ゲーム小説 幻想水滸伝Ⅱ   作:月影57令

12 / 28
第11話 三種族

 さて、ようやく新同盟軍、名称デュナン軍が発足した。これで仲間に誘える人間も増える。グレミオ達には適当に仕事を割り振って一人で行動させてもらおう。その方が身軽だしね。

 

ソロン・ジーは、新同盟軍に撃退されたことでしばらくサウスウィンドゥに留まったが、少数の部隊だけを残しミューズへと撤退していった。これでサウスウィンドゥにもクスクスにも行ける。

 

 それでは仲間集めだ。仲間集めは主に僕がやろうと思っている。新同盟軍の部隊や役職を組織するシュウに、スカウト担当になることを認めさせた。リーダーのリオウはやらなきゃならないことが山積みだからね。シュウはリオウに色々と勉強させている。軍のリーダーになるには知識が必要不可欠だから。僕がトラン解放軍のリーダーをやった時はそれに比べて楽だった。生まれた時から解放軍に入ることがわかっていたからね。子供の時からずっと勉強していたんだよ。

 

 馬を飛ばして、東側から回って焼けた傭兵砦に行く。と、地図職人のテンプルトンがいた。半ズボンは健在だね。知り合いである為、新同盟軍に誘ったら、仲間になってくれた。

 

「困るよなぁ……ここんところ、色々あって地図の直しが大変だよ。新同盟軍? いずれハイランドを滅ぼして統一国家を作る? ……また、そんなことになるのか。……うーん、わかった。君がいる都市同盟に協力しよう。その代わり地図の作成に協力してもらうよ。それと、早いとこ戦争を終わらせてね」

 

 テンプルトンと地図、水滸図をゲット。

 

 次はラダトの街。ここ人多いんだよね……。フリードの奥さん、ヨシノは既に仲間になっている。

 

 船頭のアマダを訪ねる。この人って見かけによらず結構若い人だった気がする。

 

「軍に……ねえ」

 

「はい。半分くらい湖を拠点としている城なので、船頭さんは一人でも多く欲しいんです」

 

「……よし。俺と勝負してくんな。俺に勝ったら仲間になってやるよ」

 

 どこぞの少年誌みたいなことを言うアマダ。こちとら戦闘の経験なら年単位で積んでいる僕だ。一介の船頭に負けることなどありはしない。油断? 違うよ、これは余裕というのさ。

 

「ごばぁあぁあ!!」

 

 武器の櫂を弾いてみぞおちに全力で突きをいれてやった。

 

「がっがふぅっ」

 

 あらら、胃の中にあるものを吐いているよ。ちょっと強すぎたか。

 

「大丈夫ですか?」

 

「あ、あご……ごへぇ……ぼ、坊主、つええな」

 

「これでも修羅場をくぐっていますからね」

 

 というわけで仲間になってもらった。え? 容赦ないって? こちとら散々戦ってきたんだ。僕を倒したければルカ・ブライトでも持ってきな。

 

 次、ハードボイルドダンディのリッチモンド。

 

「話は聞いているぜ。あんたティルだろ。トラン解放軍でリーダーをやってた。大統領になるのを断って傭兵になるとはねぇ……。仲間、か。じゃあコイン当てで決め」

 

「このコインを使って下さい」

 

 食い気味に申し出る。僕の持っているコインを渡した。イカサマコインなど使わせない。

 

「……さすが、抜け目ねぇな。うん、あんたがいるなら大丈夫そうだな。デュナン城で厄介になるぜ」

 

 探偵が加入した。

 

 次、青磁の壷をコレクションしている鑑定士のレブラント。この人も片眼鏡(モノクル)をしている。鑑定士はそれをする決まりでもあるの?

 

「戦いは虚しい……骨董品を愛でる余裕すらなくすのですから」

 

「まずはお近づきの印にこれを」

 

「おお、これは青磁の壷。ありがとうございます。これで私の青磁の壷コレクションが百個ぴったりになりました。そうですね、では私もデュナン城に行きましょう。鑑定なら任せて下さい」

 

 鑑定士がログインしました。

 

 次、足の速いあんちくしょうことエルフのスタリオン。彼も元仲間だったエルフだ。

 

「ティル様……随分久しぶりだなぁ。都市同盟の軍か。それじゃあ俺と足で勝負だ。速くあそこまで辿り着いた方の勝ちってことで」

 

 当然神行法の紋章は宿してあるよ。さてダッシュ!

