ハイスクールD×D 〜鬼を継ぐもの〜   作:ルルガルウ

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ルルガルウです。第15話、投稿していきます。
今回は、イッセー版"転"。
並びに、主人公修行編。

そして、終わりへと向かうプロローグ。

では、どうぞ。


第15話 紫電

(ちっくしょ、あの外道ヤロー…)

 

いまだに何処か違和感のある腹部を抑え、授業を受ける一誠。

今日は火曜日。満とレイナーレのデートから、2日ほどが過ぎていた。

 

(クソッ、アーシア…)

 

一誠は、土曜日に純粋無垢なシスターの格好をした少女、アーシアと出会い、友達になっていた。

アーシアに町にある教会の場所を案内し、日曜日にもう一度会い、色々話もした。

次の日リアスに怒られ、アーシアとの接触を禁じられ、落ち込んでいた一誠。

 

その日の午後、悪魔の仕事として喚びだされた一誠は、惨殺された依頼人と、その傍らに佇む白髪の神父、フリード・セルゼンと遭遇する。

戦闘になるがまるで歯が立たず、弱点である聖銀の銃弾を腹に受けてしまった。

 

あわやそのまま殺される、といったところでこんな血なまぐさいことには無縁のはずの昨日会った少女、アーシアが割って入る。

フリードとアーシアは、一誠を一度殺した堕天使の集団、その一味に身を寄せる、教会を追放されたはぐれエクソシストとはぐれシスターだったのだ。

一誠の傷を、その身に宿した神器、聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)で癒したあと、フリードにこれはどういうことかと聞くアーシア。

面倒くさくなったフリードは、アーシアにまで暴行を加える。

激昂する一誠だが、聖母の微笑では体力までは回復せず、呻くしかなかった。

 

そこに到着するリアス率いるオカルト研究部の面々。

旗色が悪いと判断したフリードは、アーシアを連れて逃走。

 

これが、今までに起こったことの全てだ。

 

それとは別の問題もオカルト研究部では発生していた。

 

(…ミツ、今日も学校に来てないな。)

 

そう、オカルト研究部に一緒に所属している友人、左馬 満が昨日から学校に来ていないのだ。

昨日は風邪かと思ったが、流石に2日連続で来ていないのは心配だ。

 

その日の放課後。

満がオカルト研究部に所属したときに住所を聞いたリアスたちは満の住んでいるアパートへ向かうが、そこにも満はいなかった。

 

管理人の話によると、昨日の朝早くから出かけた後、そのまま帰ってきていないらしい。

こういうことはよくあるらしく、警察にも連絡は入れていない、ということだ。

それともう一つわかったことは、満は一人暮らしであるということだ。

両親は行方不明らしく、今は管理人が保護者となって面倒を見ているようだ。

 

よくあること、と言いつつ心配そうな管理人に、必ず満を見つけると約束したオカルト研究部一行。

その後、契約の仕事が来ていない者を中心に捜索を行った。

しかし、見つからない。

一誠がふと空を見上げると、そこには暗雲が立ち込めていた。

 

(…ミツ。お前、どこにいるんだ?)

 

その問いに答えるものは、誰もいない。

 

□□□□□□□□

剣を振る。

剣を振る。

無心に。無想に。ただひたすらに。

 

三野から防具を受け取った満は、次の日から町から少し離れた山へと篭り、鍛錬に勤しんでいた。

防具を体に着け、剣を振る。

防具を着けたままの状態で剣を振ることに慣れるためだ。

 

今のままでは、レイナーレたちには勝てない。

 

そう感じた満は、学校を休んで修行をすることを決意。

最悪出席日数については親族が理事長をやっているというリアスに泣きつくことにして、今は強くなることだけを考えていた。

 

1日目は身体に動きを覚えさせるように夢で見た男の動きを再現し。

2日目の今日は、その動きを何度も、何度も振るっていた。

 

「ハッ、ハッ。」

 

