やはり俺に彼女が出来るまでの道のりはまちがっている。 作:mochipurin
どうも草プリンです。UAと評価点がやけに高くて疑心暗鬼になりそうです。ありがとうございます。
ちなみに、まあこのガバガバ設定のssを見たらお分かりかと思いますが、清々しいまでの見切り発進です。今更感ハンパないですね。書いた理由?昼夜逆転を治すためです。ああ、もちろん治ってませんよ。最近は古典的ながらも羊数えて無理矢理寝てます。どなたか眠気を促す良い方法知ってるのなら教えてください(切実)
教えてくださった暁にはこのSSの投稿速度が1/2以下になる特典をプレゼントします!
では5話です。どうぞ!
人生とは不条理そのものである。いずれ神は人を見捨て、酷たらしくも終わりを告げるのだ。
そしてまた俺も−
ピンポーン
終わりを迎えていた。
「いやいやお兄ちゃん、もう4回ぐらいインターホン鳴ってるって、絶対的前さんだって、さっさと出なよ」
「いや、これは昨日の俺たちの会話を盗聴してた第三者が俺の命を狙ってきてるに違いない」
「あのねぇ、昨日の今日でこんな朝からインターホン鳴らしてくるの、的前さんしかいないでしょ。なに一端の男子高校生が恥ずかしがってんのさ、キモイよ」
「いや、決して恥ずかしがってなんかないぞ。これはそう、あれだ、武者震いってやつだ」
「あ、そんなのいらないから。もうお兄ちゃんが出る気ないのなら小町がでるね。はーい、ただいまー」
「ちょ、まて、そもそも俺はまだ一緒に登校するなんて−」
「あ、やっぱり的前さんだった。うちのごみいちゃんが渋っててでるのが遅くなっちゃいました。すいません」
「んーん、全然大丈夫だよ。それよりこっちこそごめんね?いくら昨日から家に行くって言ってたとしても、朝から押しかける感じになっちゃって」
「いえいえ、そんなそんな。こちらとしては毎日通い詰めてもいいんですよ?それで、やっぱり今日はお兄ちゃんと一緒に登校するために?」
「そうそう。お誘いにやってきましたー」
「わっかりましたー!呼んできますね!......はぁ、全くあのごみいちゃんはこんな可愛い同級生さんがいるのになんで渋るのかねぇ......お兄ちゃーん!的前さんきてくれたよー!」
「......ああ」
まったく、人生とは不条理である。
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「もーなんでそんなに私と一緒に登校するの渋るの?登校するの早かったとか、そんな感じの事ならこっちが合わせるよ?」
「いや、別に登校する時間帯とかはいつもとほとんど変わらねえから大丈夫なんだが......」
やはり周りから好奇の目で見られるのが辛い。とても辛い。白い目で見られるとかならいいんだけど......
「ねえ私のこと嫌い?嫌いなんだったらハッキリ言ってよ......」
うわぁ、女子の固有技「ねえ私のこと嫌い?」だぁ......
「い、いや、そんなことはないけど......」
「あー!いま面倒くさいやつって思ったでしょ!」
「......ちょっとな」
「そこは嘘でも思ってないって言ってよ?!」
面倒くせぇ......