 

「ぜはー、ぜはー。あ、あんた、足まで速いのかよ」

 

 足腰なんて武術を習うものにとっては基本中の基本。重り付きの走りこみは欠かしていないよ。ということで勝利しました。

 

「何かあった時に生き延びるのは足の速いやつだからね」

 

「さすが、わかってるじゃないか。……ふぅ。わかったよ。また一緒に戦うんだな」

 

 韋駄天スタリオンが仲間に。

 

 この街で仲間になるのは……あいつはあれがああなってからだな。で、あいつはあのアイテムが必要……バナーの村にあるんだったか。じゃあ後回しだな。

 

 やってきましたクスクスの街。桟橋にタイ・ホーとヤム・クーがいたので声をかける。

 

「またあんたと会うとはな。新しい軍か。よし! チンチロリンで勝負だ。あんたの運をもう一度確かめさせてもらうぜ」

 

 チンチロリーン。

 

「俺の目は四だ」

 

 四か……相変わらず強敵である。

 

 それっ、チンチロリーン。

 

「六の目だね。僕の勝ちだ」

 

「あちゃあ、やっぱついてんな、あんた。わかったよ。また一緒に戦おうじゃねえの」

 

「やれやれ、また戦ですかい」

 

「悪いねヤム・クー」

 

 やっぱり、以前トラン解放軍で一緒だった二人を仲間に。

 

 次は、街を歩いていたら偶然見かけた女性格闘家にして雇われボディガードのオウラン。おお、女の子を連れていないのに遭遇できた。それはそれとして、この人もムッキムキだけど露出が高い。おっぱいおっきい。おっと、なるべく顔を見るようにして……。

 

「ふぅん。新同盟軍のリーダーを護衛して欲しいと。守り甲斐がありそうだね。わかった、雇われてやるよ」

 

 よっしよし。頼りになるボディガードが仲間になった。これでリオウの身の安全も保証されるだろう。彼女は左手に乱れ竜の紋章というものを宿している。ミューズで買った常に身体能力が1.5倍になる怒りの紋章を右手に宿してもらおう。これで常に強化された身体で、乱れ竜の紋章攻撃を文字通り乱れ撃ってもらおう。

 

 次、踊り子のカレンだ。

 

「よっ、ほっ、はぁっ」

 

 彼女と一緒に踊る。くるんくるんである。え? なんで踊れるかって? トランの踊り子、ミーナにちょろっとね。習っていたりしたんだよ。こうなるのはわかっていたからね。

 

「ふふ、楽しかった。一緒に踊ったら仲間になるって約束だったもんね。仲間になってあげる」

 

 踊り子が加入。彼女も右手に双輪の紋章という、特殊攻撃用の紋章を宿している。その攻撃は、反動で体に負担がかかるので、負担をゼロにするバランスの紋章を左手に宿してもらう。これで常に特殊攻撃連発祭りである。

 

 鍛冶屋に突撃!

 

「え!? あの星辰剣があるんですか!?」

 

「ええ、新同盟軍の仲間になってくれたら、持ち主にお願いして、見て触って鍛えてもいいですよ」

 

「おおおおおおお! 行く、行きます! 是非私を新同盟軍に加えて下さい!!!」

 

 軽く引くほどの熱意でお願いされた。名剣に目がない、というか武器マニアが高じて鍛治屋になったような人だからね。鍛冶屋テッサイが仲間に。これによりデュナン城でいつでも武器が鍛え放題だ。……お金は取られるけどね。

 

 さて、サウスウィンドゥ市に到着。まずはあいつだ。緑衣の上に灰色の布を纏った懐かしい姿。

 

「ティルか……久しぶりだな。だが悪いな。今も俺はある女を追っている。レイクウェストに逃げたらしいが……」

 

「レイクウェストなら新同盟軍で近々船を出す予定なんだ。仲間になってくれたら、船に乗っていいし、同盟軍の情報網を使ってその女性を探すよ」

 

