やはり俺に彼女が出来るまでの道のりはまちがっている。 作:mochipurin
昨日の今日でUAが2000越えてて、なんでこの計画性0のSSなんかが......などと放心してました。
読んでくださった皆さんありがとうございました!
それでは第2話です。どうぞ!!
「ふぁ〜」
「あ、お兄ちゃんおはよー。朝ごはん出来てるよーって、うわ......どしたのそのクマ。いつも酷い顔がより醜悪になってるよ?」
「まあなんだ、ちょっと徹夜で勉強をな......てか小町、流石に醜悪は言い過ぎだ。せめて目が死んでるとい言え、目が死んでると」
「いや、どっちもどっちなんじゃ......ん? お兄ちゃんの高校って最近テスト終わったんじゃなかったっけ?」
「あーそういう類の勉強じゃねんだわ。ちょっと色々あってな」
「......! ほぅほぅ......色々と言いますと?」
「いや、別段小町が気にするようなことではないんだが......」
「いいから! 家族、特に妹には、ほう! れん! そう! だよ?」
いつから俺の安楽の地は会社になったんだよ。やだよ、だったら八幡どこでも働いてるじゃん......
「まあ聞かれて困ることでもないからいいんだがな、まあかいつまんで話すとーー」
それから俺は、弓道部部長の的前に依頼され、早気という弓道独特の症状を克服させるために、あえて素人視点からアドバイスをすることになったやら、それでもやっぱり知識があるに越したことはないと考え、徹夜をして勉強していたことなど、要点だけ伝えた。んー思い返せばタダ働きなのに、徹夜してまで勉強とか社畜精神パンパじゃねえな俺。
「へぇー総体が終わってすぐだって言うのにもうそんなに全開で練習してるんだーすっごいね」
総体......ああ、そういえば世間ではそんなものもあったんだな、すっかり忘れてた。あれ、じゃあ的前って出来立てホヤホヤの部長さんなのか。
「で? その部長さんとは?」
「とは、ってなんだよ」
「だーかーらー未来のお嫁さん候補的には、その部長さんはお兄ちゃんから見てどうなのかなーって」
「ぶふぉっ!」
お茶吹いた......。
「あ、あのなぁ小町よ。俺が高校に入ってから、これまでないほど女子と関わりを持つようになったからとはいっても、お嫁さん候補とか言うんじゃないぞ。せいぜい友達止まりだ。それに好きでもないやつ、ましてや俺みたいな奴のお嫁さん候補とか誰でも嫌がるだろ?」
「......お兄ちゃんそれ本気で言ってるの......?」
「あ?本気も何も事実だろ?」
「はぁ......こんな鈍感野郎を好きになっちゃうなんて、皆さん苦労するだろうなぁ......妹の小町ですら同情するぐらいだよ......」
あっれっれー?おっかしいぞー?天使であるはずの小町たんから、やけにドスの効いた声が聞こえたきがするぞー? かの少年探偵もおもらしするレベルで。
「ま、いいや。適当に頑張ってね。相手方に失礼のないように」
「お、おう」
最近小町がやけに大人びて見える今日この頃。
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「ふぃー」
机に突っ伏し、目を閉じる。
今日はあの人の授業もないし、放課後までひたすら寝てやるぜ。お昼ごはん?知らない子ですねぇ......
「あ、比企谷くーん」
あ、そういや昨日は奉仕部に戻るの面倒で由比ヶ浜にメールだけいれて帰っちゃったんだった。一度あっちの方にも顔出さないといかんよな......でも行ったらいったで絶対雪ノ下からお小言もらうだろうし、うーん......。
「......おーい。比企谷くーん。ねー聞こえてないのー?」
......いっそバックれてやろうかしらん
「ねーってばっ!!」
「おごっ!」
後頭部に謎の衝撃!
なに! 敵襲か?! よっーし野郎ども! 白旗を上げろ!!
負けちゃったよ......
「ってなー由比ヶ浜起こすならもうちょっと優しくできな......どちら様?」
教室で自ら絡んでくるのは由比ヶ浜しか考えてなかったのだが......誰だこの女子、どこかで見たような......
「ちょ! 私! 私だよ! 昨日一緒に居たでしょ?!」
え、なにそれ。新手の詐欺なの?
「んもーヒッキー流石に昨日の今日で顔忘れるとか酷すぎるよ......優香ちゃん、依頼人の子!」
おや、今度は本物の由比ヶ浜さんのご登場ですか。
「あ、あー覚えてた。覚えてましたとも。そもそも俺が一度あった人の名前を忘れるわけないだろ?」
川なんとかさん? 知らない人ですねぇ......
