ハイスクールD×D 〜鬼を継ぐもの〜   作:ルルガルウ

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お久しぶりです。ルルガルウです。
2ヶ月近く放置してしまい、申し訳ありません。

第38話、投稿していきます。

しかしこの主人公、本当に主人公なのか。
どうぞ。


第38話 地獄の番犬

次の日。

リアスはサーゼクスに援軍を要請。準備に時間がかかるので援軍が到着するまでの時間稼ぎを命じられた。

こちらの狙いを悟られぬよう、眷属総出でイリナを捜索するフリをするオカ研メンバー。

油断なく辺りを見渡し、いつでも連絡を取れるように二人一組で行動する。

 

「…いつ来る。こっちは気が気じゃないぜ。」

 

一誠は祐斗とチームを組み、警戒に当たる。

 

「部長が言ってたじゃないか、近いうちにと。多分、こちらが有利になる情報を左馬君が流してくれているはず。なら…」

 

と、そこにフードを被った怪しい人物が現れる。

警戒する一誠と祐斗だが、その人物から聞き覚えのある声が聞こえる。

 

「イッセー。木場。」

「ミツ!」

「静かに。奴らが何をしようとしているかがわかった。駒王学園へ向かえ。奴は部長たちをこの町ごと吹っ飛ばすつもりだ。」

 

満のその言葉に驚く一誠と祐斗。

 

「こちらは最適のタイミングで事を起こす。そちらはそちらで動いてくれ。俺はこれから他のメンバーにも説明をしに回る。」

「待てよ!最適のタイミングって…」

 

一誠の言葉を最後まで聞かず、その場から離れる満。

 

「あ…行っちまった。連絡なら携帯ですりゃいいのに…」

「急ごう、イッセー君。彼の話が本当なら大変なことになる。」

 

一誠と祐斗は頷きあい、駒王学園へと急いだ。

 

□□□□□□□□

一誠と祐斗が駒王学園に着いた時、ちょうど他のメンバーも到着したところだった。

 

「イッセー!祐斗!」

「部長!コカビエルは!?」

「恐らく校庭よ!急ぎましょう!」

 

そのまま校庭へと移動する一行。

そこには、5本の聖剣が光を放ち宙に浮いている光景が広がっていた。

その魔法陣のちょうど中心にいるのはバルパー・ガリレイ。

 

「これは…!」

「エクスカリバー!」

「その通りだ。」

 

上空から声がする。

リアス達がそちらに目を向けると、尊大な態度で宙に浮かぶ椅子に足を組んで腰掛け、こちらを見下ろす堕天使がいた。

 

「コカビエル!」

「下賤な悪魔ごときが、この俺を呼び捨てにするとはな。まぁいい。バルパーよ、エクスカリバーの統合はどのぐらいで済む?」

「もう少しかかる。」

 

コカビエルの問いに短く答えるバルパー。

 

「エクスカリバーの統合ですって!?」

「それで?魔王は誰が来るのだ?ルシファーか?レヴィアタンか?」

 

驚くリアスを無視し、リアスに問うコカビエル。

 

「誰も来ないわ!私たちが…」

「…何?」

 

その時、その場の空気が変わる。

一瞬何かが光った瞬間、体育館の屋根と二階部分が消し飛ぶ。

体育館だったものには、巨大な光の槍が突き刺さっていた。

柱とも見まごうその大きさに、息を呑むリアス達。

 

「…興ざめだ。全く興ざめだ。よもやこんな雑魚どもだけとは。」

「ふむ。ならば、貴様らは俺のペットの運動にでも付き合ってもらうとしよう。」

 

残念そうにそう言い、指をパチンと鳴らすコカビエル。

すると、闇夜から浮かび上がるかのように3つの頭を持つ、巨大な犬の顔をした巨獣が現れる。

 

「あれは、ケルベロス!?」

「知っているんですか、部長!?」

「地獄の番犬とも呼ばれる魔物よ!その実力は生半可なものではないわ!」

「なんでそんなヤツが…」

「本来なら冥界の入り口、地獄に生息しているの。奴らが捉え、使役しているのでしょうね。まさか、人間界に持ち込むなんて…」

 

予想外の強敵の出現に、歯噛みするリアス。

 

「…やるしかないわ!イッセー!"アレ"はまだ使わないで!通常の倍加で私たちに"譲渡"して頂戴!」

「じ、譲渡ですね!わかりました!」

 

一誠が持つ神器、"赤龍帝の籠手"は倍加した力をただ解放するだけが能ではない。

その倍加した力を、他人に"譲渡"することもできるのだ。

"赤龍帝の贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)"