「……そうか。よし、いいだろう。また力を貸そう」

 

 トラン解放軍で共に戦ったクライブだ。銃が使えるエキスパート。狙撃が凶悪なんだよね。戦争でも活躍してくれるだろう。

 

 市の中央にいた坊主(僧侶)、ガンテツ。

 

「わしはガーーーーーーーーンテツ!!!」

 

 力比べとか何とか言ってきたので、僕の膂力を見せることに。押し比べである。

 

「ぬおおおおお!!!」

 

 ずりずりと後退するガンテツ。

 

「はい、これでいいですか?」

 

 僕の筋肉を舐めないで欲しい。日々の戦いで余分な脂肪はそぎ落とされ、戦う為だけの筋肉がついているのだ。鍛錬を怠るほどこの戦乱を舐めてはいないよ。毎日のように鍛えていたさ。

 

「やるではないか坊主! よし、では早速その城とやらに行こうではないか! わしがいれば百人力じゃ!! ははははははは!」

 

 はが多いよ。それに力比べであんたに勝った僕はいったい何人力なんだよ。

 

 白鹿亭(宿屋)の女主人ヒルダと、夫で道具屋のアレックス。ミューズの東にあった白鹿亭から南に避難してきていた。

 

「リーダーがリオウ君……ほら貴方、やっぱり言った通りじゃない」

 

「ま、まだ本人かどうか決まったわけじゃない!」

 

 自分達の知っている少年リオウがデュナン軍のリーダーかどうかで賭けをしているんだったな。そして負けたアレックスはヒルダに引っ張られてデュナン軍に入るのだ。

 

「なら、デュナン城に来て確かめてみて下さい」

 

 宿屋と道具屋が開店するぞ。息子のピート君も来てくれた。

 

「マクシミリアン、久しぶり」

 

 元気なおじいちゃんの再来である。

 

「おお! ティル殿か。何でも稀代の悪党が現れたという話ではないか! わしもそやつに対抗する軍に入ろうと思っているところなんじゃ」

 

「僕も今その軍にいるんだ。リーダーに紹介するから是非来て欲しい」

 

「あいわかりました。共に戦いましょうぞ!」

 

 騎士マクシミリアン加入。やっぱり付き人のサンチョはいないのね。

 

 さて、これでサウスウィンドゥは大体終わりか。歌い手の女の子がいないけど、後になってこの市に来るんだろう。それまで待ちだな。

 

 赤い服の男もいなかった。時間が必要らしいな。これも待ちだ。

 

 え? エレベーター? 発明家? いや、あの、その、さ。物をぶつけたけど、ボケが治らなかったんだよね。城に来てくれなかった。……ということで、あの発明家もどきの老人は仲間になりませんでした。まあいいか。あんまりあのエレベーターのこと活用した覚えないし。それにギルバートが仲間になっていない時点で完璧には無理なんだし。

 

 さ・て。風の洞窟にやってきた。

 

「また会ったね、ペシュメルガ」

 

「お前か……何の用だ?」

 

「ユーバーだけど、今はハイランド王国の軍にいるみたいだよ。ハイランドと戦争をしている都市同盟の軍に入ってくれないかい?」

 

「また……道が重なるというわけか」

 

「そうなるね」

 

 承諾してくれたので、城へ連れて行こう。狂気の黒騎士ユーバーを追う、同じように全身を黒い鎧で固めた騎士ペシュメルガが仲間に。

 

 今仲間にできるのは仲間にしたかな。それじゃリオウがあそこに出かけるまで暇を潰そう。城の修繕や新しい施設の建設。兵士の訓練。それに自分の鍛錬もね。やることはたくさんあるぞ。

 

 

     §

 

 

 部屋で書物を読み解く毎日。リーダーがこんなに大変だなんて。ああ、外は日差しであったかそうだ。中庭でミューズとサウスウィンドゥから逃れてきた子供達が遊んでいる。……俺、早まったかな。こんなに知識がいるとは聞いていない。

 

 シュウさんの提言で、あの戦の後も防備を固めていたけど、王国軍は退却していった。今はミューズにいるらしい。その理由はわからないけど、ここ一週間は平和なものだった。

 

