今回はいつもより長めです。
僕はハンフリーとフッチを引き連れてリオウ達と合流した。だけど、僕はまたデュナン城に直接戻らず仲間集めだ。まずはグリンヒル北西にある森の村だね。
「どけよエイダ!!! どうして化け物を助けるんだ!!!」
そこには大きな、本当に大きな鳥の魔物――グリフォンが弱っていた。村の中に鎮座している。傷を負って弱っているんだ。
「……………………………………だめだ」
村人とグリフォンの間に立ちはだかる女の子。弓矢を持つ狩人姿、バンダナをした長い髪を編みこんでいる。性格は気丈だ。
「お前の親だってそいつの仲間に殺されてんだぞ!!」
親をグリフォンに殺されたのか。中々にヘビーなお話である。
「そのことを忘れてなどはいない………………だが、それでも、傷つき弱っている命を奪う。それは、違う」
あ、僕と同じような考えの人だ。
「そいつの傷が治ったらどうするんだよ!!! 今度は俺達が……」
「こいつが、『必ず』そうすると決まったわけじゃない。それに、そうなったら戦うさ。正面からな」
「そいつは化け物なんだぞ!! 襲ってくるに決まってる!!!」
「命に人や化け物といった種類なんてない。戦いの中で行われる命のやりとりとは別なんだ。このまま殺したらただの虐殺だ」
うーん、三年前の自分を見ているようだ。
「みんな! 構うことはねえからやっちまえ!!」
と、いけないな。止めるか。
「そこまでだよ」
ヒュッと根をならして構えて割り込む。それと同時にグリフォンが「キィィィ」と鳴いた。だけど襲ってきたりはしない。
「な、なんでぇ。脅かして」
「お、おい……アレを見ろよ!!」
そこに三体のグリフォンが飛んで来た。
「うひぃぃい仲間を呼んだぞ! 逃げろぉ!!」
村人達はバラバラに逃げた。
「違う。こいつらは仲間じゃあない……弱ったこいつを食らうつもりだ……させない!」
三体のグリフォンに一人で立ち向かうが、やられてしまう女の子。一人では無理だよ。
「グレミオ、テッド、やるよ!!」
「ええ」
「おう!」
と言っても、
「疾走する雷撃!!」
一撃だけどね。一列に並ぶなよ。カモだぜ。
「大丈夫かい、君。――優しさの雫」
ぽちゃりと大きな水の雫が落ちて回復する女の子。
「お前達は……?」
聞かれるが、先に僕はバドからもらった聞きみみの封印球を掲げた。それは先程から輝いていたのだ。
「ありがとう……優しき少女よ……優しき少年よ……我が名はフェザー。君達に我が力を貸そう……」
声が聞こえた。グリフォンの声が。キニスンとシロでもないのに意思の疎通ができたのである。そこでエイダともお話。
「そうか……デュナン軍……人の戦いか……」
顔を上げるエイダ。
「私もお前の力となろう。……戦い抜いてみせよう」
ありがとう、と。一人と一匹が仲間になったぞ。お次はコボルト村である。
帰り道でコボルト村にやってきました。聞きみみの封印球が輝く。なので空に掲げた。出てくる白い馬。頭には角。
「私を呼ぶのは……貴方か……少女よ……」
「いや、私は……」
困惑するエイダ。封印球を掲げたのは僕だっちゅーねん。
「ならば、精霊に従って約定を結ぼう。白き一族の一人として神聖なる乙女に力を貸そう」
ユニコーンのジークフリードが仲間に。……あのさぁ、非人間多くね?
§
マイクロトフさん達を加えたデュナン軍だが、虐殺が行われているであろうミューズへの調査と進軍には慎重にならざるを得なかった。
「王国軍も手をこまねいているばかりではないでしょう。密偵の報告によると、明日辺りに何か動きが見られるとのこと。とにかくお休み下さい」
「明日からは、また戦い、かぁ……」
寂しそうに言うナナミ。悪いな、いつも。
そうして翌日。
「リオウ殿、ただいま斥候を行っていたリドリー将軍より伝令が。それによると、王国軍がいよいよやってきました。クスクスに到着後、ラダトを急襲したそうです」
広間でシュウさんの話を聞く。
「うん。しかしどうしてラダトを狙ったんだろう。王国軍が来るなら俺達が狙いだと思っていたけど……」
「最終的な狙いは我々で間違いないでしょう。ラダトを落としたのは、背後を突かれる恐れを排除する為かと。更に、ラダトはミューズ東部とも繋がっていますからね」
俺達の会話を神妙に聞くみな。
「今度こそ敵も本気、という訳だね。本格的な将がついているだろう。気を引き締めてことに当たろう」
ティルさんが発言すると、みな頷いた。
「街は占領されちまったのか?」
尋ねるビクトールさん。
「いやね。それがどうにもわからんのです。次の知らせが出る前に占領されたとしたら、敵はかなりのものですね」
とフィッチャーさん。
「ラチがあかねえな。俺達で行って調べてみようぜ、リオウ」
「何を言う、ビクトール! リオウ殿をそのような……」
俺の身を案じるシュウさん。しかしビクトールさんは気楽に笑う。
「なぁに、大丈夫よ。俺がついてるって。なあ、散歩代わりにでも行こうぜ」
……強引だなぁ。まあ、でもいいか。行くだけ行ってみよう。この目で確かめるんだ。
