第18話、投稿していきます。
今回は長くは語りません。
どうか、見てやってくださいませ。
今章最後の戦闘シーン、どうぞ。
斬り結ぶ。
片方は堕ちた天使の、それでいて心なしか清く輝いているように見える、光の槍。
片方は人間の、深海のように青く、雷光を迸らせる、刀。
ここは駒王町、その中に存在する古びた教会。
その地下、やや広い場所で、人間、左馬 満と、堕天使、レイナーレは互いの武器で斬り結んでいた。
(なんだこの槍は?)
おかしい。
直前に他の堕天使と戦闘をしていた満は、レイナーレのその槍に違和感を覚える。
この力は問題なく機能している。今も、
バキィィィン!
甲高い音を響かせ、レイナーレの持つ光の槍が破壊される。
だが返す刀でレイナーレを斬ろうとしても、
ガキィ!
レイナーレが新たに作り出した光の槍に阻まれる。
そう。
レイナーレは、自らの光をより集めた存在である光の槍で、完全ではないとはいえ、満の破壊の力を防御することができていた。
(クソッ…)
迷いはない。
目の前の女を斬ろうとする気持ちに揺らぎはない。
だというのに、斬れない。
今まで相対してきた中で一番手強い相手に、満は次第に焦り始めていた。
□□□□□□□□
(!また防げた!)
満の破壊の力を防御したこと。
このことに最も驚いていたのは、レイナーレ本人だった。
レイナーレは、他の下級堕天使よりも、自分が作り出す光の槍、その光の濃度が高いことを知っていたし、自慢に思っていた。
だが、彼女の光の濃度が高いと言っても、精々1.5倍程度。
その力で作り出した光の槍を用いても、満の破壊の力は止められない。
だが現に、レイナーレの作り出した光の槍は、しっかりと満の刀を防御することができていた。
実は、満の持つ刀を見た瞬間、その刀に秘められた膨大な力を感じたレイナーレは満に勝てないことを内心悟り、必死に抵抗するフリをしておとなしく斬られよう、と考えていた。
この男に斬られるならば、文句はない。
この男の剣で死ねるのならば、未練はないと、半ば本気でそう思い、先ほどできた友の後を追おうとした。
だが、今は。
(光の密度が、上がっている。自分でも思ってみなかったほどに。)
レイナーレは笑う。なんだこれは。まるで酷いコメディのようではないか。自分の力の限界を感じ、癒しの力を求め、それを諦めた途端、自分の力が上がる。
結局のところ自分はぐるぐると車輪を回すハムスターでしかなかったと、自嘲する。
それでも、
(…試してみたい。
自分は、そのために生きている。
まるで、死んでしまった友が与えてくれたような力と共に、レイナーレは今、全力で生きていた。
□□□□□□□□
斬る。
防ぐ。
斬る。
防ぐ。
永遠にも続くかのように思えたその攻防だが、ついに終わりが来る。
「がはっ!?」
「ぐっ!?」
剣撃が合わさり、逸れ、互いに当たる。
光の槍は満の横腹に刺さり、
青い刀はレイナーレの左腕を斬り飛ばしていた。
「ハァ、ハァ…」
「フゥ、フゥ…」
まだやれる。
そう判断した両名は、互いの獲物を再び構える。
「…何故だ。」
「え?」
唐突に、満がレイナーレに話しかける。
「何故、あんな嘘をついた。」
「あんな嘘って?」
「お前があの少女を殺した、と言ったことだ。あれは嘘だ。」
「どうして?」
「イッセーがあの少女を抱え上げた時、見えた。あのシスター服に開いていたのは、小さい穴。銃創だ。殺したのは、あのイカレ神父のはずだ。」
「ふふ、嘘は言ってないわ。私はそう聞こえなかったか、と聞いただけだもの。そっちが勝手に勘違いしたんでしょう?」
「…確かにそうだな。だがしかしおかしい。あのイカレ神父は、お前らのことを仲間でもなんでもないと言っていた。だが、互いに利用しているとも言った。それが、お前の計画をおじゃんにした。裏切るメリットなんてなかったはずだ。何があった?」
「それは、教えられないわね。聞きたかったら力ずくで聞いてみなさい、よっ!」
「…!」
この話は終いだ、と言うように光の槍を投擲してくるレイナーレ。
斬りはらい、レイナーレとの距離を詰める。
「終わりだ!」
「甘いのよ!」
再び激突。
だが、先ほどの攻防のように、鮮やかな剣撃がおりなす華やかな武闘ではない。
お互いに満身創痍で、泥臭い、しかしそれでも懸命に生きようとする戦い。
(クソッ、血、血がどんどん抜けていきやがる…。さ、流石に限界が近いぜ…)
(傷口は焼かれているから問題ないけど、もうそろそろ光が尽きるわね。あちらも限界かしら。)
互いに限界を悟る満とレイナーレ。
向き直り、チャンスを待つ。
この戦いに勝つのはどちらか。
先に動いた方が負け、だがしかし先に動く方が勝つ。
そんな矛盾した回答が、二人の頭の中でぐるぐると回る。
レイナーレの額に汗が浮かび、それが顎を伝って落ちる。
満の腹部から血が滴り、それが服から落ちる。
ピチョン。
「「…ッ!」」
動いたのは、同時だった。
瞬く間に互いの距離が縮まる。
だが、
(ま、マズいッ!?)
