ソードアート・オンライン Dragon Fang《ゲーム版》   作:グレイブブレイド

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予告は1年以上前にも投稿しましたが、リメイク版の投稿に伴い、新しいバージョンを投稿しました。

※ゲーム版はリメイク版の方をベースとしています。そのため、旧版の方とは設定などが異なっています。


予告

目を覚ますとそこは見慣れない森の中だった。辺り一面、木が押し茂っているだけで何もない。

 

メニューウウィンドウを操作してマップデータを見てみるとA()L()O()とは異なる場所だった。

 

「やっぱり来たんだSAOに……。でも、見た感じ、SAOってALOと似ているんだね」

 

辺りを見渡していると近く小川が流れていることに気が付く。そこで自分の姿を確認してみようと覗き込んでみた。そこに写っていたのは、金髪のロングヘアーをポニーテールにし、もみあげ付近の髪の毛を小さな三つ編みにした緑の瞳を持った1人の少女だった。耳は尖っていて、背中には小さいライトグリーンの翅を生やしている。

 

「ALOのあたしと同じ姿だ……」

 

服装はALOと同様に緑と白を基調としているけど、背中の開いた上着にミニスカートなどに変わっていた。

 

「翅が小さくなっているけど、SAOでも飛ぶことができるのかな……」

 

試しにいつもALOで飛翔するときみたいにジャンプしてみた。

 

ゴンッ!

 

ジャンプしてそのまま飛翔することはなく、地面に落下してコケてしまう。

 

「イタタタタ……。う~~SAOでは飛べないのかぁ……。じゃあ、この翅はただの飾りみたいなものってことなの……」

 

飛ぶことが好きなあたしにとっては、飛べないということに凄くショックだった。もしも翅のことを聞かれたら、「最初に言っておく、背中の翅はただの飾りだよ!」と何処かの皆のオカンと言われているイマジンみたいなことを言えばいいのかなとくだらないことを考えてしまう。

 

いけない、いけない。SAOにはただ遊びに来たわけじゃなかった。あたしがここにやって来たのは、この世界にいるお兄ちゃんに会うためなんだ。でも、お兄ちゃんをどうやって探せばいいんだろう。何処にいるのかもわからないし、第一この世界でのお兄ちゃんの名前すら知らない。

 

途方に暮れていると何かの気配が感じた。急いで近くにあった大きめの木の陰に身を隠した。そっと外の様子をうかがっていると片手剣や槍などの武器を持った数人の男女がやってきた。

 

「あれ?おっかしいなぁ、確かここらへんにいたと思うんだけどなぁ……」

 

「何もいないよ……」

 

「妖精がいるって見間違いだったんじゃないのか?」

 

「SAOに妖精がいるなんて聞いたことないぜ」

 

「そうかなぁ……」

 

「そろそろ街に戻ろうぜ」

 

数人の男女は元来た道を歩いて戻っていった。

 

あの人たちの話を聞く限り、SAOでは妖精は珍しいみたいだ。街に行けばお兄ちゃんの情報を少しでも得られるかもしれない。だけど、この姿で行くと絶対に騒ぎになるに違いない。

 

「っ!?」

 

するとまた何か気配を感じ取り、木の陰に身を隠した。今度は人ではなくて、1メートル近くもある3体の巨大な蜂型のモンスターだった。蜂型のモンスターは一向にこの場から去ろうとはしない。

 

早くここからいなくなってと念じる。

 

バキッ!

 

モンスターに気を取られて足元に落ちていた枝を踏んでしまう。その音にモンスターはすぐにあたしがいることに気が付き、こちらの方を見る。

 

「ヤバい!」

 

すぐに鞘から片手剣を抜き取り、戦闘態勢に入る。

 

「あたしはALOでシルフの五英傑と言われていたのよ。SAOのモンスターにも負けない!」

 

地面を蹴り、1体のモンスターを斬り付ける。HPは4割ほどしか減らなかったが、ある程度ダメージを与えられることがわかった。更に3体ものモンスターが出現した。

 

「だったら魔法で!」

 

ALOの時のように風魔法のスペルと詠唱する。しかし、何も起こらなかった。

 

「ええっ!?SAOって魔法もないの!?もしかしてSAOは剣だけで戦う仕組み!?」

 

その間にもモンスターたちはあたしを攻撃しようと迫ってきた。これはダメージを受けるだろうと思った時だった。

 

突然、1人の人物が刃に青い光りを纏った状態の片手剣を左手に持ち、モンスターたちを斬り付けていく。その連撃はかなりの早さだ。モンスターたちはすぐに全てのHPを失い、ポリゴンの欠片となって消滅する。

 

それをやったのは青いフード付きマントを羽織った1人の少年だった。少年は剣を右腰にある鞘に収めるとあたしの方を見る。

 

「大丈夫、怪我はない?」

 

少年は170cmくらいの身長でやや細め、ハネッ毛の黒髪、顔立ちはやや童顔よりだが、整っている方で間違いなくイケメンの部類に入るであろう。年齢はあたしとほとんど変わらないくらいと言ったところだ。

 

あたしはこの少年に見覚えがある。そして、ふと脳裏に5年前に知り合ったある1人の男の子と過ごした日々が蘇った。目の前にいる少年と重ねて見た瞬間、彼に間違いないと確信する。

 

お兄ちゃんに会おうとここまでやって来たが、彼ともここで再会することになるとは思ってもいなかった。会うのは3年ぶりだろうか。驚きもしたが、3年ぶりに彼とまた会えたことが凄く嬉しかった。




あえて誰の視点なのか、最後に登場した人物は誰なのか書きませんでした。わかった人は絶対多いと思いますが……。


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