お待たせしてしまい、申し訳ありません。
土日は体調を崩し、執筆するどころの状態ではありませんでした。
それでは、どうぞ。
『拝啓
そちらは大事無いだろうか。
こちらはなんとも物騒な話になってきた。
奴さんが言うには、部長とおそらくは生徒会長だろうが、殺して魔王を怒らせ、戦争を始めるつもりのようだ。
コカビエルが聖剣を集めているのはどうやら魔王対策らしい。
また、協力者にバルパー・ガリレイという男がいる。
なんでも聖剣の専門家らしく、7つに別れた聖剣を統合せんとしている。
具体的には何をするのかはわからないが、十分注意されたし。』
「なるほど。目的は、お兄様を…」
昨夜、一誠の携帯に満からメールが届いた。
その内容は、ある地点を示したものだった。
そこに向かった一誠は、手紙が入った筒を見つける。
内容を確認するが、これはリアスに見せた方がいいと判断、すぐさま連絡を入れた。
リアスは眷属と一応ゼノヴィア達を呼び寄せ、その内容を確認したのだった。
「…バルパー・ガリレイ。確か、教会を追放された異端者のはずだ。」
ゼノヴィアがポツリと呟く。
「何をして追放されたの?」
「確か、ある計画の主任だったらしい。そこであまりにも残虐な行為を行っていたらしく、追放されたようだ。」
「…ある計画、ねぇ。名前は?」
「ああ。…聖剣計画。バルパーが主導していた計画だ。」
イリナ以外がその言葉に驚く。
「…なるほど。バルパー・ガリレイか…」
祐斗がその名前を噛みしめるように呟く。
その声にドロドロとした怨嗟を感じた一誠は心配そうに祐斗を見る。
「あの事件は教会の中でも特に嫌悪されている。だが、そのおかげで聖剣の研究が進んだのも確かだ。…私たちのような聖剣使いが誕生できたのも奴の研究が下地にあったからだ。」
「だからと言って被験者全員を始末するのが許されることだと?」
祐斗が噛み付くように言う。
「だから言っただろう、嫌悪されていると。だが、実利もあったことは確かなんだ。」
「その"実利"とやらのために、僕は仲間達を失った!」
まるで血を吐くかのように祐斗が叫ぶ。
その痛々しい叫びに、リアスは思わず悲しげな表情になる。
「…とにかく、相手の狙いはわかったわ。ミツもうまく溶け込めているみたいだし、しばらくはミツの連絡待ちね。警戒を密にしておきましょう。」
リアスがそう締めて、その日はお開きとなった。
□□□□□□□□
「んー…。見つからないわね。奴ら、どこに隠れているのかしら?」
その日の晩もコカビエル達を捜索するゼノヴィア達だが、イリナが退屈そうにそう呟く。
「左馬が手紙に場所を書いていなかったということは、アジトが複数あるのだろう。そこを転々とされては、特定はできない。」
「でも、満君にアジトの場所を一つ一つ書いて貰えば…」
そう言いながら歩くゼノヴィア達だが、不意に殺気を感じた。
「ッ!イリナ!」
「うん!」
擬態の聖剣をすぐさま双剣に変え、一本をゼノヴィアに渡すイリナ。
そこに現れたのは白髪の惨殺者。
「フリード・セルゼン!」
「やっぱりおたくらですか。聖剣使いサマもお暇なことでぇ!」
そう言いながら切りかかってくるフリード。
天閃の聖剣のスピードに翻弄されながらもなんとかしのぐゼノヴィアとイリナ。
「おやおや、やりますねぇ!で・もぉ!」
「キャッ!」
「!?イリナ!」
突然その場に倒れこむイリナ。だが、転んだのではなく、押さえこまれているような格好だ。しかし、
「姿がない!?透明の聖剣か!」
イリナを押さえこんでいるのはずの相手の姿が見えない。