「いやまあ、むしろ嫌ってるどころか好感度TOP10にランクインしてるまであるぞ」
知り合いが居てもせいぜい十数人だからな。
「えっ.....わ、私そんな上位に食い込んでるの?」
「おう」
知り合いがいないからな。
「へ、へぇー......そうなんだー......」
「ま、というわけで嫌ってるわけではないから気兼ねなく早気を治していいぞ。そんで俺をさっさと自由の身にしてくれ、外は暑くて敵わん。あと結構暇」
こんな暑苦しい季節に、青春だー!!とか言って、グラウンド走り回ってる奴らは控えめに言っても異常。やっぱりインドア派って最強だと思うの。
「はぁ......捻くれ発言で台無しだよ......」
「そりゃどうも」
「あ、暇で思い出したんだけど、比企谷くんもどう?弓道一緒にしてみない?」「は?無理無理、金もかかるし、もうちょっとしたら総体終わって休んでた連中もそろそろ部活に来るんだろ?どう考えても浮くだろ」
「そんなことないよ。ちゃんと事情を説明したら、わかってくれるだろうし、弓道具だって粗方揃ってるもん。正規部員になってなんて言わないから、せめて体験入部みたいな形でさ、どう?」
「どうと言われましても......そもそも俺、奉仕部に入ってるしあれだろ」
「そこは平塚先生に頼み込んでみるから!ね?」
「まああの人がそうそう許可を下すとは思えないが......まあもし話が通ったら小町に相談した上で考えてみるわ」
「そこでやるって言わないあたり卑屈だよね」
「卑屈言うな、リスクマネジメント上手なだけだ」
まあこのぐらいの期待は持たせてもいいだろう。どうせ平塚先生とか雪ノ下が許可しないだろうしな。
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「ん?いいじゃないか?いろんなことを学生のうちに体験しておいて損はないからな。そもそも私が比企谷を奉仕部に入れた根本には更生の意もあるし、いい変化があると思うよ」
「弓道部に体験入部?いいんじゃないかしら。いまこちらの方で受け持ってるまともな依頼は的前さんの一件だけだし、きちんと依頼を完遂してくれるのなら基本的に比企谷なんてどうでもいいわ。むしろ武道の精神であの捻くれた性格を治してほしいぐらいだわ」
「ひっきーが......運動部に体験......入部......?あっはっは!ありえないありえない!......今日ってエイプリルフールか何かだっけ?」
「って言ってた!」
「............あぁ」
さよなら、俺の平和な日常。
平塚先生はもちろん、雪ノ下の言ってることも正しいっちゃ正しいし、真っ向から反論できる余地がないのが正直な感想ではあった。だが由比ヶ浜、さすがに失礼過ぎるし、お前にそうやって言われる筋合いはねえよ。
「むっふっふーどうさこの的前優香様の匠な話術は」
「ほんとだよ、雪ノ下は百歩譲っていいとしても、奉仕部の顧問でもあるあのお固い平塚先生を一体どうやって納得させたんだよ」
「え?といっても比企谷くんをうち(弓道部)に(体験入部という形で)ください!って言っただけだよ?」
「あぁ......なるほど」
あの人絶対親になった気持ちでいるよ。
しかも、結婚すっ飛ばして子供持ちだし、その上成人になっちゃてるよ。どんだけ結婚願望あるの......
あと平塚先生、残念ですがそのセリフ、立場的に父親が言われるセリフなんですよ。平塚先生まじビックファザー。
「じゃ、今日から弓道部員としてよろしく!」
「いや、体験入部員だから。そもそも小町にまだ相談してねえから」
まあ結果は火を見るよりも明らかなんですがね......
(いろいろあって周りから弓道部に体験入部しろと催促されてるんだが、小町的にはどう思う?俺の帰りが遅くなったり、俺の帰りが遅くなったりで、小町を寂しがらせちゃうかもしれないんだけど)
(おー是非入った方がいいと思うよー)
(俺の帰りが遅くなってもいいの?ねえ?いいの?)
(入って)
(あ、はい)
知ってた。
「小町ちゃんはなんて?」
「予想通り見捨てられた」
「ま、まあまあ、してみたら楽しいって弓道」
「わかってるわかってる、ここまできたらちゃんとやるさ。むしろここで拒否ったら絶対あいつらに蔑まれるからな」
「あ、あはは......比企谷くんも大変なんだね......知らないくせして、強制するみたいになっちゃってごめんね」
「いや、いい。理不尽なのには慣れっこだからな」
「う"......それなんのフォローにもなってないよ」
「だってフォローしてないからな。ほら弓道場行くぞ」
「あ、ちょ待ってよ、捻くれ谷くん!」
「おおん?おちょくってるっていうんなら弓道やらねえぞ?」
「嘘!嘘だから!ね、行こ!」
「はいはい......」
依頼?知らない子ですねぇ......いや知らないじゃねえよ、ほんともう意味わかんない。
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「薄々思ってはいたけど、やっぱすぐには弓で射てるわけではないんだな」
俺の手にあるものは、弓のように弦があるわけでもない、ましてや弓の形ですらない。ただのプラスチックの棒の先端にゴムをぶら下げた謎の物体。
「当たり前だよ。もしどうしても射つっていうんなら止めはしないけど、矢じゃなくて耳が飛んでいくかもよ?」
「またまた〜ご冗談がうまいんだから〜」
「冗談じゃないんだよねーこれが」
「まじで?」
怖えぇ!弓道超怖ええええ!