§
と、いうことでラダトに向かうリオウとビクトールであった。が、僕は僕でクライブを連れて、ラダトの街にある酒場にやってきたぞ、と。
「おい、主人」
「は、はい? 何でしょうか?」
「エルザという女を知らないか? 金髪で、背が高い女だ」
クライブ……君ってちょっと残念な人だったんだな……気づけ。
「え……えぇっと……それは……」
「知っているのか!」
「えっと……多分、その人は……」
「なんだ?」
「そこにいる人じゃ……」
指し示す主人。いた。っつーか最初からいた。気づけよクライブ。
「やっと来たのかい、ぼうや。そろそろ、次の街へ行こうと思ってたんだけどねぇ」
「貴様……今こそ……決着を……」
「ここでかい? 昼間から飲んでる客に当たるよ。執行に死人を出してたんじゃ、ギルドの名誉に関わるんじゃないかい?」
剣呑な雰囲気で武器を取り出すクライブに、一目散に逃げる大勢の客。はた迷惑だなぁ。主人も困り顔だ。
「……聞け、罪人……我が兄にして、ギルドに認められたガンナー、ケリィを殺した罪を……我がガン、シュトルムの名において、その死をもって償ってもらう」
「なぁ、クライブ。一度は、心を許しあった仲だ。見逃しては、くれないかい?」
心を許しあった……か。そんな二人が戦い合うのは悲しいな。クライブがエルザを憎んでいるのも。
「言うな……ギルドのガンナーを殺したこと、ガンを奪い逃げたこと、ハルモニアの法に照らせば、どちらも死に値する罪だ」
そう、この二人はハルモニア神聖国のギルド、その人間だ。エルザは過去形だけど。
「ふん……つまらない掟だね。このガンの重さ以外に…………信じられるものがあるのかい?」
「貴様を殺し……信じるものを取り返す……」
「…………いいだろう、構えな。ガンナー同士の勝負だよ」
「違う!!!! 貴様は罪人で、俺は執行人だ!!!!!」
「なら、好きにするさ!!!!」
一瞬でガンを取り出し撃ち合う二人。だが”何故か”クライブのガンからは弾が出なかった。ドゥン! とエルザのガンから音がして、一方的に撃たれたクライブ。
「シュトルム……何故……」
自分のガンに疑問を呈するクライブ。その体がぐらっと崩れ落ちる。
「じゃあ、またね……かわいいぼうや」
銃弾を撃ち込まれたクライブ、急いで救護しなきゃ。クライブを抱えて外に出て、宿屋のベッドを使わせてもらおう。それと、人を使いに出して、ホウアン先生を寄こしてもらわなきゃ。
………………………………。
「ここは……俺は……生きてる?」
ホウアン先生が枕元に言葉を落とす。
「クライブさん、運が良かったですよ。”弾”……ですか? あの鉄の塊は、肩と足に当たっただけで急所を外していました」
「…………騎士クラスガンナーの弾が……外れた……馬鹿な……」
わざと外した。クライブを殺すつもりなどなかったのだろう。
「もう少しズレていたら……死んでいましたよ。狙ったのだとしたら、凄い腕です……」
「きっと狙ったんだろうね。クライブ、あの女性は君を殺す気がなかったんだよ。彼女については、デュナン軍で追跡させている。とりあえず今は傷を治すことに専念した方がいい」
「…………」
沈黙のクライブ。まあ色々と考えているんだろうな。しかし、この一連の出来事を進めていくとあの結末しか待っていないんだよね……鬱だなぁ。人が死ぬが嫌な僕だけど、防げない死もあるのは認めざるをえない。エルザとクライブについては二人の問題だ。二人にしか解決できないのだ。……まあ、そう言って放っておくとああなるんだけどね。
§
ラダトの街だ。王国兵の水色が目につく。水色の軍服や鎧姿がちらほらと。
「いるぜ。王国兵だ。よくまあ手早く占領したもんだ。ほとんど混乱してねぇな」
ビクトールさんの言葉通り、街にはそれほど騒ぎになっている様子がなかった。中に入ってみるか。
「んん? ありゃあ……」
人だかりだ。その中心には、キバ将軍とクラウスがいた。
「聞け、今日からこの街はハイランド王国の支配下だ。秩序を乱す者は民、兵を問わず厳しく処罰するものとする」
とクラウス。
「それじゃあ私達の命は……」
「ミューズの市民はみな殺されたと……」
市民は不安げにささやく。
「つまらん噂に惑わされるな! 皇王アガレス様の名の下、そのようなことはないとこのキバが約束しよう!」
大声で叫ぶキバ将軍。やはりあの二人はそこまで悪辣な人間ではないようだ。ルカが来るよりマシか。
「戦いさえ終わるなら、……王国軍もデュナン軍も関係無いよな」
そううそぶく市民達。まあいいか。市民が害されるのでないことはわかった。今は引こう。
「リオウ殿」
あ。
「やべ」
「何か用ですか?」
とっさにそんなことを言ってみる。クラウスの奴は静かにこちらへ来た。
「またお会いしましたねリオウ殿。残念ながらジョウイ殿はこちらには来ていませんよ。彼は皇都ルルノイエにいます。皇女ジル・ブライト様との婚約が行われている頃でしょう」
「は?」
こんやく? こんにゃく?
