第29話、投稿していきます。
会話中心の今話。
もうそろそろ2章の終わりが見えてきました。
それでは、どうぞ。
あの戦いの後、意識を失ったライザーはそのまま治療室へ運ばれた。
そして満は鎧姿のまま発表式会場に戻っていた。
「やったな!ミツ!」
「まさか不死身の種族に対して素手で殴り倒すとは思わなかったけどね。」
「スカッとしました。」
「うふふ、私たちの分まで戦ってくれたのですね。」
口々に満を褒め称えるオカ研のメンバー。
対して満は周囲に油断なく視線を配り、警戒する。
(さあここからどう動く。あのサーゼクスっていう魔王はこちらになぜか協力的だが、他の悪魔はそうはいかないだろう。純血の、それも上級悪魔をブッ飛ばした生意気な人間だ。最悪麗那の能力で部長だけでも…)
万一に備え姿を隠している麗那の存在を意識しつつ、ここからの動きを考える満。
そんな満にパチパチと拍手をしながらサーゼクスが近づいてきた。
「やあ、満君。先ほどの戦い、しかと見せてもらったよ。見事だ。君は力を示した。」
「それはどうも。で、リアスの婚約は?」
「もちろん、魔王の名において破棄させてもらう。リアスを攫っていきたまえ。」
(別に部長の婚約さえ破棄できればそれでよかったんだが…)
「…ではありがたく。それで、俺はここを生きて出られるのか?」
「何か勘違いしているようだね。君が実質無傷でライザー君を倒した時点で、君自身が上級悪魔と同じ、あるいはそれ以上の力を持っていることが証明されたのだよ。そんな相手に喧嘩を売ると?」
「そんな感じがひしひしとするんだが。」
周りを見渡しながら満は言う。
こちらに殺気を向け、睨んでいる悪魔が何人かいる。
「安心したまえ。彼らはこれからする質問でそんな気も起こらなくなる。」
「質問?」
「そうだとも。左馬 満君。君は、"鬼"だね?」
サーゼクスのその質問に、上級悪魔の、さらにその中でも位の高い者たちが驚く。
「"鬼"だと!?」
「まさか、あの!?」
「そんな馬鹿な!彼奴らはここ数千年存在が確認されていないのだぞ!」
「サーゼクス様!何かの間違いでは!?」
その言葉にサーゼクスは首を振り、
「いや、彼らの存在自体は確かに確認されてはいないが、彼らの力の痕跡は残されている。古くは数百年前、近場では10年前だね。」
「なんと、そのような事が…」
「すまない。事が事だったのでこちらで内密にしていた。それに、痕跡と言ってもごくごく僅かな残滓だった。」
「い、いえ、それならばよいのです…」
サーゼクスに謝られ、しどろもどろになる老年の悪魔。
そちらの方には目もくれず、サーゼクスは満に確認する。
「それで?君は本当に"鬼"なのかい?」
「…なぜアンタが"鬼"のことを知ってるのかはわからん。が、俺は少なくとも奴ら自身じゃない。言ったろ、人間だって。」
「ふむ。それで?まさかそれだけじゃないだろう?」
「…俺は奴らから力を授かった人間だ。奴らは俺のことを"鬼武者"と呼んでいたな。」
「…驚いたな。まさか、彼らにそんなことが出来たなんて。そして、"鬼武者"か…。」
驚いているサーゼクスに、満は問う。
「なあ、アンタは奴らのことについて何か知ってるのか?」
「…我々も詳しくは知らない。だが、わかっているのは彼らは我ら"悪魔"でも、"堕天使"でも"天使"でもない存在であり、また日本の"妖怪"でもないようだ。それと、途轍もない破壊の力を持っている事も。」
「破壊?」
「君が使っていたじゃないか。ライザー君の不死の力をほとんど無効化したあの力。あれは、消滅の魔力を持つ我々でもできない事だ。」
「私は彼らを一度見た事があってね。君が着けている籠手にそっくりな籠手を両腕につけていたことを覚えているよ。」
懐かしむように言うサーゼクス。
その言葉に、満は顔を顰める。
("両腕"?片方じゃまだ半分って事か?)
