第32話、投稿していきます。
少しずつ、物語が動き始めます。
どうぞ。
「ミツ。今日はイッセーの家で部活を行うわよ。あ、お醤油取って。」
「どうぞ。何故です部長?旧校舎のメンテとか?」
「ありがと。それと、リアスと呼びなさい。アーシアの様子を見るためよ。」
「拒否します。アーシアの様子ですか?あ、塩取ってください。」
「はい、お塩。そうよ。あの家でアーシアがうまくやっているのかどうかの確認をしに行くのよ。」
「ありがとうございます。それってタダの冷やかしでは?」
「そうとも言うわね。というか、あなたも色々アドバイスを送っているじゃない。」
「まあ、そうですが。わかりました。イッセーにそう伝えておきます。」
「頼んだわよ。ご馳走様でした。」
「ご馳走様でした。」
朝。食卓を囲みながら満とリアスは今日の部活のことを話し合う。
(そう言えば最近、クロを見てないな。)
そんな中、満は部屋に住み着いていた黒猫のことを考える。
具体的に言えば、リアスがこのアパートに住み始めてからだ。
(…怪我とかしてなきゃいいが。)
心配しつつ、学校へ向かう準備をする満だった。
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授業もつつがなく終わり、放課後。
一誠の家に集まったオカ研の面々は、
「ほら、これが小学校の時のイッセーよ。」
「あらあら、海と全裸が…」
「母さん!何を見せてるんだよ!?あと朱乃先輩!見ないでください!」
会議などそっちのけで一誠のアルバムを鑑賞していた。
「なるほど。今と大して変わらず、エロ根性だけは凄まじかったらしい。」
「おいコラミツ!何の写真を見て…って何だこりゃ!?」
満の見ていたアルバムには、テレビのグラビア特集を食い入るように見つめる一誠の姿が写し出されていた。
「母さん!何て写真を撮って…!」
「あら、イッセー。それ、よく撮れてるでしょ?」
「よく撮れてるでしょ?じゃねぇぇぇぇ!?」
最早一誠のメンタルはボロボロである。
それを笑いながら見る満は、さっきからある写真を食い入るように見つめる祐斗が気になり、話しかける。
「おい、どうした木場?怖い顔なんかして。その写真になにか写ってるのか?」
「…ああ。イッセー君。この女の子が持っている剣に見覚えはあるかな?」
木場が一枚の写真を指差す。
そこには、幼い頃の一誠と、剣のようなものを持った園児、その父親と思わしき男性が写っていた。
常ならぬ表情でそう言う祐斗に、一誠は面食らいつつも、
「え、えーっと…。悪い、なにしろその写真は随分昔のころのやつだから覚えてないわ。その子は…家の都合で外国に行ったヤツだった気がする。」
「…」
「どうしたってんだ?木場。その剣が何か…」
「そうか…奇妙な偶然もあるものだね。これは、"聖剣エクスカリバー"。」
「エクス、カリバー?アーサー王の、あの?」
「ああ。これを破壊することが…」
その時の祐斗の顔は、その剣に対する憎悪に染まっていた。
「僕の生きる目的だよ。」
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あのアルバムを見てから、祐斗の様子がおかしい。
どことなく上の空で、時々眉をしかめた表情になる。
いつものニコニコとした笑顔を忘れてしまったかのように、ここ数日の祐斗は笑顔を見せることがなかった。
それは今日、球技大会でも同じだった。
「…どうしちまったんだ、木場のヤツ。」
「…考えていても仕方がない。原因は恐らくあの写真に写っていた、エクスカリバーだろう。」
「そりゃわかってるけど…」
「なんでそんなもんをイッセーの幼馴染が持ってたのか、なんで木場がそれを異常なまでに憎んでいるのか。疑問は尽きないが、今は楽しもうぜ。木場が腑抜けてるなら、その分の穴を埋めないとな。」
「…ああ、そうだな!」
「俺たちはチームだ。チームメイトの不調は、俺たちが補ってやらなきゃならない。行くぞ!」
「おう!」
ちなみに、今回の球技大会の種目はテニスである。
生徒会メンバーと対戦することになったオカルト研究部メンバーは、祐斗以外燃えに燃えていた。
「うおおおお!もっと、熱…おごぅ!?」
気合を入れて試合に臨む一誠だが、その股間にボールが直撃する。
「うわっ…。股間は、マズい…。おーい、イッセー。生きてるかー?」
「ね、ねばー、ぎ、ぶ…」
「あーなるほど。了解。メンバー交代だな。…審判、タイム!」
青い顔で不自然な震え方をする一誠の状態をこれは危険と判断し、メンバーの交代を要求する。
一誠の看病はアーシアに任せ、代わりにメンバーに入ったのは…
「うふふ、よろしくお願いしますね。」
「ええ。精一杯楽しみましょう。」
「そうですわね。相手"で"楽しみましょう?」
「いやできれば相手"と"楽しんでください。」
妙に楽しそうにしている朱乃だった。
舌なめずりをする朱乃に、震え上がる相手。もちろん恐怖でだ。
満は、このスイッチが入ったっぽい先輩をどう抑えるかに全力で思考を回転させながら試合を再開するのだった。
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パァン!