「トゥーリバーでは敗れましたが、今度は全力でもって戦わせて頂きますよ。それでは失礼します」
…………………………な、何かおかしなことがあった用な気がする。ま、まあ、気のせいだよな。うん。ジョウイがこんにゃくとかわけのわからんことを言いよって。こちらを混乱させるつもりなんだろう、うん。きっとそうだ。
デュナン城に帰還。広間に行く。皆に報告だ。
「無事に戻られましたか」
「俺様がついてるんだ。心配いらねぇよ。それより敵がハッキリしたぜ。キバとクラウスだ」
情報も集まったのだろう、アップルさんが説明を始める。
「ラダトを陥落させたのは、王国軍第三軍というわけね。よほど手際よく落としたようで、街にはさほど混乱が見られないとか」
キバ将軍……トゥーリバーで一度戦った相手だが、撃退できたことに浮かれてはいない。強敵なのは間違いないのだ。それに、軍師である息子のクラウスもいる。油断などできようはずもない。だが、ミューズへ行くにはまず彼らを撃破しなければならない。
「実際に見てきたよ。確かに大きな混乱はなかったし、非人道的なこともしない様子だった」
「敵が正面から来るのなら、こちらとて正面から迎える。それだけだ。以前とは将の数も兵の質も変わっていると思い知らせてやろう」
自信満々に、シュウさん。だが、一つ難題が。
「ただ、一つ心配事が。このサウスウィンドゥ市国で戦が起これば、都市同盟の領土を狙う南のトラン共和国も動くかもしれません」
懸念を話すのは長年サウスウィンドゥの政務を担当していたフリードさんだ。
「ああ、そこで、以前から計画していたことを実行に移そうと思う」
以前からの計画? シュウさんの言葉を引き継いで、アップルさんが言う。
「リオウ君、デュナン軍の兵力は二万五千。これはハイランド王国軍の一軍団とほぼ同じです。王国軍に軍団は四つ。その内第一、三、四軍団が出陣中です」
「ええ、俺はもちろん知っています」
「そうでしたね。とにかく、王国軍がこの城に総攻撃を仕掛ければ、ひとたまりもありません」
「僕達の力が大きくなったから、戦いの矢面に立たされることになったというわけだね」
とティルさん。
「ティント市国は国境を閉ざして立場をはっきりとさせていません。幾度となく使者を送りましたが、全て無視ですよ」
嘆くフィッチャーさん。
「グリンヒルは占領下、マチルダ騎士団はあの調子、ティントは閉じこもってる。これ以上は頼る相手がいねぇ」
ビクトールさんが天を仰ぐ。
「時間はあまりありませんぞ。ルカ・ブライトがいつまでも我らを放っておくはずがありません。奴が前線に戻ったらすぐ戦です」
リドリーさんが腕組みをして考え込む。
「そこで……」
シュウさんが言いかけた時だ。軽い調子の声が割り込んだ。
「なら親父に頼めばいいじゃん」
その短い金髪の男は、赤いシャツの上に緑色の服を着て、黒い色のすっきりとしたズボンを穿いている。顔の形が整っているのもあいまって、スリムな印象を抱かせた。いきなり広間に入ってくるなんて、誰?
「よぉアップル。元気かぁ? なんだいなんだい。結構女っぽくなっちゃて」
アップルさんの知り合いか?
「久しぶり、というか相変わらずだねシーナ。だけどさっきの話はね、こっちでも前から準備していた話でもあるんだよ。君のお父さんにも、水面下ではあるけれど話は通してあるんだ」
「おうティル。そっかそっか。なるほどねぇ」
「どういうことですかな?」
不思議そうにするリドリーさん。
「彼はトラン共和国の大統領、レパントさんの息子なんだよ」
説明してくれるティルさん……って。
「トラン共和国!?」
「大統領の、息子……」
「一応。その通りです。一応……」
アップルさんは恥ずかしそうだ。後で聞いたが、同郷なので、身内が恥ずかしいことをしているような気になるのだと。あまりに軟派な人物なのでそれがお固いアップルさんは恥ずかしいのだとか。
「トラン共和国って……シュウさん」
「ええ、都市同盟の南にかつては存在した、都市同盟と何度も刃を交えていた赤月帝国。その最後の皇帝バルバロッサ・ルーグナーを打倒して作られた新しい国です」
俺も知識としては半端だが知っている。ティルさんやビクトールさん、アップルさんもその解放運動に参加していたという。ティルさんは解放軍でも顔が知れていたらしく、デュナン軍に仲間になった人にも、その運動に参加していた人が多い。
「現在はレパント殿という方が大統領を務めていますが、本来であれば、赤月帝国を打倒した人物がその任を務めるはずだったのです。その人物というのが……」
シュウさんがちらりとティルさんを見やる。
「そこにいる、ティル・マクドールというわけだ。ティルは解放運動の、トラン解放軍のリーダーだった男。そして共和国建国後は大統領の座を蹴った男なのだ」
は?
「え?」
「……」
「ティ、ルさん、が……え?」
「えぇぇ!?」
俺とナナミは驚きで固まってしまったが、他の人達は静かにティルさんを見ていた。当の本人はいつものようにニコニコとしている。…………というか、皆知っていたらしい(まあデュナン軍の主要メンバーは都市同盟の偉い人が多いのだ。当然ではあるのだが、それなら誰か事前に、俺に知らせておいて欲しかった)。
「二年と少し前くらいに、グレミオとテッドを連れた気ままな三人旅に出て、最初にビクトールのところを訪れたんだ。そして傭兵になった。元の経験を生かしてね」
「最初に話を聞いた時は驚いたもんだよ。飲んでた茶を噴き出しちまうぐらいにはね」
「都市同盟でもだいぶ大きなニュースでしたね」
とアナベルさんとテレーズさん。
「か、解放軍のリーダー……」
そ、それならあれだけの人を集めることができたのも納得がいく。いや、でも、しかし、いいの? 大統領になるべき人が一傭兵にって。なんて無茶だよ!?