 だけど戦いは続いているんだ。現在の兵力は一万を超えるが、王国軍の全兵力は八万ほどだと言う。厳しすぎる現実だ。それをあのルカが率いるのだ。弱いはずがなかった。

 

 そうして親友のことを考える。ジョウイ……。続々とデュナン城に集まる人達。だけどジョウイの姿はそこにはなかった。なら、あいつは……。

 

「リオウ殿」

 

 物思いにふけっているとシュウさんが部屋を訪ねてきた。俺の部屋は塔の最上階にある。

 

「シュウさん、何か?」

 

 呼び捨てで構わないと言われているが、急にそんな偉そうにはなれない。

 

「書物で何かわからないことはありませんか?」

 

「じゃあシュウさん、聞きたいことが。他の都市について」

 

 シュウさんが考えた当面の目的は、この地を中心として各都市の力を集めるというものだ。各都市の兵力が気になった。

 

「トゥーリバーに一万、グリンヒルに七千、ティントに一万二千、マチルダ騎士団には二万です。ハイランドもこの都市に手を伸ばし、領土と兵力を奪うでしょう。それ故に……」

 

「俺達は先んじて各都市に渡りをつけ、同盟を結ぶ」

 

 それが今やるべきことだ。そして各都市を訪ねるのはリーダーである俺の役目。……だからと言ってこの勉強は勘弁して欲しい。俺は机にどっさり積もった書類を見てため息をつくのだった。

 

 勉強が続いて気分が落ち込んだので、城を見て回る。これもリーダーの役目だ。そしてそこにいる人達と触れ合うのだ。しかし……。

 

(人、段々増えるなぁ)

 

 聞いたところによると、ティルさんを中心にクスクスやサウスウィンドゥで人を集めたらしい。ティルさんは「人集めなら任せてくれ」と言っていたが、実際にこうして増えた人数を見ると、どれだけ精力的に動いたのだろうと驚く。

 

 と、見慣れない人を発見した。キョロキョロしている。ぼさぼさ頭を赤いバンダナでまとめ、痩せた体にはよれよれのシャツとよれよれのズボン。胸当てなのか、両肩から股下まで届く緑色の三角布をかけている。

 

「すみません、ちょっとお尋ねしますが。ノースウィンドゥってのはここでいいんですか?」

 

 話しかけられたので、応対する。

 

「ええ、ここがノースウィンドゥです。今は俺達の城になっています。貴方は……?」

 

 聞くと、道案内の人間が途中で逃げてしまったのだとか。

 

「この城に英雄が現れてハイランドの軍を破ったっていうじゃないですか。これは是非一度お会いしなければと思い……」

 

 う、英雄……俺のことだ。だけどここで自分がその人物だと言っても信じまい。とりあえず話を聞きたいので広間に通す。そして皆を呼ぶ。

 

「おいリオウ。お前さんの噂を聞きつけて人がやってきたんだ。もっと喜べよ」

 

 ビクトールさんが俺の背中を叩く。

 

「この少年が新同盟軍の英雄、リオウです」

 

 ティルさんが俺を指し示す。

 

「え、あ、うぇ? あ、あなたが英雄のリオウ殿……!?」

 

 そりゃ驚くよな。

 

「し、失礼しました。このフィッチャーなんという失態」

 

「いいからフィッチャー。ここに来た本題を言いな。話が進まない」

 

 とアナベルさん。なんでも、フィッチャーさんは元々アナベルさんの下で働いていたが、ミューズを離れていた時にあの奇襲があったとのこと。今はトゥーリバー市でお世話になっているとか。

 

「アナベル様、リオウ殿。話と言うのは他でもありません。デュナン軍とトゥーリバー市で協力し、ハイランドと戦う中心戦力となれば、と思ってここに来たのです。是非トゥーリバー市に来ていただきたいと……」

 

 来た、シュウさんと話した各都市との協力体制作り。その一歩目がやってきたのだ。俺は身が引き締まる思いだった。初めての外交交渉。果たして上手くやれるのか……。

 

「トゥーリバーからの正式な申し出なんですか?」

 

 アップルさんが聞く。

 

「これはですね、私の勝手な判断です」

 

「ちょっと待て! 勝手な判断だと!? お前にそんな権限は……」

 

