第28話、投稿していきます。
お待たせしました。
予告した通り、今回は長めです。
やっとお披露目できました。
どうぞ。
日曜日。
ここは、冥界。
リアス・グレモリーとライザー・フェニックスの婚約発表式会場、その控え室である。
「ハァ…」
その中でリアスはため息をついていた。
頼ることはできないと満に言ったものの、恥を忍んで何度も満の元に逃げ出そうとしたリアスだったが、それはことごとくグレイフィアによって阻まれていた。
(ミツ…)
彼の目に今の自分はどう映るだろう?
助けを待つ囚われの姫に映るだろうか?
それとも全てを諦めた憐れな負け犬に映るだろうか?
(…負け犬、よね。)
あの後グレイフィアから満は最後まで試合を見ずに帰ったと聞いた。
こちらの敗北を確信すらしていたと。
(…それも、仕方ないか。あの体たらくだものね。)
自身は何もできず、ただ吠えるのみの負け犬だったのだ。
ネガティブな方向へ開き直り、リアスは自嘲の笑みを浮かべる。
(所詮、無理だったのよ。こういう運命なんだわ。誰も私を救えるものなんていないのよ。)
フフフ、と虚ろな目で笑うリアス。
その痛ましい姿に、声を掛けるものはいなかった。
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「皆様!この度は私ライザー・フェニックスとこちらのリアス・グレモリーとの婚約、その発表の席にお越しいただき、誠にありがとうございます!」
ライザーのまさにウキウキしたような高揚した声が響く。
その横に貼り付けたような笑顔で虚ろな目をしたリアスがいる。
その光景を見ていた一誠は拳を固く握り締めていた。
(くっそ…部長…)
アーシアを人質に取られた時、一誠はとっさに動けなかった。
守るべき女の子であるアーシアと、自分の恩人であり、仕えるべき主リアス。
そのどちらを取るかという両天秤に、一誠の天秤はアーシアの方に傾いた。
その結果があの敗北。
どれだけ言い訳をしても、リアスを見捨てたことに変わりはない。
今すぐにでも飛び出し、リアスをライザーの手から救いたいという感情と、一度見捨てておいてそれはなんだという罪悪感がせめぎ合う。
(ミツも、来れないみたいだし…)
満は人間である。いくらリアスの庇護下にあるとはいえ、悪魔の式典には参加できない。
同じく悔しそうな顔を浮かべた祐斗が教えてくれたことだ。
(どうにも、ならないのかよっ…!)
自分ではどうすることもできない状況に、一誠は諦めかけていた。
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(ああ…私は、この男のものになってしまうのね。)
何もかもを諦めたリアス。
もうどうでもいいと、流されて生きようと心の中で思う。
(それでも…ミツ。)
浮かぶのはあの時の慰めてくれた優しい笑顔。
(せめて一言、謝りたかった…)
リアスの目からふた雫。涙が流れた。
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魔王、サーゼクス・ルシファーは嘆息していた。
(あの少年なら来ると思ったが…間違いだったか。)
グレイフィアからあることを聞き、密かに注目していた少年。
今代の赤龍帝のレベルアップをメチャクチャな方法で行い、それでいて結果を出した者。
グレイフィア相手に一歩も引かぬ者。
そして、右腕に着けた籠手。
"あの者"の再来かと思ったが、こちらの思い違いだったか。
サーゼクスは諦め、ライザーとリアスに言葉をかけようとした。
その瞬間。
会場の床、その中央に転移陣が現れる。
(…来たッ!)
