ハイスクールD×D 〜鬼を継ぐもの〜   作:ルルガルウ

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ルルガルウです。

第41話、投稿していきます。

さて、今までの中で最も難産だったお話です。

サブタイがまんまネタバレの第41話、どうぞ。


第41話 鬼武者

「え…あ…」

 

身体を貫いた光の槍。

 

「そ、んな…」

 

ほとばしる鮮血。

 

「何故、何故だ…」

 

しかしその血の主はゼノヴィアではなく。

 

「なぜだぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

手を大きく広げ、ゼノヴィアの前に立ち塞がる満だった。

 

「フッフッフ、人間としての未練を捨てきれず、なおも仲間を守ろうとする貴様ならば必ずそうすると思っていたぞ。」

 

満を嘲笑うコカビエル。

 

(くそったれめ…。身体が勝手に動いちまった。声も…出せ…)

 

ぐらり、と満の身体が傾き、ドシャッと音を立てて地面に倒れる。

 

「ミツ!?」

「おい、しっかりしろミツ!」

 

満に駆け寄るリアス達。

 

「あ、アーシア!アーシア!早く、早くミツに治療を!」

 

まるで悲鳴のように聞こえる声でリアスがアーシアに治療を命じる(願う)

その言葉にハッとしたアーシアは、

 

「え、あ、ああ…」

 

ショックから回復はしても、抜け切れていない。

 

「アーシア!頼む!ミツを、助けてやってくれ!」

 

一誠の必死の説得になんとか頷き、フラつきながらも満の方へ向かい、治療を開始する。が…

 

「ねぇ、どうなのアーシア?助かるわよね?助かるのよね!?」

「…」

 

泣きそうな顔をして問うリアスだが、同じく泣きそうな顔でアーシアは首を振る。

 

「わ、私の"聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)"は傷や痛みなら癒せますが、失った身体の一部は、も、戻せないのですっ。み、満さんは内臓が消滅しています。このままでは…もう…」

 

絶望的な顔をするリアス。

 

「…何故だ?何故私を庇った!?私は仲間でも何でもない!そもそも最初は敵対していたではないか!?」

 

声を震わせながら満に声をかけるのはゼノヴィア。

 

「私は、主のために死ぬのならばそれでよかった!貴様が私を庇う理由などなかったではないか!私はお前の仲間を侮辱し、傷つけたのだぞ!?」

「答えろ!…答えろよぉ!」

 

それはゼノヴィアにしては非常に"らしくない"とでも言うことができる行動だった。本来ならば神のために死ぬことができるという名誉をたたえ、賞賛してもおかしくはないはずだった。

しかし、現実としてゼノヴィアは満が自身を庇い、死にかけているという事実に動揺し、ショックを受けている。そして、

 

「なあ、答えてくれ。答えてくれないと私は…」

 

ゼノヴィアは、恐怖していた。

 

□□□□□□□□

「この野郎!よくもミツを!」

 

憤りながら戦おうとする一誠。だが、

 

「あ…ぐっ…!」

(無理だ相棒!あの"鎧"を再び展開するための力はお前には…!)

「それが…どうした…!ミツは…ミツは!そんなことじゃ諦めない!」

(現実を見ろ相棒!奴は死にかけ、コカビエルは無傷だ!ここは撤退をして…)

「そんなことしたら、この街はどうなる!?父さんは、母さんは!?オレは絶対諦めねぇ、諦めてたまるかこんちくしょう!」

 

そして一誠はリアスの方を向き、

 

「部長!あのケルベロスを倒した攻撃なら奴でも!…部長?」

 

訝しげな顔をする。

リアスの様子がおかしい。

 

「…諦めないわ。私は、私は絶対に諦めない。絶対に…。」

 

ザッ、とリアスが立ち上がり、コカビエルの方へ向き直る。

その顔は涙に濡れていたが、同時に強い決意を感じさせる表情だった。

 

「全員、コカビエルを攻撃!ミツが再び立ち上がるまで奴を近づけさせないで!」

 

そして満の方をチラリと見る。

 

「ミツ、私は信じているわ。あなたが再び立ち上がり、私たちを守ってくれることを。あなたが、決して諦めないことを。」

 

そして、コカビエルに攻撃を開始した。

 

「だから、私は絶対に諦めない!お願い立って!左馬満!」

 

□□□□□□□□

ゼノヴィアは孤児だ。

彼女の両親は、公式の記録では、"大規模なテロにより死亡"と、そうなっている。

しかし、彼女は忘れない。

化け物どもが起こした惨劇を、彼女は忘れない。

□□□□□□□□

 

時は10年前、フランスは都、パリ。

 

『くそっ!こっちだ!』

『ねえママ。これからどうなるの?私、怖いよ。』

『大丈夫よ〇〇〇〇〇。私たち、きっと助かるわ。』

 

その薄暗い路地を、3人の親子が走っていた。

何かから必死に逃げるように。

 

『キシャァァ!』

『ッ!?しまった!?』

 

その3人の前に現れたのは、異形の怪物。

大昔のサムライのような鎧を纏った、4本足の化け物。

 

『逃げるぞ!』

 