「とにかく、リオウ殿。ティルはトラン解放軍のリーダーだったこともあり、現大統領のレパントとも親しい仲。故にトラン共和国と同盟を結び、できることならば一軍でも借りられないかと水面下での事務調整が行われていたのです」
「そ……」
そりゃあ、隣の国から一軍を借りられれば兵力は増えるだろうけどさ。え? いいのか? それ?
「し、しかし、赤月帝国は、いえトラン共和国は名前が変わったとはいえ、都市同盟の敵なのです。その相手と同盟とは……」
あわあわと慌ててフリードさん。彼は国境のサウスウィンドゥで副官を務めていたから、抵抗があるとのことだった。
「だから、今はもう赤月帝国は滅んでるんだって。トラン共和国になったんだよ」
と軽い調子でシーナさん。
「フリード。トラン共和国はかつての赤月帝国とは別の国。そしてデュナン軍も都市同盟とは別の軍なのだ。同盟を結ぶことはできる。リオウ殿。最終的な決定は貴方に委ねますが……どうなさいますか?」
「いや、そりゃあ、力を借りられるならありがたいとは思うよ」
「俺もそれがいいと思うぜ」
「トラン共和国に行くのなら、ラダトの街から行く方法があります……」
悄然として言うフリードさん。
「よっしゃ決まりだ」
「で、ですが、私は……」
彼はやはり煮え切らない態度のままだ。
「いい加減にしろ。過去にこだわりすぎて今を見失うな。サウスウィンドゥそのものがなくなるかもしれんのだ!」
声を荒げるシュウさん。
「…………わかりました。リオウ殿、私が案内をします」
「俺もついてくぜ。その方が、ハナシが早いだろ」
「トラン共和国に行くなら僕も当然行くよ。グレミオ達も連れて行こう」
そうして人を引き連れてラダトへと。準備が整いさあ出発という時だ。
「リオウ殿、お願いが」
フリードさんからお願い? 珍しいな。
「ラダトへ行く前にサウスウィンドゥへ寄って頂けますか? ただのわがままなのですが、もしよろしければ……」
「別に構わないですよ」
「……」
ん? ティルさんが何か考えている。ちょっとビクビクする。だ、大統領になる人かぁ。俺じゃなくてティルさんが戦争を仕切った方がいいのでは。
ビッキーさんのテレポートも考えたが、そのままラダトに行くので、馬を飛ばしてサウスウィンドゥへやってきた。市庁舎の前で立ち止まるフリードさん。
「リオウ様……サウスウィンドゥが落ちた時……降伏するという道を選んだグランマイヤー様の首が、この市庁舎の前にさらされたと」
「うん」
直接見たことはないけど。当時サウスウィンドゥにいた人達は見ている。その絶望的な光景を。
「グランマイヤー様はお優しく、三年前に起きたトラン共和国との国境争い、その時に退却という方針にしたあの方を、ティント市は“腰抜け”と罵りました」
ティント……。
「ハイランド王国軍に降伏したことも、結果的に市民を苦しめたのかもしれません。世が世なら、グランマイヤー様は名君と呼ばれたでしょう。しかし、『優しい』ことが罪悪である世なのだとしたら……」
「それは違うよフリード」
ティルさんが言う。
「優しさが罪悪なんてことはない。きっと、ない。市民だって、ハイランドを撃退して平和が訪れたら、グランマイヤーさんを思ってくれるはずだよ」
「ティル殿……そう、ですね。わたくしはグランマイヤー様を誇りに思っています。だから、サウスウィンドゥを救う為、全力をもってことに当たります」
フリードさんも覚悟を決めてくれたようだ。よし、苦汁の決断をしたフリードさんの為にも、この同盟は成功させるぞ。
§
という決意をしているところ申し訳ないが、仲間集めのターンである。そのままサウスウィンドゥで二人に声をかける。まずは赤一色の服を着た男。
「私はキリィ。シンダルの道を追う者だ……」
「シンダル? シンダルって確かあそこの……」
リオウが白鹿亭の裏手にある遺跡について説明する。
「ふむ……ほぅ。なるほど……是非その場所を見てみたいものだが……」
今はハイランド王国軍が占拠しているから無理だよ。デュナン軍がハイランドに勝ったら行けるようになるよ。仲間になってくれませんかー。
「む……軍か。なるほど………………いいだろう。その軍とやらに入ろう。その男にも話を聞いてみたい」
アレックスを微妙に餌にして、仲間に加入。城に行っててね。
「だめだよ! こっちも商売なんだからね!!! ただでさえ戦争で大変なんだ!!!」
宿屋に寄ると、騒いでいる主人と女の子。
「ごめんなさい……わたし、お金がなくて……力もないから仕事も……」
うぅん。なんて薄幸そうな女の子なんだ。これは助けなきゃ。
「で、でも……聞いて、下さい……私、歌なら……」
「ちょーっとお話いいですか」
間に割って入る。
「君、歌を歌えるんだね。だったらここから北にあるデュナン城ってところに来てくれないかい? そこで兵士の皆に歌を歌ってくれれば、食べ物と寝床は保証するよ」
「え……本当ですか……?」
「本当さ。城に行って、ティルって名前を出せばすぐ仲間になれるからさ」