「じゃあ、私の苗字は?」
「......まと......がみ......」
「やっぱり覚えてないじゃない! ま・と・ま・え! 的前優香!」
「わ、わりぃ......弓道着姿じゃないからつい......」
「いやいやヒッキー、弓道着姿もなにもクラスメイトでしょ?」
「..................あぁ......」
「ひ、ヒッキーまさか......」
「いや、違う。断じて違うぞ。的前がクラスメイトなぐらい知ってるから」
「そーだよー由比ヶ浜さん。私は隣のクラスだもーん」
おお? だよな。俺は間違っていなかった。うん。ってか由比ヶ浜どうしたんだ? 他のとこのクラスメイトならともかく、自分とこのクラスメイトを忘れるだなんて......熱でもあるのか?
「そうそう、的前はやっぱり隣のクラスだよな。うん。俺は知ってたz「この教室のクラスメイトよ! 比企谷くんのばか!」ぐふっ!」
こいつ......脳天に容赦なくチョップを.....やっぱり女子って怖い......
「ヒッキー......クラスメイトの顔を今になって知らないのは、流石にサイテーだよ......」
「はい......」
おっしゃる通りでございます......
ちなみに、チョップが地味に効いたせいで熟睡ができなかったとさ......
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放課後になった
パァッン
甲高い音が弓道場に響く。
「............」
やはり的前は高校生のレベルでは弓道において、ほぼほぼ完成形にあるように思える。徹夜で弓道の知識を取り込んできたからこそ、尚更それを実感させられる。
のだが、それでもやはり......
「会、何秒だった?」
「3.16秒」
ストップウォッチに表されている数字をそのまま伝える。
「あーだよねぇ......」
膝に手をつき、前屈みになる的前。うぉっ......弓道着だから胸元が......しかし、これ......結構でかいな。着痩せするタイプなのな、こいつ。
「あ、あーそうだ的前が大三から引き分けてくるときにちょっとだけ力が入ってた感あったぞ?」
やべえ、めっちゃ早口になった。死にたい。
「え!ほんと?!」
「お、おう。これは関係ないかもだが、表情にも緊張が出てた感じあったし......」
「あ、うん。表情......大三......引分け......やっぱりかぁ.....そっかぁ......」
「............」
あれ? 俺結構マズイこと言っちゃった? 結構シリアスなお顔をしてらっしゃるんですが......
「ねぇ、比企谷くん」
「あひぁい」
おい俺。いつにも増してキョドリ過ぎだろ、いい加減にしろ。
「早気ってのは、精神的なものから来るのが大部分を占めてるんだ。知らなかったでしょ」
「あーいや、知ってる。そんな風にネットに書いてたからな............あ」
「え......あ、ふぅん......わざわざ調べてくれたんだ......もしかして、今日やけに眠そうだったのは......それに大三なんて中々知らないものだし......比企谷くんーー」
「で、早気の原因が精神的なのが影響してるってのはわかってるから、それがどうしたんだ?」
「......ふふっ......ありがとね」
照れ隠しなのバレバレでした☆ 死にてえ。今日俺どんだけ死ぬんだよ。
「んーちょっと話すと長くなりそうだし、休憩がてらでいいかな?」
「おう、いいぞ」
「じゃ、あそこの椅子に座ろっか」
「......え」
的前が指差した先にあるのはただの変哲もない長椅子......ではあるのだが、2人はともかく、3人でなんてとても座れないような椅子だった。
「ちょ、ちょっと的前さん?もっと違う椅子は......いや、なんだったら俺だけ床に......」
「んーなになにー?恥ずかしいのー?へぇー比企谷くんにもそういうピュアな一面あるんだーへぇー」
「......うるせぇよ」
「大丈夫大丈夫、私は気にしないからさー」
「いや的前は良くても俺の方が......」
「はーいはい、そんな恥ずかしがらなくていいからいいから」
「ちょっ、おまっ!」
強引に手を引っ張てくる的前。
ふと見えた横顔がほんのり紅くなっていたのは、この暑さのせいなのだろう。
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「じゃあまずはどこから話そうかなぁ......」
「俺的には、早気の原因を一番に聞きたいんだけど」
「あーうん......やっぱりそこくるよね......」
やはり他人には話したくないことなのだろうか。心なしか的前の顔色が優れないようにも見える。
「なぁ......やっぱり話したくないんなら別に無理して......」
「ううん、いいの。自分から話すって言った手前だしね。それに依頼を請け負って、その上徹夜までして弓道のこと勉強してもらってるのに私が原因を話さないのはあれだしね......」
「そうか」
「うん......」
そして的前は2、3回ほど深呼吸をしてからこう言った。
「私ね。実は弓道......そんなにしたくないんだ......」
はい!いかがでしたでしょうか!
前回に引き続き短いですね!
依頼主からの突然の告白に八幡はどう答えるのか...!
続きはまたいつか!!では!!