ハイスクールD×D 〜鬼を継ぐもの〜   作:ルルガルウ

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ルルガルウです。
第14話、投稿していきます。
先に謝っておきます。
この話、かなり長いです。

前後篇にしようとも思ったのですが、一つの話にしました。
言い訳はあとがきにて。

急転直下の第14話、おやじの光るデコが唸る。どうぞ。


第14話 涙の理由は

精神を統一する。

意識を集中する。

あの夢で見た、あの男の動きを追っていく。

 

翌日、学校が休みなので満は朝から模擬刀を使って鍛錬をしていた。

 

(確かに昨日は手も足も出なかった。だが、木場とかの近接タイプにゃこの剣術が最も効果がありそうだった。なら、この剣術をモノにすることは間違いじゃない。)

 

剣を振るっていく。脳裏に描くのは、あの男の背中。化け物どもを瞬く間に斬り伏せた、あの動き。

普通なら、その日のうちに見た夢の内容などはすぐに忘れてもおかしくはない。

しかし、満にとってあの夢は、まさに晴天の霹靂だった。

鍛え、洗練し続けられてきた動き。それを夢とはいえまざまざと見せつけられたことに、満の挑戦心は燃え上がった。

 

(やってやるさ。あの"鬼"ってのが言った、人を守り、鬼をも斬る、ってやつを。)

 

道のりは未だ険しく、その果ては目を凝らしても見えないほどに遠い。

だがそれが面白いと、満は笑う。

 

しばらく夢中で剣を振り続け、気づけば時間は昼時になっていた。

 

「…精がでるわね、天海。」

「ッ!?」

 

聞き覚えのある声。

振り向くとそこには、三日前に出逢った、黒髪の少女。

星野 夕麻が、立っていた。

 

「ああ、まぁな。どうした、こんな所まで。連絡を入れるんじゃなかったのか?」

「入れたわよ、朝からずっとね。反応がないからわざわざ会いに来た、ってわけ。」

(なんだ?この前の感じと全然違う。こんな性格だったか?)

 

奇異の目を向ける満に、ため息をついて答えるレイナーレ。

 

「別に。猫を被るのをやめただけ。警戒もしなくていいわよ、今日はただお誘いに来ただけだから。」

「お誘い?」

「そう。デートのね。明日、確かアンタは学校休みのはずよね?」

「あ、ああ。確かに学校は休みだが…」

「じゃあ決まり。明日駅前の広場に…そうね。朝10時に集合すること。遅れたらただじゃおかないから。」

 

用件を一方的に伝え、その場を去るレイナーレ。

その後ろ姿を見つつ、

 

「…モテ期、ってか?」

 

冗談にもなりゃしねぇ、と苦い顔をする満。

ただ、一度は命を狙われた相手だというのに、そのお誘いに嫌な気分はしなかった。

 

□□□□□□□□

翌日。

駅前の広場に9時30分ごろ着いた満。

デートの基本は、30分前に集合とどこかの雑誌に書いてあったことを覚えていた満は、近くのベンチに座って、途中で買ったホットコーヒーを飲む。

 

「…呆れた。まさか本当に来るなんて。何飲んでるの?」

「あ?本当にって、お前、来ないとただじゃおかないって言ったろ。ホットコーヒーだよ。」

 

後ろから話しかけてきた声に、振り返らず答える満。

 

「ホットコーヒーって…暖かくなってきたこの時期に?」

「別にいいだろ?寒いのは苦手なんだ。腹が痛くなるからな。」

 

言葉を交わしつつ、ベンチから立ち上がり、振り返る満。

そこには昨日もあった黒髪の少女。

 

「よう、昨日ぶりだな、星野 夕麻。」

「ええ。昨日ぶりね、南 天海。」

 

お互いに挨拶を交わすと、共に歩き出す。

肩の距離は、三日前より、ほんのちょっぴり短かった。

 

□□□□□□□□

映画館。ショッピング。喫茶店。デートでは定番とも言える場所を巡る満とレイナーレ。

相も変わらずレイナーレに対し警戒心MAXの満は、

 

(殺気は感じない。悪意もだ。何気ない動作から見てもこちらに危害を加えようと思ってるようなそぶりもない。何が目的だ?この女。)

 

と、レイナーレの目的について考える。

ちらりと横を見ると、隣の少女は非常に楽しそうに、上機嫌に見える。

 

(まさか本当にデートしたかったってわけじゃないだろう。と、いうか殺そうとしてる相手だぞ?俺だったら別の相手を誘うね。)

 

そう思いつつ、レイナーレに話しかける。

 

「星野。」

「何、天海。」

「…いや、今度はどこに行くのか、と思ってな。」

 

これもだ。偽名とはいえ、下の名前を呼び捨て。同年代(に見える)の異性にそんな呼ばれ方をされたことがないので、戸惑う。

そんな満の様子には気づかず、レイナーレは顎に手を当てると、

 

「そうね。あの場所に行きましょう。」

「あの場所?」

「そう。一緒に写真を撮った公園。聞きたいこともあるでしょ?」

 