その能力はそう呼ばれ、ライザーとのレーティングゲーム前の特訓で判明した能力だったものの、使いどころが今までなかったのだ。

 

「Boost!」

 

すぐさま倍加を開始する一誠。

一誠から注意を逸らすため、空へ舞い上がるリアスと朱乃。

そのリアスに向かってケルベロスの3つの頭の1つが炎を吐く。

 

「ゴオアアアアアア!」

「甘いですわよ!」

 

すかさず朱乃が氷の魔法でその炎を相殺する。

だが今度はもう1つの首がリアスに向かって炎を吐こうとする。

 

「滅しなさい!」

 

リアスは咄嗟に滅びの魔力を放つ。

ケルベロスの炎とリアスの魔力がぶつかり合い、衝撃が辺りに走る。

その勝敗は、

 

「やった!部長の方が押してる!」

 

思わず叫んだ一誠の言葉通り、リアスの魔力が炎を押している。

そのままケルベロスごと飲み込まんとするが、3つ目の顔が更に炎を吐く。

 

ゴォッ!

 

その勢いでリアスの魔力を逆に押し返し、今度はリアスが窮地に立たされる。

 

「くぅ…!」

 

懸命に抑えるリアスだが、少しずつ、少しずつケルベロスの炎がリアスの方へと近づいていく。

 

「部長…!」

 

ジリジリと、焦燥感だけが一誠の中で募っていく。

だが、今溜まっているだけの力ではケルベロスを倒すまでには至らないと考える一誠。

 

(クソッ!オレはまた間に合わないのか!)

 

なりふり構わず"赤龍帝の鎧・過剰加速"を使おうとするが、

 

「ガラ空きです。」

 

ドゴン!と何かを殴りつけるものすごい音がして、ケルベロスが若干宙に浮く。

 

「小猫ちゃん!」

 

ケルベロスを殴りつけ、宙に浮かせたのは小猫。

 

「ッ!今!」

 

相殺すべき炎がなくなった朱乃は得意とする雷をケルベロスに落とす。

 

「来た!倍加完了です、部長!」

 

そこに、倍加が完了した一誠。

すかさず降下してくるリアスと朱乃。

 

「譲渡を!」

「うおおおおっ!"赤龍帝からの贈り物"!」

 

一誠がそう叫び、リアスと朱乃の肩に手を置くと、

 

「Transfer!」

 

機械音が鳴り響き、リアスと朱乃に膨大な力が流れ込む。

 

「これならいける!朱乃!」

「ええ!」

 

再度飛び上がる2人。

急に膨れ上がった魔力に警戒したケルベロスは一旦距離を置こうとするが、

 

「逃げられるとでも思ってるのかい?」

 

忍び寄っていた祐斗が神器を展開。

地面から大量の魔剣を生やし、ケルベロスをその場に縫い付ける。

 

「消し飛びなさい!」

「跡形もなく!」

 

そこに、力を譲渡され、何倍にも膨れ上がった力を叩きつけるリアスと朱乃。

雷鳴が轟き、紅い魔力が全てを飲み込む。

その攻撃が通り過ぎた後は、既に何も残っていなかった。

 

「よし、これで…」

「フン。"1匹目"は倒したか。」

「…え?」

 

安堵しかけた一誠だが、コカビエルのその言葉に身体を硬くする。

ズシン、ズシンと地響きを立てて現れたのは、

 

「2体目…!?」

 

まさかの2体目のケルベロス。

絶望的な状況に、流石に赤龍帝の鎧・過剰加速を展開しようとする一誠だが、

 

「チッ。こうなってしまっては仕方がない。」

「あっ、おい!」

 

今まで武器がなかったため戦闘に参加していなかったゼノヴィアが飛び出す。

 

「ペトロ、バシレイオス、ディオニュシオス、そして聖母マリアよ。我が声に耳を傾けてくれ。」

 

呪文のようにそう呟くゼノヴィア。

すると、宙に歪みのようなものが生まれる。

躊躇いなく手を突っ込むゼノヴィア。

 

「この刃に宿りしセイントの名において我は解放する…」

 

尚も言の葉を紡ぐゼノヴィア。

一度目を閉じ、カッと見開くと、

 

「デュランダル!!!」

 

そう叫び、空間の歪みから手を引き抜く。

その手に握られているのは、青い刀身に金の縁取りがなされた大剣だった。

 

「で、でかい…!」

 