「あ、ありがとうございます……私……歌うことしかできないけれど、精一杯歌います」
音楽家の一人、アンネリーが仲間になった。これで娯楽も充実だ。
移動してラダトに到着。王国兵に見つからないよう、当然変装はしている。ここの酒場で情報収集と偽ってあいつを……と、いた。
「へへへっ!!! そりゃ、そうさ!! こーのおいらが一睨み!! 王国軍は退散していったということさ!」
馬鹿なことやっているなぁ。あの男。リオウの偽者なんて。酒場に集まった人は大人しく話を聞いている。お酒や食事を振舞ったりしている。タダで飲み食いする為だけに偽者をやっているのだ。あまり仲間にしたくないなぁ。
「それで……」
おっと、これ以上リオウの名誉を傷つけるのは頂けないな。
「そいつ偽者ですよ」
割って入る。
「な!?」
「え……や、やっぱり。何かうさんくさいと思ったんだ」
「お、おいおい。デタラメ言うなよあんちゃん」
反論する男。
「だって、僕はデュナン軍の一員ですからね。と言ってもただの一兵士だけど、デュナン城に住んでいるから、リオウ様の顔は見たことがありますよ」
「!?」
というか本人がちょっと離れた所にいるんだけどね。
「それに……」
近づいて、そいつの右手に書いてある。紋章のような模様を消してやる。
「ほら、こすったら消えた。これ紋章じゃなくてただの文字」
「あ………………ちょ、ちょっと待って」
だだっと逃げやがった。だが、酒場の入口には兵士。
「やっと見つけた。貴様だな。リオウ様の名前を騙って、あちこちに行っちゃあタダで飲み食いしやがって!! サウスウィンドゥ、トゥーリバー、ロックアックス。各地でやりたい放題やりやがって!!」
「いや、俺、あの、ロックアックスになんて行ってねぇし……」
ロックアックスは別人である。まあ悪行の報いだ。普段の行いが悪いからそうなるのだ。男は兵士と町民にぼっこぼこにされた。
「で、大丈夫かい?」
「ひ、ひでぇよ……こんなに、し、し、しやがって……」
顔が倍くらいに膨れ上がっているぞ。
「僕はさっき言ったようにデュナン軍の一員だ。君がもしも真面目に働く気があるなら、デュナン軍を訪ねてくるといいよ。ティルって名前を出せば兵士達も取り合ってくれるはずさ」
「え……」
ここで仲間になったりはしない。トランへの用事もあるしね。自分から城を訪れるようなら仲間にしよう。訪れなかったら仲間にならない。まあ本人にその気がないのに無理矢理軍に入れるのもねぇ。本人にやる気がありすぎて無理矢理軍に入れさせろという人はいたけどね。
さて、用事も終わったしリオウと合流しよう。
「バナー行きの船が準備できてるよ。バナーからはトラン共和国へ行ける」
という人の情報もあり、船着場へ。
船でどんぶらこっこと移動。バナーの村に着いたぞ。さっそく道具屋へ。
「バラの胸飾り? ああ、確かにあるよ」
ということで購入。これであいつが仲間になる。
「リオウ様。ここから山道を行けばトラン共和国ですよ」
「僕が先導するよ。ここの魔物も強いからね」
いや、本当に強いんだよ。特に侍鎧を着た奴らがね。でもお金(ポッチ)はおいしいです。
さて、進んだ先で登場しました。ワームこと巨大芋虫です。ボス敵だね。
「やれやれ、まーたこんなのかよ」
ぼやくシーナ。
「行くぞ!」
リオウの掛け声と共に攻める。基本的に飽和攻撃するだけでいいはずだ。それぞれが持つ武器を叩きつける。と、敵もさるもの。こちら全体に雷を撃ってきた。
「――戦いの誓い!」
リオウが回復しつつ、身体能力も強化。こいつは魔法に強かった記憶があるから、せっかくなので棍でガツガツと直接攻撃だ。グレミオの斧とシーナ、フリードが剣で斬る。オウランは拳で、リオウはトンファーで殴る。そしてテッドの矢がざくざくと突き刺さる。十分もしないうちに倒れた。一段階目は弱いなぁ。まあ二段階目と戦う予定はないけど。
「ふいーマジの戦闘とか勘弁してくれよ」
そう言うないシーナよ。君強いんだからさ。
そうして国境にさしかかる。当然のようにそこを見張る兵士がいる。しかし顔見知りだ。
「ティ、ティル様!」
「国境警備お疲れ様。バルカス」
元山賊のバルカスとも長い付き合いだ。
「既に先触れは届いていると思うけど、都市同盟の新同盟軍、デュナン軍の者として来たよ。こちらはリーダーのリオウだ」
「リオウです。よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げるリオウ。
「はい、聞いています。それではグレッグミンスターまで護送致しましょう」
バルカスも守備隊長が板についてきたなぁ。真面目に働いているようで何よりだ。
「シーナも一緒か。お前さんにはレパント様も“会いたがってた“ぞ」
ふふ、シーナはこれから大変だぞ。そんな会話をしながら首都グレッグミンスターへ。
「そうそう、最近この国境を越えようとしたカナンという元帝国兵の盗人を捕まえたんでさぁ。何でも元帝国近衛隊の一員だったとか」
「へえ」
