ゲーム小説 幻想水滸伝Ⅱ   作:月影57令

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 戦乱に、飛び込んでいく。






第二章 戦へ
第4話 仲間と侵攻


 燕北(えんほく)の峠を通って、再び都市同盟領に戻ってきた。もうハイランドにはいられないな。都市同盟で生きる術を探す。そしてこれから起こるであろう戦争が終わったら、ナナミとジョウイが望むのであれば、キャロに戻ることも検討してみよう。帰れるかどうかは別問題として。

 

 そして他に住める所はないので、傭兵砦で厄介になることに。当面、俺の目的は生きることだ。それ以外は考えないようにしよう。

 

「とりあえず、リオウとジョウイ君の二人は軍人だったんだ。傭兵か、もしくは傭兵の下働きということで働いてくれれば、食事、寝床、それからある程度の賃金も出すよ。ナナミさんは……」

 

「リオウ達が働くなら私も働く!」

 

「そう。それじゃ雑務が色々あるから、仕事を割り振るよ。隊長のビクトールには僕が話を通しておくから」

 

 ということだった。

 

 それから俺達はしばらく傭兵隊で世話をしてもらうことになった。仕事が無い暇な時は周辺の村や町を回って兵を募ったりしてくれ、ということなのでその通りに動くのだった。

 

 傭兵……か。金で雇われて戦う人間。俺は武術を習って生きてきた。そして二年間ハイランドで軍人として生活したのだ。戦うことには慣れている。このまま傭兵として生活するのもいいかもな。

 

 

     §

 

 

「兵を募ったりしてくれると助かる」

 

 そんなことを言っておきながら、既に仲間は集まっているんだけどね。では一人一人言っておこう。

 

 ゲンゲン、彼は普通に自分から志願して傭兵隊に入ってきた。偉い戦士になりたい、と入隊の時に語っていた。出身地のそばに傭兵隊ができたから入ったんだって。

 

 酒場のレオナはビクトールと知り合いだったし、近くにあるトトの村出身だそうな。彼女のおかげで酒場はいつも賑わっている。

 

 倉庫番のバーバラおばさんはビクトールと同じノースウィンドゥの出身だ。吸血鬼ネクロードの襲撃があった時は、リューベの村に引っ越していたらしい。だが家族、子供もネクロードの手によって……だ。だから傭兵隊に入ってくれた。その心中はいかばかりか……。

 

 次にリキマル。青い着物姿のもみあげがふさふさな、任侠という言葉が似合う男だ。リューベの村で見かけたので、傭兵にならないかと誘った。毎日の食事は保証するから、というと簡単に仲間になった。

 

「飯を食わせてくれるなんて、ありがてぇハナシっすね。しばらく厄介になりますぜ」

 

 こいつ確か仇がいるから探しているんじゃなかったっけ? まあ本人がいいと言うならいいけどさ。包丁のような形をした刀を武器に戦う、力が強いパワータイプの兵士を一人ゲット。

 

 ミリ―。白い帽子を被った女の子だ。スカートの下に見える太ももが眩しい。ペットのボナパルト(謎の生き物)を探していたので、手伝ってあげて仲間になってくれるようにお願いした。ブーメランを使って戦うが……戦闘能力は、ほぼ最弱なんだよね……ま、まあいいか。ちなみにボナパルトは一撃だったと言っておこう。え? どういう意味かって? ご想像にお任せするよ。

 

 赤いマフラーに黄色い服、白いズボンのキニスン。森の狩人である彼と、彼の相棒で猟犬のシロ。キニスンはシロと意思疎通ができる人だ。弓矢も熟練と言っていい腕前なので当然スカウト。

 

「君がこの小鳥を戻してくれた人か。優しい人なんだね。最近王国軍が森を荒らして困っていたんだ。このままじゃ森が荒らされるばかりだ。王国軍と戦っているなら仲間にならせて欲しい。いいだろう、シロ?」

 

「アォォォォン!!!」

 

 真っ白な毛並みに青い布を左前足に巻いているシロ。この忠犬も108星の一匹だ。同時に仲間になった。やったね。

 

 それから足を伸ばしてトトの村へ。宿屋に紫と黄色のローブを重ねがけして着ている青年がいた。

 

「何だ、お前は? この私に何か用事か?」

 

 えーと、確か……。

 

「用がなくちゃあ話しかけちゃあ駄目なのかい?」

 

「私の時間を無駄に費やすような真似は感心せんな」

 

 いやぁ、偉そうだなぁ。

 

「そっか、それじゃあ仲間にするのはやめた方がいいかな。有能な人を探していたんだけど」

 

