第25話、投稿していきます。
イッセーが原作以上の脳筋に育ちそうで少し不安になってます。
修行開始から3日目。
満と一誠は相変わらず剣を振っていた。
「フッ…フッ…」
「ハァ…ハァ…」
振る。
振る。
何も考えずに。
一昨日は文字通り倒れるまでやった。
昨日は息も絶え絶えになった。
今日は…
「…よし、休憩にしよう。」
「…もうか?」
「昨日はこの時点でギブアップ寸前だったぞ、お前。」
「え?」
「まあ、こんだけ振れるようになれば結構体力とかバランスとかその他もろもろついただろ。神器使ってみな。」
「お、おう…」
そう言われ、赤龍帝の籠手を展開する。
「Boost!」
力を溜めていく。
10秒ごとに籠手に力が集まってくる。
(次で限界のはずだ。)
初めに繰り返した赤龍帝の籠手の倍加。
その限界を覚えていた一誠は力を解放しようとする。
「Boost!」
「…え?」
倍加が終わらない。
どんどん力が倍加されていき、結局当初の倍加回数の3倍ほどまで倍加された。
(すごいな、相棒。この短時間にここまで力をつけるとは…教官が良かったということか。)
(いやいやそれはない。それだけはあってたまるか。)
どこにただ剣を振れ、とだけ言う教官がいるのか。
どこにこちらがへばってくると首元に刃をあてがってきて「ごっめーん、滑っちゃった」なんて抜かす教官がいるのか。
そんな教官が良いものであるはずがない。
それだけはこの修行で確信した一誠だった。
「…倍加が終わったな。さて、解放してみろ。」
「お、おう。」
「Explosion!」
力が解放された。されたのだが…
「おわわ、これ力が強すぎる!」
(早くどこかへ撃て、相棒!このままでは吹き飛ぶぞ!)
ドライグへそう言われ、遠くに見える山に解き放とうとする一誠。
「おいおいイッセー、狙う場所が違うぜ。そんな勿体無いことをするんじゃない。狙うならこっちだ。」
そう声がかかる。
そちらを見ると、満が剣を構えてこちらを向いていた。
「こっちって、お前何やって…」
「だから俺に向けて撃て、イッセー。俺が叩き斬る。」
「いやそれは無茶だろ!」
「いいからやれって。ヤバかったら避けるから。」
(早く撃て相棒!)
「ああもう、どうなっても知らんからな!」
満へ向かって魔力の塊を放つ。
「ドラゴンショット!」
その魔力の大きさ、強さは尋常なものではない。並の悪魔なら跡形もなく消し飛んでしまうだろう。
だが、それを迎え撃つものも尋常なものではない。
「セイヤァァァァァ!!!」
満は鬼の籠手を現出させ、手に持った大剣で力の限りに振るう。
ぶつかり合う魔力と大剣。
拮抗はするが、徐々に満の大剣が押されていく。
(流石に無理だぜ、ミツ…)
一誠は満が何をしたいのかが全くわからなかった。
だからこそ声をかけることを躊躇った。
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満は怖かった。
守れないのが、ではない。
勝てないのが、ではない。
グレイフィア。
最強の女王。
今後あのレベルの強敵が現れたとき、恐怖で逃げてしまいそうな自分が一番怖かった。
仲間を見捨てて逃げてしまいそうになる自分が。
(だからイッセー。利用させてもらうぜ。)
だから修行をした。
祐斗に勝ったからもう一本剣をくれと言って創ってもらった。
リアスと朱乃に頭を下げ、限界まで魔力を注ぎ込んでもらい、重さを最大にした。
小猫は…なぜかこちらを見るといつも逃げてしまうが。
一誠を励まし、共に剣を振るった。
このためだ。
目の前でこちらを押し潰さんとする赤い魔力光。
正直怖い。ここまで強いとは思わなかった。
改めて悪魔と人間の種族差を思い知らされ、屈しそうになる。
だが。
「逃げろミツ!無理だ!」
「煩え!ここが瀬戸際なんだ!俺の!」
(逃げちゃならねぇ)
満は思う。
(ここで逃げたら、俺は一生逃げ続けちまう)
目の前に広がる恐怖。
これを受け入れなければ。
はねのけるのではない。理解し、受け入れなければ。
(俺は一生負け犬のまんまだ…!)
恐怖を恐怖のままにしておくのではない。
恐怖をはねのけ、見なかったことにするのではない。
恐怖を理解し、受け入れた上で、別の感情へ変える。
其れすなはち。
(覚悟…ッ!)
鬼の籠手が、吼えた気がした。
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「…なんだ?」
徐々に押されていく満。その動きが止まる。
満の籠手が一瞬光ったと思うと、満の身体から紫の炎が立ち昇り、魔力光を押し返していく。
じり。
じり。
と、少しずつ、少しずつ満の足が前へ動く。
(…おい相棒。あの人間…何て名前だったか。)
(え?さ、左馬 満だけど?)
(あの籠手…。アイツ、鬼がどうこう言ってなかったか?)
