やはり俺に彼女が出来るまでの道のりはまちがっている。   作:mochipurin

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テスト「きちゃった(はぁと)」
作者「帰れ」
そういうことなんです。より一層執筆遅れます。
赤点60点てアホやない?ねえ、アホなんでしょ?

そんな心境の中で書いた12話です。どうぞ


12. 彼は彼女の優しさを理解し、彼女は彼の優しさに...

林間学校一日目は、特段何事もなく終了した。

 

強いて言うなら、昼食で配った梨の皮剥きができない由比ヶ浜に驚き、夕食のカレーですらまともに作れない由比ヶ浜に驚いたことぐらいだろうか。

親が調理しているのを見ているだけで出来るようになるほど、料理は甘いものじゃないわ。クッキーの件で学習したのではないの?(CV:雪ノ下)

まじ由比ヶ浜かわいそす。

まあそんなどうでもいいことは置いとくとして、気になったことといえば、オリエンテーリングで出会った一つグループにて、周りからは弾き出されている女子小学生を見たことだろうか。

何より頭を抱えた問題は、それを感じ取った葉山の行動である。その女子の状態を、まだグループに馴染んでないだけと判断したようでようで、半ば強引に引き戻してしまったのである。

俺同様、雪ノ下もそういった心あたりがあるようで、その時ばかりは共に天を仰いだ。青々と茂った葉っぱが見えましたまる。

ま、まあ誰にだって失敗はあるからしょうがない。だが、当人から望まれてもいないことをしたにも関わらず、三浦から、きゃー!隼人かっこいい!!て感じの視線を送られているのだからムカつく。許さん。イケメン死すべし。

あと途中から的前の顔色が優れてなかったけど調子でも悪いのかしらん。もし帰るのなら、是非とも同行させてください。

とまあ夕食後は温泉入ったりした後、俺、戸塚、葉山、戸部(元凶)で好きな人の話をしたりした。感想、発案者の戸部はとりあえず黙って瞑想でもしてろ。あの葉山ですらうんざりしてたじゃねえか、空気読めねえのかお前。そもそも修学旅行どころかボランティアで来てるんだから、青春謳歌してるぜテンションはちょっと抑えようぜ。

そして現在時刻は二十三時ぐらい。小学生も床に就き、俺たちもまたバンガローで明日に備えて横になっているわけだが、

「んん......」

「.........」

戸塚の寝息色っぽすぎぃ!

やばいよやばいよなにこれやばい。

男相手でも変な気持ちになっちゃう戸塚の性別は戸塚だろなに言ってんだいい加減にしろ俺落ち着け。

「......外でも歩いてくるか」

三人を起こさないよう、俺は夜の散歩に出かけた。戸塚の寝息が収まってくれることを願いながら。

 

✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

 

..................パァン......

「ヒェ......」

今日は厄日だわ!!

もうなに嫌だ、なんで外でもこうなっちゃうの?

天国すぎる地獄と謎の音に見舞われる地獄とか、どう考えても前者一択だろ帰ろう。......っておいやめろマイレッグ!好奇心に負けて歩みを再開するな!

.........パァン...

あーもうほら目の前森やん、一面闇に包まれた森やん。一足踏み入れたら最後、な雰囲気めっちゃ醸し出してるやん。

まるで、作者が物語を展開させるいいネタが思いつかなかった結果、超ご都合主義な動きをする羽目になったキャラを演じなくていいからマイレッグ様......

...パァン!............

「............ん?」

なんだろう、最近やけに聞いた気がするぞ、この音。確か......ああ、これって

そうしているうちに開けた場所に出た。

ここは......川のほとりだろうか。

一切の雑音がない森に、微かに流れる川のせせらぎの音。思わず目を瞑って聴き入ってしまいそうな場所に佇む、いや弓構えをする、的前の姿があった。

「おぉ............」

あまりにも絵になりすぎて、思わず見惚れてしまった。

そして的前の手元にあるのは一つのゴム弓。なるほど音の発生源はあれか。どうりで聞いたことがあるわけだ。てかそれ昨日使ってたやん俺。それでも思い出せないって記憶力皆無か。