そんな満を気にせず、サーゼクスは話を続ける。
「君は片方だが、彼らから力を与えられたと考えれば不思議ではない。さて、まだ君にいろいろ聞きたい事はあるが、私もこう見えて忙しい身でね。また今度話を聞くとしよう。リアス。」
サーゼクスはそのままリアスに話しかける。
「彼は得難い存在だ。決して手放さないように。」
「はい。お兄様。もちろんです。」
「ふふ、もう手放せないほど夢中だからかい?」
「ちっ、違います!」
「ふふふ。さて、兵藤 一誠君。」
サーゼクスは今度は一誠に話しかける。
「は、ハイッ!」
「ああ、そこまで緊張しなくても構わないよ。今回、君の神器が"禁手化"した事にお祝いを言いたくてね。」
「"禁手化"?」
「おや、知らなかったのかい?後でリアスにでも聞いておくといい。それと、負けてしまったが、あのレーティングゲームでの君の活躍も素晴らしかった。確かに主を抱く下僕悪魔としてはあの判断は間違いだったが、私個人としては君の判断は嫌いではないよ。」
「あ、ありがとうございます!」
「うん。これからも精進するように。それから…」
その後サーゼクスはオカ研のメンバー一人一人に話しかけ、試合での働きを賞賛し、またアドバイスなどを送っていた。
「さてそれではお別れだ。また君に会うことを楽しみにしているよ、"鬼武者"左馬 満君。」
「…わかった。」
そして満以外の全ての悪魔が深くお辞儀をする中、サーゼクスとグレイフィアは転移していった。
「…帰りますか。」
「ええ、そうね。」
□□□□□□□□
ここは満のアパートの前。
「ミツ!また明日学校でな!」
「おう。寝坊するんじゃねーぞ。」
「それじゃあ、僕もこれで。」
「おう、気をつけろよ。」
「それでは満君。また明日。」
「はい、姫島先輩。お気をつけて。」
別れを告げ、それぞれの家へと帰っていく仲間たち。
そんな中、小猫とリアスだけは満のアパートから離れようとはしない。
「…?どうしたんですか?部長?塔城?」
「…やっぱり、呼び方が変わってる。…どうしようかしら。」
「やっぱり、…の匂いが…。」
「?」
リアスはリアスで何か考え事をしているようだし、小猫は小猫で何やらブツブツと呟いている。
「…ねえ、ミツ。」
「なんですか、部長?」
「一晩泊めてくれない?」
「却下します。」
「なんでよ!て言うか呼び方戻ってるわよ!"リアス"じゃないの!?」
「いや、あれは周りにいた奴らにナメられないように…」
「それに、いつでも来てくださいって言ってたじゃない!」
「いやそれは困った時です。別に俺の部屋を宿屋代わりに使ってくださいなんて一言も言ってません。」
「違うわよ!えっと、その…」
「とにかく今日は帰ったほうがいいと思いますよ。サーゼクスさんがああ言っていたとは言え、今晩は俺の部屋を狙う奴がいるかもしれません。危険です。」
「…うーっ。わかったわよ。」
どう見ても納得していない不満たらたらの顔だったが、引き下がるリアス。
「…左馬先輩。」
「なんだ?」
「一晩泊まります。」
「断言!?なんでだよ!?お前に関してはマジで理由がわからんわ!」
まさかのお泊まり宣言に、思わずツッコむ満。
「とりあえず帰れ、な。親御さんも心配するだろうし…」
「…私に親はいません。」
(Oh…地雷踏んだ…)「あー。その、だな。もし寂しいってんなら…」
「だったら私も寂しいわ!泊まるわよ!」
「違いますって部長!塔城を部長の家に泊まらせて貰えばって…!」
「嫌です。」
「嫌ぁ!?」
どんどんカオスになっていく。
これ以上騒ぐと説教を食らうと思った満はリアスと小猫を強制的に帰す。
2人は見えなくなるまでずっとこちらを見ながら帰っていった。
「…随分とおモテになりますことね、満?」
「麗那か。違うって。あれはただ単純に…」
「勘違い?そうね、そうかもね。」(あなたの、が付くけれど。)
「さて、そろそろ部屋に帰ろう。今日は疲れた。」
「今日も、の間違いじゃないの?」
「違えねぇ。」
はは、と笑いながらアパートへ戻っていく満。
その後、管理人にみっちり説教された。
如何だったでしょうか。
小猫には勿論、満に対しての恋愛感情はありません。
気になるんですね、匂いが。
まだ終わりません。もうちょっとだけ続くんじゃ。
それでは次回、またお会いしましょう。