ここで、種族の差が出てくる。
血を流しすぎた満の視界が、一瞬暗くなる。
その所為で、一瞬だけ、レイナーレを見失う。
(死…)
んだ、と思い、せめて最後にレイナーレの方を見るとそこには、
(おい、何やって…)
手を広げ、
(まさか…)
微笑みを浮かべ、
(やめろ…!)
悲しみと喜びの涙を流しながら、
(そんなつまんねぇことをするじゃねぇ…!)
こちらを受け止めようとするかのように構える、
「馬鹿野郎がぁぁぁぁぁぁ!」
レイナーレが、いた。
その胸に、満の刀が突き刺さる。
□□□□□□□□
「こ、ここは…?」
「あ、ああ…。アーシア!」
「イッ、セーさん?イッセーさん!イッセーさぁん!」
「アーシア!アーシア!」
教会の外に出た一誠は、結界を構築し終わったリアスたちと合流。
悪魔の駒、そのうちの僧侶の駒をアーシアに埋め込んで貰う。
その結果、見事悪魔へ転生することができた。
「…そうです!レイナーレさん!レイナーレさんは!?」
「レイナーレ?アーシアを殺したヤツか!」
「何を言っているんです!あの方は、私を助けようと…」
「はあ?どういうことだよ!?」
教会の地下で起こったことを、かいつまんで説明するアーシア。
アーシアの話を聞き、
「くそっ…あの外道ヤロー。殴るまでじゃ飽き足らず、命まで…」
もう一発ぶん殴っておくんだった、と悔しそうに言う一誠。
「それで、レイナーレさんは?」
「えっと、まだ中でオレの仲間と戦って…」
「そんな!急いで止めないと!」
そう言って教会の地下へと向かおうとするアーシアだが、
ドゴォォォン!
轟音とともに、教会に雷が落ちる。
青い青い、雷撃。
「きゃあっ!」
「アーシア!」
バランスを崩すアーシアを受け止める一誠。
神の怒りを思わせるその雷に、
(中で何が起こってる?無事でいろよ、ミツ…)
中で戦っている友を思い、引き止める仲間を無視してアーシアと教会へ突入した。
□□□□□□□□
その唇が、言葉を紡ぐ。
ー終わらせて。
(!)
「おおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
叫ぶ。
叫ぶ。
あらん限りの叫びを持って、この世界を糾弾する。
なぜだ。
なぜこうなる。
なぜいつだって、ハッピーエンドは訪れない。
「ああああああああああああああ!!!!!」
斬る。
斬る。
目の前の
その軌跡は空に青白い線を描き、雷光はさらに迸る。
戦術殻。
鬼の武器、その力を使った奥義。
その威力は筆舌に尽し難く、それをまともに食らったものは、原型すら残らない。
満の持っている刀、雷斬刀が戦術殻。
戦術殻・雷。
その奥義の全てを、目の前の少女に叩き込む。
「くそったれがぁぁぁぁぁぁ!」
最後の一撃、大上段に構えた剣を、その場で縦に一回転し、全体重を乗せて撃ちおろす。
ドゴォォォン!
その場を中心に、目もくらむほどの大量の雷撃が走り、照らす。
ーありがとう。
そう微笑みを残して、まるで天に昇るかのように、レイナーレは消失した。
そこには、血を流し、俯向く満と、
レイナーレがいた場所に残った、ふわりと浮かぶ光球だけが残されていた。
如何だったでしょうか。
次回予告
レイナーレを斬り、全てを終わらせた満。
その魂をも封印しようとする満の所に、レイナーレの友人だという少女と、自らの友人である少年が駆けつける。
そして始まる対話。
満は何を語り、そして何を為すのか。
次回、ハイスクールD×D 〜鬼を継ぐもの〜
第19話 鬼の目にも涙
それでは次回、またお会いしましょう。