部室に乾いた音が響く。
満とアーシア以外のメンバーには、デジャヴを感じさせる音だ。
「…少しは目が覚めたかしら?」
ただし、叩いたのはリアスだが、今回叩かれたのは祐斗だった。
祐斗の様子がおかしくなり、その影響は悪魔稼業にまで及んでいた。
このままでは祐斗本人も危ないと思ったリアスは、祐斗を部室に呼び、諭そうとする。
しかし祐斗は相変わらず無反応で、我慢の限界が訪れたリアスは祐斗を叩いたのだった。
「…」
叩かれた祐斗は相変わらず無表情なのに対し、叩いたリアス本人は非常に辛そうな表情をしている。
祐斗の頬の腫れがなければ、まるでリアスが責められているのではないかと錯覚するほどだ。
「…部長、球技大会は終わったんですよね?なら、集まって練習することも必要なくなったはずです。部活を少し休もうと思っているので、それをお伝えしておきます。それでは、お疲れ様でした。」
ニッコリと、表面上は笑顔を浮かべ、そのまま帰ろうとする祐斗。
その肩を思わず一誠は掴む。
「待てよ、木場!お前どうしたんだよ!最近変だぞ!」
「キミには関係のないことだよ。」
「そんなことあるか!俺たちは仲間だろ!?」
一誠のその言葉に、冷たい苦笑を浮かべる祐斗。
「仲間、か。キミは熱いね、イッセー君。だけどね、僕は思い出したんだ。僕の生きる目的を。」
「この前言ってた、聖剣がなんとかってヤツか!?」
「そうだよ。聖剣エクスカリバー。それを壊すことが僕の目的。悪いけど、これは僕の問題だ。関係ないキミたちは関わらないでほしい。」
それだけ言うと、今度こそ祐斗は部室を出て行ってしまった。
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「…部長、木場に何があったんです?あそこまで拘るってことは、余程のことがあったんでしょう?」
木場が出て行った後。満はリアスに祐斗のことについて問うていた。
「…そうよ、ミツ。…教会が以前行った、ある計画。祐斗はその計画の生き残りなのよ。」
「その、ある計画とは?」
その言葉に、一度リアスは深呼吸すると、
「聖剣計画。」
「聖剣…計画…?」
短く、そう答える。
「…そう。聖剣を扱える人間はごく限られているわ。そこで、聖剣を扱える人物を人工的に作ろうと教会が画策したのが聖剣計画。」
「そんな計画があったなんて…。初めて知りました。」
教会出身のアーシアも知らないようだ。
「聖剣というのは、悪魔にとっての最大の天敵。刃に触れただけで焼け焦げ、振るわれれば並の悪魔なら一瞬で蒸発しますわ。」
「…まさに教会側の
聖剣について朱乃が注釈してくれる。
「祐斗は、その聖剣を扱えるように人為的に育成された1人なの。」
「と、いうことは木場は聖剣を…?」
その言葉にリアスは首を振る。
「…結局、聖剣を扱うことはできなかったらしいわ。それに、一緒に育成されていた他の被験者達も。」
「…ああ、大体読めました。…胸糞悪い話ですね。」
「…ええ。」
途中で何かに気づいた満は、苦々しい顔をする。
「ミツ、何が読めたってんだ?」
「考えてもみろ、イッセー。あの木場が、聖剣を扱えなかったことだけであそこまで聖剣を憎むと思うか?部長の説明からして、拒絶反応で死亡、とかそういうわけでもないだろうし。なら、考えられることは1つだ。」
「?」
そこで満は一旦言葉を止め、目を細める。
「…木場を含めて聖剣計画の被験者達は、"処分"、されたんだろうさ。失敗作としてな。」
「処分って…。まさか!」
