ハイスクールD×D 〜鬼を継ぐもの〜   作:ルルガルウ

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ルルガルウです。
第13話、投稿していきます。

まあ、そりゃ無理ですよね、普通。


第13話 雷の巫女

「また模擬戦ですか?」

「ええ。今回は朱乃とやってもらうわ。」

「姫島先輩とですか?…その、危なくないですか?」

「まあ、危ないわね。」

「止めないんですか?」

「私には止められないもの。」

「…え?命が危ないんですよ!?」

「そうね。最悪死亡するレベルだと思うわ。」

「っすよね。じゃあ、止めなくちゃ…」

「止めないわね。」

 

あっているようで微妙にズレている会話を交わす満とリアスの二人。

またもやリアスに呼び出された満は、今度は朱乃と模擬戦を行うこととなった。

 

リアス曰く、

「近接能力は見せてもらったので、今度は遠距離での戦闘能力を見たい」

とのこと。

 

(つったって、姫島先輩相手だろ?それがどうして遠距離での戦闘能力云々になるんだ?姫島先輩の周りに砲台でも設置すんのか?)

 

困惑したまま、以前祐斗と模擬戦を行った場所へ移動する。

そこには、相変わらずニコニコしたままの朱乃の姿があった。

その周りには、人も、物も存在しない。

 

「うふふ、よろしくお願いしますね、左馬君。」

「うっす。よろしくお願いします、姫島先輩。しかし、いいんですか?そっちは丸腰に見えますけど?」

 

満は腰に佩いた模擬刀を叩く。

それに対して朱乃は、

 

「あらあら。私は普段から丸腰ですのよ?武器は要りませんわ。遠慮も無用です。全力でかかってらっしゃい。」

 

と、微笑んだままだ。

なおも困惑したまま、模擬刀を構える満。

そんな満に、旧校舎の方からリアスが声をかける。

 

「くれぐれも油断するんじゃないわよ、ミツ。さもないと…」

 

空気が変わる。

 

「あなた、」

 

朱乃の笑みの質が変わる。

突如、満のいた場所に、轟雷が襲いかかった。

 

「本当に命を落とすことになるわ。」

 

轟音を響かせて落ちる雷を見つつ、リアスは呟く。

 

「…油断しなくても死ぬかもだけど。」

 

朱乃の気合の入りように、冷や汗を流すリアスだった。

 

□□□□□□□□

「くれぐれも油断するんじゃないわよ、ミツ。さもないと…」

 

空気が変わる。

 

(ッ!?)

 

満は、以前から感じる、攻撃された時にやけに相手の動きが遅くなる感覚を覚えた。

 

(え?朱乃先輩の攻撃?何もして…)

 

上空が明るくなる。思わず上を見る。

 

(はあ!?雷!?)

 

こちらに降ってくる。見ずとも、わかる。

 

咄嗟に手に持つ模擬刀を上空に放り投げ、身を投げ出す。

轟音。衝撃。

感覚器官を揺るがすそれらの刺激に多少ぐらつきながらも、満は雷が落ちた地点を見やる。

 

(何てこった…)

 

辺りは一面黒焦げになっていた。冷や汗を流す満。

 

(…これ、冗談抜きで死ぬんじゃね?)

 

二度目となる、圧倒的な死の予感。それが味方(と、既に満は思っている)である朱乃からのものだということに、満は少し、ほんの少し、泣きそうになった。

 

□□□□□□□□

「うふふ、うふふ、うふふふふふ。」

 

朱乃は笑う。朱乃は笑う。

一度目の攻撃で沈むと思っていたのに、目の前で逃げ回っている少年は咄嗟に模擬刀(避雷針)を使って回避して見せた。

今も、

 

「こなくそっ!」

 

落ちていた枝を上空に放り投げ、またもや身を投げる少年。

それを見て、朱乃は歓喜する。

なんとしぶとい相手だ。なんと逃げ回るのが巧い相手だ。

そんな相手が、

 

(うふふ、逃がしませんわよ…)

 

