終わりのセラフ《絶対零度の吸血鬼》   作:neirua

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他のキャラももうすぐ出てきます! まだ柊暮人しかいないのは学年の都合です。
では1話どうぞ!


第1話 第一渋谷高校入学

第一渋谷高校の入学式ーーー

 

満開の桜の木が並ぶ道を私、クレハ=ヴォルガスは第一渋谷高校に向かって歩いていた。

 

《第一渋谷高校》

 

 

それは「帝の鬼」と呼ばれる、日本でも有数の宗教組織が管理運営している、呪術師養成学校だ。

 

日本中にいる帝の鬼の信者達の中でも選りすぐりの実力者だけが集められているエリート学校との事だが……。

 

不思議と何の組織にも属していない私にも入学試験の合格通知が届き、現在に至る。

 

 

今まで独学で呪術、体術などを学んできた私にとって、学校に通う、という事が初めての事だった。

 

だがこうして初の登校をしている今もあまり心は浮き足立たない。

これから送るであろう学校生活に思いを馳せることもない。

 

この学校でどれだけ多くを学べるか、どれだけ自分の力を磨けるか、ただそれだけだ。別に他人と馴れ合おうとは思わない。

今年は柊家の次期当主候補も入学するようだが……。

私はそいつにも勝てるだろうか?

 

そう考えながら歩いていると、周りの視線が私に集まっているのに気づいた。

さらに私を見てから数人が互いにヒソヒソと話している。

 

私が帝の鬼の人間じゃないからだろうか。いや、それもあるだろうが、ヒソヒソ話に耳を傾けるとどうやら別の理由のようだ。

 

「おい、あの髪と目……。」

「あいつ、柊でも三宮でも十条でもないよな……?」

「外国人か……?」

 

確かにこの辺外国人はあまりいないから、彼らからすればこの、ミルクティー色の髪と青い目は珍しいのかも知れない。

 

少し鬱陶しいので冷たい視線を送ると、彼らはそそくさと学校に入っていた。

 

私も続いて校門の前に立ち、校舎を見上げる。

とても立派な造りは流石エリート校というところか。

様々な設備が整っているというのでこの学校には期待している。私を更なる高みへ連れて行ってくれると。

 

さあ学校に入ろう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

キーンコーンカーンコーン

 

ここは一年一組の教室。

 

今は全員が着席し、初めてのホームルームが行われている。

 

私の席は教室の1番後ろだ。

 

教壇では担任らしき女性が、これから行われる入学式について話している。

 

ざっと見渡す限りでは、このクラスは40人程で男女は半々のようだ。

名簿によると名家の人間は柊家次期当主候補、柊暮人がいるらしい。

 

入学式の説明を終え、担任が話を続ける。

 

「さて、みなさんは今日からこの、第一渋谷高校の一員な訳ですが、日本でも最高峰である呪術学校の生徒としての誇りと、自信を持って、実りある学生生活を送れることを願っています。」

 

確信する。毎年新入生の担任は同じセリフを言ってるに違いない。

 

そして担任の目が私の隣の席に移る。

 

「そしてみなさんもうお気づきかと思いますが、あの暮人様がこのクラスにいらしています。その身に余る光栄を……」

 

当の本人はまるで王か神かというような扱いに表情一つ変えていない。いや、多少うんざりといった風だが。

 

しかし何故、柊様がこんな後ろの席にいるのだろうか。

 

「おい。」

 

「名前は何という?」

 

これは……暮人様が私に話しかけてきている?

 

「名簿で既にご存知では?」

 

素っ気なくながらも一応柊様なので敬語で返す。

 

「俺はお前に聞いている。二度同じ事を言わせるな。」

 

傲慢な態度なのはお偉い柊家だからか。

面倒なのでここは素直に答えておこう。

 

「クレハ。クレハ=ヴォルガスと申します。」

 

「そうか。」

 

そう言うと暮人様は前に向き直ってそれきり話しかけてこなかった。

一体何なんだ。

 

とそこで担任が言った。

 

「ではそろそろ入学式の時間です。みなさん、行きましょうか。」

 

それで生徒が皆立ち上がる。

 

「ちゃんと聞いてろよ。」

柊暮人様も立ち上がると私にそう言って外に出た。

本当に訳が分からない。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

講堂には、全校生徒が集められていた。

 

生徒の数は、全部で1100人。

一年生が600人。

 

上級生になるにつれて人数が減っている。

体術、呪術、両面において秀でていなければこの学校で生き残ることは出来ないようだ。

もっとも脱落する気はさらさら無いが。

 

校長の下らない挨拶がしばらく続いた後、

 

「長くなりましたが、私からの話は終わりです。では次は新入生代表からの挨拶にうつりましょう。あの柊家のご子息を、この学校に迎え入れることが出来たことを、光栄に思います。

それでは柊暮人様、ご挨拶お願い致します。」

 

そう言って校長が頭を下げる。

すると舞台の袖から、柊暮人が現れた。

 

そして壇上に上がると全校生徒を見据える。

その時にはざわめいていた講堂もしんと静まり返っていた。

 

「ご紹介感謝します。今日は新入生代表としてご挨拶させていただきます。よろしくお願いいたします。」

 

なるほど。「ちゃんと聞いてろよ」とはこの事か。

 

それから淀みなくスピーチが行われる。

話している内容は良くある入学の挨拶だが、不思議その言葉には既に学校のトップであるかのような威厳に溢れていた。

どうやら家の名ばかりではないようだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

入学式が終わり、教室に戻ると担任がまた教壇に立ってしきりに暮人様の挨拶を褒めちぎっていた。

 

