やはり俺に彼女が出来るまでの道のりはまちがっている。   作:mochipurin

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 いやー、お待たせ、非常にお待たせいたしまたすいません。新生活やら一気に都会デビューだかで、完全に更新ストップしてました。
 いろいろ設定等々朧げになってるところあって変な点あるかもですがよければどうぞ!


19. かくして彼は彼女を見守り始める

「優香のことを、頼んだよ」

 

 的前の父である的前茂光に、そう依頼をされて、三ヶ月が経った。

 楽しくも忙しい夏休みはとうの昔に終わり、それどころか、もう少しすればニ学期末テストがニヒルな笑みを浮かべ、俺をテスト勉強の沼へ引きずり込むだろう。やめてください。

 

 さて、結論から言うと、この三ヶ月間は平和そのものだった。

 

 例の依頼を受けてからというものの、的前を影から見守ってきたが、これといった不審者はまったくなし。的前の様子もさしたる変化なし。むしろ最近は俺が不審者なのではと疑問を抱くまである。

 

「はい、じゃあ今日の授業はここまでだ。テスト勉強、ちゃんとしろよー」

 

 授業の終わりと、放課後の突入を告げるチャイムが鳴り、物理の先生が教室を足早に去っていく。生徒の方も、テスト期間で部活がない為、残ってテスト勉強をする者を除く大半の生徒は、早々に帰宅の準備を始めている。

 んじゃま、俺も家に帰って、今日の授業でも軽くおさらいしときますか。鞄を持ち上げ席を立つ。

 授業を聞いてもリアルタイムで理解できない物理は、元から教科書すら開いてない為、帰る準備は既に万端である。これには三十秒で支度しなおばちゃんも、さぞ驚くことだろう。はっはっは、なにが帰ってから軽くおさらいだよ、重いよ、ガチ勉強だよ、赤点取りたくないよいい加減にしろ。

 まあ、理系科目は毎回こうだから、どうしようもできないね。しょうがないね。帰ろうね。

 

「んーっと、あれ?」

 

 一緒に帰ろうと思い、的前の席を見ると空席だった。はて、授業が終わった直後に姿を忽然と消すとは、いつの間に瞬間移動出来るようになったんだろうか。

 あ、勘違いしないでよね! 的前と一緒に帰りたいとかじゃなくて、ちゃんと的前父の依頼を遂行してるだけなんだからね!

 

「八幡くん!」

 

「んえぇ?!」

 

 お、おおう、まさか俺の目の前に瞬間移動していたとは。是非ともご教授願いたい。

 

「サイゼリア一回奢るからそれでどうだ?」

 

「わけのわからないこと言って話を逸らそうとしても無駄!」

 

「い、いや、そんな凄い剣幕で迫られてもマジでなんの意味か……」

 

 もしかしてあれか、あまりの暇さに、的前を数秒眺めてたのがダメだったのか。嘘だろ。すぐ視線外したぞなぜバレた。

 

「ほーら心当たりありそうな顔してる!」

 

「ぐぬぬ、悪かったよ。もう見ないから。不快な思いさせてすまんかったな」

 

「は?! 逆でしょ! もっとちゃんと見て!」

 

「はぁ?!」

 

 え、なに、的前いつの間に俺のことLOVEだったの? 数秒程度じゃだめってこと? 眼球飛び出すぐらいガン見しなきゃだめってこと?

 

「いや、ま、的前、そういうのはせめて周りに人がいないところで……」

 

「そんなのはいいの!」

 

 自分の性癖を暴露してでも俺に見て欲しいのか。なんて大胆な……。

 

「よし、わかった。次からはちゃんと努力する。でも、流石に、いきなり十分とかは厳しいから、まずは数分からってことで頼む」

 

「なにバカなこと言ってんの! 授業中はずっと見る!」

 

「ずっと?!」

 

 それは俺に授業を放棄しろということなのだろうか。しかし一体的前はなぜそこまでして俺にーー

 

「だから、ちゃんと、黒板の板書も取って、授業は最後まで聞く! 分かった?!」

 

「ああ、いまいち意図が汲み取れないが、わか……授業?」

 

「……? そうだけど、どうかした?」

 

 あ、ああ、ああああ?!

 

「いいいいや、いや、なんでもないんだ。忘れてくれ。忘れてくれないと死ぬかもしれん。いやもう既に死にたい」

 

 自分の恥ずかしい勘違いを認識すると同時に、急速に身体が熱くなっていくのがわかる。そうだよな。そうに決まってるよな。当たり前だよなぁ?!

 

「ええ? ちょ、ちょっと、どうしたの? 大丈夫?」

 

「いや、ほんとに、なんでもないんだ。わかった。ちゃんと授業は聞く。聞くからまずは家に帰ろう」

 

「う、ううん? あ、ちょっと待ってよ!」

 

 バッと鞄を持ち上げ、的前を置いて早足に教室を出る。

 あかんあかんなんて勘違いしてんだ俺。自意識過剰にもほどがあるだろぶっ飛ばすぞ。

 やっべー、マジやっべー。今の俺絶対顔真っ赤だわやっべー。

 

「ちょ、ちょっとー? 八幡くーん?」

 

 後ろから駆け足でついて来る的前に、顔だけは見られないようにしつつ歩く。

 

「あー、ちょっとな。突然モンハ○がしたくなって来てな。さっさと帰らないと」

 

「今テスト期間だよ?!」

 

 背後から的前の勢いの良いツッコミが帰ってくる。いつもなら歩調を緩めてのんびり帰ってるところだがそうはいかん。俺は帰るぞ! 俺、正門を抜けたところで猛ダッシュ!

 

「ちょ! なんで急に追っかけっこみたいなってるの?! 八幡くん早いって!」

 

 堪らず的前もダッシュ!

 

 なんだこれ、変態二人組だろ完全に。

 

「はっはっは! 捕まえられるものなら捕まえてみなさい!」

 

「いや、もうほんと意味わかんないからね?!」

 

 意図せぬまま、猛ダッシュで帰路につく俺たち。

 あの勘違いは完全に黒歴史に残るだろうが、この鬼ごっこまがいのこれは、良い思い出になるんだろうな。……いやならねえか。

 

 

 

 

 

 

 そういえば、的前はなんで俺が授業を完全に放棄していたのを、知っていたのだろうか。的前の席は俺より前だから、振り返らないと見えないはずなんだが。

 

 そんな疑問を抱いた頃には我が家の玄関前におり、ドン引きした小町に迎えられるのだった。

 

 年の終わりも近い。

 




 とりあえず当たり障りのない感じのをー、って感じで書きました。いやもうブランクが凄い……どんなテンションで文章書いてたんだっけ。とまあ、次回の更新から展開していくと思います。ではではー

追記
いや、冷静考えたらいろいろイベント飛ばしすぎでは……?クリスマスパーティー絡みの書こうとしたらいろはが生徒会長になる下り書いてなくてやばいやばい。ちょっとその辺りの下り書くかもしれないです

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