持っていたのは『アクションカード』
それも、松野が使っていた【ハイダイブ】
「お前…!いつの間にアクションカードの近くに!?」
「一枚目を手に入れた時に探しておきました。こういうのも、戦略の内ですからね。でも、このカードを発動するのはまだダメ。まずは…」
十羽が、【真六武衆ーシエン】を見る。
「その邪魔な壁モンスターさんにはご退場願いましょう。バトル、【クイーンマドルチェ・ティアラミス】で、【真六武衆ーシエン】を攻撃」
「ぐっ…!」
松野はアクションカードを取るために行動に移る。
だが、それよりも【クイーンマドルチェ・ティアラミス】が早かった。
【クイーンマドルチェ・ティアラミス】の魔法によって、【真六武衆ーシエン】は破壊される。
「ぐっ、くそ!」
松野晋作
LP2800→2600
後少しで、十羽の勝ち。
だが、足りない。
【ハイダイブ】で1000上げても、【マドルチェ・シャトー】で500上げても、あいつのライフは100残ってしまう。
どうする、十羽。
「私、カードの運には自信があるんですよ」
十羽が手札に手をかける。
「だから、勝てるんです」
そして、
「私はこの子達を、愛しているから」
発動。
「速攻魔法【突進】。モンスター一体を選択し、そのモンスターの攻撃力を700ポイントアップします!」
【マドルチェ・プディンセス】
攻1000→1700
「さらにアクション魔法【ハイダイブ】。【マドルチェ・プディンセス】の攻撃力をさらに1000上げます!」
【マドルチェ・プディンセス】
攻1700→2700
「さらに、【マドルチェ・シャトー】の効果により、さらに500アップ!」
【マドルチェ・プディンセス】
攻2700→3200
「……攻撃力、3200…?」
終わったな。
俺は自然と笑い、髪を掻き上げる。
「さようなら、松野さん。良いデュエルでした」
一歩も動けない松野は、ただ歩み寄る少女を凝視するしかなかった。
そして。
松野晋作
LP2600→−600
『ーーーー決着うううう!!第一試合を制したのは、伊吹十羽選手うううううう!!』
私は膝をついている松野さんの元へ行く。
梁山泊塾は野蛮で暴力でデュエルをすると聞いていたが、この人は何もしなかった。
私が動かなかった、というのもあるのかもしれないが、もしかしたらこの人は根はいい人なのかも知れない。
私は松野さんに手を差し伸べる。
「いいデュエルでした。またやりましょう」
松野さんは顔を上げ。
「………くっ」
自分で立ち上がり、去っていこうとする。
私は手を戻し、笑う。
素直ではないですね。
……さて、第一歩を踏み出した訳ですが。
まだまだ道は続きそうです。
私は髪を掻き上げ、耳にかけた。
六武衆強すぎ()
タイトルについて。
私は『初めて』舞台で舞う←『初めて』というのは、舞網チャンピオンシップでの出場のことです。
彼女はアクションデュエルをしていますが、こんな大舞台には立ったことがありません。なので『初めて』です。
……わかってましたよね。説明はいらなかったでしょうか…。
タイトルは少し説明していくつもりです。
次に、伊吹十羽さんは病気持ち。という設定です。
余命一年。激しい運動などをしなければ、発作はあまり起こりません。
……デュエルって、激しい運動だけど大丈夫かな…(吹っ飛ばされたりとかリアルファイトとかリアルダメージとかバイク転倒とか)
筋肉の弱体化は徐々に、地味に進行して行きます。何ヶ月かすれば立てなくなるかも知れません。
でもデュエルはやります。テーブルでもなんでもやります。何故かって?カード達を愛し、彼女自身も決闘好きです。
しかし家族に止められるなら素直に止めます。確かにデュエルは好きですが、それ以上にカード達を、家族を心配させたくない、悲しませたくない気持ちが大きいです。
お兄さん、伊吹青斗さんは妹の事を誰よりも思っています。何があっても妹優先。妹が危険なことに飛び込もうとするなら無理にでも止めます。
しかし、妹の強い信念には弱いです。渋々引き下がることもあります。
しかし本当に危険な時はどんなに彼女に攻められても、気絶させてでも止めます。
そんだけ大事だということです。
私がキャラ設定で言いたいことはこのくらいですかね。
魔法、罠は一覧を見て、禁止カードを理解しながら進めていきます。もしこのカードは合わない。このカードは禁止カードです。というものがあれば、指摘をください。
しかし今回のミラフォと突進は許してくださいああしないと本当に何をすればいいのかわからない(白目)
では、次回も良ければ見ていってください。
基本この作品は不定期です。物語が固まり次第投稿します。
他の作品も今貯めていますので、共にお待ちください。