やはり俺に彼女が出来るまでの道のりはまちがっている。   作:mochipurin

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寝つきが良くなった途端これだよ、草プリンです。
二時にやっと眠気が来てたやつが、十二時の今、なんと眠気と戦ってるんですよ。すごくない?進化してるようで執筆速度は退化してるんだよ?すごくない?(すごくない)

やっとこさ10話です。どうぞ!


10. そして彼は夏休みを満喫しようとしている

もう七月も終わり、セミの輩どもがコンサートを開いている八月の今日、本来ならクーラーの効いた部屋でダラーっと過ごす予定だった。だがしかし、今日の俺は、

 

 

 

何をどうしくじったのか、山にいた。

 

 

掻い摘んで話すと、騙されて誘拐されました。しかも先生に。体罰とかいうレベルじゃないでしょこれ。軽く犯罪だよ。おい女子、教師と教え子ってフレーズ聞いてときめくのはいいが、気を付けろよな。それ、誘拐したされたの関係にも使える言葉なんだぞ。思っているより世界は醜くて、歪んでるんやで。

まあ、強制労働させようとした平塚先生が全面的に悪いとしても、スマホ越しとはいえ、目上の人間に対して無視を決め込んでしまった俺も悪いからな。今回は、罪滅ぼしという名の強制労働を強いられてやろうじゃないの。......ふむ、俺ってだいぶ社畜精神が強化されてない?主に的前に関わり始めてから。まさか的前は平塚先生の刺客だったりして。まさかね、はは......

 

とにかく千葉村についた俺たち、平塚先生、雪ノ下、由比ヶ浜、的前。それに、どこから情報を嗅ぎつけていたのかは知らないが、俺が出かける時点でちゃっかり準備までしていた小町。最初見たとき、あまりの暑さで蜃気楼と願望がコラボして、俺に幻覚でも見せているのかと疑ったまであった、戸塚(ここ重要)

以上七名は、千葉村の駐車場に停めたワゴンカーから降り立つ。

「あー空気がうめえな。人がゴミのようにいないからか」

「今お兄ちゃんのせいで全く美味しくなくなったよ......でも、今日は真夏日になるて天気予報で言ってたのに、全然涼しいね。風が心地いいよ」

「ああ、その通りだ。実際、風通しの問題もあるんだろうが、やはりビルなどの人工物がほとんど見受けられないことからくる精神的なものが大きいな」

「思い込みの差、っていうやつですね」

わかる。中学生男子が、あれ?こいつ俺のこと好きなんじゃね?と思った途端、その女子の行動の根っこに、自分が関係してるって思い込むやつだよな。とてもわかる。ソースは俺。

あと先生、そこでタバコをふかすのいいけど、それで空気は本当に美味しいのん?

「しかし、さすが見渡す限りの山岳地帯って感じね。緑と宿泊関連施設しか見えないわ」

「ほんとだね、こんなところでキャンプできるなんて最高だよー。ねね、ゆきのん。ここ、川もあるらしいから後で泳ぎにいこーよー」

......ん?

「ちょっとまて由比ヶ浜、今キャンプって言ったよな?林間学校じゃなくて?」

「え?私は平塚先生には、キャンプだって伝えられたんだけど」

「私もよ」と、雪ノ下。

「私も私もー」と、的前。

「小町もー」と、小町。あーもう!ぴょんぴょん跳ねながら返事すんな!可愛い!天使か!!

「僕はキャンプじゃなくって合宿って聞いたけど、まあ同じもこなんじゃないかな」と、マイエンジェル戸塚。

「まじか......」

これってなに、新手の詐欺なの?下げて持ち上げる作戦なの?うわー絶対引っかかる人いねえわ。俺引っかかってるやん......

「比企谷の言ってたことであってる。といってもそこまでハードスケジュールなわけでもないし、結果次第では内申点をプラスで与えてやってもいい。まだいろいろと伝えられてない部分もあるが、とりあえず詳しいことは全員集合してから話そう」

俺に伝えたのが真実かよ!下げて上げて、結局落とすのかよ!最低だよこの人!

