第34話、投稿していきます。
今回、満による最大級のアンチ・ヘイトがあります。
注意してお読みください。
では、どうぞ。
「ハァ…」
「ん?どうした、ミツ?」
次の日。朝からため息をつく満に一誠は首を傾げる。
「いやなに、頭を悩ませることが最近多いと思ってな…。俺もお前みたいに彼女作ろうかな…。」
「い、いきなりどうしたよお前。そ、それにお前には部長が…」
「まさにその"部長"が問題なんだよ…。まさかのまさかだぜ、いや、当然と言えば当然なのかもしれないが。」
どこか煤けた様子の満に、一誠は顔を引きつらせる。
「な、何があったってんだよ…?って言うか、オレはまだアーシアとは…」
「まだ告白してねぇのかヘタレ。どう考えてもお前ら両思いだよ。まさか彼女からの告白待ちとか言わねぇよな?」
「う…」
言葉に詰まる一誠に満は苦笑しながら言う。
「きちんと捕まえとけ。あんな良い子他にはいないぞ?」
「わ、わかってるよ…。そ、それより!今はお前の話だろ!いったい何が…」
「めんどくせえことこの上ないぜ…。構わないと怒る、かといって構ってもそっぽ向きやがる。まるで猫だ。猫は1匹で充分だってのに…」
「な、何をしたんだよお前…?」
「いや何もしてないぜ?多分何もしてなかったから怒ったのかもしれないが。」
満は別に鈍感という訳ではない。麗那やリアスの好意にはそれとなく気づいてはいる。
だが、満は麗那を一度斬っていることや、リアスに死を幻視させるほどの殺気を当てたことに負い目を持っていた。
自分は彼女たちを一度殺し、殺そうとした。
そんな自分が、彼女たちに好かれていいのか。
いや、そんなはずはない。
そんなことがあってはならない。
満のその思いはもはや楔となって心に打ち込まれていた。
「…まあいい。いくら愚痴っても詮無いことだ。今日も一日、頑張っていきますか…」
「む、無理すんなよミツ…」
どことなく哀愁を感じさせる満の背中に、引きつった笑みを浮かべるしかない一誠だった。
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放課後。
オカルト研究部は、異様な緊張感に包まれていた。
別にリアスと朱乃のバトルが勃発した訳ではない。
その緊張感の理由は、リアス、朱乃の座るソファーの向かいに座る2人組にあった。
メッシュが入った青の髪。鋭い切れ目。
明るい茶髪のツインテールに、明るい性格を思わせる丸い目。
特徴的なのはそれらだが、オカ研のメンバーは誰もそんなものには注目していなかった。
注目したのはその胸元に光る、銀の十字架。
どこをどう考えても教会の人間であることは明確だった。
「それで、教会の人間が何の用かしら?」
「…先日、
その情報に目を細める満。
恐らく、フリードが持っていた聖剣。あれも、奪われたエクスカリバーの一本なのだろう。
(しっかし、エクスカリバーってのは量産でもされてんのか?聖剣のバーゲンセールでも開いてんのかよ。)
複数のエクスカリバーが存在することは気になったが、リアスの話を邪魔するわけにもいかないので黙ったままでいる満。
「へぇ。とんだ失態もあったものね。教会の最終兵器、エクスカリバーが奪われるなんて。それで、何?」
「ああ。それで、我々が聖剣を奪還、最悪の場合破壊するために派遣された。」
「なるほど。手を出すな、と言いたいのかしら?」
「その通りだ。上層部は、貴様ら悪魔が堕天使と手を組む可能性を危惧している。」
その言葉にリアスは顔を顰める。
「…不愉快ね。魔王の妹として、決してそんなことはないと誓えるわ。」
「そちらがどう思おうと知ったことではない。要は、この件には関わるなと言いたいだけだ。もしこちらの邪魔をした場合、貴様らを消滅させる。」
高圧的な青髪の少女、ゼノヴィア。
その言葉に一誠が文句を言おうとするが、肩を掴んで止める。
(どうして止める、ミツ!)
