ハイスクールD×D 〜鬼を継ぐもの〜   作:ルルガルウ

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ルルガルウです。
第19話、投稿していきます。

すいません。我慢できませんでした。
言い訳はあとがきにて。


第19話 鬼の目にも涙

走る。走る。

少女は教会へ入り、隠し階段をひたすら降りる。

 

本来短いはずのそれは、その少女、アーシア・アルジェントにとって永遠にも続くかに思えるほどに長かった。

それはもしかすると、心のどこかでその結果を恐れていたからかもしれない。

 

だが、いくら長くとも終わりは来る。

 

階段を降りきったアーシアの目の前に映ったのは、

 

「レイナーレさん!」

 

血に濡れ、立ち尽くす少年と、

空にふわりと浮かぶ光球。

 

それだけだった。

 

□□□□□□□□

ーありがとう。

 

その言葉を残し、レイナーレは逝った。

満を置いて、行ってしまった。

 

(ちっくしょうが…!)

 

この結果しかなかったと、これが最善の結果だと、わかっていた。

頭ではわかってはいたが、その心は、魂は納得していなかった。

 

(おいおい、現実を見ろ、左馬 満。奴を殺したのは誰だ?斬り刻み、その存在を消し飛ばしたのは一体どこのどいつだ?お前だろう?)

 

笑わせる、と自分自身を嘲る。

自分で斬っておいて、それを納得しない?

ふざけるのもいい加減にしろ。

これが人を斬るということだ。

甘ったれるのもいい加減にしろと、自分で自分を責めたてていく。

 

「レイナーレさん!」

 

声がする。

少女の声だ。

そちらの方を向く。

 

「ミツ!」

「…イッセーか。それと、アーシアさん、だっけか。」

「はい、アーシア・アルジェントと申します。あなたのお名前は?」

「…満。左馬 満だ。」

「よろしくお願いします、満さん。それで、レイナーレさんは…?」

 

ああ。

早速か。

早速、人を斬った結果、そのツケがこちらに回ってくるのか。

ならば、

 

「ああ。…俺が斬った。」

 

ならばせめて誠実でいようと、満は決めた。

 

□□□□□□□□

アーシアは本能的に確信していた。

この男だ。

レイナーレと出逢ったのは、この男だ。

レイナーレの優しさを引き出してくれたのはこの男だ。

だから、

 

「ああ。…俺が斬った。」

 

その言葉が信じられなかった。

 

「…え?」

「ああ。その通りだ。レイナーレ、今回の件の首謀者、全てを企んだ女は俺が斬った。そしてその魂が…」

 

これだ、と満は空に浮かぶ光球に視線を向ける。

 

「…こいつをこの籠手に吸い込み、封じることで今回の件は全て終わる。あとは、それだけだ。」

 

そう言って、満はレイナーレの魂だという光球に歩み寄っていく。

 

「ま、待ってください!」

 

咄嗟に止める。

 

「…何だ?」

「その、何で封じ込めるんですか?彼女の魂は、天に昇るべきです。天へと昇り、主のもとへ召されるべきです。それをどうして…」

「ああ、それは俺のせいだ。俺が斬った。俺が殺した。だから俺が終わらせる。俺が封じる。俺が斬った者の結末を(他人)には委ねたくない。」

「そんな!それは傲慢です!それに、そこまで言うのならなぜ彼女を殺したのです!なぜ!?」

「そうだな、傲慢だ。そしてこれは俺のワガママだ。なぜ彼女を殺したか?そんなことは簡単だ、それはな、」

 

そこで満は一度息を吸うと、

 

「それが最善の答えだったからだ。」

 

と答える。

 

「最善?」

「そうだ。すでに彼女率いる堕天使は、この町でイッセーを襲い、一度殺している。グレモリー家の治める、この町でだ。他にもあんなイカレ神父がいたんだ、死人は両の指じゃあ数え切れないだろう。いくら俺たちが彼女を捕らえ、助命を乞うたところで、彼女の死はすでに決まっていたことだ。」

「そんなことありません!話せば、きっとわかってくれたはずです!」

 

「君は優しいんだな、アーシアさん。だが、全ての人が、いや、悪魔が君のような話せばわかるような連中じゃない。貴族には貴族の、通さなくてはならない筋がある。」

「そんなもの、命の前では!」

「ああ、確かにくだらないだろう。だが、君は言えるのか?私はこの町で人を殺しました。あなた方の決まりでは私は死罪です。ですが、命はそんなものより重いので私は殺さないでください、と?」

