ハイスクールD×D 〜鬼を継ぐもの〜   作:ルルガルウ

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ルルガルウです。

遅くなりました。
今回で第2章は終わります。

毎度のことですが、1話にまとめてしまいました。

戦闘回です。どうぞ。


第30話 過剰加速

「ん…」

 

ライザーを倒した次の日。

満はベッドで目を覚ました。

 

(…どうやら夜襲は無かったみたいだな。ヤケに暗いが、まだ日の出前か?)

 

むにょん。

 

(まあ、こっちも熟睡してたし来ないに越したことは…ん?「むにょん」?)

 

ふにふに。

 

(…身体を起こしてはいけない。強烈に嫌な予感がする。例えばそう、まるで冷蔵庫を整理してみたら賞味期限が2年前の伝説の一品を発見したかのような…)

 

ぎゅうううう。

 

(…。気まずいってレベルじゃないんですが、これは。え?何?誰?てゆーか誰?)

 

誰かに抱きつかれている。しかも熟睡していたとは言え、自分に気づかれずにだ。あまりの異常事態に満の脳がオーバーフローを起こす。

 

(ま、マジで誰だよ。アレか?アレなのか?俺には夢遊病のケがあって、誰かのベッドに夜な夜な潜り込んだりする潜在的変態の素質がある可能性がそんざいしたりしないかもしれないのか?)

 

最早自分が何を考えているかもわからず、ただただ混乱する。

 

(と、とりあえず起きて、こいつの正体を確かめないと。…おっさんとかだったりしたら二度と立ち直れんぞ、俺。)

 

考えてしまった最悪の想像に背筋が凍る満は、慎重に身体を起こそうとする。

 

「…あんっ。」

(…ッッッッッッ!?)

 

そのとき、抱きついている相手が上げた声に、身体が硬直する満。

 

(お、女ッ!この声の主は多分女ッ!)

(こ、これで最悪の事態は免れ…)

 

(るわきゃねーだろォォォ!?余計にマズイわ!)

 

不法侵入?婦女暴行?ストーカー?

様々な罪状が満の脳内をぐるぐると回り、冷や汗が止まらなくなる満。

 

(どうする?どうする?こ、これはマジでヤバい状況だぞ…)

 

この場を切り抜けるアイディアが全くと言っていいほど思いつかない。

 

「…ん。あら、ミツ。起きたの?って、凄い汗よ?大丈夫?」

 

と、そこで抱きついてきていた相手が目を覚ましたようだ。

こちらに話しかけてくる。と、いうか

 

「…部長?」

「ええそうよ。おはよう、ミツ。と、いうか名前で呼んでほしいわね。」

 

リアスだった。

 

(よ、よかった。顔見知りの相手ならば事情を説明すればなんとかなるかもしれない。き、嫌われるかも知れないが、どうにか…ん?何故部長は"俺がいること"に驚いていないんだ?と、いうかここは部長の部屋なのか?)

 

そう思い、辺りを見渡す。

満の机。本棚。食卓。

どう見ても満の部屋だった。

 

(と、いうことは…。この人ッ!マジで"お泊まり"に来やがったってのか!?しかもわざわざこっちが寝静まってからッ!?)

 

そこで改めてこちらに抱きついているリアスを見る。

リアスはこちらをニコニコと笑顔で見つめていた。

全裸で。

全裸で。

 

(アイエエエ!?ZENRA!?ZENRAナンデ!?)

 

途端にまた混乱しだす満。

咄嗟に寝返りを打ち、リアスから身体ごと視線を逸らす。

 

「あんっ!も、もう、どうしたっていうのよ…」

 

強引に体勢を変えたのが不味かったのか、声を上げるリアス。

身体に伝わる感触とその声に何やら変な気持ちになりかけた満は、

 

「と、とりあえずッ!ふ、服を着てくださいッ!」

 

全力でリアスに頼み込んだ。

 

その後、そそくさとシャワーを浴びた満が部屋に戻ると、

 

「仮にも女の子が全裸で異性のベッドで…!」

 

リアスが正座をさせられ、麗那に説教を食らっていた。

 

「お、おう。おはよう、麗那も起きたのか。」

 

挨拶をした満にギンッ!と鋭い視線を向けた麗那は、

 

「アンタも正座ァ!」

 

そのまま満に怒鳴りつける。

 

「ちょ、俺なんも悪くね…」

「だまらっしゃい!いいから正座ァ!」

「は、ハイィィィィ!」

 

常ならぬ迫力でそう言う麗那に、脊髄反射で正座をする満。

そのまま朝から正座を食らう満とリアスだった。

 

□□□□□□□□

「まったく、朝から酷い目にあった…」

「まったくだわ。まだ足に違和感が…」

 

ぼやきながら通学路を歩く2人。

満はリアスにジト目を向け、文句を言う。

 

「というか、なんで部屋にいたんですか?裸だったこともですけど。」

「ああ、言いそびれてたわね。私、あのアパートに住むことに決めたわ。」

「…はい?」

 