「つまり私たちの他にもまだ参加者が?」

「ああ、とあそこにいるな。おい!こっちだ!」

うえぇ......これ以上人増えるのかよ。初対面の人間とコミュニケーションなんてとれないよぉ〜八幡もうやだ帰る......いや、待てよ、人数増えたらその分楽できるか。よし、許す。

「や、ヒキタニくん」

「葉山か」

知り合いなんかーい!わーはっはっはは!!

 

結局、平塚先生のワンボックスカーに乗ってきた俺たち七名と、葉山、三浦、海老名、べーわーの戸部、と......誰だこいつ。

「彼女は一年でサッカー部のマネージャーをしてくれている、一色いろはっていうんだ」

「いや、心を読むなよ」

スペック高いやつって読心術マスターしてる確率高くない?っべーわー。

「ご紹介にあずかりました、一年生でサッカー部マネージャーやらせてもらってる一色いろはって言います。よろしくお願いしますね、先輩っ」

うっわぁーなんていうか、今まで見てきた女子高生の中で一番JKJKしてるわ、こいつ......なにが言いたいかというと、

「あざとい」

うっわぁー間違えて声に出しちゃった......

「あ、あはは、あざといってなにを言ってるんですかねぇ......後輩とはいえ、初対面の人間にその言い方はどうかとー......」

「っべーわー、ヒキタニくん。後輩とはいえ初対面のいろはすにそんな言い方できるとか、まじっべーわー」

「お、おう、そうだな。悪い、忘れてくれ」

っべーわー、さっきこの女子が言ったことほぼほぼトレースして発言してるよ、頭がまじっべーわー。てかいろはすってなんやねん。何味?美味しいの?

「ま、まあともかく、林間学校の間はよろしくお願いします」

聞きました奥さん!林間学校の間"は"ですって!学校では関わるなって暗に釘さしてきてますわ!なるほど、

「こっちこそ。ここでは、よろしくな」

だったら徹底抗戦だぜ!

 

 

「まったく、弓道部に体験入部したから多少は変化した部分があると思っていたが、あのバカはいつになったら皮肉なしで会話できるんだか」

「......なんだかすいません」

「いや、的前を責めているわけではない。そういう意味ではないんだがな。気に障ったならすまん。それに、変化がないと言ったわけではないからな。なにせ−」

「そーですよ、お兄ちゃんの捻くれようは高校から始まったことではないんですし、それに−」

「......?」

「「あの比企谷(お兄ちゃん)が休日に異性の電話にでるなんて、異常事態だからな(ですもん)」」

「え、え、それって......」

「いやー、今も鈍感なのには変わりないですけど、あのお兄ちゃんでも無意識のうちに行動が変わっちゃうもんなんですねー」

「まったくの同意見だ。......ふむ、比企谷といい、君といい、私は結構話が合うようだ。どうだ?妹からみた、比企谷の見解について聞きたいのだが」

「いいですねー、私も一番お兄ちゃんの内面を本当の意味で見れてる人の中では、平塚先生が一番近いとと思ってましたから」

「よし、決まりだな。長めの休憩時間が取れ次第じっくり話し合おうじゃないか」

「了解しましたー!あれぇ?優香さん、どうしたんですか?顔を真っ赤にさせて」

ニヤニヤ

「そうだぞ、あの比企谷の心を動かしたんだ、もっと誇りたまえ」

悔しさを滲ませながらもニヤニヤ

「もう!小町ちゃんと先生のいじわる!!」

 

✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

 

 

「う、るせぇ.....」

集合場所についた俺たちが目にしたのは、小学生百名という名の、騒音の発生源でしたまる。

ねえ小学生うるさすぎない?アブラゼミの大合唱を相殺してるよ?

「うわぁ......」

ほらぁ、あの由比ヶ浜ですらちょっと引いてるんだよ?もう無理だよこれ。ね?かえろ?

あと先生は静かになるように努力を......いやまてよ、あの、時計をしきりに確認すると同時に、威圧的な空気を漂わせているあれは......!

子供達も、小学生特有の洞察力で違和感に気づいたのか、次第に静かになっていき、シーン......完全に静かになったところで、先ほどの教師が口を開いた。

「はい、君たちが静かになるまで五分かかりました」

で、でたでぇ......もう二度耳にすることのない言葉だと思ってたのに、まさかこんなところで巡り会えるだなんて、ありがたやありがたや......