「......帰るか」

それにここで話しかけたとしても、的前がいつもの制服姿や、昼間のジャージ姿とも違って私服だから恥ずかしいし可愛いからキョドりそうで嫌だし可愛い。

まあ折角落ち着ける場所で練習しているのだ、そこに水を差すというのは無粋ってものだろう。ここは大人しく退散だ。

くるりと華麗にターンを決め、

パキン

はーい出ましたー。まるで作者が物語をてんか(ry−−−−−−−−する羽目になったキャラがやりそうなことその2ー。

「だ、誰かいるの......?」

ほらねー気づかれちゃったじゃーん

「よ、よう」

さすがにこの状況で逃げるわけにもいかないので、観念して月明かりで照らされた地面に出る。うわぁ、まるで悪役の登場シーンみたいだー。

「あ、は、八幡くんか......良かったー、熊かイノシシでも出たのかと思ったよー」

「洒落にならんだろそれ」

次の日の朝、遺体で発見されて警察沙汰とか嫌だぞ俺。

「しかし、林間学校のボランティア中ですら弓道の練習とか流石、としか言いようがないわ」

「えへへ、一日でも練習抜いちゃうとなんか不安で」

はにかむのやめろぉ!ただでさえ私服姿にドギマギしてるのに!!

「しかし、よくゴム弓なんて持ってきてたな、準備よすぎだろ」

「あ、比企谷くんの分も持ってきてるけど、どうする?一緒にする?」

「さすがに準備よすぎだろお前......やります」

「りょーかい!ちょっと待っててね」

腰に巻いたやや大きめのポーチバックから、今ではもう見慣れたゴム弓を取りだし俺に手渡してくれる。

「さんきゅ、それと悪いな集中してるとこ邪魔しちゃって」

「大丈夫大丈夫。私も一回休憩挟んどこっかなー、って考えてるところだったから」

「あ、じゃあちょっと休憩がてら待っててくれ。飲み物持ってくるから」

「わ、悪いよ、せめて一緒に」

「それじゃ的前の休憩にならねえだろ。バンガロー自体すぐそこなんだから大丈夫だって」

「な、なんだか今日の八幡くん優しい?」

「バッカお前、俺はいつも優しいだろうが」

小町に対して。

「う、うーん?ま、まあそこまで言ってくれるのならお願いしようかな」

「ああ、すぐ戻ってくる」

今度こそ華麗にターンを決めてバンガローへ走る。

 

 

だって今日の的前なんだか思い詰めてる感じだったし、優しくしてしまうのはどうしようもないだろーが。

 

✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

 

「あの感じだと私が調子悪いのバレてるなー......」

同性にすら気づかれない程度に、うまく隠せてたのに......

「ほんと八幡くんの優しさにはいつの助けられてばっかりだ、私」

今もどうぜ私のことなんかを心配して、走ってまで飲み物を取りに行ってくれてるんだ。

「............あー」

動機が激しい。心なしか顔まで熱い気がする。

「好き......なんだろうなぁ......」

どうしたらいいんだろう......私......

 

✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

 

「おーい的前、飲み物とってきたぞ。ほい、これ」

的前に缶ジュースを放る。俺の手にはもちろんマッ缶。

「ありがとー、あ、コーラ......」

「ん?......あ、悪い。炭酸無理なタイプか?」

「うん、ちょっと苦手で......」

「や、事前に確認しなかった俺も悪い。......あーじゃあこっちならいけるか?ほれ」

「え、わっとと......マックスコーヒー?」

「そう、千葉県民のソウルドリンク」

「千葉県民だけど知らないよ......ってこれいいの?八幡くんのじゃ......しかもソウルドリンク?っていうくらいだし相当好きなんじゃ」

「おかわり用でもう一本持ってきてるから大丈夫」

コーラは明日戸部にでもくれてやろう。めちゃくちゃ振りまくってから。

「二本飲むつもりだったんだ......なんだかごめんねわがままいった形になっちゃって」

「わがまま言われるのは小町で慣れてるから大丈夫だ」

「それフォローになってないよ......まあいいけど、じゃいただきます」

「お召し上がれ」

手慣れた手つきで、一足先にマッ缶を煽る。あー驚異的な甘さが疲れた身体に染み渡るわー。

「どうだ的前、くせになる甘さだろ。......的前?」

俯いたまま顔を上げない的前。

「............る」

「え?」

ごめん、難聴系主人公のつもりはないけど聞こえない。

「美味しすぎる......」

「.........へ?」

今こいつなんつった?まさか美味いていったの?うっそだろ、初めて飲んだやつは大抵、甘すぎるっ!!と、殺人的甘さ故に語彙力皆無の回答を弾き出すってのに......