どんな悲鳴をあげるのか。それが楽しみでならない。

既に、遠距離での戦闘能力を試すという当初の目的を見失っていた朱乃だった。

 

□□□□□□□□

雷が落ちる。

 

「こなくそっ!」

 

雷撃が襲い来る。

 

「よいしょぉっ!」

 

轟雷がこちらを仕留めんと迫ってくる。

 

「あの、もう無理っすから、姫島先輩、もうそろそろ…」

 

知ったこっちゃないと、なおも雷を落とし続ける朱乃。

 

(無理無理無理無理無理無理!できるわけきゃねぇだろぉぉぉぉ!?)

 

しかし、やらなければ死ぬだけだ。

 

「うおおおおお!?」

 

腰に佩いていた模擬刀の鞘を抜き、投げる。

さっきとは違い、上空にではなく、朱乃の方向に向かってだ。

 

「!?」

 

驚いた顔を見せる朱乃。

 

(これで少しでも時間を稼げりゃ…)

 

落ちている模擬刀に駆け寄る。

その柄を握った時、満の脳裏にある光景が映し出される。

 

雷。

朱乃の放つ黄金の雷とは違い、その色は深海を思わせる青。

その雷が寄り集まり、ある形を成していく。

それは珠だった。夢で見た、あの男が追っていた珠。

そしてその珠に無意識に手を伸ばした満。

 

「あ」

 

惚けていた満に、容赦なく朱乃の電撃が襲いかかる。

 

「あばばばばばばば!」

 

しゅううう、と煙を上げながらその場に倒れこむ満。

すぐさま駆け寄るリアスと朱乃。

そこには、泡を吹き、白目をむいて気絶している満の姿があった。

 

□□□□□□□□

「うーん。わ、わかったから、わかったからかごめかごめだけはやめ…」

 

がばっ、と起き上がる満。

 

「よかった、目を覚ましたのね。」

「あ、部長。ここは…部室ですか。どんぐらい寝てました?」

「えーっと…15分といったところかしら。」

 

気絶した満は、部室のソファーで目を覚ました。

声のした方を向くと、安心したようなリアスと、思いつめたような顔をした朱乃。

 

「…大丈夫ですか!?怪我は!?どこか痛いところは!?手足が動かないとかそういうことはないですか!?」

 

目を覚ました満に、青ざめた顔ででどこかに不調はないかと詰め寄る朱乃。

その剣幕に、

 

「えっ。あっ、だ、大丈夫っす。どこも痛くないし、手足も動きますよ、ほら。」

 

若干戸惑いつつも手足を動かして見せる満。

それを見た朱乃は、深いため息をつく。

 

「よかったですわ。あの…」

 

そういって改めて満に向き直り、頭を下げる朱乃。

 

「申し訳ありませんでした。あなたがいくら人間をやめ始めているとはいえ、当てて良いレベルの攻撃ではありませんでした。私、あなたを死なせてしまったのだと思って…本当に申し訳ありませんでしたわ。」

 

その様子に、逆にいたたまれない感じがした満は、

 

「そんな、俺は気にして…ないことはないっすけど、とりあえず頭を上げてください。姫島先輩は、限界まで俺を追い込んでどう対応するかを見たかっただけっすよね?俺も、あの時惚けちまったのが悪かったです。死んでなかったんだからいいじゃないっすか。」

 

と、朱乃に頭を上げるよう言う。

実はどんな悲鳴をあげるか楽しみにしてましたなどとは口が裂けても言えず、更に謝っている相手にも謝られたということに朱乃は罪悪感で涙目になった。

 

「ですが…」

「ああもう、だからいいですって!ほら、頭を上げてしゃんと立つ!そいで涙を…ええっと、これで拭く!そんで笑う!さあ!」

 

なおも頭を上げない朱乃にだんだんイライラしてきた満は、朱乃を強引に立たせ、自分のスポーツバッグからハンカチを取り出して渡し、笑うように言う。

それに戸惑いつつも、渡されたハンカチで涙を拭き、とりあえずいつもの笑顔を浮かべる朱乃。

 

