ハイスクールD×D 〜鬼を継ぐもの〜   作:ルルガルウ

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ルルガルウです。

最近ちょっと忙しくなってきて、少し更新が滞るかもしれません。
まあ、それでも1日1話は上げれるはずですが。


どうぞ。


第26話 開戦

特訓4日目、つまり最終日の夜。

リアスは、眷属を集めてレーティングゲームについての説明をしていた。

もっとも、説明が必要なのは眷属では一誠だけだが。

 

「いい、レーティングゲームっていうのはね、悪魔同士で行われる競技よ。」

 

曰く、

昔、悪魔、堕天使、天使の三つ巴の戦争があった。

その戦いでそれぞれの種族はその数を大きく減らし、膠着状態に陥っていた。

そしてそこに登場したのが、

 

「イッセーの神器に封印されているドライグ、あともう一匹のドラゴンの二天龍よ。その二匹は戦場で暴れまわったの。」

「誰かの味方をしたってことですか?」

「いいえイッセー。それは違うわ。その二匹は互いを倒すためだけに戦っていたの。言わば喧嘩ね。」

「け、喧嘩ですか…。」

「それがただの喧嘩だったらよかったんだけど、この二匹の喧嘩は規模が違った。戦うだけで周りを巻き込み、三陣営に大きな被害をもたらした。」

「や、やべえ。そんなもんがオレの神器に…」

「そこで三陣営は一時休戦し、二天龍を協力して討伐したのよ。」

「へ、へぇ。」

「…話が逸れたわね、とにかく、その戦争で悪魔は大きく数を減らした。今までの悪魔同士の領土の奪い合いや諍いは全てお互いの命をかけた戦いで解決してきたけど、流石に悪魔の数が減りすぎてそれどころじゃなくなったわ。」

 

そこで登場したのがこれよ、とリアスは騎士の駒を取り出す。

 

「悪魔の駒?」

「そうよ。これを使って転生悪魔を増やし、悪魔全体の人口を増やすとともに、その実戦経験などを増やすためのある競技が考案されたの。」

「なるほど、それが…」

「そう、レーティングゲームよ。ルールは今から説明するけど、基本的に自由に動けるチェスみたいなものだと思って頂戴。」

 

そう言ってルールを説明するリアス。

基本的なルールは3つ。

まず、参加できるのは基本的にお互いの眷属のみ。許可が出た場合のみ、眷属以外の者が参加することが特例的に認められる。

次に、勝敗はお互いの眷属の主、つまり王を倒すことで決まる。

3つ目、戦法はあらゆる意味でルール無用。上記の2つのルールに抵触しなければあとは全ての戦術が認められる。

 

「…と、このくらいかしら。わかった?」

「はい、部長!」

「いい返事ね。あとは、そうね。イッセー。各陣営の中枢組織、そのトップ、そしてそのメンバーの名前を言えるかしら?」

「え、えっと、て、天使が確か、トップが熾天使(セラフ)って呼ばれてて、ミカエル、ラファエル、ガブリエル、そしてウリエルがそのメンバーです。」

「そうね。まあ天使は細かい階級が存在するからそのくらいでいいわ。それじゃあ、私たち悪魔のトップは?」

「はい!それはバッチリ覚えてます!魔王です!魔王様は今4人いて、四大魔王と呼ばれています!メンバーは、ルシファー様、ベルゼブブ様、アスモデウス様、そして女性悪魔であるレヴィアタン様です!」

「はい、よくできました。それじゃあ、イッセーの嫌いな堕天使は?」

「え、えっと…たしか中枢組織は神を見張る者(グリゴリ)で、そのトップ、総督はアザゼル。副総督はシェムハザで、幹部連中が…アルマロス、バラキエル、タミエル…え、えっと…」

「あとはベネムエ、コカビエル、サハリエルだな。他にもいたっけか。」

「あらミツ。あなた知ってたの?」

「はい。三大陣営が存在すると聞いた時から、図書館とかの本を使って有名どころは調べておきました。流石に魔王が4人いるとは思ってなかったですけど。」

「へえ、勤勉ね。まあ、ここらで休憩にしましょうか。みんなも疲れたでしょう?」

 