息が苦しい。腕が重い。こんなことは止めて、今すぐアパートへ帰り、ベッドでぐっすり寝てしまいたい。

そんな欲求を全力で無視して、満はひたすら剣を振るう。

満の脳内に浮かぶのは、あの時の泣いているレイナーレの表情。

自分が苦しめ、泣かせてしまった少女のことを考え、歯ぎしりする満。

 

ポツ、と満の頬に水滴が当たる。

満が空を見上げると、空はすでに分厚い雲に覆われていた。

満が気づくのを待っていたかのように、豪雨が降り注ぐ。

山とはいえ、ここは開けた場所。山崩れの心配はないと判断した満は雨を無視して剣を振るう。

 

と、そんな満の耳に、ある音が聞こえた。

低音と重音が織りなす、轟音。

雷の音だ。

 

そういえば、と満は思う。

戦国の世には、雷を斬った侍がいたという。

 

(…斬ってみるか。)

 

そう思った満は、上空を見上げる。

空がピカッ、と光った瞬間、満は剣を振り抜いていた。

雷を斬らんとする満。その右腕には鬼の籠手があり、眼を思わせる部分は青く光っていた。

 

□□□□□□□□

パァン、と部室に乾いた音が響く。

 

「ダメよ、イッセー。それだけは許可できないわ。」

 

叩かれたのは、一誠。叩いたのは、リアス。

ここは、オカルト研究部、その部室。

満の家を訪問してから、2日ほどたっていた。

 

その日、教会から逃げ出してきたというアーシアと再会した一誠は、それを追いかけてきた自分を一度殺した堕天使、ドーナシークと交戦。

 

神器を使用するもやはり歯が立たず、光の槍を腹部に刺されてしまった。

そんな一誠を聖母の微笑で癒すアーシア。

ドーナシークは、そんなアーシアの能力こそが必要であり、こちらに来れば一誠には手を出さないと確約。

それを承諾したアーシアと、必死に引き止める一誠。

一誠の必死の説得も叶わず、アーシアはドーナシークと共に行ってしまった。

 

その後部室に帰った一誠は、リアスにことのあらましを説明。教会へと攻め込むべきだと主張。

リアスは、それだけは許可できないと首を振る。

なおも詰め寄る一誠を、リアスが叩いたのだった。

 

「あなたもわかっているでしょう、イッセー。その娘は、もう助からない。可哀想だけど、見捨てるしかないの。」

「でも部長!」

「わかって頂戴。私だってその娘が憎くて言っているわけではないのよ。でもあなたはグレモリー家の眷属。そのあなたが教会に攻め込むことは様々な意味を持つわ。」

「ならオレを眷属から除いて下さい!オレ一人でいけば、何の問題も!」

「そんなのできるわけないでしょう!」

 

リアスと一誠、どちらにも言い分があり、譲れない。

 

「大体、オレは兵士(ポーン)です。兵士の一つや二つ、無くなっても別に…」

「いい加減にしなさい!」

 

一誠のその言葉に、激怒するリアス。

 

「あなたは、私の、リアス・グレモリーの眷属よ!可愛い可愛い、私の自慢の眷属よ!それが無くなっても別に問題ない!?ふざけたことを言わないで頂戴!」

 

その剣幕に怯む一誠。怯みながらも、それでも諦めきれない一誠。

 

「大体、あなたは兵士が弱いと思っているの?本当に?」

「えっ。兵士って、チェスの最弱の駒じゃ…」

「何を言っているの。チェスの兵士の駒の特徴は、昇格(プロモーション)。これは、悪魔の駒の兵士と同じ特徴よ。」

「昇格?」

「そう。敵の本拠地深くに切り込んだ兵士は、その能力を、王以外の他の駒と同じものにできるの。騎士や、戦車、僧侶や、女王にね。」

「オレが、他の駒の能力を…」

「そう。兵士の駒は、扱い方によって戦局を変える、とてつもない可能性があるわ。そんな駒を、あなたは8個。私の持てる兵士の駒の、全てを用いなければ転生させることができなかった稀有な存在。」

 

いいこと、とリアスは微笑みながら一誠の腫れた頬を撫でる。

 

「そのためには、主である私が敵の本拠地を定めなければならないわ。()()()()()()()()()()()