 ジェスさんが声を荒げる。

 

「いやぁ、私はサウスウィンドゥに偵察に来たんですよ。でもハイランドと戦うには必要なことだと思いますよ」

 

 フィッチャーさんはどうしても俺をトゥーリバーへ連れて行きたいと言う。

 

「まあ色々あるかもしれないけど、ここはリーダーの判断で決めよう。リオウ、君はどうしたい?」

 

 ティルさんに言われるが、俺の心は決まっていた。

 

「トゥーリバーに行きます。ちょうど同盟を結びたいと思っていたんです。フィッチャーさん。よろしくお願いします」

 

「こちらこそ。トゥーリバーにお世話になっているのに、今まで役立たずでしたから、やっと私の顔も立つというもの」

 

「よし、じゃあ準備をしよう。交渉するんだ。舐められないようにある程度の人数をそろえなきゃね。ナナミはついてくるだろうし、オウランはリオウの護衛。クライブもレイクウェストに行きたいと言っていたし、トゥーリバー市はコボルトもいるからゲンゲンも……」

 

 ティルさんとシュウさんが話し合いを始めた。アナベルさんとビクトールさんは城を守る為に残る。

 

 俺はトゥーリバーとの同盟という大事を前にして、心が高揚するのを感じていた。

 

 

     §

 

 

「なんで俺が……アナベル様と離れて……」

 

 ぶつぶつと呟くジェス。彼には政務面での補佐としてきてもらった。これは僕が以前からアナベルさんやシュウと話していたことでもある。彼はリオウのリーダー就任に納得していない。そこで、同盟交渉に同行させて、リーダーであるリオウを認めてもらおうという話だ。

 

 タイ・ホーが操船してくれた船でデュナン湖を渡りレイクウェストを目指す。湖畔の小さな漁師町レイクウェスト。ここでもやることがある。クライブの用事もあるので、僕とクライブとゲンゲン、リオウとナナミとオウランとジェスに別れた。リオウ達には先にトゥーリバーへ行ってもらう。タイ・ホーはレイクウェストに残ると言う。面白いことが好きな彼だが、外交とかはその範疇でないらしい。

 

 さて、まずは宿屋だ。宿屋で情報収集。

 

「おい、ここにエルザという名前の女がこなかったか。金髪で背の高い女だ」

 

 クライブはエルザを追って長いこと色んな国を渡り歩いているのだ。その目的は罪を犯したエルザの処刑と、彼女が持ち逃げした二つの(ガン)を取り戻すことだ。

 

「おっとっと、慌てなさんな。”エルザ”だろ、来たともよ。手紙まで残していったから、忘れてないよ」

 

「その手紙を見せろ!!!!」

 

 ク、クライブ、少し落ち着いて。興奮しすぎ。

 

「こういう仕事をしているとさぁ、言付けを頼まれることも多い。一応、預かっといたよ……。おっと、あったあった。はいよ」

 

 手紙を渡される。どうやら間に合ったらしい。

 

「あの女……いったいどういうつもりだ……俺をからかっているのか? すまないな、ティル。ここにあいつはいなかった。手紙じゃ、グリンヒルの西、森の村に向かったらしい」

 

「グリンヒルか……まだ同盟を結んでいないけど、これから結ぶ予定だよ。その時になったらまた連れて行くよ」

 

「すまない。軍の方で色々あるだろうに……」

 

「クライブには力を貸してもらっているからね。その対価みたいなものだよ」

 

 とりあえず、グリンヒルに行く時は注意だな。これでクライブの用事は一旦終わり。次だ。

 

 同じ宿屋の中でうんこ座りしていた、ヤンキーのような金髪の男を発見。賭博師のシロウだ。

 

「うん? なんだてめぇは? ……ふぅむ、俺はガキを相手にはしねぇが、てめぇは別みてぇだな。何か話でもあんのかい?」

 

 僕と契約してデュナン軍の仲間になってよ! と。

 

「デュナン軍か……よっしゃ! じゃあ勝負だ!!!」

 

 当然そうりますよねー。さて僕の運はいかばかりか。

 

「いくら賭ける?」

 

「じゃあ九千九百ポッチ」

 