私たち(堕天使)のこととか。

言外にそう言うレイナーレに、その意味を正しく受け取った満は、

 

「ああ、じゃ、行こうか。」

 

公園の方へ足を向ける。

それは、どちらから、というものではなかった。

気がつけば、互いの手を繋いでいた。

 

□□□□□□□□

公園に着いた二人。

いつの間にか手を繋いでいたことに対し、悲しそうな微笑みを浮かべるレイナーレ。

その表情は気になったが、満は繋いでいた手を離し、聞きたいことを聞くことにした。

 

「さて、単刀直入に聞こう。お前は何者だ?」

「わかっているくせに、そういうことを聞くのね。」

「もしかしたら違っているかもしれん、本人からの話を聞きたい。」

「まあいいわ。私の本当の名はレイナーレ。堕天使よ。」

「堕ちた天使、ね。悪魔とは違うのか?」

「あんなのと一緒にしないで頂戴。一緒の括りなんて死んでもゴメンだわ。」

「そうかい。そりゃ失礼。」

 

肩をすくめる満。

 

「それで?あなたは?」

「…まあ、仕方ねえか。俺の本当の名は、左馬 満。人間だ。」

「あなたも偽名を名乗っていたなんて。人間のクセに頭の回る男。」

「お褒めいただき恐悦至極、ってな。で、目的は?」

「おまけにがめつい男。この場で消されても文句は言えないのよ?」

「こちらもそんなことはしない、と確証を得てから質問をしている。痛くもねえ腹の探り合いは無しにしようや。」

「ふうん。確証、ね。」

 

もちろん、口から出たでまかせに過ぎない。

それがわかっているのかいないのか、そのことに対しては何も言わず、レイナーレは続ける。

 

「…私たちの目的は、崇高なる存在になること。」

「崇高なる存在?」

「そう。ある少女を使ってね。」

 

意味がわからず、首をかしげる。

 

「殺すってことよ。」

「!」

 

ことも無げにそう言ってのけるレイナーレに、身を硬くする満。

 

「…そんな怖い顔しないでよ、震えちゃうじゃない。それで、あとはついでの目的も果たしにここへ来たってわけ。」

「ついでの目的?」

「何のことはない、子供のお使いレベルのものよ。気にしないでいいわ。」

 

気にはなるが、聞けそうにはないので、先を促す満。

 

「…それで?なぜ今日俺を呼んだ?まさか自分の目的をペラペラ喋るために呼んだ、ってわけじゃあるまい。」

「そうだと言ったら?」

「おいおい、俺は神父サマでも何でもないんだぜ。懺悔なら教会でするんだな。悪いが、俺は他人の罪を許せるほど偉くも傲慢でもない。」

「他人、ね。冷たい男。デートした仲でしょう?二回も。」

「確かに今日のはデートだったかもしれんが、前のはノーカンだ、ノーカン。あんなに殺気ぶつけて来といて、デートも何もあったもんじゃない。」

「何だ、わかっていたのね。でも、それなら何であの時何もしなかったの?」

「しなかったんじゃない。できなかったんだ。こっちは丸腰だったし、人間。お前さんたちのような人外の存在には手も足も出ないだろう。」

「そういうものかしらね。人間のあなたがそういうのなら、そうなのかもね。」

 

そう言って、後ろを振り向くレイナーレ。

 

「…4日後の夜、私たちは駒王町にある廃教会で先ほど言った少女を殺すわ。」

「!」

「阻止したければ止めてみなさい。もっとも、人間のあなたにできるのであればね。」

「…なぜだ。なぜそんなことを喋る。俺が悪魔側に通じているとは思わないのか!」

「あなたは喋らないわ。これはあくまであなたの問題。あなたは自分で解決すべきだと判断するでしょうね。」

「…最後の質問だ。何でそんなに悲しそうな顔をしている?何がお前をそこまで悲しませる?」

 

その言葉に、ピクリと肩を震わせたレイナーレは、

 

「ふふ、酷い男ね。そこまでわかっていて、言わせるんだもの。」

 

振り向く。

その顔は、泣いていた。

 

「…!」

「ふふ、言う必要もないかもしれないけれど、言わせてもらうわ。あなたのせいよ。私がこんなに悲しいのは、あなたのせい。でももういいの。」

 

どこかスッキリした表情で、レイナーレは続ける。

 

「もう何もかも遅すぎたわ。計画は最終段階に入った。私の一存では止まらない。止められない。こうなる運命だったのよ。」

「運命なんて言葉は信じちゃいない。全ては自分で切り開くものだ。」

「おっとこのこねー。天海。いや、満、だったかしら。とにかく、計画は止められない。だから、言っても問題ないのよ。」

 

そう言ってレイナーレは再度後ろに向き直り、

 

「それじゃあね。」

 

と、翼を広げ、飛び立とうとする。鴉を彷彿とさせる、黒いツヤのある羽。

咄嗟に追いかけようとする満だが、その顔に光の槍が突きつけられる。

 