「それと、あなたはまだ神器のことがよくわかっていないようだから、教えてあげるわ。」

 

「想いなさい。」

 

「想…う?」

「そう。神器の力は、意思の力。神器は、頭で動かすものではなく、心で動かすもの。だから、想いなさい。そうすれば、神器は必ずあなたに応えてくれるわ。」

「心で、動かす…」

 

そこで、朱乃がリアスに何やら耳打ちする。

その表情は、とても険しい。

報告を聞いたリアスは、その表情を真剣なものへと変えると、

 

「少し取り掛からなければならないことができたわ。私と朱乃は席を外します。祐斗、小猫。後は任せたわよ。」

「はい、部長。」

 

返事をする祐斗と、コクリと頷く小猫。

 

なおも言い募ろうとする一誠。

その一誠に対して、リアスは言う。

 

「いいことイッセー。いくら昇格しても、一人では堕天使に勝てない。仲間を頼りなさい、イッセー。」

 

その言葉にハッ、となる一誠。

 

「部長…!」

「さあ、この話はもう終わり。向かうべき場所は、わかっているわね?」

「はい!行ってきます、部長!」

 

元気よく飛び出していく一誠と、それを追いかけていく祐斗と小猫。

その背中を微笑みながら見つめると、リアスはリアスの、やるべきことのための準備に向かった。

 

□□□□□□□□

「…ここか。」

 

目の前には、既に主のいない教会。修行を終えた満は、レイナーレとの約束通り、教会に来ていた。

と、教会に乗り込もうとした満の前に、光の槍が突き刺さる。

 

光の槍が飛んできた方向を見ると、三人の堕天使がこちらを見ていた。

 

「アレがレイナーレさまが言ってた人間っすか?なんだか随分弱そうっすね。」

「油断は禁物だ、ミッテルト。如何に弱い人間と言えど、窮鼠猫を噛む、といったことわざもある。」

 

好き勝手に喋る堕天使。その中の紳士風の堕天使が、こちらに話しかける。

 

「左馬 満だな。」

「違うと言ったら?」

 

満のその返答に、フン、と鼻を鳴らすドーナシーク。

 

「どうでもよい。どちらにせよ、貴様にはここで死んでもらう。貴様に出会ってから、レイナーレさまは変わってしまわれた。貴様だけは、この手で殺さねば気が済まん。」

 

そう言って光の槍を構えるドーナシーク。

他の二人の堕天使も、戦闘態勢に入った。

 

「覚悟せよ、人間。我らは…」

「ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇ。」

 

話は簡単だ、と腰に佩いた模擬刀を抜く。

 

「退け。こちらの邪魔をするのなら、」

 

鬼の籠手が光る。その色は青。

青い雷光、紫電が辺りを照らす。

 

「悉く斬る。」

 

輝きが止むとそこには、青い、雷光を迸らせる刀を持った満が、威風堂々と立っていた。




如何だったでしょうか。
まえがきでも言った通り、この話はイッセー版"転"です。
ところどころ端折ったり、時系列が変だったり、ドーナシークさんがイッセー君を殺したバタフライエフェクトでリアスが原作より若干聞き分け良かったりと、微妙に諸所の部分が変わってます。
その所為で、イッセー君がレイナーレさんと一切会ってない、という原作との最大の乖離点が出てしまいました。

さて、やっと出せました、鬼の武器。
最初から初めに出てくる鬼の武器は雷斬刀に決めていて、この展開に持っていくのに随分と頭を悩ませました。

雷斬刀を出すために雷を斬る、その前に朱乃と戦って雷という刺激を鬼の籠手に当てておく、その朱乃と戦うための理由としてまずは祐斗と戦う、そしてそもそも雷斬刀を出すために必要な記憶を見せておく、といった具合に、結果から遡る必要がありました。


いつの間にやらUAは8000を超え、お気に入りは144件も登録してもらえました。
閲覧してくださった皆さま、お気に入り登録してくださった皆さま、本当にありがとうございます。
これからも頑張ります。

それでは次回。またお会いしましょう。
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