「そ、それは…」

「もちろん、そんなことは俺にだって言えない。彼女自身が手を下していなくても、彼女が決め、彼女が行ったことだ。もちろん実行犯に罪はあるが、それを指示する立場にあった彼女にも、罪はあるんだ。」

「だから、殺したのですか!罪があったから、彼女は殺されなくてはならなかったのですか!」

「そうだな、理屈で言えば、そうだ。」

 

その言い方が引っかかったアーシアは、更に満に問う。

 

「…理屈で言えば?他の理由があると?」

「…ああ。彼女は、死を、望んでいたんだろう。」

「そんな!あの方が、そんなことを望むとは思えません!」

「ああ、そうかもな。俺が感じたことだ。間違っているかもしれない。」

 

そこで、満はこちらに顔を向ける。

その顔は、泣いていた。

 

「!?」

「でもさ、彼女、言ってたんだ。俺に、終わらせて、って。」

 

涙を零し、なおも満は続ける。

 

「斬ったらさ、ありがとう、って、言ってたんだ。なあ。俺は、間違ってたのか?俺のしたことは全て間違いで、ほんとは全員が笑う、ハッピーエンドを作ることができたのか?」

 

子供のように泣きながら、満はアーシアに問う。

 

「なあ。どうすればよかったんだ。アンタが今日殺されるのを黙って見ていればよかったのか?それともレイナーレに初めて出会ったあの日、俺は彼女に殺されていればよかったのか?なあ、教えてくれ、」

 

「俺には彼女を斬ることしかできなかった。」

「俺の友を、大切なものを守るためには、彼女を斬るしかなかった。」

「俺は、何を為せばよかった?」

 

満のその言葉に、アーシアは何も言えなくなった。

 

「バカだなあ、ミツ。」

「!」

 

その代わり、彼の友がそれに答えた。

 

□□□□□□□□

「…イッセー。」

「ホントバカだぜ、お前はよ。詳しいことはオレわかんねーけど、彼女、ありがとう、って言ってたんだろ?だったら、それは正しかったんだよ。」

「だけど、俺は、彼女を!殺したくなんて!」

「でも、それしかなかったんだろ?お前たちがどんな関係だったかなんて知らない。知らないけど、きっとそれは、間違いじゃない。お前が間違いだって言うなら、お前がそれを背負って、満足したら、謝ればいいんだよ。」

 

考え過ぎだ、と笑う一誠に、

 

「…お前は、考えなさ過ぎだ。」

 

そう返し、暫し、その場で泣き崩れた。

 

□□□□□□□□

「ホントにいいのか?」

「ああ。俺が決めた。コイツの死は俺が背負う。」

「アーシアも、それでいいな?」

「は、はい。イッセーさんが言うのなら、それで…」

 

しばらく泣き崩れた後、満は、レイナーレの魂を籠手に封じることに決めた。

これは、俺の罪だと。これは俺が背負うべきものだと。

 

「じゃあ、いくぜ。」

 

そう言って、籠手に意識を集中する満。

そうすると、レイナーレの魂が、籠手に吸い込まれていく。

 

「…」

 

暫く吸い続け、レイナーレの魂を完全に封じる。

 

「…」

「…終わったのか?」

「ああ、終わった。」

 

上を向き、再び涙を流す満。

 

「…涙を流すのは、これで、最後だ。もう、泣かない。」

 

誰に言うでもなく、そう呟く満。

その涙が、鬼の籠手に、落ちた。

 

 

 

 

 

□□□□□□□□

ボンヤリと、光を放つ鬼の籠手。

上を向いている満は、それに気づかない。

 

「おい、ミツ。それ…」

「…ん?何だ、どうした、って…」

 

一誠に言われ、光っている鬼の籠手に気づく満。

 

「な、何だこりゃ!?」

「ええ!?ミツのなのに、ミツにもわかんねーのか!?」

「いや、これ借り物だし!全部は知らねーよ!なんだ?どういうんだ?まさか、爆発でもすんのか?」

「マジかよ!?ヤベーじゃん、早く外せって、それ!」

「お、おう。あ、あれ?どうやって外すんだこれ!?」

「え、ええええ!?そこからかよ!?」

「いや、だって、これ勝手に消えるし、外したことなんて…」

「あわわ、光がどんどん強くなってます!?」

 