あそこへ転移陣の出口を設定してあるカードは一枚しかない。
そしてそれを持つ者は1人しかいない。
サーゼクスは内心ニヤリとしつつ、入ってくる者の姿を見た。
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一誠は見た。
口の部分が開いている、鬼の仮面を。
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リアスは見た。
その仮面の奥の鋭い瞳を。
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その会場の誰もが見た。
その男の腰にさがっている刀を。
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「…待たせたな。」
その男は口元をニヤリと歪め、静かにそう言った。
その視線はリアスに向いていた。
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「…貴様!何者だ!」
ライザーが声を荒げる。
「ん?人間だ。」
隠すこともなく仮面の男は言う。
その言葉にライザーはハッ、と笑うと、
「生意気な。人間ごときがここに何の用だ!」
威圧するように問いかける。
「ああ、ここには魔王、サーゼクス・ルシファーから招待されたんだが…。そんなことはどうでもいい。俺の目的は1つだけだからな。」
魔王からの招待を"そんなこと"呼ばわりする目の前の男に、ライザーは額に青筋を浮かべ、怒鳴りつける。
「魔王様からの招待が"そんなこと"だと!貴様!無礼にも程があるぞ!」
「悪魔の礼なんぞ知らんね。どうして俺がそんなのにペコペコせにゃならん。まあとりあえずー」
そこで男は刀を目にも留まらぬ速さで抜き、ライザーに向ける。
「ーそこの姫さん、貰おうか。」
その男はそう、宣言した。
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「…衛兵!殺せぇ!」
目の前の
とりあえずリアスを攫い、何処かへ匿う。
ここでの達成目標はそれだけだと判断し、リアスに向かって歩き始める。
すぐさま警備兵らしき悪魔が向かってくるが、
「…遅「オラァ!」、ん?」
突然、目の前の衛兵が何者かによって殴り飛ばされた。
その何者かとは、
「貴様!赤龍帝のガキ!」
「行け、"ミツ"!ここは俺に任せろ!」
赤龍帝の籠手を展開した一誠がそう叫ぶ。
それに一度だけ頷くと、再び歩き始める仮面の男こと、満。
そしてリアスの前までたどり着くと、
「ご機嫌いかがかな?お姫様?」
ニヤリとしながら問いかける。
「ミ、ツ。」
「ええ、そうですよ、"部長"。」
リアスの顔がパアッと明るくなる。
もう会えないものだと思っていた。助けになんて来てくれないものだと思っていた。
(助けに来てくれた…!私を救いに来てくれた…!)
「貴様ァッ!」
と、そこでライザーが満に襲いかかろうとする。
「待ちたまえ。」
声がかかる。そこには、リアスと同じ紅の髪をした青年と思わしき外見をした男が立っていた。
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「サーゼクス様!この男は侵入者です!それに、リアスを…!」
「だから待ちたまえと言っているのだよ、ライザー君。少年、まずは君の名前を聞こう。」
「…左馬 満。」
名前を尋ねるサーゼクスに、答える仮面の男。
サーゼクスは一度頷くと満に問いかける。
「君はこの婚約が不服だと?」
「正直悪魔のことなんぞどうでもいいが、部長の、いや"リアス"のこととなれば話は別だ。不服だよ。」
「なるほど。重ねて問うが、君は人間だね?」
「そうだ。そのせいでレーティングゲームにも参加できなかった。」
その答えに二度、納得するように頷く。
「…なるほど。不服だと思っていたが、それを申し立てることも抗うこともできなかったと。よかろう。君がそう言うのならば、リアスの婚約を破棄しようじゃないか。」
その言葉に、思わずライザーは抗議をしようとしたが、
「ただし、それはライザー君を倒し、リアスを攫うに相応しい力を示してからだ。リアスが欲しければ、奪ってみたまえ。」
サーゼクスのその言葉を聞き、ほくそ笑む。
(人間の攻撃ごときでは俺を殺すことすら出来ん。サーゼクス様も人の悪いことをなさる。)
「いいでしょう。魔王様がそうおっしゃられるのならば、その男の挑戦、受けて立ちましょう!」
内心で目の前の満とかいう人間を見下しながらライザーは宣言した。
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その後、サーゼクスが直々にレーティングゲームの時に使用されるフィールドと同じものを展開。
そこで向き合う
「…別に、眷属総出でもよかったんだが。」
「人間ごときが何を言う。本来ならば、この俺様1人でも戦力過多だというのに。」
どこまでもこちらを舐めた発言をする満に、苛立ちが募るライザー。
「覚悟しろよ、人間。始まった途端に消し炭にしてくれる。」
「能書き垂れてねえでかかってこいや、やられ役君。」
「貴様ッ…!」
満の挑発に一瞬で沸点を振り切ったライザーは、満に向かって炎を放つ。