「何?」

 

「暇のない人は必要ないってことだよ」

 

「何を言う小僧。この私をよりにもよって必要ないだと? 力、技、姿、全てが完璧なこの、私を! “必要ない”とはどういうことだ。この私がどれだけ優秀か教えてやろう」

 

 はい、釣れましたー。ぱっくり釣られましたー。ある意味では強い人物。火をまとわせた拳で戦う肉体派魔術師ザムザが仲間になった。

 

 もう一人、トトの村で仲間になった人物がいるけど、後述する。

 

 足をのばしてミューズにやってきたが、あの金髪の女性と知った男性はいなかった。仕方ないので、南のコロネへ。するとあの二人の漁師はまだいなかったが、白髪の侍ゲンシュウが港にいた。大小二つの刀を腰に差した着物の男。完全に侍である。まあこの世界って幻想「水滸伝」とは言うけど、中華一辺倒じゃなくて和洋中かつファンタジーの世界として作ったという話だからね。日本の侍を体現したような侍だって出るというもの。

 

「貴方の武器……これほど鍛えられた一品は始めて見ました」

 

 ……棍なんだけどね。いや、原作でもリオウのトンファーを見て仲間になったりするんだっけ。とにかく僕とトラン解放戦争のメンバーが持つ武器は、鍛冶屋大師匠のメースに極限まで鍛えられている。なので原作ではほぼ最後の方に仲間になるこの人も序盤に仲間にできるというわけだ。

 

「傭兵……? 同じくらい極限まで鍛えられた剣がある? 是非見たいですな」

 

 ということでビクトールのこう天の剣を餌にゲット。この人確か原作のクライマックスで仲間になるからレベル高いんだよね。ということは実際には達人の腕前ということ。これはいい人を拾った。

 

 南に行きラダトへ向かったが、傭兵では仲間にならない人物や、まだ街にいない人物ばかりだったのでここは後回しだな。

 

 せっかくラダトまで足を伸ばしたので、そこから西にあるクスクスの街に寄る。踊り子と鍛冶屋はまだいなかった。女の子ばかりを狙ったならず者の集団もまだ噂になっていなかった。ちちぃ。あの人は好きだから仲間にしたかったのになぁ。まあいい。これで周辺地域にて仲間になる人物は大体拾っただろう。ここいらで満足しておこう。……目当ての封印球とかも手に入ったしね。

 

 

     §

 

 

 俺達の情報でハイランドが休戦協定を破って(向こうは都市同盟が破ったと言い張るだろうが)攻めてくるのはほぼ間違いないということがわかった。だからビクトールさんの砦はあわただしく戦争の準備に追われている。砦に戻って数日、旅やもろもろの疲れを癒していると、少しばかり気まずくなった。自分達は何もしていないのだ。ジョウイはそれとは別に複雑そうだ。俺はここで働くことに何の抵抗も感じていないが、ジョウイは違うのだ。彼らが都市同盟の傭兵である以上、戦う相手はハイランド。もう見切りをつけた俺とは違って、ジョウイにとっては祖国なのだ。仲間を無残に殺して、俺達に無実の罪を被せて処刑しようとした奴らだが。きっとジョウイは葛藤しているのだろうな。俺はもう完全に吹っ切ったよ。ナナミ? あいつは能天気に雑用をやっているよ。賃金が出るので無邪気に喜んでいた。

 

 そうして働きながら一週間が経とうという頃、朝食を食べている時にジョウイが突然言い出した。

 

「なあ、リオウ。僕、ちょっと行きたい所があるんだ。よかったら一緒に旅にでないか?」

 

「行きたい所?」

 

 助けられたというトトの村だろうか?

 

「その通り、僕を助けてくれた人達に改めて会ってお礼がしたいんだ」

 

「行こうよ! ジョウイにとって恩人なら私達にとっても恩人じゃない」

 

 他人と自分を同化するな。俺にとっては他人だ。だがジョウイはよほどその助けてくれた相手に恩義を感じているのか、言葉を尽くして俺達を説得してきた。ハイランドの少年兵だと知っても優しくしてくれたと。……何だか、恩義以外の何かを感じる。ジョウイはどんな思いなのだろう。

 

「仕方ないな……」

 

 ジョウイの説得が長く続き、俺はしょうがなしに認めた。まあそれぐらいなら構わないだろう。

 

「決まりね、私、ビクトールさんにかけあってくる。お金がなきゃ旅なんてできないもんね!」

 

 ぱくぱくと朝食を食べ終えて突撃していくナナミ。だが……。

 