突然のことに、慌てふためく3人。

光はどんどん強くなり、何も見えなくなるほどに籠手が光り輝く。

 

「うおっ、まぶしっ!?」

「あわわわわわ!」

「な、何も見えねぇ!?」

 

カッ、と一際強く籠手が輝き、その光が止む頃には…

 

「ま、マジで目の前がクラクラしやがる…」

「お、お星様が見えます…」

「うーん…」

 

あまりに強い光に、フラフラの3人。

その3人に、

 

「…で?どういう状況よ?」

 

声が、かかる。

聞き覚えのある声。記憶にある声より、少し高い。

 

バッ、とそちらを振り向く3人。

 

「ちょっ!何よ。ビックリするじゃない、もう。」

 

鴉を思わせる翼。

漆黒の衣装。

艶やかな黒髪に、黒い瞳。

その容姿は記憶にあるものと全く同じ。

ただ一つ、

 

「な、何よ…そんなにこの身体になった私が珍しい?」

 

その大きさを除いて。

レイナーレは、その容姿のまま、手のひらサイズまで小さくなっていた。

 

「な、何とか言いなさいよ…」

 

そう言って、決まりが悪そうな表情を浮かべるレイナーレ。

 

「れ、レイナーレ?レイナーレなのか?」

「そ、そうよ。」

「ホントのホントにレイナーレか?」

「な、何よ!悪い!?そりゃあ、あんな風にカッコつけた挙句、こんなんじゃギャグにもならないっていうのはわかってるわよ!」

 

ヤケになったかのように叫ぶレイナーレ。

 

「は、ははは、はははっ。ハハハハハハ!」

「ちょっと、何よ!は、離し…」

「ハハハハ!前言撤回だ、ハハハハハハ!」

「レイナーレさん!レイナーレさんっ!」

「ちょっと、アーシアまで…!」

「何がもう泣かない、だ。早速泣いてるっつーの、ハハハハハハ!」

「おいコラ、ミツ!なにアーシアに抱き着かれてんだ!オレと変われ!」

「ち、違いますイッセーさん!これは、レイナーレさんに…!」

「ハハハハハハ!」

 

泣きながら大爆笑し、レイナーレを抱きしめる満。

泣きながらレイナーレに抱きつくアーシア。

2人に抱きつかれ、迷惑そうにしながらも嬉しそうなレイナーレ。

結果的にアーシアに抱きしめられている(ように見える)満に、文句を言う一誠。

 

「まったく…。見ない間に随分と泣き虫になったもんね、満。まあ、その。た、ただいま。」

 

そう言ってはにかむレイナーレに、

 

「おう、おかえり!」

 

全力の笑顔で応える満だった。




さて、如何だったでしょうか。

まあ、文句を言われることは承知しています。
前回のあの引きに、この話のラストはないだろうと。
ですが、このまま彼女が消えたまま、この物語を進めると後の展開がずっと暗いままで、満とアーシアとの関係もギクシャクしてしまうので、この形に持って行きました。


幾人かは予想していたであろう、レイナーレの阿児化。
これは、途中で、「そう言えば堕天使って、カラス、って呼ばれ方が本編であったな」と思ったのがきっかけです。
阿児って鴉天狗ですもんね。
ですが、レイナーレは今回の件の責任を取り、一度は死ななければなりませんでした。

そこで、鬼の籠手パワーを使って生き返らせてもらいました。
素材は、レイナーレの魂をベースに、満が斬った、ドーナシークたち堕天使の魂を使わせてもらった、とこちらの設定ではしています。
3で人間1人籠手を代償に生き返らせてたし、不可能ではないかな、と。
ご都合主義タグつけるべきですかねぇ?


あ、満とアーシアの関係と言っても、友人関係ってことですよ?
ウチのssではNTRはしません。あくまでこのssではイッセー×アーシアです。

さて、第1章も、次回で終わりです。
日常回を挟んで、第2章に入ります。

ここまでエタらずにこれたのも、閲覧してくださった、お気に入り登録してくださった、ご感想を書いていただいた皆さまのおかげです。

これからも、このssをよろしくお願い申し上げます。
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