リアスのまさかのその一言に、満の目が点になる。

 

「もう管理人さんには話をつけてあるわ。それと、私裸にならないと寝れないのよ。」

「だからって俺の部屋に無断進入しないでくださいよ…あとそのクセ、直したほうがいいですよ。」

 

ため息を吐きつつ、リアスをたしなめる満。

 

「あら、いいじゃない。私は悪魔だもの。風邪なんて引かないわ。」

「いやそういうこっちゃねーですよ。」

 

その後も色々なことを喋りつつ、学校へ向かう2人だった。

 

□□□□□□□□

「そう言えば部長。"禁手化"って何ですか?」

 

放課後、オカルト研究部の部室で一誠が思い出したかのようにリアスに問う。

 

「ああ、"禁手化"ね。あれは、神器の力を高めてある"段階"へと至った者が発揮することが出来るようになる力よ。基本的には元の神器の上位互換になるけど、至る経緯で色々違うものになるみたい。」

「な、なるほど…。要するにオレの神器がパワーアップしたってことですね!」

「その代償が代償だけれどね…」

 

リアスのその目は一誠の左腕に向けられている。

その左腕は一見普通の腕だが、実際のところは違う。

悪魔の幻術で普通の腕に見せかけているだけで、実際はドラゴンの腕に変わってしまっているのだ。

これが、一誠の"禁手"へ至るための代償だったのだ。

 

「ま、まあまあ!今はうまく隠せてるんですし、大丈夫ですよ!」

「そうですよ、部長。ところで、俺に考えがあるんですが…」

 

そう言ってリアスに何かを耳打ちする満。

その内容にリアスは顎に手を添え、ふむ、と頷く。

 

「…そうね。イッセーの力も確かめたいことだし、いいわ。イッセー、今日の夜は空いているかしら?」

「え?ま、まあ大丈夫ですけど…」

「決まりね。じゃあ、ミツ。頼んだわよ。」

「はい、部長。」

 

その後は特に変わったこともなく、お開きとなった。

 

□□□□□□□□

その日の晩。

 

「あのー。部長、なんでオレは今日呼ばれたんでしょうか…?」

「それはね、イッセーの新しい力の確認と…」

「ついでだから実戦テストもやっちまおう、って話だ。」

 

模擬戦を行ういつもの場所で、赤龍帝の籠手を展開した一誠と鬼の仮面を被った満が相対していた。

 

「それでお前が相手ってことか、ミツ。」

「ああ。木場でもいいんだが、俺の方が反射神経は優れてるからどんな攻撃でもある程度対処できる。とりあえず名称、発動条件と能力、弱点を教えてくれ。わかってる部分だけでいい。」

「えっと、名前は'"赤龍帝の鎧・過剰加速(ブーステッド・ギア・スケイルメイル・オーバーアクセル)"。発動条件は特になしで、能力は倍加速度をその名の通り過剰に加速?するらしいぜ。弱点は10秒間しか使えないこと、まだオレには制御しきれない部分があるってことぐらいかな。」

「過剰に、加速?…"過剰に"って部分が気になるな。まあいい。早速テストさせてもらうぜ。それと、再使用可能な時間は?」

「あー、わからん。ライザーとの戦いでは結構スタミナ削れてたし、その後は一回も発動させてなかったからな。」

「なるほど。そこんところも今日は見ていくか。」

「よっしゃ、ミツだからって手加減しないぜ!」

 

そう言うと、一誠は赤龍帝の鎧・過剰加速を展開する。と、

 

「「「「「「「「「Boost!」」」」」」」」」

「うおっ!?」

「行くぜ!」

「Explosion!」

 

一瞬で何重もの倍加を完了させた一誠はすぐさま力を解放し、こちらに突っ込んでくる。

その倍加速度に驚きつつも、その反射神経で冷静に一誠の攻撃を避ける満。

 

一誠か鎧を展開してからここまでの時間は、約1秒。

 

「流石に早いな!」

 

そう満が言っている間にも次の倍加を完了させ、またもや突っ込んでくる一誠。

避ける満。

 

2秒。

 

「だが真っ直ぐすぎる!それじゃ当たらないぜ!」

 

断っておくが、全力の祐斗の動きを見切り、カウンターを狙えるほどの反射神経である。本来ならば一誠の動きを見ることすらできない。

ライザーを追い詰めたのはこの一瞬の倍加と突撃のコンボだった。

 

3秒。

 

次の攻撃が来ないことを不審に思った満が空を見上げると、倍加を完了させた一誠がこちらに手を向けていた。

その手に光る魔力光は先日斬った時の比ではない。

 

(マズいッ!?)

 

身体中を走った悪寒に従い、鬼の籠手とライザー戦の時に見せた甲冑、紅具足(べにぐそく)を展開する。

そして刀を炎龍剣に変え、

 

「せりゃあッ!」

 

全力で力を解き放つ。

 

炎龍剣が奥義、

戦術殻・炎。

その炎は全てを焼き尽くす。

 

「ドラゴンショット!」

 

一誠の放った魔力と、満の放った炎が互いを喰らい合う。

炎と魔力光がやむとそこには、大きなクレーターが出来ていた。

 

(手加減しないぜ、とは聞いたが殺す気かよッ!)