(文句を言いたい気持ちはわかるが、言ったところで連中の耳には入らんさ。お前の幼馴染だとかいうあの茶髪はわからんが。)
(だからって!)
(抑えろ、と言っているんだ。下手に刺激して三つ巴の戦いになるのは避けたい。精々連中に潰しあってもらいたいからな。)
(…時折、お前が悪の親玉に見えてくるよ。)
(まさか。余計な面倒は避けたいだけさ。)
その後主犯格は神を見張る者の幹部コカビエルであること、どうやらこの町に聖剣が運び込まれていることなどを2人組は説明する。
「…どう考えてもあなたたち2人ではコビカエルには勝てないと思うわ。相手は聖書に名を残す存在。死ぬわよ、あなたたち。」
「そうね。」
「だろうな。できるなら死にたくはないが。」
「大丈夫よ、ゼノヴィア。私たちが死んでも主は見てくださるもの。」
あまりにも淡々としたその様子に、満は苦虫を噛み潰したような顔をする。
この2人は死ぬことを恐れていない。
ゼノヴィアは死にたくはないと言ったが、それもあわよくば、といった感じだ。
狂信者。
神の名の下に戦い、死ぬことすら恐れない兵隊たち。
(…なるほど。こりゃ確かに交渉の余地はねぇわな。)
そのまま2人組は席を立ち、部屋を出ようとするが、
「あら…。あなた、アーシア・アルジェント?」
茶髪の方、紫藤イリナがアーシアに気づく。
「は、はい。」
「ふむ、もしやと思ってはいたが、『魔女』、アーシア・アルジェントか?なるほど、追放されたと聞いていたがこんなところで悪魔に成り果てているとはな。」
「『聖女』サマの周りにいた人達はどう思うのかしらね。まだ我らが主を信じているの?」
複雑そうな顔をしながら、アーシアは言う。
「…私はずっと信じ続けてきたんです。たとえ、魔女と罵られても。それだけしか、なかったんです。」
「アーシア…」
アーシアのその言葉に悲しそうな顔を浮かべる一誠。
ゼノヴィアは頷くと、
「そうか。ならば私が断罪してやろう。罪深き者とはいえ、我らが主は慈悲の気持ちをお与えになるやもしれん。」
アーシアにその手に持った大剣を突きつける。
「おい!」
たまらず、一誠はゼノヴィアの前に立ちはだかり、叫ぶ。
「ふざけるな!お前ら、アーシアを勝手に『聖女』って祭り上げておいて、悪魔を癒せるから『魔女』だと!?挙げ句の果てには殺す?いい加減にしろよ、どんだけ勝手なんだ!」
「神の愛を否定したのは彼女だ。結局、信仰が足りず悪魔なぞに身を落とすハメになったのだろう。」
あくまで淡々と返すゼノヴィア。
肩を怒らせる一誠だが、
「神か…最初に罪を考えだしたつまらん男さ。」
「…なに?」
ポツリと呟いた満に、ゼノヴィアが反応する。
「どういう意味だ。」
「そのままの意味さ。神は人を裁くが、個人を幸せにした事はない。誰1人としてな。幸せになったのは、そいつがチャンスを上手く使えたからさ。」
「そのチャンスこそが…」
「神の愛、ってか?笑わせるなよ。戦争で荒廃する土地。家族を失い、泣き叫ぶ子供。そんな連中に神は何をしてくれた?まさか助けたのは神とか言わないよな?教会は何をしていた?神サマの爪でも磨いていたのか?」
「我らを侮辱する気か。」
「まさか。そんな気すら起こらんよ。お前らは信仰をしている自分に酔いしれているだけだ。そんな連中に何を言えと?」
「…撤回しろ。」
「断る。大体、神の御名の下、っていう連中にロクなやつらはいない。結局のところ自分たちのしでかしていることを神の所為にしているだけさ。」
「…いい覚悟だ。表へ出ろ。断罪してやる。」
体を震わせながらゼノヴィアは言う。
その言葉に満は冷笑を浮かべると、
「…残念だが、それに応じるのは俺じゃない。」
そう言ってその場を退く。
そこには、冷たい殺意を纏った祐斗が立っていた。
「何だ、貴様は?」
「先輩さ。君たちのね。」
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「よかったの?あんなことを言って。」