と皆に休憩を促す。

 

その後、アーシアが悪魔祓いについて説明し、その時に聖書を読んだり神に祈りを捧げたりした所為で頭痛がしたり、満が鴉天狗の能力を皆に説明したりしていた。

 

□□□□□□□□

 

その夜。

目が冴えて眠れなかった満が外を散歩していると、アーシアと共に森の方に走っていく一誠を見つける。

首をひねる満だが、野暮なことはすまい、と見なかったふりをして散歩を続ける。

 

散歩を終えて帰ってくると、窓際に腰掛け、本を読み耽るリアスを見つけた。

 

「うっす、部長。お疲れ様です。戦術書かなんかですか?」

「あら、まだ起きてたのね、ミツ。そうよ。」

 

リアスの手元にはノートやペンもあり、いろいろなことが書き込まれていた。

 

「へえ、作戦を考えて。で、やれそうですか?」

「…正直、こんなことを考えていても無駄かもね。」

「相手がライザーだからですか?」

「ええ。ライザーはフェニックス。不死身の種族よ。」

 

近づいてみると、リアスの格好はネグリジェで、透ける生地の向こうに下着に包まれた艶かしい肢体が見えた満はツイ、と目を逸らす。

 

「…フェニックス。悪魔の場合フェネクスとも呼ばれ、その能力は不死身。その涙は不老不死の妙薬とも言われ、昔から求めるものが後を絶たない。」

「あら。それも勉強したのかしら。」

「ええ。敵を知り、己を知れば百戦危うからず、とも言いますからね。イッセーの修行もその対策です。」

「?」

「俺は今回、イッセーに不足していたスタミナと、地力の底上げを狙いました。あいつに関しては戦闘技術は二の次です。最悪パワーで押し切れます。」

「まあ、そうね。」

「フェニックスは不死身とはいえ、その精神までは不死身ではないと判断しました。特にあのライザーは。なので、徹底的にヤツを倒し、その心を折ることが攻略の鍵になると思いました。」

「へえ。考えたわね。それでイッセーを…」

「はい。長時間戦えるだけのスタミナと、ライザーを相手取るためのパワー。その2つが必要だと思ったんです。」

「なるほどね。無茶苦茶に見えて、実は考えてたのね。」

「そりゃあもう。伊達に5年も剣振ってないですよ。ところで、1つ聞いていいですか?」

「何かしら?」

 

リアスは首を傾げる。

 

「なぜライザーはダメなんです?いや、アレを見たら確かにダメ、ってのはわかるんですけど、そこに目をつぶればグレモリー家としては破格の条件なのでは?」

「…そうなんだけどね。私が嫌なのよ。誰もが私を"グレモリー家のリアス"と認識するわ。」

「まあ。貴族ですからね。家名は重要でしょう。」

「それが私はたまらなく嫌なの。誰も私を見てくれない。"リアス・グレモリー"個人を見ずに判断する。それが私には耐えられないのよ。」

「…」

 

リアスは続ける。

 

「私は家の道具じゃない。私の価値は家名だけじゃない。私は、私。それを誰もわかってくれないのよ。」

「…それはイッセー達もですか?」

「…え?」

「木場でもいいです。姫島先輩でもいいです。小猫ちゃんでもいいです。アーシアでもいいです。あなたの眷属は、"グレモリー家のリアス"のためにあなたに尽くしているんですか?」

「それは!」

「ええ、それは別だとあなたは答えるでしょう。ですが、必ずいます。あなたを、あなた個人を見てくれている人が絶対にどこかにいます。」

「それは…あなたもかしら?」

「はい。俺が大切に思ってるのは家族で、友で、先輩で、その人達の笑顔です。なんてったって俺は人間ですからね。俺にとっちゃグレモリー家なんて正直どうでもいいことです。先輩には悪いんですがね。」

「全くよ。他の純血悪魔が聞いたら殺されるわよ、あなた。」

 