「うん。まあ耳が飛ぶって言うのは言い過ぎだけど、縫う程度の怪我の恐れはあるよ。それもちゃんとゴム弓で、あ、今比企谷くんが持ってるやつね。それで射形とか云々を身体に叩き込むの」
よかった。まじでよかった。耳がまじで飛ぶとか言われてたら、八幡確実に夜逃げしてた。しかしこれゴム弓っていうのか......そのまんまの名前だな。
「で、これを弓に見立てて射法八節を習って練習すればいいんだな?」
「そそ、じゃあ一応射ってもらう前に射法八節が全部言えるかどうが試してもいいかな?」
「ん?まあいいぞ。まず、足踏みからだろ?そんで、胴造り。そこから弓構え、打起し、引分け、会、離れ、最後に残心。それで合ってるよな?」
「うん、バッチリ。さすが徹夜してまで覚えてくれただけあるね」
「まあ基本中の基本中だしな、覚えようと思えばすぐだろ」
「んーまあ基本ではあるんだけどね。でも最初から知識があるとないとでは、やっぱり違ってくる部分も多いから、いきなり射法八節を言えた比企谷は凄いと思うよ?」
「お、おう。さんきゅ」
努力したことをこうも素直に褒められるとなんだかむず痒いな......
「じゃ、次はさっき言った射法八節を念頭に置きつつ、一度引いてもらおっか」
「え、大丈夫?耳飛ばない?」
「飛ばないよ......どうやってたら人が引いた程度のゴムで耳が飛んでいっちゃうの......腕にゴムが当たって、赤く腫れるかもしれないぐらいだから」
......弓道って、怪我とはかなり無縁なスポーツとか思ってたけど、結構ハード?
俺どこで選択間違えたっけ......それとも俺がもやしっ子なだけなのかな......
「ほーらビビってないでチャチャっと引く!」
「ウィッス」
神よ......どうかこの八幡をお護りください......あ、もう既に今日の朝っぱらに捨てられてたわ。
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数十分後
「んー比企谷くんほんとに中学の頃弓道してなかったんだよね?」
「だから何度言ってるだろ?そうだって」
「まあ比企谷くんと私は中学一緒って言うし、弓道部に入っていないのは自明の理なんだけど......」
結果から言うと俺は、
「だとしたらこれは弓道の素質があるとしか......」
「地味という共通点があるからだろ」
「それ、私だからまだいいものを、弓道部員の前では絶対言わないでね?振りじゃないからね?」
初心者にしてはかなりうまい部類に入るやつらしい。
あと他の弓道部員とすぐ仲良くなれるほど社交性ないんで安心してください。
「比企谷くん、体験入部とかやめて正式に入部しない?付きっ切りで教えて、みんなに追いつかせて見せるって約束するから」
「やだよ。そもそも依頼はどこ行ったよ。まずはお前の早気からだろ。俺は自主練しとくから、的前も射ってこいよ」
付きっ切りで教えるってところにちょっとキュンとしました。
「そこを突かれるとアレなんだよねー.....わかった、こっちはこっちで練習してくるから、わからないことあったら遠慮なく呼んでね?素質があるとは言ったけど、まだ弓道始めて数時間程度の初心者なんだから」
「りょーかいりょーかい」
「もぅ、ほんとにわかってるのかな......」
一人ごちりながら射場へ向かっていく的前を背に、俺は、まだ十数回ではあるがコツを掴みつつある自分に、心の中で苦笑いした。
結構楽しいじゃねえかよ。
5000文字ぐらい頑張ったつもりだったけどダメでした。罵ってください。
あといろはまだ出ねえのかよって思われてるかたがいると思いますが、もう少々お待ちください。なんとかします。
5話でした。いかがでしたでしょうか?
前回はほとんど弓道要素含められていなかったので、今回は結構多めにしてみました。お気に召して頂ければ幸いです。
ではまた6話でお会いしましょう!