ハイスクールD×D 〜鬼を継ぐもの〜   作:ルルガルウ

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ルルガルウです。
第24話、投稿していきます。

修行編ですね。
どうぞ。


第24話 特訓開始

レーティングゲームが行われるのは5日後。

 

「今のままではライザーに勝てないわ…特訓よ!」

 

というリアスの鶴の一声により、オカ研のメンバーは今、

 

「ヒ、ヒィ、ヒィ」

 

山を登っていた。

 

「なん、でっ!やっ、まっ!にっ!」

「そりゃ、環境的にいいからだろ。周りには修行の妨げになるものはないし、酸素が薄い状態で動くことで、下山した後の動きの効率を上げることもできる。」

「み、つぅ!な、んで、おま、えはッ!そんっ!なにっ!」

「山で修行するのは初めてじゃないし、荷物担いで山登りなんてザラだ。鍛え方が足りんよ、イッセー。」

 

ゼェゼェ、と荒い息を吐きながら山を登る一誠。

その背中には大きな荷物。

その横を、鼻歌交じりで登るのは満。

その背中には、一誠よりも大きな荷物。

最初は荷物の量が逆だったのだが、満が重い方を持ちたがったので、交換したのだ。

 

「って、言うか!なんで!お前が!こ、こっ、にっ!」

「俺が部長について行きたい、って言ったんだ。二つ返事で了承してくれたぜ。」

「おま、え、はっ!ゲーム、にはっ!」

「参加しないな。まあ、こちらにも考えがある、ってことだ。」

 

非常に黒い笑みを浮かべる満。

その表情にこれ以上聞くのが怖くなった一誠はあとは無言で山を登る。

 

暫く歩くと、山の上にログハウスが見えた。

 

先に行っていた他のオカ研メンバーがこちらに手を振っている。

息も絶え絶えでロクに返事ができない一誠。

のんきに手を振り返す満。

 

非常に対照的な2人だった。

 

□□□□□□□□

「木場、ちょっといいか?」

「なんだい?」

 

ログハウスに着いた一誠たちは、それぞれ思い思いの特訓を始める。

一誠は主に神器を使いこなすための修行を。

朱乃は更に魔力を使いこなすための訓練を。

小猫は…わからないが、森の方に向かったようだ。

 

そんな中、満は祐斗に話しかけていた。

 

「魔剣を創って貰いたい。」

「ん?キミに僕の神器のことはしゃべったっけ?」

「いや、お前からは聞いてないが部長に聞いた。」

「そうか。それで、どんな魔剣を?」

 

そこで満は大きく頷き、

 

「頑丈で、これ以上ないほど重いヤツだ。大きいやつがいい。」

 

と注文する。

 

「それって、魔剣じゃ…」

「いや、あるだろ?ただただ重い、分厚い、頑丈で、大きいヤツが。ほら、ドラ…」

「あれは漫画の中の話だよ。まったく、ちょっと待っててくれるかな。」

 

そう言って祐斗は意識を集中し、ある魔剣を創造する。

大きく厚く、非常に重そうな剣だ。

 

「はい。これは、魔力を注ぐことで重さが増す効果のある剣だよ。」

「いや、俺魔力使えな…」

「重くしたかったら、朱乃先輩にでも頼めばいいんじゃないかな。それ自体がそもそも重いし。」

「ふむ、姫島先輩の修行の手助けにもなるかも、ってことか。わかった。ありがとな。」

 

笑顔で礼を言う満に、笑顔で応える祐斗。

 

「うん、まあ、何かあったら言ってよ。できるだけは手伝うからさ。」

「その言葉を待っていた。」

「…ん?」

 

満の笑みの質が変わる。

朗らかな笑みから、非常にイイ笑顔に。

満は一度剣を回してみる。

ブウン、という音を立てて軽々しく回る大剣。

満は何度か頷き、

 

「ん、大体わかった。と、言うわけで、やるぞ。模擬戦。」

「…え?」

「イイだろ?俺はこの重い剣を振るうことで更に剣速を増す修行を、お前はパワータイプの剣士を相手に戦える、win-winじゃないか。」

「いや、僕は僕で…」

「そう言うなって。籠手は使わねえからさ。」

「それならいいけど…」

「その代わり真剣でだ。怪我してもアーシアの修行になる。あとで塔城も呼ぶか。」

「…わかった。」

「OK。それじゃあ早速、」

 

「特訓開始だ。」

 

イイ笑顔のまま、満は祐斗に斬りかかる。

 

□□□□□□□□

ガキン、ガキンと金属の打ち鳴らされる音が聞こえる。

 

「よいしょぉっ!」

「ッ!」

 

レイナーレとの決戦前の修行で夢の中の男の体捌きを完全にモノにしていた満は、大剣の取り回しの悪さを補いつつ、祐斗を追い詰めていく。

祐斗はそのスピードを以って翻弄しようとするが、人外の反射神経を持つ満は全く動じず、逆にカウンターを狙う。

 

満の、相手の回避先を潰しながら動く剣術。

素早い刀の連撃とは違って、ここぞというときに襲い来る渾身の一撃に、冷や汗を流す祐斗。

 

(前とは動きが段違いだ!自分の戦い方というものを完全にモノにしている!)

 

なおも鬼神の如き迫力で大剣を振るう満。

 

(仕方ない…)

「魔剣創造(ソード・バース)!」

 

神器を使い、満の足元から大量の剣を生やす祐斗。

籠手を使っていない満に使うのは気が引けたが、このままでは埒があかない。

 

(悪いけど、勝ち星は貰うよ!)