すぐさま援護に向かおうとするゼノヴィアだが、フリードが邪魔で向かえない。
「くっ!どけぇ!」
「そうは問屋がおろさないのさぁ!」
イリナは激しく暴れるが、しっかりと関節を極められていて、一向に外せそうにない。
「は、放しなさいよ!この変態!」
「…」
「…えっ?」
と、イリナの耳に押さえこんでいる相手の声が聞こえる。
「…」
「…なるほど。乗ってあげるわ。あ、あまり痛くしないでよ?」
イリナがそう言うとそのまま首を絞められる。
「ガッ…グッ…」
「イリナ!」
気絶してしまうイリナ。
そのまま、透明の聖剣の効果だろうか、見る見るうちにその姿が消えてしまう。
「おっほ!相変わらず見事なお手際!ま、見たことねぇけど!んじゃ俺っちもバイナラ!」
頃合いだと察したか、フリードもその場を離脱する。
「イリナ!」
すぐさま消えたところに駆け寄るも、既に何もない。
ふと右手を見ると、握られていたはずの擬態の聖剣もなくなっていた。
(イリナ…)
俯きながら、拳を強く強く握る。
ゼノヴィアの心境とは裏腹に、空には満天の星空が広がっていた。
□□□□□□□□
「…聖剣を集めろとは言った。だが、聖剣使いまで連れて来いと言った覚えはないぞ。」
「聖剣も大事だが、情報はそれ以上に大事だ。コイツを尋問すれば相手方の配置がわかる。」
「フン。そんなものは必要ない。全て破壊し、殲滅するまで。」
ここはコカビエルが身を寄せているアジトの一つ。
気絶したイリナを担いだ満が入ってくるのを見たコカビエルは眉をひそめる。
「そうは言っても罠があるとも限らん。悪魔は狡猾だからな。手を組んでいるとすれば情報を持っていてもおかしくはない。」
「勝手にしろ。フリードは残れ。話がある。」
そう言われ、その場から移動する満。
「…で、どうだ?」
「それが何も尻尾を出さないですねぇ。聖剣使いどもを相手するときも容赦なんてしてる様子は無かったですし。ですが…」
「何だ?」
「人間を頑なに斬ろうとはしません。何故かと問えばこの刀は悪魔を斬るためのものだとか。」
「…甘いな。だが、お前の話からすれば…」
「ええ。目的のためならば必要な犠牲と割り切るはずです。おっそろしい男ですよ、奴は。」
「フン。たかが人間1人に何ができる。有象無象にすぎん。」
あくまで満を見下すコカビエル。
(さて、今度はどんなものを見せてくれるんですかねぇ?天海君?)
そのコカビエルを見下しつつ、内心でほくそ笑むフリードだった。
□□□□□□□□
「…もういいぞ。」
「…」
「下手な寝たふりしてんじゃねぇ。起きろ。」
「あ、やっぱりバレてた?」
その後、自分に割り当てられた部屋にイリナを担いできた満は、とりあえずの形として椅子にイリナを拘束(とはいえ、イリナ自身が外そうと思えば外せる程度に)。
そのままイリナに話しかける。
「当たり前だ。体重なんぞ掛けてきやがって。」
「だって、痛くしないでねって言ったのに容赦なく首を絞めてくるんだもん。」
「アホ。本当に容赦しなかったらその首へし折ってるわ。」
もう一つ椅子を引っ張ってきて、イリナと向かい合う満。
「じゃ、いろいろ喋ってもらうぞ。」
「えー?本当に尋問なんてするの?」
「当たり前だ。個人的にも教会には疑問があってな。誤解だってんならキリキリ吐くんだな。」
そう言って質問を開始する満。
教会のこと。天使のこと。悪魔祓いのこと。悪魔祓いでも"はぐれ"と言われる存在のこと。そして、
「聖剣計画。このことについて答えてもらおう。」
「…なるほど。木場君の件だね?」
「答える必要はない。言え。」
「わかったわよ。ええっと…」