(え、えっと、確か「人を守り、神をも斬る、鬼」とかなんとか。)
(…そうか。クックック、そうか、アイツがか。なるほど。)
ドライグは何かに納得した様子を見せ、そのまま意識が引っ込んで出てこなくなる。
ドライグと話しているうちに、満は完全に体制を立て直していた。
「お、おおおおおおおお!!!」
最後に雄叫びをあげ、満は剣を振り抜いた。
斬り裂かれ、散り散りになる魔力。
一誠にはその魔力の一部が、鬼の籠手に吸い込まれたように見えた。
「フゥッ、フゥッ…」
「おいミツ!お前なんて無茶を…!」
「あ?なんとかなったんだからいいだろ?それに、多分ライザーはこんなもんじゃねーぞ。気合い入れて臨め、イッセー。」
「お、おう…」
あの焼き鳥野郎にあんな真似が出来るとは思わなかったが、とりあえず頷いておくイッセーだった。
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夜。
グレモリー眷属によるそれぞれの特訓成果報告が行われていた。
「…というのが僕からの報告です。」
「なるほど、わかったわ。次は、イッセーね。」
「はい、部長!オレは、赤龍帝の籠手での倍加回数を今までの3倍にまで伸ばしました!」
「すごいじゃない!それで、どうやったの?うまくやれば皆のレベルを上げれるわ。」
「剣を振ってました。」
「…え?」
「木場がつくったメチャクチャ重い剣を朝から晩まで振ってました。」
「ええっと…」
「部長たちの魔力でメチャクチャ重くなった剣を振ってました。」
「あ、あのイッセー?」
「鬼教官に脅されながらぶっ倒れるまで振ってました。…振ってたんです。」
「そ、その、鬼教官っていうのは…?」
「俺です部長。イッセーの神器の特性上地力が上がるほど効果が上がると判断したので主に体力、バランス、筋力などを増やすために推定ですが50キロ以上の大剣を振るってもらいました。」
「き、休憩は…?」
「折を見て取っていました。」
「そ、そうよね、当たり前よね。」
「ええ。意識レベルが危険域に達したと判断した後、休憩。15分ほど水分補給、トイレ休憩などを行い、終わり次第ひたすら振ってました。」
「そ、そう…。とても参考になったわ。」
「参考にしちゃダメです部長。これはイッセーだから耐えられたことです。他のメンバーでは耐えられません。」
「おいミツ!お前そんな修行をオレに…!」
「落ち着けイッセー。お前はまず間違いなくパワータイプだ。ならば長所を伸ばすことが成長につながると…」
「ウルセェェェェ!あんな無茶に付き合ってられるか!というかパワータイプだったら小猫ちゃんもだろ!」
「え?だってあの子俺見るといつも逃げるし、無理かなって。どう塔城?やってみる?」
「!?」
満が小猫の方に視線を向けると、小猫は全身の毛を逆立てて朱乃の後ろに隠れてしまった。
「あらら…嫌われちゃった。どうすんだよイッセー。お前のせいだろ。」
「なんで俺の所為なんだよ!」
「ま、まあまあ、落ち着いてください2人とも。小猫ちゃんも、どうしてそんなに満君を嫌うんですの?」
("満君"?朱乃、そんな呼び方してたかしら?)
その言葉に小猫は朱乃の後ろからひょっこり顔を出すと、
「その、えっと…。左馬先輩。」
「ほいほい。なんだ?」
「あの、黒歌、って人を知りませんか?」
「黒歌、黒歌…。ごめんな、聞いたことないわ。」
「そ、そうなんですか…。」
「んー?探し人?」
「は、はい。大切な人、です。」
「うーん…。で、それが俺を避けてたことになんの関係が?」
「!!え、えっと…。ごめん、なさい。」
「言えない、と。わかった、この件については聞かないよ。」
ある人物を知らないかと聞く小猫に、その名前に聞き覚えのない満は否と答える。
その人物と満とになんの関係があるのかはわからないが、言いたくないのならば仕方がない。
気にはなるが、まあいいかと思う満だった。
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夢を見た。
炎を纏った龍が、天高く登っていく夢だった。
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次の日、満はぶらぶらと山の中を歩いていた。
麗那も一緒だ。イッセーの修行がひと段落済み、自分の目的も達成したので息抜きに出かけたのだ。
「しかし凄いな。ここまで自然が残ってるなんてな。」
「まあ随分辺鄙な場所にあるものね、この山。開発するにも旨味がないんでしょ。」
「そういうもんかね。どれ、マツタケとかタケノコとか生えてないかな?」
「いやあるわけないでしょ。ここにはアカマツも竹も生えてないのよ?」
「ゼンマイでもよし。…おっ、洞窟発見。」
散策していると洞窟を見つけ、はしゃぐ満。
それを麗那は呆れた目で見ていた。
「あなたってこういうところは酷く子供っぽいわよね。」
「違うな、これは男のロマンだ。とにかく入ってみるぞ。」
そう言って洞窟内へ入る満と麗那。
それほど深くはなく、入ってすぐに、少し開けた空間があった。
「なんだよ、深い洞窟じゃないのか、これ。…ん?あれは…」
その事実にガックリした満だが、あるものを見つける。
「仮面…?」
満が見つけたのは、鬼をかたどった仮面だった。
鬼をかたどった、というところに不思議な縁を感じた満は、それをそのまま持って帰ることにした。
「これいいな。気に入ったぜ。持って帰ろう。」
「ちょっと。それ、呪いの品かも知れないのよ?」
「なんだ?つけたら外せなくなったりか?ハハハ、その時は叩き割らないとな。頼むぜ麗那。」
「その時はハンマーで顔面ごと叩き割ってやるわ。」
軽口を叩きながら来た道を戻っていく。
2人の間を、穏やかな風が吹き抜けていった。
如何だったでしょうか。
修行編、なかなか終わらないですねえ。
まあ次回には終わるでしょうが。
さて、次回が終わればおそらく戦闘になります。
ただし、主人公はいないですけど。
それでは次回。またお会いしましょう。