「いいんすよ。ああいう奴らは自分の信仰とその対象を否定されるのが1番嫌いなんです。怒らせるならそこを突けばいいんですよ。」
睨み合う祐斗とゼノヴィア、イリナ。
その様子を見ながら、満はリアスに飄々と答える。
「それに…」
「それに?」
「俺はダチの女ァ貶されて黙ってられるほど人間できてないんで。」
獰猛な笑みを浮かべ、満は言う。
その様子に冷や汗を浮かべるリアス。
(…そうだったわ。ミツは、自分の家族や友人を守るためなら神をも斬る、って言ってたわね。悲しませた相手は許さない、って感じかしら。)
「ま、アーシアを慰めるのは一誠に任せて、俺らは木場の戦いを見させてもらいましょうや。」
「勝てるかしら。」
「いや無理っすね。」
即答する満に、驚くリアス。
「なっ!?なら何故…!」
「譲ったか、ですか?俺らが乱入できるからですよ。1人で暴走して勝手に死なれるより、ここで相手に1度折ってもらった方がいいです。今の祐斗は冷静さの欠片もない。戦っても無駄死にするだけです。」
「…シビアね。」
「死ぬよかましです。」
そう言うと、それきり満は黙ってしまった。
リアスは心配そうな顔をして祐斗の戦いを見つめる。
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祐斗は破壊力重視の大剣を構え、突貫する。
「ハアアアアアア!」
だが、ゼノヴィアに容易く防がれ、逆に大剣を砕かれてしまう。
(ダメだ木場、それじゃあ勝てない。)
完全に祐斗の強み、スピードとテクニックを殺している。
そもそも悪魔が真っ向から挑むべきではない聖剣に愚直に斬り合おうとしているのだ。
どう考えても勝ち目はない。
(こりゃ、一昨日の戦いは響いてないな。いや、逆か。簡単に剣を砕かれたから頑丈に作ったのか。だが、それは悪手だぜ?)
どう考えてもマイナスにしか働いていない。
(こりゃすぐ終わるな。乱入するか。)
丁度祐斗が吹き飛ばされ、剣を突きつけられている。
満はそちらに歩み始めた。
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(クソッ…!これでも砕かれるのかッ!)
祐斗は焦っていた。
エクスカリバーを破壊するために創り出した剣。
それが容易く砕かれ、思わず唇を噛む。
(!?しまったッ!)
焦りのあまり大振りになり、隙を晒してしまう。
振るわれる聖剣を辛うじて防ぐが、浅く切り裂かれ、吹き飛ばされてしまう。
聖剣に傷つけられた所為で、力が入らない。
(…ここまでか。ゴメン、皆…!)
死を覚悟し、目を閉じる祐斗。
と、何者かに蹴飛ばされる。
「ガッ!?」
「一昨日も言ったろう、言わんこっちゃない、って。持ち味を活かせよ、木場。じゃないと勝てないぜ?」
満だった。
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「貴様…!」
「よう、選手交代だ。こっからは俺が相手をするぜ。」
紅具足を着け、刀を構える満。
それを睨みつけるゼノヴィア。
「そこのお嬢さんも一緒で構わんよ?さっきからビンビンに感じるぜ、殺気。」
「…へぇ。気づいてたんだ。なら、遠慮はいらないね。」
そしてイリナは腕に巻きつけた紐を取り出すと、それが一瞬で刀に変わる。
「"
「そして、"
「「神の名の下に、貴様を断罪する!」」
その宣言に、満は笑う。
「やってみな。こちとら、神をも斬り裂く鬼だ。いまさら断たれる罪などないね。」
方や聖剣を携える使徒。
方や破壊の力を使う人間。
もはや言葉は要らぬとばかりに、激突した。
如何だったでしょうか。
まあ、言われることは覚悟してます。
「お前、それが言いたかっただけだろ」と。
否定はしません。
次回も戦闘になります。
というか長すぎたので次の話に持ち越し、というのが本音ですね。
ではまた次回。そこでお会いしましょう。
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