 賭場の上限まで賭ける。

 

「おっ太っ腹だねぇ。いい根性じゃねぇの」

 

 さて、またアレである。先攻はシロウだ。チンチロリーン。

 

「……五か。まぁまぁだな」

 

 よし、僕もチンチロリーン、と。

 

「……二のゾロ目。僕の勝ちだね」

 

 相変わらずついている僕。ホントに何かついているのかもしれない。

 

「おお、あんちゃんの勝ちだな。へへっ、運の太ぇ奴は好きだぜ。わかった。デュナン城ってとこで賭場を開けばいいんだな? ならやってやんよ」

 

 テレレレッレレー。シロウが仲間に。

 

 民家の一つに足を運ぶ。

 

「ん? なんだい? こっちは仕事もない風呂職人よ」

 

 ここにいるのか。メモメモ。後で来よう。

 

 また民家に突撃。おばあちゃんがいた。とうとうと話をする。すると色んな情報を教えてくれた。おばあちゃんすてきー。

 

「このおばあちゃんをそこまで気に入るとはねぇ」

 

 情報は大事ですからね。

 

「でも、毎回ここまで来るのは大変ですよ」

 

「そうだろうねぇ。じゃあ、支度をしようかい。大丈夫よ、私一人でも行けますからね。デュナン城に行きますよ」

 

 情報通のタキおばあちゃんげっと。

 

 よし、この町では、今は仲間にし終えたな。じゃあトゥーリバー市に行こう。魔物はガンガンと遠くからクライブに撃たれる。撃墜できなくて接近してきた奴は僕が棍で打ちのめす。ゲンゲンの剣も閃く。

 

 数日かけてトゥーリバー市に到着。リオウ達は先に着いていることだろう。早速宿屋へ。そしたら隣の部屋で金髪の男性と遭遇。鼻が独特な形をしていらっしゃる。

 

「ふぅーっ。私、お店を出せるって聞いたから、西のゼクセンからはるばるやってきたんですよ。それなのにもう防具屋はあるって話だし……はぁ。参ったなぁ」

 

 ハンスというその人。デュナン城ならお店を開いてオッケーです。千客万来ですよ。

 

「へぇ、お城が……。じゃ、じゃあ、私がお店を出してもいいんですね?」

 

 だからいいってば。防具屋開いてよ。

 

「そ、それは……おいくらぐらい出せば……」

 

 タダでいいですよ。出店料なんてとらないよ。

 

「ほ、本当に!!? ありがたい!! 神のお導きだぁ!! 大ラッキーです。じゃあ早速行きましょう」

 

 僕達は用事があるからレイクウェストの船着場で待っているタイ・ホーと合流してね。

 

 次に行ったのは紋章屋だ。ここには……。

 

「ふふふ……お久しぶりね……ティルさん……」

 

 と、赤月帝国の解放運動時にトラン城で紋章屋として働き、かつ魔法部隊の隊長も務めてくれたジーンさんがいる。当然仲間になってもらう。

 

「ふふふ……また、仲間に? ……仲間になって欲しいの……? ふふふ……いいわよ……」

 

 含みのある口調。こんな人だったか? ちょっと、いやかなり性格というか口調が変わっているような。ホントに同一人物だろうか? ま、まあいっか。

 

 それじゃあ人の居住区は回ったから、コボルトの居住区へ。まずはタコスフライだ。ほかほかになれるタコスフライを買うのじゃ。

 

 道を歩いている半獣人ボブを見かけた。寂しんぼの君には朗報だ。僕と仲間になってくれれば、友達百人できるよ!

 

「へっ、いいだろう。お前を認めてやるぜ。お前の背中、大勢の仲間が見えるからな」

 

 確かこいつは仲間人数が関係している人物だと思ったが、僕が勧誘したことで、三年前の仲間でカウントされたんだろうか? まあいいや。こいつは攻撃力がトップクラスに高いからね。

 

 家があるので入ったらガボチャがいた。コボルトの戦士だ。

 

「ゲンゲンさん!」

 

「ガボチャ!! 元気にしてたか?」

 

 このコボルト達は知り合いなのだ。

 

「ゲンゲンさん、傭兵隊はどうしたの?」

 