「駄目だった……そんなお金はないって……ビクトールさんのケチー!」

 

 あほう。頼む相手を間違えているんだよ。

 

「……ということなんです、何とかなりませんか? ティルさん」

 

 相談するならこの人だろう。すると、

 

「いいよいいよ。行ってきなよ。突然他国に来た三人なんだ。それぐらいの自由はないとね。あ、トトの村に行くならついでミューズとかにも行ってみたらどうだい? あそこはいい都市だよ。一回は行っておくといいかもね」

 

 ほらな。ティルさんはポケットマネーから俺達三人の旅費を工面してくれた。……ううん、いい人なのはもう充分知っているが、どうやってこの恩を返そうか。ジョウイは自分を助けてくれた相手にお礼を言いに行くというのに、俺は何も返せていない気がする。基本的に面の皮が厚い自分だが、ここまで助けられるとさすがに心苦しい。

 

「ん? ……ああ、お金のことなら気にしなくていいよ。三人、特にリオウとジョウイは人一倍辛い目に遭ったんだから。これから先は楽しいことや嬉しいこと、幸せになることを考えればいいんだよ」

 

 ……この人の精神はいったいどうなっているのだろう。見ず知らずの相手だった俺達にここまでしてくれるなんて。さすがにジョウイも目を(みは)っている。ナナミはありがとうティルさん! と喜んだ。

 

 と、言うわけで小旅行だ。北西にあるトトの村へと足を運ぶ。幼馴染の三人で気ままな旅だ。てくてくと歩いて三日、トトの村にやってきた。村の入口に着くと、小さな女の子が寄ってくる。赤い子供服にくまのぬいぐるみを手に持っている。

 

「お兄ちゃん! ジョウイお兄ちゃん!」

 

 笑顔で駆け寄ってくる。満面の笑みだ。自然、心がほころぶ。

 

「良かった。元気だったんだね!」

 

「ピリカこそ元気だったかい?」

 

「うん。元気にしてたよ。ピリカ、お父さんとお母さんとね、一緒にミューズに行ってきたんだ。“祭壇”へのお供え物が必要だって言うからね」

 

 ミューズ。都市同盟の都市だな。しかし祭壇?

 

「ちょっと遠いけど、頑張って歩いたんだぁ」

 

「そうか、ピリカは偉いね」

 

「……この子が流れ着いたジョウイを見つけてくれたって子か?」

 

「うん。それからピリカの家に何日か世話になったんだ」

 

 ジョウイを助けてくれたのか。この子がいなければジョウイは死んでいたかもしれないと考えると、少しは俺も思うところがあった。

 

「ね、お兄ちゃんとお姉ちゃんはジョウイお兄ちゃんのお友達?」

 

「リオウって言うんだ。ジョウイの友達だよ」

 

「私はナナミ! よろしくね。ピリカちゃん」

 

「よろしくね!」

 

 にこり、と笑いかけられる。そしてピリカちゃんが誘ってくれたので、家にお邪魔させてもらった。ピリカちゃんの父親、マークスさんが迎えてくれる。

 

「ジョウイ君! また来てくれたのかい。体は、もう平気かい?」

 

「元気そうで安心したわ。怪我が完治していないのに行くというから心配だったのよ」

 

 そう言ったのは母親で妻のジョアンナさんだ。

 

「お久しぶりです」

 

 続いて助けてくれたお礼を何度も述べるジョウイ。

 

「助けを必要としている者を助ける。それだけだよ。自然に誰でもやることさ」

 

 マークスさんもいい人そうだ。しばらく歓談する。ここに旅をしてきたことや、今は傭兵隊にお世話になっていることを。ついつい長居をしてしまう。ジョウイは安らいだ顔をしていた。牢屋に入れられてからこっち、ジョウイはあまり笑顔を見せなくなっていた。密かにそれを心配していた俺だったが、今のジョウイはここにいられることが嬉しくてたまらないといった表情をしている。温かい家族……か、もしかして……。

 

 俺達は親切なマークスさん達に料理をごちそうになり、泊めてもらえることになった。と、ピリカちゃんに呼ばれる。

 

「あのね、お兄ちゃん。お願いがあるの。ミューズに行った時いいものを見つけたの」

 

 いいもの?