やっと捕まったかあの野郎。せいぜい豚箱で臭い冷や飯を食うといいよ。
§
トラン共和国首都グレッグミンスターにやってきた。今は王城の控え室だ。
「立派なお城ですね」
「三年半前の戦役でだいぶ壊れたんだけどね。皆で頑張って復興したんだ。リオウ、君もデュナン軍のリーダーなら、覚えておくといいよ。きっとハイランドとの戦争が終わったら、君は新体制の要職に就くことになる。ミューズを中心に各集落を復興させる仕事が待っていると思うよ」
俺が新体制の要職に? そっか。そういうこともあるんだな。戦争が終わったら……か。そんなことも考える必要があるんだな。ただキャロの街に戻ることすらできないのか。……ホントに早まった気がしてきた。ティルさんのこともあり、俺はリーダーをやっている自分が間違った道を進んでいるように思えるのだ。……ジョウイとも敵対してしまったしな。俺は裏切ったあの国を許す気などなかったから早々に見切りをつけたが、ジョウイと一緒にハイランド軍に復帰していたらどうなっていたのだろう。
「リオウ、また難しい顔をしているね。大丈夫かい?」
「あ、はい。ちょっと、考え事をしていただけです。大丈夫です」
「ここがトラン共和国の首都、緊張しますね。ちょ、ちょっとトイレに……」
フリードさんは落ち着かなげだ。
「落ち着け、フリード」
ジェスさんは何度も同盟交渉に同行してくれたからか、落ち着いている。ティルさん達とシーナさんはさすがに堂々としたものだった。
「ちっ、息子なのに待たせんなよ」
「用意が整いました」
そうしていたらメイドさんに呼ばれる。そうして赤い絨毯の上を歩いて謁見の間へ。ティルさんを見てババッと敬礼する兵士達。やっぱり本当に解放軍のリーダーだったんだ……。
「貴方がデュナン軍のリーダー、リオウ殿ですな。私がレパントです。トラン共和国の大統領として、歓迎致します。そして……ティル殿、お久しぶりです」
彫りの深い顔立ちに威厳のある髭。しっかりとした体格。いかにも大統領に選ばれるべき人に思えた。俺はその人物に圧倒される。
「うん。僕としても旧交を温めたいところだけど、今回はリオウの随伴として、同盟の締結にきたんだ。できれば先にそちらの話をしてくれるとありがたい」
「トラン共和国との間に同盟を結びたいのです」
ティルさんだけに任せているわけにはいかない。俺もリーダーとして発言しなくては。
「トランと都市同盟の間には国境での争いが絶えない。それをわかった上での申し出、ですかな」
そのレパントさんの言葉に、ジェスさんが進み出る。
「今、都市同盟に攻め入っているハイランド王国のルカ・ブライト。彼が勝利を得れば、次は必ずこの国をも狙うでしょう。ルカの暴挙を止める為にも、ご協力願えないでしょうか?」
「ふむ、ルカという男の噂は私も聞いている。随分と血に飢えた男のようだと」
「わたくしは、サウスウィンドゥの市民として、グランマイヤー市長を助けてきたフリードと申します。もちろん、トラン共和国の力を借りることに抵抗はあります。ですが、サウスウィンドゥの為ならばわたくしはあなた方に頭を下げることをいといません。お願いします。この通りです」
同盟を渋っていたフリードさん。だがその目はしっかりと前を見据えていた。深々と頭を下げている。
「……リオウ殿、一つ伺ってもよろしいでしょうか。貴方は何の為に戦うのですか?」
戦う理由。それは。
「友と、そして何より自分に誓ったのです。都市同盟とハイランド、両国の地に平和を、と。その誓いがある限り、私は戦を終わらせる為に全力を注ぎます」
誓いの為だ。あの日の誓い。友は遠く離れてしまったけれど。
「ふーーむ。良く、似ています。かつて我らを率いていたティル殿に。ティル殿に率いられ、私を含めた多くの者が戦いに身を投じた。そしてこの地に平和がもたらされた。同じ輝きを貴方にも感じます。貴方も、多くの人々の希望を受けているのでしょう。というより、貴方こそが希望、願いなのでしょうな」
そう言ってレパント大統領は頷いた。俺が、多くの人の希望? 実感が湧かないな……。
「テスラよ。今動かせる兵力はどれだけだ?」
右手方向にいるテスラという人が答える。
「は、はい。えぇー。首都警備隊、国境守備隊を含めると、五千の兵を出せるかと」
「よし。では軍を率いる将だが……」
「バレリア将軍が、パンヌ・ヤクタ城からの報告で首都に来ています」
テスラさんの奥にいる将軍らしき赤いマントの人がそう言う。すると左奥の緑マントの将軍も。
「ロッカクの里で副頭領を務めるカスミ殿も、共和軍の教練の為、グレッグミンスターにおります。二人に兵を率いてもらうのが良いかと」
「カスミとバレリアか。申し分ない将だよ。リオウ」
名のある将軍か。それならありがたい。二人が謁見の間に呼ばれる。
「この二人に五千の兵を率いて、デュナン軍への援軍と致しましょうぞ」
五千の兵。今デュナン軍は二万五千だ。なら合計三万の兵力になる。王国軍の一軍団にも負けはしない。巨大な軍になる。