「傭兵隊は悪の軍にやられたが、ゲンゲンは立派に戦ったぞ」

 

 うんうん。実に立派だったよ。

 

「ゲンゲンさんのいいところ、ガボチャも見てみたい」

 

「デュナン軍に入れば見られるよ」

 

 言葉巧み……でもないか、ストレートに誘う。

 

「ティル、ガボチャは……まだ早い」

 

「ならゲンゲンの部下にしよう。しっかり守ってあげてね」

 

「わーい」

 

「むぅ……仕方ない。ゲンゲン頑張る」

 

 さて、君達もレイクウェストで待っていてくれ。この後戦争があるけど、知り合って軍に入ったばかりだし、連携の訓練とかもしていないからね。では、仲間集めは終わったから、次はあれだな。ちゃんと調査しておこう。

 

 

     §

 

 

 レイクウェストから西へ。歩きながらフィッチャーさんと会話。トゥーリバーについて教えてもらう。人間だけじゃなく、翼をもつ翼人(よくじん)ウィングホード。そしてコボルト族が一緒に暮らしているというのだ。

 

「へぇ、じゃあ三つの種族が仲良く暮らしてるんだぁ」

 

 ナナミが感心したように言う。

 

「ま、まあ仲は良くもなく悪くもなく……。居住区もそれぞれ分かれておりますし」

 

「そうですか。他の種族とも協力できれば心強いですね。それで、丘上会議で見た、マカイ殿はどんな人なんですか?」

 

「三つの種族でバランスをとっています。為政者としては能力が高いお方ですね。ただ、いざという時の決断力には疑問を感じます。ちなみにトゥーリバーは三つの種族からなる三院会議で運営されています。それをまとめるマカイ殿は全権大使と呼ばれているのですよ」

 

 質問にテキパキと答えてくれる。頼もしいな。普段はへらへらとした態度のフィッチャーさんだが、俺は好感を持った。そうしてトゥーリバーを目指して歩いていく。

 

 しかしティルさんはまた仲間集めか……どれだけの仲間を集めるつもりなのだろう。

 

 出発してから数日後、トゥーリバー市に到着した。

 

「それでは先に市庁舎へ行っています。マカイ殿に話を通す必要がありますからね。なのでリオウ殿は街の見物でもして後からお越し下さい」

 

 そうして市庁舎に入れるよう紹介状を渡される。

 

 川が近くにあり、風は涼やかだ。サウスウィンドゥと雰囲気が似ている。瓦屋根の建物だからだろうか? 街には着物を着た人で溢れている。

 

 そんな風に見物しながら歩いていると、

 

「オラァ!」

 

 ばきぃっと音がして背中に黒い翼のある少年が吹っ飛ばされた。俺の背中側には拳を突き出しているオウランさんが。

 

「その歳でスリなんてみっともない真似はやめな」

 

「ぐっ、ち、ちくしょう……人間なんかに……」

 

「オ、オウランさん……子供だよぉ」

 

 ナナミはいきなりの暴力に戸惑っている。が、

 

「スリ……か。随分ろくでもないんだな」

 

 ウィングホードってのは皆こんななのか? ……いや、偏見は駄目だ。これから協力するかもしれない相手なのだから。リーダーとして偏見なんて駄目だよな。

 

「うるせぇっ!! 人間が!」

 

「……」

 

 どうやら人間を差別しているらしい。そっちがその気ならこっちだって……いや、だからそれは駄目だ。向こうが人の物を盗む奴でもこっちは友好的にならないと。しかし感情的に納得できない。人の物を盗もうとしたくせに。むかつく。

 

「とりあえず、ここの軍に引き渡すか」

 

「げっ。や、やめろよっ!」

 

 少年は翼をはためかせて飛んで行った。容姿を覚えておいて後で通報するか。

 

 そんなことがありつつも市庁舎に行く。と、

 

「この男、フィッチャーはサウスウィンドゥ偵察中に逃亡した。我らがトゥーリバーの下で働いておきながら、だ。その後はハイランド軍を破った人物を連れてきたと言い逃れをする始末。これから百叩きの刑に処する」

 

 緑の軍服を着たコボルトが、フィッチャーさんを吊し上げていた。ゲンゲン隊長と違って背が高くガタイがいい。

 