「ああ。施設ごと焼き払われたか、飯に毒でも仕込んだのか。いずれにせよ、ロクな方法じゃないだろう。」
吐き捨てるように言う満。
「そんな…主に使える者がそんなことをするとは思えません…」
「アーシア…」
悲しそうに言うアーシア。
教会出身としては、信じたくないことなのだろう。
「私が祐斗を見つけた時には、祐斗は瀕死の状態だったわ。悪魔に転生させる際にも、復讐だけを誓っていたわね…」
悲しそうに言うリアス。
と、突然満が立ち上がり、出口へ向かう。
「ミツ?」
「…帰ります。考えたいこともあるので。」
「…今の祐斗は危険よ。復讐に取り憑かれているわ。」
「…せっかく人がぼかしたのに、それ言ったらダメじゃないですか。」
苦笑を浮かべ、そのまま部屋を出る満。
満の言ったことの意味がわからない一誠は、リアスに問う。
「あの、部長。ミツは…?」
「多分、祐斗を追いかけて行ったのでしょうね。」
「なっ!?だったら、オレも!」
「あなたは今の祐斗に何かを言えるのかしら?」
「そ、それは…」
「ミツが、何をするかはわからないわ。…正直不安だけど、少し任せてみましょう。」
リアスが外を見ると、その不安を表したかのように暗雲が立ち込め、雨が降り始めていた。
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ザアザアと、雨が降りそそぐ。
その中を、祐斗は雨に濡れるのも構わず歩いていた。
祐斗はまるで幽鬼のように町を彷徨う。
「…ここにいたか。」
そう声を掛けられ、振り返る。
そこには、刀を佩き、傘をさした満が立っていた。
「…何の用だい?関わるなと…」
「あー、聖剣、だったか?安心しな。関わるつもりはねぇよ。ただ、そんな格好で歩いていると風邪ひくと思ってな。ほれ。」
そう言って満は折りたたみ傘とタオル、それとホットの缶コーヒーを差し出してくる。
「…ありがとう。でも、何のつもりだい?こんなことをして何のメリットが…」
「んー?何か見てられねぇんだよな。お前は復讐に燃えている。だが、その心は冷え切ってる。違うか?」
「…そうだね。」
素直に答える祐斗に、満は頷く。
「はっきり言うぜ。それじゃ、勝てない。聖剣どころか、そこらへんのはぐれ悪魔にでも簡単に負けるだろうさ。」
「…何が言いたいんだい?」
「思考だけが過熱してんのさ、お前は。だから心が冷え切っちまう。」
「それが?」
「おいおい、剣士とは思えねえ発言だな?何も考えず、憎悪だけで剣を振れば剣筋はブレるし、無駄な力みも入る。そんなんで勝てる相手かよ?」
満のその問いに、祐斗は若干イラついた様子で言う。
「…キミには関係のないことだ。」
「ハッ。何だ、わかってんじゃねーか。まあ、グダグダ話しちまったがやるこたぁ1つよ。」
「?」
そこで満は刀を抜き、祐斗に向ける。
「俺と戦え、木場 祐斗。そのへし曲がった根性、叩き直してくれるぜ。」
「…バカだね、キミも。今の僕は容赦なんてできないよ?」
「抜かせ。何最初から勝った気でいやがる。今のお前には鬼の武器すらいらねぇ。
そのまま睨み合う2人。
緊張が高まり、いざ動き出す、といったところで、
「おやおやぁ?」
新たな闖入者が、現れる。
如何だったでしょうか。
戦闘は次回になります。
すぐ終わるとは思いますが。
いつの間にやらUAが3万近く、お気に入りも449件も登録してもらっていました。
ありがとうございます。
これからもこのssをよろしくお願いします。