「それと、これは友好の証しとして、お渡しします。“瞬きの手鏡”と申しまして、共和国の宝です。解放戦争で使われた品なので、今の我々よりも貴方に必要なものでしょう」
後で聞いたところによると、ビッキーさんのテレポートと逆のことができるのだとか。外に出ている時に使うと城に一瞬で戻れるとのこと。凄い物を借り受けることになった。
「な、何から何まで……ありがとうございます。レパント大統領」
感謝の言葉もない、とはこのことだ。
「僕からもお礼を、ありがとうレパント大統領」
「これで同盟締結だな。俺はここに残るよ。いやぁ、遊ぶ金も尽きちゃって、その上戦いまでなんて……いててってて!」
レパント大統領に耳を掴まれるシーナさん。
「シーナ。修行の旅だから外に出したのだ。遊びに行かせたのではない! リオウ殿とティル殿に鍛えられてこい。デュナン軍で精々気張ることだ」
「そ、そんなーーーー」
シーナさんのその情けない叫びで、謁見は終わった。
§
謁見が終わったので、首都グレッグミンスターを案内がてら仲間集めである。
「いらっしゃい!! ゴードン商会へようこそ……て、ティル様じゃないですか!」
交易所にやってきたぞ。
「仕事ははかどっているかい? ゴードン」
「へへ、そりゃまあ繁盛してますよ」
「もし良ければでいいんだけど、北の都市同盟、デュナン城ってところに来る気はないかい、ゴードン」
詳しく話をする。
「なるほど。ここも軌道に乗ったから息子に任せようと思っていたんですよ。新しい店を出そうとね。都市同盟には有名なシュウさんもいると聞くし、出店して欲しいってんなら喜んで行きますよ。コーツ! 後は任せたぞ!」
交易商ゴードンが仲間になった。
さて次、道を歩いていたらいましたローレライ。肩で切りそろえた黒髪を、ひたいあてで上げている。美人度が増したような気がする。
「おや、ティルじゃないか」
「ローレライも久しぶり。元気にしていたかい。……ああ、そういえば北の都市同盟でシンダル族の遺跡があったんだけど……」
「!? 本当かい!?」
キリィと同じように遺跡について話す。
「ふぅん。既に開いて薬草を手に入れたと」
「ねえローレライ。また軍で戦っているんだけど、仲間になってくれないかな」
「ふむ……こっちがリーダーのリオウか…………」
前から背中までじろじろと値踏み中……。
「いいだろう。あんたなら勝てそうだ。その遺跡ってのも一度見てみたいしね」
よしよし。ローレライも仲間に。武器はキルケが使っていた鎌に変えているけど、弓兵の指揮は大したものだから、是非戦争でシュウに活用してもらおう。
さて、そうして歩いていたら早速噂になってしまった。
「ぼっちゃん!!!」
パーン、声が大きいよ。
「ぼっちゃんが戻っているんじゃないかと予感がしたんですよ!!」
嘘つけ。
「何言ってんだい。手持ちのお金が足りなくなって戻ってきたんだろ」
冷静なクレオのツッコミも懐かしい。
「そ、それを言うなクレオ」
「よく帰ってきたねえ」
マリーさん、ただいま。一時的にだけど帰ってきたよ。
「変わりないみたいで安心したよ」
セイラさんも変わりなく素敵。
いやあ、二年くらい経ったけれど、皆が元気で良かった。やはり仲間や友はいい。心を潤してくれるよ。ありがたいね。まあ彼らは軍人をやめていたり修行の旅に出ているので仲間にはできないけど。
翌朝、二人と再会。
「ティル様……お久しぶりです」
「また会えて嬉しいよ、カスミ」
「は、はい……わ、私も……その……」
「相変わらずみたいで安心しました、ティル殿」
また相変わらずって言われた。本気で意味がわからない。ソウルイーターは外して歳をとっているはずなのに。そんなに童顔かなぁ、僕。
「バレリアも変わらないね」
変わらずに綺麗だ。だけど口には出さない。シーナじゃないんだからね。
さて、皆で国境がある山道に戻ってきた。
「それじゃあバルカス、北での戦争が終わったら、ちゃんとグレッグミンスターに戻ってくるよ。元気でね」
「ティル様もお気をつけて」
うん、名残惜しいがトランを去る時がやってきた。だがまだ仲間集めは終わらない。
僕の提案とカスミの了承があったので、山道を歩いている途中、そこに隠されている忍びの集落、ロッカクの里に寄ることにした。
「くせ者め!!!!」
と、里に入ったら早速戦闘態勢をとられる僕達。慌ててカスミが前に出る
「サスケ。久しぶりね」
「カ、カスミさん」
この少年はサスケだな。遭遇できたぞ。とりあえず挨拶は後回しにして首領のところに通してもらう。首領のハンゾウさんとは顔見知りだ。トラン解放戦争の最後辺りで対面したからね。
「……おお。これはティル殿。お久しぶりです」
そうして皆で名乗りあう。
「カスミ、おぬしはレパント殿の元に……」
「はい、それなのですが……」
と、カスミが都市同盟のデュナン軍と同盟を結び、一軍を協力させると説明。
「ハンゾウ殿。此度は突然の訪問ですみません。ですが、今僕も所属しているデュナン軍に、少しでも力を貸して欲しいと思いここに来ました。ご助力、願えないでしょうか?」