「ほ、本当なんですー。もうすぐリオウ殿が来るはずですよ! あと、ほんのちょっと待って下さいリドリーどのぉ!」

 

 どうやらあのコボルトの男性(?)はリドリーと言うらしい。と、俺が名乗り出ないとまずいことになりそうだ。俺は慌てて二人の前に出た。

 

「フィッチャーさん、どうしたんです? 私がデュナン軍を率いるリオウと申します」

 

 一人称を変えているのはシュウさんの教育によるものだ。軍のリーダーとして勉強しておいて良かった。

 

「この方こそ英雄のリオウ殿です。ハイランド軍を打ち破ったのですよ!」

 

 すると周りにいた兵士や老人が反応する。

 

「まさか……?」

 

「こんな少年がか?」

 

 まあそういう反応になるのは当然だよな。

 

「貴方がデュナン軍のリーダー……」

 

 リドリー殿は考え込むように俺の目を見る。

 

「まだ若年ゆえ驚かれたかもしれませんが、私がデュナン軍でリーダーを務めています。どうかお疑いなきようお願い申し上げます」

 

「ほら、来るって言ったじゃないですか!」

 

「失礼だが、私には貴方が本物かどうかはわからない」

 

 うーん、頭が固い。なら、これでどうだ。俺は革手袋を取って右手の甲を見せた。

 

「これでどうでしょう? 私の養父ゲンカクが宿していた“輝く盾の紋章“です」

 

「……これは確かに。わかりました。それでは、我らがトゥーリバーを率いるマカイ殿に会って頂けますかな?」

 

 当然了承する。よし、こうやって少しずつ顔を広めて行こう。

 

「助かりましたよリオウ殿」

 

 胸をなで下ろすフィッチャーさん。あまり信用されていないのか? まあいい。中に行こう。そこには白と青の着衣を来た男性がいた。

 

「これは、リオウ殿ですね。初めまして。私がトゥーリバー全権大使のマカイです」

 

 丘上会議で見た顔だ。間違いないな。マカイ殿にも挨拶をする。

 

「しかしお若いリーダーでいらっしゃる。私も都市同盟の市長の中では最年少でしたが……貴方は更にお若い」

 

「ゲンカク殿の名前があればこそです。デュナン軍にはミューズ市市長のアナベル様ももちろん在籍しております。今回の旅には同行できませんでしたが」

 

 ジェスさんのフォロー。

 

「英雄の継嗣……というわけですか」

 

 血の繋がりはないけどな。そしてマカイ殿は俺を歓迎すると言ってくれた。良かった。とりあえず認められた。

 

「共にハイランド軍から同盟の地を守りましょう」

 

「はい」

 

 おお、ハイランド軍に脅威を感じているようだ。頷いておく。それと、先程起きた出来事を話す。

 

「それは……災難でしたな。御迷惑をおかけしたようで」

 

「ウィングホードとはよくあのようなことをするのでしょうか?」

 

「ええ……お恥ずかしながら、かれらはならず者でして……」

 

「奴らめ、トゥーリバーの面汚しです」

 

 鼻息荒く怒るリドリー殿。あ、やっぱりそういう扱いなのか。

 

「ウィングホードにも困ったものです。元々はティントの山奥に住んでいたのに、八十年ほど前からトゥーリバーに居着くようになり……三院会議においてトゥーリバーの市民とは認められていますが……ね」

 

 どうやらだいぶ手を焼いているようだな。そしてマカイ殿は宿、「若葉亭」を手配してくれた。なのでそちらで泊まることにした。なんとか、初対面ではいい印象を持たれたようだぞ。このまま同盟の話にもっていきたいな。

 







後書き
 カレンとナナミは「ちゅうちゅう」という魔物からドロップする「バランスの紋章」を宿すと化けます。常に二倍ダメージで攻撃できるようになりますからね。更にカレンはもう一つ紋章を宿せます。そこに基本攻撃力をアップするあの紋章を宿せば……。

 トゥーリバーってキーボードで凄く打ちにくいですね。しかも何度も登場する単語だし……。書いていてうがぁーとなりました。

 チャコ撃沈。オウランさんは強かった。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。