そう言ってイリナは満に聖剣計画、それについての内容を説明。その主導者がバルパーであることなどを話す。
「なるほどな。トカゲの尻尾切りにバルパーはあったってことか。」
「今の話を聞いてどうしてそう思うのよ!」
「そう言われてもな。その話をどう聞いても教会側に都合が良すぎる。お上の天使サマはどうか知らんが、教会の上層部が都合よく改変したと思われてもおかしくはねぇわな。」
「そんなこと!」
「信じる者は救われる。ご立派なことだ。だが、少しは疑うことを考えたほうがいい。言われたことを自分の都合よく信じるだけの人形にはなるなよ。」
満のその言葉に不満げな表情を浮かべるイリナ。
「あなたは神を信じていないの?」
「信じてはいる。だが、お前さんたちのような信じかたはしていない。あくまで俺の人生は俺の手で切り開くべきことだからな。祈ればどうとでもなるなんてとてもじゃないが考えられない。」
「私たちの信仰はそんなものじゃ!」
「かもな。正直言えば神の存在に興味はない。会うことができるならば一言文句でも言いたいがな。」
あくまで飄々と言ってのける満を睨むイリナ。
そんな視線などどこ吹く風と受け流す満。
そんな時、満の部屋のドアがノックされる。
「いるぞ。」
「お邪魔しますよぉ。おや。素敵な格好で。」
「煩いわね。異端者のクセに!」
入ってきたのはフリードだ。
「それで?収穫は?」
「ああ。やはり教会と悪魔どもは手を組んでいるらしい。エクスカリバーを奪還するために方々で捜索を行っているようだ。」
「ああ、やっぱり。他には?」
「奴らはこちらにバルパーがいることを知らない。と、いうことは…」
「こちらの目的にも気づいていない、と。なるほど。動くなら今ということですね?コカビエルの旦那に伝えておきましょう。」
「頼む。どうやら俺は奴さんに嫌われているらしい。」
「あはは。ま、あなたは物怖じしませんからねぇ。自分に敬意を払わない人間に我慢ならないんでしょう。」
「器の小さい奴だ。本当に堕天使の幹部なのか疑わしくなってくるな。」
その言葉に苦笑すると、部屋を出て行くフリード。
その後も尋問と称した問答をイリナと続けていく満だった。
□□□□□□□□
「許可できないわ。」
「…何故だッ!」
ドンッ!と テーブルを叩くゼノヴィア。
あの後、リアスの元へ向かったゼノヴィアは、リアス達にイリナと透明の聖剣ごと攫われた事を報告。眷属総出で討って出る事を要請。
それをリアスは当然却下する。
「貴様も狙われているのだろう!ならば、今のうちに叩けば!」
「ねえ、ゼノヴィア。その攫った相手って誰だと思うかしら?」
「何を!透明の聖剣を使える人間に…決まって…」
そこで何かに気づいたゼノヴィア。
リアスは頷くと、
「そう。おそらくミツよ。ということはイリナが危険な目にあっている可能性は高くないわ。おそらく、攫った目的はトロイの木馬ね。」
「内側から崩す、ということか。なるほど。その合図は?」
「そうね。以前、ミツとチェスをした時、ミツはこう言っていたわ。」
ー目標を達成する直前が最も油断をしやすい時だ。
「ほう。と、いうことは?」
「合図は相手が仕掛けてきた時。おそらく、近いうちに。」
頷きあうゼノヴィアとリアス。
事態は、着々と動きつつあった。
如何だったでしょうか。
満の教会上層部に対する猜疑心はマックスです。
自然と刺々しい口調になってしまいます。
イリナもイリナで、ほんの少しだけですが疑っています。
どうなるかはこれからの展開しだいですが。
皆さんも体調にはお気をつけを。
それでは次回。またお会いしましょう。