「…これでよろしいですか?」

「ええ。それでいいんです。姫島先輩はいつもニコニコ可愛く笑ってるのが一番似合ってんですから。」

 

フンス、となぜか胸を張って答える満。可愛い、と言われたことに顔を赤くする朱乃。そんな朱乃の様子には気づかず、先ほど言われたことに気になるフレーズがあったのを思い出し、朱乃に問う。

 

「そう言えば、さっき、"人間をやめ始めている"って言ってましたよね?あれってどういう意味ですか?」

「…」

「…姫島先輩?」

「…」

「おーい。」

「…」

「?部長、姫島先輩どうしたんですか?固まっちまいましたけど。」

「…ええ。朱乃はあなたが無事だってわかって、放心しているようね。きっと。その質問については私が答えるわ。」

 

多分勢いで言ったのだろう、自分の発言に気づいていない満に若干頭痛を感じつつ、リアスは満の問いに答える。

 

「こちらの推測だけど、あなたの身体能力は既に、人間を超えていると言っていいわ。手加減していたとはいえ、祐斗の攻撃を全て避け、朱乃の電撃を食らっても気絶するレベル。人間では既に10回や20回では足りないくらいは死んでいるはずよ。」

「…えっ。姫島先輩の雷って、そんなヤバいレベルのモンなんですか…?」

「だから言ったじゃない。最悪死亡するレベルだって。手加減は辛うじてしてたみたいだけど。とにかく、あなたは既に人間をやめている。逆に聞くけど、模擬刀を避雷針代わりにしたとはいえ、突然降ってくる雷を咄嗟に回避できる人間はどのくらいいるのかしら。しかも雷を見てからね。少なくともただの男子高校生に出来る芸当ではないわね。」

「いや、そう言われれば確かにそうっすけど…」

 

そう言われても、自分が既に人間を超えているという自覚がない満は困惑するばかりだ。

 

「まあいいわ。咄嗟の判断力が優れているということにしておいてあげる。」

「は、はい。それと、もう一つ聞きたいことがあるんですけど…」

「何かしら?」

 

そう言うと、先ほど模擬刀を握った時に見た光景を話す。

 

「青い雷が詰まった珠、ねぇ。悪いけど聞いたことがないわね。」

「そうですか…」

「あの…」

 

先ほどの満の発言からようやく再起動を果たした朱乃が、遠慮がちに言う。

 

「珠、というのは分かりませんけど…青い雷、というのは、古来日本から紫電、と呼ばれていることが多いですわね。」

「…紫電?」

「ええ。」

 

紫電。その単語に、引っかかりを覚える満。

 

(紫電、紫電、紫電…。だめだ、なんかがわかりそうなのに出てこねえ。)

 

悩む満だが、一向に答えは出てこない。

 

「…わかりました。ありがとうございます。」

「ええ。こちらでも色々調べてみるわね。今日はもう遅いし、疲れているでしょう。帰っていいわよ。」

「あ、それじゃあ、お疲れ様でした。また明日…は休みっすね。じゃ、また来週に。」

「ええ、お疲れ様。」

 

うお、服ボロボロじゃん、と言いつつ、制服に着替え(流石に人前では恥ずかしいので、トイレで着替えた)、部室を後にする満。

 

その後ろ姿を見つつ、なおも心配そうな顔で見送る朱乃と、来週はどうしようかしら、と思いを巡らすリアスであった。

 

 

 

 

全くの余談だが、帰宅した後自分が何を言ったのかを思い出した満は恥ずかしさのあまり自分のベッドの上で転げまわり、アパートの管理人から説教を受けた。




如何だったでしょうか。
満は、身内、というか信頼できる目上の相手にだと割と砕けた敬語で話します。
砕けた、というよりかは間違った、といった方がいいのかもしれませんが。

さて、第1章もこれで半分ほど(自分の中では)終わりました。
あとは、レイナーレさんに頑張ってもらうだけですね。
もちろん満には頑張ってもらいますが。

ではまた次回、お会いしましょう。
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