瞬く間に炎に包まれる満。
「ふ、ふはははははは!なんだそのあっけなさは!散々大口叩いておいてそれか!そのまま消し炭になるがいい!」
勝ちほこるライザー。
「…ん?」
おかしい。本来ならば、炎に包まれた時点で転げ回っていてもおかしくはない。だというのに、目の前の炎の中に佇む影は、一向に倒れる気配がない。
「…温いな、お前の炎って奴は。」
その言葉とともに、満の周りを包んでいた炎の色が変わっていく。
それはライザーの炎を食らっていく、紅の炎だった。
ライザーの炎を根こそぎ食らい、消滅させる炎。
その炎が消えるとそこには、
「気をつけろよ。俺の
鬼の仮面が消え、
その代わりにリアスの髪の色のような紅の鎧を着け、
紅く光る眼のようなものが付いた奇妙な形状の籠手をつけ、
これまた紅の大剣を担いだ満が泰然自若と構えていた。
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「サーゼクス様、あれは。」
「うん、間違いないね。…鬼の籠手だ。」
ライザーと満の決闘を特等席で見ながら、グレイフィアと話し合うサーゼクス。
(相棒、よく見ておけ。アレが鬼の戦い方だ。)
(あ、ああ。)
話しかけてきたドライグに、内心で頷く一誠。
「アレが、ミツの…!」
リアスはいつの間にか、手を祈るように組んでいた。
「お願い、勝って…!」
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「おい、サーゼクス!」
『何かな?』
突然、満がそう叫ぶと、返事が返ってくる。
「この空間じゃ、絶対に死なないんだな!」
『そうだね。死にそうになったらすぐさま転送されて治療されるはずだ。』
「それを聞いて安心したぜ。」
ニヤリとする満。
「やり過ぎた、なんてことがないからな。」
その笑みにゾクリとしたライザーは、満に襲いかかる。
「人間がァァァァ!」
「遅い。」
とりあえず満はライザーの右腕を斬り飛ばす。
「ぐあああああ!?」
痛みにのたうちまわるライザー。
「何故だ、何故痛い!?何故治りが遅い!?貴様、一体何をしたァ!?」
「あ、やっぱ完全に無効化は出来ねぇか。まあいいか、効いてるみたいだし。」
その問いには答えず、ライザーに歩み寄っていく満。
「ひ、ヒイィ!」
「だから遅いって。」
「あがああああああ!?」
たまらず逃げようとしたライザーだったが、その前に満に翼を斬り落とされてしまう。
と、そこで何を思ったのか、満は紅の大剣、炎龍剣を刀に戻し、鞘に収める。
それを見て時間切れと誤解したライザーは、勝ち誇った笑みを浮かべる。
「ふはは、万事休すだな、人間!まあよく頑張った方だと…」
「何言ってやがる。」
パシ、と鬼の籠手を嵌めた手をもう1つの手のひらに当てながら、満はライザーに近寄っていく。
「本番はこれからだぜ。」
「な、何を言って…?」
「まずはそうさなぁ…」
「多勢に無勢の状況で嬲られた塔城の分!」
「がっ!?」
強烈な右フックがライザーの頬を捉える。
「これは実力じゃ勝ってたのに
「ぐぼぉ!」
左のボディブローに身体をくの字に曲げるライザー。
「これは友のため、主のために圧倒的不利な状況を1人で支えた木場の分!」
「がっはっ…!」
続く右のボディアッパーにたまらず両膝をつくライザー。
そこで、ライザーが満に必死に訴える。
「ま、待て!わかっているのか!?これは、この婚約は冥界にとって、最も重要なっ…!」
「言いたいことはそれだけか?悪いが俺は人間なんでね、
ライザーの訴えを一蹴し、ライザーの襟元を掴んで強制的に立たせる満。
「次は、テメェに人質にされて好きな人の負担になっちまったって悲しんだアーシアと!」
「ごっ…!」
その状態で右の拳でライザーを殴りつける。
「アーシアへの優しさを利用され、結果的にリアスを見捨てざるをえなかったイッセーの分!」
「 けぺぇ…」
そこからの右アッパーを食らったライザーが宙に浮く。
「そしてこれは…」
「ま、まっで…」
両腕に力を込める。
「テメェによって夢を失うところだったリアスと、大切な仲間を侮辱され続けた…!」
「おねが…」
ライザーの頭が落ちてくるタイミングを見計らう。
「この俺の…この俺の怒りだ!」
左、右と連続で、落ちてきたライザーの顔に抉りこむような
ライザーはコマのように回転して地面で二、三度跳ね、そのまま動かなくなった。
満は無言で、その右手を高く上げる。
その勝利に、オカ研のメンバーは歓声を上げた。
如何だったでしょうか。
鬼武者を知っている人は誰しも予想していたであろう、炎龍剣。
今回はそれだけではつまらなかったので、紅具足も半ば無理やり登場させました。
紅具足の展開条件は、鬼の仮面をつけた上で、鬼の籠手を現出させることです。
鬼の仮面は、新で天海殿が付けてた鬼の仮面を想像してください。
アレです。
なんか特撮ヒーローの変身アイテムみたいになってしまいましたが、とりあえずこの形で行こうと思います。
今章の炎龍剣のフラグは、夢、修行でのイッセー君の魔力吸収、ライザーの炎でした。
さて、今章ももうそろそろ終わりです。
あと2話ぐらいですかね。
もしかしたら3話になるかもしれません。
それでは、次回。またお会いしましょう。
ちょっと本文を修正しました。