どうやら、テンプレにテンプレを乗っけたようなあの言葉は、夏休みで浮かれきった子供たちを引き締めるために、説教を始める口実のようなものだったらしい。

そこからは全体のスケジュール、諸注意、この次にやるらしいオリエンテーションの説明と、順調に進行していき、

「はい、それでは今回、みんなのお手伝い役として来てくれた、お兄ちゃんとお姉ちゃんに、よろしくお願いしますのあいさつをしよっか。せーの」

「「「よろしくお願いします!」」」

懐かしいなー、この間延びしたこの感じ。もうこの喋り方をしてたのも、五年以上前の話なのか......歳とったな俺。

誰がとは言わないが、子供達にトラウマを植え付けかねない行動を起こしそうな人物いるから、口に出すのは自重。

「ふぅ、もう少しで......」

「ん?どうした的前、トイレならもう少し我慢を」

「ち、違うよ!平塚先生に代表のあいさつ任されてるから緊張してるだけ!まったく、八幡くんにはデリカシーのデの字もないんだから」

「代表のあいさつ?なんでまた、的前が」

「部長だから適任だろう、って言ってたよ」

「部長っていう理由なら、むしろ葉山の方が適任じゃねえの?あいつ、どうせサッカー部キャプテンだろ」

「あー葉山くんはまだ正式にキャプテンじゃないみたいなんだよね。総体でけっこういいとこまでいったらしくて、つい最近終わったから、受け継ぎはまだなんだって」

「あ、そなの」

「県内ベスト8だったらしいよ、すごいねー......あ、呼ばれてる。んじゃ行ってくるね」

「噛んで恥かかないようにな」

「もうちょっと気の利いた言葉はないのかな......ん、でもありがと」

「おう」

トタタとスタンドマイクに走っていく的前。思えばあの女子特有の小さい身体で部長やってんだよな。すごいもんだわ。

「えーっと、これから三日間、みんなのお手伝いをすることになります。わからないことや困ったことがあったらなんでも聞いてね。楽しい思い出になるよう、こちらも一生懸命サポートするので、一緒に頑張ろー!」

大きな拍手が辺りに響く。小学生の男子なんて、顔を真っ赤にしてボーッとしてる、ありゃ惚れたな。教師陣の拍手もすごいものだ。

ほんと、さすがとしか言いようがないな。小学生目線になって話せてるし、体の身振り手振りで意識を逸らさせない。部長になったのも、弓道が上手いとかだけじゃないんだな。そんなハイスペックなやつが最近は、俺に付きっ切りで弓道を教えてくれてるっていうんだから実に勿体無い限りである。俺じゃなけりゃ惚れるな。最近は俺も結構危ういが。

「的前さん、すごいわね」

「まったくだ。てか雪ノ下も平塚先生から代表の話こなかったのか?そういうのはてっきり、葉山か雪ノ下が適任だと思ってたんだが」

「確かにやらないかとは言われたのだけど、断ったわ。人を見下すのは大丈夫だけれど、人と面を合わせて喋るのは得意じゃないのよ」

「ああ、そうですかい」

こいつを部長にしたのはどう考えてもミスでしょ。てか思い返せば、的前の依頼を俺一人ですることになったのもこいつのせいじゃねえかよ。俺の人生に変化及ぼしまくってんじゃん。

「あー緊張したぁ......」

と、過去に対して愚痴っていると、気だるそうに的前が帰ってきた。

「お疲れ様。とてもいいスピーチだったわ」

「それに緊張っつても見た限り全然大丈夫だったぞ。むしろすごかった」

「えへへ。あ、ありがと」

「これは............」

「ん?どうした雪ノ下」

「......いえ、なんでもないわ。由比ヶ浜さん、ちょっとこっちへ」

「え、あ、ちょ!ゆきのんどうしたの!引っ張らないでもついてくから!」

「なんだあいつら......」

「さあ?」

というかまだ教師陣の話終わってねえよ、最後まで聞いてけ。

 

「はい!ではオリエンテーリング、スタート!!」

そして教師のかけ声で、俺たちの奉仕活動が幕を開けた。

 




三日間ぶりの投稿ですっけ?にも関わらず分量は1000文字増えた程度です。HAHAHA!!許してやってつかぁさい。

ではまた次回お会いしましょう!

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