 

「あのね、もうすぐお父さんの誕生日なの。だからピリカがお父さんにプレゼントをあげたいの」

 

「小さいのに立派だな、ピリカちゃんは」

 

「お願いってそのことかい、ピリカ」

 

「うん。あのね、ミューズの一番大きな道具屋さんに行った時に、とっても綺麗なお守りが売ってたの。木でできてて、お星さまやお魚さんがついてるんだよ。お父さんにあげたらきっと喜ぶと思うの」

 

 そしてピリカちゃんは貯金箱を差し出す。

 

「あのね、お父さんの肩叩きをして貯めたお金がね、ここにあるの。でも、ピリカは一人でお外にでちゃいけないって言われてるから……」

 

「私達がそれを買ってくればいいんだね?」

 

「うん! お願いできないかなぁ」

 

 なんとも微笑ましいお願いだった。俺達の答えは当然決まっている。

 

「ピリカのお願いだもの、もちろんいいさ。構わないかな? リオウ、ナナミ」

 

「いいよ」

 

「もっちろん!」

 

「ありがとう! ジョウイお兄ちゃん、リオウお兄ちゃん、ナナミお姉ちゃん」

 

 俺達はそんな会話をして、温かい気持ちになりながら床に就いた。

 

 

     §

 

 

 あくる日、俺達はゆっくりしていけばいいのに、という夫妻の言葉をありがたく思いながらも家から出発した。ミューズはここから西にある。トトの村でも食料などを補給できたので、何の問題もなく旅を続けられた。街道が敷かれているので迷うこともなく、三日後にはミューズ市に到着した。小さなキャロの街で生まれ育った俺達にとって、ミューズ市はとても大きな街だった。ミューズ市はリューベやトトを含むミューズ市国の中心にある。人口は一万人を超えるという話だ。ジョウストン都市同盟の中心地でもあるのだ。賑わうのは当たり前、といったところか。

 

「人が多いな……迷子になるなよナナミ」

 

「ならないよ! それより、ピリカちゃんの言った道具屋ってどこかなぁ」

 

「これだけ人が多いと、探すだけでも一苦労だよ」

 

「手分けして探そう。ジョウイは東、ナナミは西。俺は正面辺りを担当する」

 

「リオウ大丈夫? この辺りが一番にぎやかだけど……」

 

「平気だ。それより時間が遅くなるとまずいからちゃっちゃと探そう」

 

 そう言って素早く動く。道具屋、道具屋……っと。

 

 待ち合わせに決めた時間で合流した俺達。その結果、西にある道具屋が一番大きそうだということがわかった。早速行ってみる。

 

「…………ああ、それならここにあるよ」

 

 道具屋の主人が取り出したお守りは、確かにピリカちゃんの言った通りの形をしていた。

 

「それを譲って頂きたいんです」

 

「そうだなあ……。いやね? こいつは数ヶ月前、客の一人が代金の代わりに置いてったものなんだ。手放すのはどうかと思うが、こっちも商売だ。欲しいなら売ってやらないこともないよ」

 

 あ。これは足下を見られるな、と思った。

 

「おいくらですか」

 

「五百ポッチだ」

 

 やっぱりか。

 

「五百ポッチ!?」

 

 驚くジョウイ。ピリカちゃんから預かったお金は七十ポッチだ。これではとても足りないが……こっちにはティルさんからもらったお金がある。

 

「……仕方ない」

 

 そう言うと俺は財布を取り出し、ジョウイが持っているピリカちゃんの七十ポッチと合わせて五百ポッチ支払った。

 

 やれやれ。大変なお使いになったな。そう思いながらも、何とかことを終えた俺は達成感を感じていた。俺達は街の見物もそこそこに、急いでトトに向かって出発した。マークスさんの誕生日に間に合わなければ全てご破算である。

 

「きっと三人とも喜んでくれるだろうね」

 

 だな。ナナミの言う通り、喜びに満ち溢れる家族が簡単に想像できた。そんなことを思いながら歩いて三日、もう少しでトトの村という所まで俺達は来ていた。

 

 だが……。

 

「あれ……煙だ」

 

 ジョウイの言葉通り、天山の麓に黒い煙が立ち昇っていた。

 

「まさか……」

 

 嫌な予感がしたので俺は駆け出した。まさか、そんな――。

 

 頼む、ただの火事などであってくれよ、と思い脚を動かす。と、

 

「そ、んな……」

 

 隣から追いついてきたナナミの声。そこには、

 

 焼き払われた建物が、そこにあった。

 

 村は、壊滅していた。

 







後書き
 こんな感じで、仲間集めは主にティルの方がやる感じになります。場所も条件も大体知っているのでね。

 個人的に凄くお気に入りなザムザですが、活躍はさせられませんでした……。ザムザは好きな人、ずっと使っていた人が多いと思います。それだけに残念です。ああ、あの封印球をゲットできれば……。
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