それをよそに暮人様がまた話しかけてくる。

 

「ちゃんと聞いていたか?」

 

だから何故私に聞く。

 

「ええ、勿論です。とてもご立派でした。」

 

「……そうか。」

 

ほぼ感情を込めずにそう言うと少し悲しそうに呟いた。

いや、気のせいかな。こいつが悲しそうな顔とかするはずが無い。

 

 

 

その後、今後の学校でのカリキュラムについての話を聞かされ、それからいくつかの呪術的な試験が、入学したばかりだというのに行われ、帰る頃には夜の7時半になっていた。

 

 

家であるボロアパートの一室に帰り、誰もいない部屋の電気をつける。というかこのアパート自体に人がいないが。

部屋の隅の棚には色んな言語の呪術書などの教本がぎっしりと入っている。

 

今日は明日の用意でもしてすぐ寝よう。大したことはしていないのに妙に疲れてしまった。

 

明日からは本格的に修練の毎日になるだろうし、体は休めておこう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

入学してから数ヶ月、様々な授業で修練を積み重ねていった。組み手の訓練、術式の試験などは難なくこなし、家に帰れば木刀を降る。

そんなことを繰り返していると時間はあっという間に経った。

 

初めのうちは私に親しげに話しかけてくる者もいたが、素っ気なく返しているうちに誰も近寄らなくなっていた。

1人を除いては。

 

 

ある日、学校の校庭で全校演習が行われていた。

 

「おおおおおお!」

「うわ…………これで20人抜きだ……。」

「何だこいつ…………。」

 

周りで生徒がどよめいている。

そして私の前には今しがた 私が叩きのめした相手がうずくまって倒れている。

 

駄目だな。これでは全然相手にならない。

まあ、中には筋がいいのもいたけど。

手を抜いてもこれだからな。

 

そう思って一息つくと暮人様が近寄ってきた。

 

「手合わせ願おうか。どうせ他の奴らじゃ相手にならないんだろう?」

 

周囲がさらにどよめいた。試合していた者も動きを止めてこちらを見る。

柊暮人はこの学校で注目されていた。

さらには暮人様も私より数は行っていないが既に何人か始まt……片付けていた。

 

その柊暮人と私が対戦するのだ。当然目を惹かれるのだろう。

 

入学してからというもの、度々こいつは私に話しかけてくるが今回は好都合だ。

やっと本気でやりあえる。

 

「では、よろしくお願いいたします。」

 

そう答えて向かい合う。

 

呼吸を整える、そして呪詛を用いて体を強化する。相手も同じく体を強化していた。

 

まずは私から相手の懐に入る。強化した私の拳は正に神速と言っても過言ではないと自負している。

だが、今のところうまく捌かれている。それどころかその隙間隙間にあちらからも数発入ってきていた。

 

だが、それでも、私の方が一枚上手だ。

拳の合間に挟んだ私の回し蹴りが暮人様の脇腹を襲う。

 

これで決まった。

 

と思ったが急に大きく距離を取られて外れてしまった。

 

「どういうつもりです?」

 

「いや、俺の負けだよ。ただ君が俺を蹴り飛ばせば立場が悪くなるだろう?」

 

確かに何処の出かも知られていない私が柊家のご子息をボコボコにしたとあっては周囲の人間から冷ややかな目で見られる可能性がある。

 

いや、今のは本当に私の勝ちと言えるだろうか。

彼も相当セーブしているように感じる。

 

もっとも、何故彼がそんなことに気を使うのか分からないが。

まあ、いい演習になったしここで切り上げられてちょうど良かったのかも知れない。

 

 

一方先生は私達の試合を見て満足げだった。

 

「これはもうすぐ始まる選抜術式試験週間が楽しみですねぇ。」

 

 

 

選抜術式試験最終日、その期待は裏切られることになる。

 

 

 

 

選抜術式試験は各学年の全生徒同士の勝ち抜き戦になるため一週間もかかる。

一年生は決勝に私と柊暮人が進んだ。

担任の「自分のクラス以外には絶対負けるな」というご期待には添えたかもしれない。

しかしなんと、私の出場辞退での不戦敗、そして柊暮人の優勝というあっけない形で幕を閉じたのだ。

 

多くの人が楽しみにしていた決勝戦。何故こんなことになったのか、原因は完全に私にあった。

 

 

私は最近、新術の開発に取り組んでいた。

帝の鬼とイタリアの呪術の融合を試みたのだ。

決勝戦前日も部屋で実験を繰り返していた、が。

なんと突然暴発したのだ。私はそれを間近で食らってしまい、病院送りになっていた。当然翌日の試合など無理だ。

 

 

柊暮人は決勝戦当日の朝には既にそのことを知っていたようで、というより実は私の病院代を支払ってくれたらしい。

本当に何故何だろうか。

何故私にちょっかいをかけてくるのだろう。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

それから時間は足早に過ぎていく。

学生生活は中中に忙しい。

あれから様々なことがありながらも学年があがり、二年生となってからまた数ヶ月の時が流れた。

 

相変わらず柊暮人がよく分からない距離感で近づいてくるがそれ以外代わり映えのない日常。

 

 

 

それに些細な、大きい変化が訪れようとしていた。

 

 




時間飛びます!
が、飛んでいる間の内容も出てきます。
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