ふふ、と微笑みながら言うリアス。

はは、と笑いながら頭をかく満。

 

「だから、もし負けて、どうしても嫌だったら、俺のところに来てください。」

「え?」

「俺は人間です。悪魔から見れば部外者です。ですが、部外者だからこそ悪魔の情勢を気にせず動くことが出来ます。」

「ミツ…」

「この前は醜態を晒しました。この先だって晒すかもしれません。ですが、俺は、俺だけは皆の最後の砦でいたい。何もかも信じられなく、頼れなくなっても、俺だけは皆の味方で居たいんです。」

「それは…」

「はい。傲慢です。俺より、部長や、朱乃先輩、小猫ちゃんや木場の方が強いでしょう。イッセーだって、今戦ったらわかりません。でも、でも俺は逃げません。皆を置いて、楽な道に逃げたりはしません。たとえ力及ばずとも、それでも最後まで部長の、皆の味方でいます。」

「でも、それじゃああなたは!」

「自己犠牲、なんて言うつもりはありませんよ。俺だって足掻けるうちは足掻きます。泥をすすってでも生き延びるつもりです。ようは、そういう覚悟だってことですよ。」

 

笑いながら言う満。

その笑顔にリアスは釘付けになる。

 

「今回のことだけじゃなくて、もしこの先辛かったり、どうしようもなかったりしたら、俺を使ってください。利用してください。頼ってください。」

 

ー俺は部長のためなら、万難を斬り裂いてご覧にいれます。

 

キザなセリフを吐いて、一礼する満。

 

「…ミツ。あなた、卑怯ね。」

「なんだ、今頃気づいたんですか?人間って卑怯なんですよ?」

「卑怯ね、ええ。卑怯だわ。…そんなこと言われたら頼りたく、なるじゃない。」

「いいんすよ、頼って。」

「いいえ。それはできないわ。でも、ちょっとだけ、肩を借りてもいいかしら。」

「ええ。そんなことでいいなら、よろこんで。」

 

そう言って満はリアスの前まで行く。

リアスは満にすがりついて泣き始めた。

 

「嫌よ!嫌!あんな男だけは、あんな男にだけは!私は"私"を見てくれる人に捧げたいの!それが幼い頃からの夢なのよ!」

「大丈夫です、部長。大丈夫。」

「家のためだからって、悪魔界のためだからって!私のことは無視なの!?何よ!あなたのためにもなるからって!」

「ええわかってます。大丈夫。大丈夫ですよ。」

「私の周りはみんなそう!誰も"私"を見てくれない!」

「ここには"リアス"しか見ていない人しかいません。大丈夫です。」

「うっうっ…」

 

満は何度も"大丈夫"といって頭を撫でる。

暫くすると、リアスは身体を満から離す。

 

「…このことは2人だけの秘密よ。喋ったら消滅させてあげるわ。」

「何のことやら。俺の記憶には部長と明日のことについて話をしてたことしかないんですがね。」

「それなら問題ないわね。」

 

目を真っ赤に泣き腫らし、ふふ、と微笑むリアス。

ニヤリと笑ってすっとぼける満。

 

そして、夜が明ける。

 

□□□□□□□□

「ではこれより、リアス・グレモリー様とライザー・フェニックス様とのレーティングゲームを開催させていただきます。審判は私、グレイフィアが務めさせていただきます。」

 

グレイフィアの声が駒王学園を模したバトルフィールドに響く。

 

「よし!」

「…行きます。」

「うん、行こう。」

「み、皆さんお気をつけて!」

「うふふ、どんな悲鳴が聞けるかしら。」

 

頼もしい眷属達。

 

(…私に、力を。)

「行くわよ、皆!」

 

戦場の、幕が開く。




如何だったでしょうか。

今回でやっと修行編終了です。
いろいろ満にイベントこなさせておきたかったのでちょいと強引だったかもしれません。
え?ちょいとどころじゃないって?
そうですね。すいません。


次回、激突。
またお会いしましょう。
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