その大きさに目を見開く一誠だが、その直後にゾクリと背筋が震える。

ゼノヴィアの握っている大剣、その刀身から溢れ出る聖気が今まで見てきた聖剣の比ではなかったからだ。

 

「セアアアッッッ!」

 

聖剣、デュランダルを解放したゼノヴィアはそのまま剣を一薙ぎ、ケルベロスの首1つを切り飛ばす。

 

「どうだ!これが悪魔の恐れる聖剣の力だ!」

 

誇らしげに叫ぶゼノヴィア。

 

「まったく、イライラするね。でも、その破壊力は正直頼もしい。今は頼りにさせてもらうよ。」

 

ゼノヴィアのすぐ隣に降り立った祐斗は渋い顔をしながらそう言い、一度ゼノヴィアと頷き合うと、共にケルベロスへ突貫する。

 

「グオアアアアア!」

 

首をやられた痛みからか、先ほどよりも強い叫びをあげてケルベロスが祐斗とゼノヴィアの二人に向けて業火を放つ。

それをジャンプで躱す二人。

 

「そんな苦し紛れの攻撃!」

 

またもゼノヴィアの一閃でケルベロスの首が落ちる。

 

「ハッ!」

 

残った首、その根元に祐斗が剣を突き立て、飛び退る。

 

「グルルルル…」

 

睨むケルベロスに祐斗は冷ややかな視線を向け、

 

「残念ながらチェックメイトだよ。君は僕たちには勝てない。」

 

と声をかける。

その言葉に激昂したかのごとく、祐斗へ走り出すケルベロス。

 

「ああ、ひとつ忠告だ。君が一歩でもそこを動けば…」

 

その瞬間、ケルベロスの首に刺さった剣が爆発し、首を吹き飛ばす。

 

「ボンッ、だ。…すこしばかり忠告が遅かったようだね。」

 

残ったのは、力を失い倒れ伏す首のないケルベロスの死体。

 

「おい木場!あんな攻撃持ってんなら…!」

「すまないね、アレは準備するのに時間がかかるんだ。それに、今の僕じゃ今日はもう作れないよ。早い話がとっておきって奴だね。」

「二人とも、その話は後にしろ。どうやら我々は間に合わなかったようだ。」

 

ゼノヴィアにそう言われ、バルパーの方へ視線を移す一誠と祐斗。

 

「ハハハハッ!遂に、遂に完成したぞ!私の理論は正しかった!」

「ンッン〜いい感じですよこれはァ…。やっと俺っちの出番ってワケだネ!」

「…」

 

そこには、狂喜するバルパーと、統合されたエクスカリバーを持ってニヤリとするフリードと、静かに刀を構える満がいた。

 

「…ここからが本番ってわけね。」

 

フリードの狂気と、満の剣気に充てられ、身構えるリアスたち。

次なる戦いの幕が、切って落とされようとしていた。

 

□□□□□□□□

「ハアアアッッ!」

 

最初に飛び出したのは、祐斗だった。

その表情に憎悪を滾らせながら、フリードへ突撃していく。

 

「いいねぇ、いいねぇ!その表情!僕ちゃんキュンと来ちゃう!」

 

祐斗が繰り出す剣を統合されたエクスカリバーで砕きながら、フリードは哄笑する。

 

「あー、でもダメだわ。その剣がヌルい。ヌルいヌルいヌルいヌルいヌルいヌルいヌルいヌルいヌルいヌルいヌルいヌルい!ヌルすぎんだよォ!」

「グアッ!」

 

数度剣を合わせるものの、尽くを砕かれ、吹き飛ばされる祐斗。

 

「木場!」

 

すかさずゼノヴィアが援護に入ろうとするが、

 

「おおっと、あんたの相手は俺だ。」

 

満がそれの邪魔をする。

 

(左馬!なぜ邪魔をする!)

(木場が前に進むためだ。)

(何!?)

 

ギリギリと、つばぜり合いの状態で囁くように会話を行う。

 

(あいつは復讐に取り憑かれてる。多分、後悔の念にも。その思いが、あいつを縛って前にも後ろにも進めてねぇ。ギリギリなんだ、あいつは。ギリギリの状態で“こっち側”に踏みとどまってる。)

(それがなんだというのだ!それと加勢を邪魔するのとは何の関係が!)