あれ、何気に人生初じゃない?初めてマッ缶飲んだ人の中で、美味しいって言うやつに出会うの。

「わわ、ほんとに美味しいよ......これ千葉県民のソウルドリンクじゃなくて、日本国民のソウルドリンクでもいいくらいには」

ああ......ああ......

「.結婚しよう」

「ぶふっ!」

「あ、悪い。つい感激のあまり」

「も、もう!コーヒー吹いちゃったじゃない!感激のあまりってなんなの............いきなりそんなこと言われると心の準備が...........ゴニョゴニョ.........」

「え、ごめん。難聴系主人公のつもりでは決してないんだが、何言ってるかわからん」

そもそも主人公どころか、そこらのモブですらある。

「聞かなくていい!ほら、休憩終わり!!練習練習!!」

「え、ちょ、気になるんだけど」

「はちまんくん?」

「アッハイ」

ごっつい怖い。あと怖い。

 

✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

 

......パァン!............パァン!

「............」

「............」

......パァン!......パァン!

「............」

「............」

 

ただゴムが放たれる音だけが森を支配する。

いつからだろう、この音が心地よく聞こえるようになったのは。

始めた当初なんてゴムが空気を裂く時に鳴るただの音、なんて思ってたのに。

「ありゃ、もう十二時になっちゃってる。八幡くんちょっと休憩でもしてから切り上げる?」

この変化は目の前の少女が生み出したものなのだろうか。

「ああ、そうだな」

ならば彼女の変化にも、

「なあ的前」

「うん?」

「悩み事があるなら話せ」

彼女の変化にも俺が関わりたいと思ってしまう。しかし、

「......あ、あはは、悩み事は早気だって言ってるじゃん。それだけだよ」

彼女はそれを拒絶する。優しいから。なにか得体のしれないものを心の奥底に溜め込んだまま、変わらず他人に優しく接する。

「今日の早気は特に酷かった。いつもの笑顔にも影がかかってたし、お前らしくもないミスもたくさんあった。それもこれも今日の昼ごろからだ。なにがあっった言ってくれないか?」

「......大丈夫。依頼の件ですら解決できてないのに、これ以上迷惑はかけられないから......。それに、ただの友達の八幡くんには関係な−」

「関係ならある」

「え、それってどういう......」

あ、やっべ、なに勢いに任せて口走ってんの俺。

「や、そのあれだ。そう!依頼主と請負人の関係!的前のコンディションがあれだと治る早気も治らないからな。うむうむ」

あっぶねね、もう少しのところで「俺の、好きな女だから」とか史上最悪レベルの黒歴史発言をしてフラれるところだった。フラれるのか、泣きそう......

「ぷ......ぷぷっ、あはは!もーならしょうがないなー」

「ああ、しょうがない」

「ふふっ、じゃあ八幡くん。私の悩み、聞いてくれますか?」

「ああ、もちろんだ」

依頼という名の後ろ盾を使わずに、彼女の悩みを聞けるようになるにはまだまだ、時間がかかりそうである。

 

恥ずかしさのせいで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




時が過ぎるというのは早いものですね。一月は行く、二月は逃げる、三月は去るという程ですし、最近は時間の流れがやけに早く感じます。さっさとその感覚から脱しないと、気づいたらテストの真っ最中、気づいたらテスト返却で絶望、何てことになりそうで怖いです。じゃあこんなの書かずに勉強しろって話ですよね。してきます。

ではまた次回。満面の笑みで新規投稿ボタンをタップできると信じて。

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