「ふむぅ……さすがレパント大統領。賢明な方だ。そしてティル殿の頼み……か」
「ハンゾウ様。是非お力をお貸し下さい。リオウ殿に力を貸すことは、ロッカクの里にとっても利になることだと思うのです。ロッカクの里、副頭目として判断します。お願いです、ハンゾウ様」
リオウの顔を、目をのぞき込むハンゾウさん。
「うむ。良き目をしている。…………よかろう。モンド、サスケ。おぬしらは、カスミと共にリオウ殿をお助けするのだ。三年前のティル殿に受けた借りも返せよう」
「かしこまりました」
白と黒の忍者装束、顎髭がたっぷり。忍者モンド、実に渋い。持っている武器もめっちゃ長い爪だ。
「よかったなぁ、サスケ。またカスミのお共ができるな」
にやにやしながら言うモンド。
「だ、誰も喜んでなんかいないよ!」
こちらはまだまだ青いサスケ君。首に巻いている布も青い。
「サスケ、どうかしたの? 気に入らないことがあるなら……」
「えぇ……ふ、ふん……カスミさんには関係ないよ!!」
「じゃあ、何を怒っているの?」
「な、なんでも……だから、その。カスミさんがどうとかじゃなく、ハンゾウ様に言われたから行くんだよ!!」
「? ええ……」
中々に初々しい二人である。微笑ましい。
さて、山道を降りてバナーの村についたところ、リドリーとアップルが待ち受けていた。
「お迎えにあがりましたリオウ殿」
「カスミさんにバレリアさん! 貴方達が来てくれるなんて!」
「また、よろしくお願いします。アップルさん」
「久しぶりだな、よろしく頼む」
「リオウ殿。王国軍にも動きが。急いてデュナン城へ向かいましょう」
「はぁ、一息つく間もねえな」
ぼやくシーナ。さて、確かに息つく暇もないけど、帰りのラダトでも仲間集めだ。
「おや、少年。わたくしに用ですか? しかしわたくしは……」
「貴方にこれを」
バラの胸飾りを渡す。
「そ、それは!!! 少年。これをどこで……いえ、そんなことはいい。ありがとう少年よ」
友達から贈られた物だけど失くしていたんだよね。それを見つけて渡してあげたのだ。心の友と呼んでくれていいよ。ガキ大将のようにね。
「おや? シモーヌ、どうかした……これは、ティルではありませんか。お久しぶりですねえ」
おお、まさかヴァンサンが同行していたとは。よし、それじゃ二人ともデュナン軍に来ておくれ。
「友よ……共に戦おうと言う気ですね」
ダジャレみたいになっているよ。
「ティル、また共にいられるのですね」
ヴァンサン、僕も嬉しいよ。かつての仲間とは、みな違う再会で嬉しいんだ。
では大勢を仲間にしたトラン編もこれで終わりだ。城に帰ってきた。ついでだ。バレリアと彼女を会わせておこう。
「こんな所で酒を飲むのが剣の旅か?」
酒場でお酒を飲むアニタだ。彼女達は剣術の同門なのである。
「バ、バレリア!! なんでここに! トランで役人に収まってたはずじゃあ!?」
「私もリオウ殿のデュナン軍に加勢するのさ」
「ふん……こっちはあんたと違って剣一本じゃない。人生を楽しんでいるのさ。どうだいバレリア? 男の一人でも見つけたのかい?」
「な、なにを……バカなことを言うな…………」
ちょっぴり弱気になるバレリアさん。とても可愛い女性だと思うのだが。僕がもうちょっと歳上だったら放っておかないよ。
「ふふん、その様子なら未だに独り身かい」
「好きに言わせておけば……! 私はね、男にかまけて試合に遅れるという無様な真似はしないのさ。あの時のゲイリーだかエドワードとかってのはどこ行ったんだい?」
「う、うるさい。こっちにも色々あるんだよ。あんな男こっちから願い下げさ」
「案外あんたの方が飽きられたんじゃないのか?」
ヒートアップしていく。
「子供の頃、幼なじみに恋したっていう可愛い思い出以外、浮いた話の一つもない奥手のあんたにゃ言われたかないよ」
「冗談じゃない。あんたみたいに誰でもいいとかいう尻軽とは違うんだ」
「いつ私が『誰でもいい』なんて言ったのさ!!」
「余裕がないねぇ。歳じゃないのかい? 怖い怖い」
バレリアは意外と口が悪い。
「何を……!」
………………………………。
「決着、つきませんでしたね」
口喧嘩を終えてはぁはぁと肩で息をする二人。
「ふん、まあいい。全部が終わったら試合をする」
とアニタ。そういやそう言う話だっけ。
「強くなった私に吠え面かくなよ」
さて、次は王国軍との戦だな。だいぶ仲間も揃った。絶対に勝つぞ!
現在の仲間、91人――。
(うち宿星でないティル、グレミオ、テッド、アナベル4人)
後書き
懐かしのグレッグミンスター。
原作ゲームとはイベントの順番を入れ替えています。本当なら、王国軍第三軍との戦争→トラン共和国との同盟→王国軍第一軍との戦争、です。しかし、デュナン軍もせっかくなら上限まで仲間を集め、同盟できるところと同盟し、兵力を増やしたいだろうから、小説版の順番にしました。
原作だとラダトが占領されていると仲間集めできないんですよね。(´・ω・`)ここら辺は見逃してもらえると助かります。