(木場は守るべき仲間だが、大切な友だとも思ってる。だから、これは俺のワガママだ。頼む。エクスカリバーの破壊は、木場に任せてくれないか。木場の過去に、決着をつけさせてやってくれ。)

 

満のその言葉に、ゼノヴィアは少しだけ目を見開くと、一度離れ、再度打ち合ってつばぜり合いの形にに持っていく。

 

(…ふん。まあ、ここで貴様が邪魔をしなければコカビエルに疑われる恐れもあるしな。せっかく後ろから刺すチャンスを逃すのももったいない。)

(感謝する。)

 

満の感謝の言葉に、ゼノヴィアはむず痒いような顔をする。

 

(よせ、気持ち悪い。我らが主を侮辱した時のようにもっと悪びれずにいればいい。)

(…いや、それはその、)

(ああ、それにイリナも不意打ちで連れ去ったんだな、確か婦女暴行に、誘拐だったか?この国の法律では。)

(え、えっと…)

(流石は日本のサムライだ。そんなことをしても悪びれないとは。)

(ぐっ…。いや、その、そういうワケでは…)

(あーこれはこくさいもんだいになるなー。こまったなー。)

(いや、あの、…ごめんなさい。)

 

打ち合っては離れ、つばぜり合いを繰り返して会話する二人。

 

(デザートバイキング。)

(…え?)

(デザートバイキングだ。そういうものがあるのだろう?イリナと一緒に連れて行け。勿論、貴様の奢りでだ。)

(いやいやいや、何でそんな話になる?というか今は真面目に、)

(国際問題。それだけで回避できるのは安いと思わないか?)

(いやだから)

(そうか、そういえばエクスカリバーも強奪したのだったな。これは損害がものすごいことになりそうだ。…ん?どうかしたのか左馬。顔色が悪いようだが。)

 

どんどんと満の不利になる証拠が揃っていく。

脂汗を額に浮かべた満は、苦渋に満ちた顔で絞り出すように言う。

 

(…喜んで奢らせていただきます。)

(そうかそうか、そう言ってくれるか。まあ、私たちのような美少女二人と一緒に出かけることができるのだ、幸運だろう?)

(えー、ハイ。そっすね。)

(何だその気の抜けた返事は。今は戦っている最中なのだぞ。もっと真面目にやらんか!)

(テメそれ俺の台詞だろうが!)

(フフフッ。さあさあ、ギアをあげていくぞ!)

 

カオスな会話を繰り広げつつ、さらに激化していくゼノヴィアと満の剣戟の応酬。

 

「…何か非常に不愉快な予感がするわ。」

「…え?ぶ、部長?どうしたんですか?」

「奇遇ねリアス。私もよ。」

「え?え?朱乃先輩も、いきなり何を…そ、それに今リアスって…?」

 

戦闘中にも関わらず、何かが違うとわかる黒いオーラを出し始めるリアスと朱乃の二人。

祐斗の戦いを固唾を飲んで見守っていた一誠だが、二人のオーラを見てギョッとする。

 

「間違いないわね。」

「ええ。」

「「ミツ(満君)がまた変なフラグを建てたわ。」」

 

まるで北極へ放り出されたかのように震え始める一誠。

小猫とはというと、とっくに離れた場所へ避難していた。

 

(み、ミツ、またお前かよ…!てか、なんで部長たちはそれがわかるんだよぉ!)

「だ、大丈夫ですかイッセーさん?」

 

ガタガタと震え、泣きそうな表情の一誠に心配そうに声をかけるアーシア。

 

「おおおん、アーシア!オレには君しかいないんだぁぁ!」

「えええっ、い、いいいイッセーさん!?!?」

 

つい感極まってアーシアへ抱きつく一誠。

顔を真っ赤にして狼狽えるアーシア。

その隣で漆黒のオーラを吐き出し続けるリアスと朱乃。

そんなカオスな状況が続くと思われたが、

 

「あぐっ!」

「!!」

 

その状況は、唐突に終わりを告げる。




如何だったでしょうか。

尽く禁手化を阻まれるイッセー君。非常に扱いにくい能力にした私の所為でなかなか全開で戦わせてもらえません。

あれ?エクスカリバーは少なくとも2本は満しか扱えないんじゃ…と思った方もおられると思いますが、統合の際、聖剣の核に対しイレギュラーが起きないようバルパーが初期化を行っています。そして、満以外扱えないようにするより、より多くの者が扱えるようにするため、満には渡さず、フリードに渡すことをコカビエルが命じました。


さて皆様、改めてお久しぶりでございます。
非常に微妙なところで放置してしまい、申し訳ございませんでした。

リアルが忙しかったのと、第4章以降の展開を少し書き直していました。

それに関連して皆様にアンケートがございます。
詳しくは次回の後書きで書かせていただきます。

それでは次回。
またお会いしましょう。
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