 

勝利を確信し、満を見る。

 

(!?)

 

満が跳んでいた。

まるで剣が生えてくるタイミングを見計らったかのように。

そのまま空中で一回転すると、

 

「セイッ!」

 

生えてきた大量の魔剣をまとめて斬り払ってみせる。

 

(まさか、神器の発動タイミングを読まれた!?)

 

愕然とする祐斗に、剣が突きつけられる。

 

「…俺の勝ちだな?」

「あ、ああ。僕の負けだね。」

 

構えを解き、互いに一礼する。

 

「いつの間にあんな動きを…」

「4日間俺が学校を休んだ時があったろ?あの時。」

「あの動きをたった4日で…」

「んなこと言ったって1日15時間もしてりゃあな。」

「…え?」

「飯の時間が朝昼晩で1時間とるだろ?あと身体を濡れタオルで拭くのが30分だろ?睡眠を7時間半きっちりとるだろ?あとは15時間剣を振るだけだな。」

 

その修行内容に祐斗は驚愕する。

 

「そ、そんな!それは明らかにオーバーワークだよ!そんなことをしたら…」

「まあ普通はダメだわな。だけどもう俺は普通じゃない。休憩は勿論入れたが、その間もずっとイメトレだ。」

「…それで60時間もやったのかい?」

「厳密に言えば55時間だな。ラスト5時間はゆっくり動いて身体を慣らしてただけだし。」

「それでもそれだけの修行でその動きは…」

「まあ、無理だわな。実際、体捌きは覚えたけど、あの剣技は覚えきれてないからな。」

「…まだあの上があるのかい?」

「そうそう、そうなんだよ。でも俺の剣速じゃあ再現できなくて。だから重い剣を作ってもらおうとしたのさ。」

 

この男はどこに行こうとしているのか。

あれだけ動いたのにもかかわらず休憩を取らずに素振りを始める満に、もう何も言う気がなくなった祐斗だった。

 

□□□□□□□□

「Boost!」

 

一誠はその左腕にある神器、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を発動させながらその内に封じられた二天龍の片割れ、ドライグに話しかけていた。

 

(ドライグ!どうだ!?)

(ダメだな、相棒。これ以上は力を溜めることができない。相棒の力不足だ。)

(クソッ…)

 

歯噛みする一誠。

これでは、全く戦闘では役に立たないだろう。

何より、力を溜めるのに時間がかかりすぎる。

 

「イッセー。」

「…ミツか。どうかしたのか?」

 

悩んでいると、満が話しかけてきた。

二本の大剣を担いでいる。

 

「いや、見ててなんだかお前の気合いが空回りしているように感じてな。何を焦ってる?」

「…木場も、小猫ちゃんも、朱乃先輩も、部長も。みんなみんな、すげえ力を持ってる。」

「…」

「オレは、アーシアを守りたい。木場の隣に立ちたい。小猫ちゃんに頼りにされたい。朱乃先輩に心配かけたくない。部長にずっとついて行きたい。」

 

すう、と一誠は息を吸うと、

 

「何より、お前に負けたくない。」

 

そう言い、こちらを真っ直ぐな瞳で満を見つめる一誠。

満はニヤリとすると、

 

「そうか。でも俺はお前にすでに負けてるんだぜ?」

「…え?」

「アーシアだよ。お前は、お前と麗那は彼女の心を救った。確かに俺の力は誰かを守るためにある。だが、誰かを救うことはできない。斬るだけだからな。もし俺があの時間に合っていたとしても、彼女の心までは救うことはできなかっただろう。」

 

自分は所詮、用心棒なのだ。

守るだけが能の、斬るだけが能の乱暴者。

そのことを自嘲しつつ、満は続ける。

 

「自信を持てよ、イッセー。俺だって、麗那を斬った時、お前に救われた。お前が、俺を肯定してくれたから、俺は今ここに立ってられる。だから、自信を持て。」

「…ミツ。」

 

笑いながら一誠の肩に手を置く満。

一誠がその言葉に頷くと、

 

「と、いうわけで修行、始めようか。」

 

その笑顔を悪魔の笑みに変え、担いでいた剣を地面に落とす。

ズン、という音を立てて地面にめり込む大剣。

 

「…あの、これは?」

「素振り用の剣。」

「…何故に素振り?」

「聞いたぜイッセー。お前の神器は、力を倍加していくものらしいな。と、いうことは基礎が強くなればなるほど効果は増えるはずだ。」

「…つまり?」

「振れ。限界まで。」

「…限界って?」

「俺が決める。お前は気にせず振ってればいい。俺も振るからな。」

「…重くないっすか?」

「魔力を注ぎ込めば重さが増す大剣に、姫島先輩の魔力、部長の魔力をキャパギリギリまで振ってもらった。測ってないが、重いはずだぞ。」

「…拒否権は?」

 

その言葉に満はやれやれ、とわざとらしく首を振り、笑う。

 

「あると思うか?」

「ですよね。」

 

 

その後、山に憐れな少年の悲鳴が響き渡った。




如何だったでしょうか。
タイトルの通り、特訓開始です。

いつの間にか満が鬼教官になってました。
まあ5年も剣を振り続けていりゃそうなりますよね。

それでは次回。またお会いしましょう。
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