「駄目よ、満。約束は四日後。ハヤい男は、嫌われるわよ?」

「おいおい、ここで下ネタかよ。流石堕天使、ってとこか?」

 

その言葉にクスリと笑うと、

 

「それじゃあ、また。遅れたら、承知しないから。」

 

と言い、羽ばたく。

が、途中でこちらに向き直り、

 

「あ、そうそう。あなたのオトモダチの兵藤 一誠クンだけど…」

「殺したの、私たちだから♪」

「な!?テメェ!」

 

その言葉に思わずレイナーレを睨みつける満。

その視線に悲しそうな、それでいて嬉しそうな表情を浮かべると、

 

「だから、くれぐれも来ない、なんてことはないようにね。もしかすると、もう一度一誠クンを殺しちゃうかも?」

 

と言うと、今度こそ、空を羽ばたき、飛んで行ってしまった。

それを見ていた満は、

 

「…クソッ。」

 

拳を握りしめ、悔しそうな表情を浮かべていた。

 

□□□□□□□□

スポーツMINO。

店長の三野は、もうそろそろ本日の営業を終了しようと考え、シャッターを下ろそうとしていた。

 

「おやじさん。」

 

そんな時、見知った少年が入ってくるのを見て、驚く。

 

「おう、どうした満。まさか、もう刀袋を壊したのか?あれは在庫が今厳しくてな、また今度…」

「おやじさん。今日はそういうんじゃない。少し、お願いがあってきたんだ。」

 

いつもとは違う様子の満に、訝しむ三野。

 

「お願いだぁ?こいつぁ珍しい。何だ、言ってみろ。お前が"お願い"するなんて、一年に一度あるかないかだ。刀袋のことは除いてな。で、何だ?」

「俺に、防具を売ってくれ。金なら払う。今すぐには無理かもしれないけれど、一生を掛けてでも必ず払うから。」

「お、おいおい。なんだ、本格的に剣道でも始めたのか?なら、丁度いいセットがここに…」

「違うんだ。詳しくは言えないけど、違う。格闘技用のプロテクターとかあるだろ、それを売ってくれ。なるべく頑丈な奴を。」

「…なんでぇ、満。お前、喧嘩でもすんのか?」

「…そうだね。喧嘩。確かに、喧嘩だ。」

「ふーん。ワケありってやつか。まあいいけどよ。ちょっと待ってな。」

 

そう言って店の奥へと引っ込む三野。

そこらに掛かっているプロテクターで良いというのに、頭に疑問符を浮かべる満。

 

「ほれ、持って行きな。」

「おやじさん、これは…?」

「それは、カーボンナノチューブとケブラーを使った、最新の防弾、防刃プロテクターだ。警察の機動隊にも採用されてる素材が使われている。」

「なっ!?おやじさん、そんなもんを何処で…」

「ちょいと伝手があってな。で、そいつをお前に貸してやろう。」

「えっ。で、でも、俺は…」

「なんだ満。お前、生意気にもソレを買おうってのか?別に買うのは良いが、お前に払えるのか?勿論この場でだぞ?」

「お、お幾らで…?」

「そうさなぁ…」

 

店側の利益を瞬時に計算し、原価に利益分を付けた定価で金額を言う三野。

その値段を聞き、満は真っ白になった。

 

「は、払えません…」

「だろ、だから貸してやる、って言ってんだ。その代わり、必ず返しにこい。壊しても良い。だが、必ずお前がそれを返しに来るんだ。」

「…ありがとう、おやじさん。」

 

言外にそれをやる、と言っているも同然のセリフに、満は胸が熱くなる。

事情も聞かず、味方してくれる人がいる。

その事実に、満はこの場で泣きそうになった。

 

「…ったく、男がそんな情けねえツラしてんじゃねえ。男が泣いて良いのはだな、好いた女が死んだ時と、財布を落とした時だけだ。それまで涙は胸にしまっとけ。良いな。」

「…うん、おやじさん。俺、行ってくる。」

 

そう言って、店を出る満。

その後ろ姿を見つつ、

 

「…ふっ。あいつも、随分と男の顔になったもんだ。男子3日会わざれば刮目して見よ、ってな。昔の人はよく言ったもんだぜ。」

 

ニヒルな笑みを浮かべながら、三野はシャッターを閉めるのであった。




お疲れ様でした。如何だったでしょうか。

この話は、第1章の中で、起承転結の"転"に当たる話です。
あまりにも長くなってしまったので、前後篇に分けようとも思ったのですが、結局一つにしてしまいました。
というのも、二つに分けるとどうしても休憩というか、間を挟んでしまうからです。
この場面は個人的に、一気に読んで欲しかったので、一つにしました。

長すぎて不快に思った方、申し訳ありません。
ですが、今回は、今回だけは絶対に一つにしたかったのです。
申し訳ありません。重ねて謝罪申し上げます。

あと、レイナーレさんは、原作路線から外れることが正式に決まりました。というのも、ある存在を思い出したからです。なので、キャラ崩壊タグを付けることにします。

勘の良い方はすでにわかるかもしれませんが。

では、また次回。ごきげんよう。
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