(やっべえ、マジで一瞬で倍加が終わるから手加減が"出来ない"ッ!?)

 

満はその威力に、一誠はその制御の困難さに焦る。

ここまでで、6秒。残り、4秒。

 

「「ッ!」」

 

互いの必殺技は通用しないとわかった。ならば、あとは殴り、斬り合うのみ。

 

ライザーの不死すら斬り払った満の刃が一誠を狙う。

倍加されたその反射神経で全てを避ける一誠。

 

1秒。

 

お返しと言わんばかりに当たれば満など弾け飛んでしまいそうな力を込めた無数の左拳を満に放つ。

それを炎龍剣の腹を使って受け流す。

火花を散らす拳と剣。

 

2秒。

 

受け流した体勢のまま剣を押し込み、一誠を斬らんとする満。

右手を剣に叩き込み、強引に軌道を変える一誠。

 

3秒。

 

そのまま満を殴り飛ばそうとする一誠。

軌道を変えたその力を利用して一回転し再度斬ろうとする満。

 

4秒。

 

その瞬間、一誠の神器が強制的に解除され、つんのめる一誠。

慌てて剣を引く満。

 

「ハァ…ハァ…ハァ…」

「おいイッセー、大丈夫か?」

「そ、そっちこそ大丈夫なのかよ、ミツ。随分と速く動いた気がするけど。」

「まあ、木場との戦闘で慣れてる。流石にあの、ドラゴンショットだったか?あれは焦ったな。」

「いや、あれはマジでごめん。倍加が一瞬で終わるから手加減出来ねえ。」

「あー、制御出来ねえって言ってたな。そういうことか。今後の課題だな。殲滅ならともかく、捕獲任務であんなんじゃ絶対相手が死んじまうぜ。で、どのぐらいで再使用できそうだ?」

「ごめん、しばらくは無理そうだ。もう体力使いきっちまった。」

「マジか。本当の意味で切り札だな。"過剰に"って意味がわかったな。ありゃ確かに"過剰"だ。」

 

そのまま赤龍帝の鎧・過剰加速について話し合う一誠と満。

一方、満と一誠の戦いの速度に目が追いつかなかったリアスはポカーンとしていた。

 

「…ミツ。」

「なんでしょう?部長。」

「リアスと呼びなさい。それと今の10秒で何があったかを説明しなさい。」

「前者は謹んでご遠慮させていただきます。それで、後者は、えーっと…」

 

今起こったことを説明する満。

 

「…そのレベルまで成長したイッセーもイッセーだけど、その速度についていけるミツもミツね。」

 

呆れて溜息も出ないリアス。

 

その後、この力はみだりに使用しないこと、使用するにはリアスの許可がいることなどを一誠に伝え、今日はお開きとなった。

 

□□□□□□□□

「…それで、どう思う?イッセーのあの力。」

 

帰り道でリアスは満に問う。

 

「…正直、危険です。一歩間違えれば、イッセーの身体が持たないでしょう。」

「…厄介ね。せっかくイッセーの神器が"禁手化"したというのに…」

 

頭を悩ませるリアス。

戦力が増すのは結構だが、それでイッセーが傷ついてしまっては元も子もない。

 

「まあ、10秒間ならそんな心配もなさそうですが。」

「そうね。でも、万一のことを考えなくてはいけないわ。」

「あの鎧に頼らなくてもいい戦い方の考案ですか?」

「そうね。まあそれはおいおい考えていきましょう。」

 

そう言って締めくくり、満の腕に抱きつくリアス。

 

「そ・れ・よ・り、名前で呼んでって言ってるじゃない。呼びなさい、ミツ!」

「拒否します!てか離れて!」

 

わいわいと騒ぎながらアパートへ帰る2人。いや。

 

(全く、満ったら…デレデレしちゃって。こんな身体じゃなかったら…キィーッ!)

 

3人。

 

 

事件を終え、ちょっとだけ前より騒がしくなった日常に、満はどこかホッとしたものを覚えるのであった。




如何だったでしょうか。

え?戦闘回なんで嘘だ?
ほとんどが茶番じゃないかって?
いやいや、これでも真面目に私は書いたつもりですよ。

さてそんなことはさておき。

イッセーの禁手、赤龍帝の鎧・過剰加速(ブーステッド・ギア・オーバーアクセル)。
このssでは亜種にさせてもらいました。
27話で間に合わない、ってイッセーが言ってたところから考えました。
能力は作中で書いた通りです。
一瞬で倍加が完了します。
今後どう進化していくかはちょっとわかりませんが、どうにかやっていければと。

さて、次回からは3章です。
個人的に1番書きたかった部分がある章。

それでは次回。またお会いしましょう。

少し本文を修正しました。
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