夫と思われる男性が妻と娘の手を引っ張り、逃げるが、

 

『あなた!ここは…!!』

『クソッ…行き止まりか…!』

 

袋小路に追い詰められてしまう。

 

『こ、この化け物め!』

 

男は怪物に掴みかかるが、逆に弾き飛ばされてしまう。

 

『あなた!』

『お父さん!』

 

すぐさま駆け寄る妻と娘。

 

『クカカカカッ!』

 

まるで笑っているかのようにけたたましく鳴く怪物。

その姿に娘は恐怖しか感じない。

 

『嫌ぁっ!』

 

つい、そう悲鳴をあげてしまった。

途端に娘に向き直り、手にした刀を向ける怪物。

そして少女を貫こうとした瞬間。

 

ドスッ!

 

身体を貫く鈍い音。

ただ、それは、一人だけを貫いたものではなかった。

 

『…ぐ…』

『…』

 

娘と妻を守るように怪物の正面で両腕を広げる男と。

我が子を守るように抱きしめる女と。

そして娘。

その3人は後ろに倒れ、動かなくなる。

 

化け物は満足したかのように一度頷くと、次の獲物を求めて大通りの方へ消えていった。

 

訪れる沈黙。

暫くすると、倒れ伏したはずの娘がモソリ、と起き上がる。

 

『行ったよ、お母さん。…お母さん?』

 

静かに、死んだフリをしておきなさい。

母親は娘を抱きしめた瞬間、そう言い、娘が凶刃に貫かれないように突き飛ばしたのだ。

しかし、その代償として、夫諸共、その身体を貫かれてしまっていた。

 

『…逃げなさい。そして、隠れていなさい。』

『やだ!やだ!お母さんとお父さんも一緒に逃げるの!』

 

息も絶え絶えな母親は、娘に隠れるように諭すが、娘は首を強く振り、そこを動こうとはしない。

 

『我がままを言わないで、〇〇〇〇〇。あなたは、これから一人で生きていくの。』

『やだ!やだよぅ!』

 

パァン、と母親は娘の頬を叩き、厳しい顔をする。

 

『お願い。これ以上お母さんを困らせないでちょうだい。あなたは生きるの。』

 

ーさあ、いきなさい。

 

頬を押さえ、娘は泣きそうになりながら、一歩、二歩と後ずさり、そのまま路地へと消えていく。

 

それを見送った後、母親はニッコリと笑い、

 

『ゴメンね、叩いちゃって。強く生きて。きっと…』

 

そう言い残し、既に事切れていた夫を追うように、その命を終えた。

 

その少女は、近くで生存者を捜していたフランス軍に発見されることとなる。

少女の名前はゼノヴィア。

 

ある二人の"鬼武者"によってその事件の全てが解決する、ほんの数時間前のことであった。

 

□□□□□□□□

「もう、もう嫌なんだ。私を庇って、死んでしまう人がいるのは。だから、私は、死に場所を探して…」

 

ゼノヴィアは動かない満にまるで懺悔をするように涙を流しながら独白していく。

隣ではアーシアが懸命に治癒を行うが、やはり臓器は復元できないようで、悔しそうな顔を浮かべている。

 

「神様。悪魔だっていい。この人を助けてください。私は何でもします。何でもするから私を…」

 

「私を、ひとりぼっちにしないでよぉ!」

 

その叫びが響いた瞬間、満の指が、ピクリと動いた。

 

□□□□□□□□

「…ここは?」

 

満はいつの間にか、真っ白な空間にいた。

辺りを見渡すが、何もない。

 

(俺は、確か…)

「…そうか、俺は、負けたんだったな…。」

 

意識を失う直前の出来事を思い出し、独りごちる満。

 

「なら、ここは…天国、な訳ねぇよな。地獄の待合室、ってところか…。おーい!誰かいないのか!」

 

満は叫ぶが、反応はない。

 

「どうした!地獄行きが一人、待ってんだぞ!」

 

その声も、虚しく響くのみ。

 

「ったく、どうなってやがんだ。…それにしても、そうか。」

「俺は、守れなかったんだな。」

 

悔恨を滲ませた表情で、満はそう呟く。

 

「何故守るのか、か…。考えたこともなかったな…。」

 

と、そこに、微かに声が響いた。

 

「…ん?」

 

『…め…わ。…ない。』

 

「…部長?」

 

よく知っている人の声だったことに驚き、耳をすます満。

 

『ミツ、私は信じているわ。あなたが再び立ち上がり、私たちを守ってくれることを。あなたが、決して諦めないことを。』

 

「…ハハ、俺は、そんな御大層なもんじゃねぇっすよ、部長。守ることもできなければ、普通に諦める。ただの負け犬です。」

 

満は自嘲気味な笑みを浮かべる。

 

『だから、私は絶対に諦めない!お願い立って!左馬満!』

 

その言葉に、力なく首を振る満。

 

「…無理ですよ部長。俺は既に負けてるんです。立ち上がれっこないですよ。」

 

『ミツは…ミツは!そんなことじゃ諦めない!』

 

「イッセー…。悪いな、"そんなこと"で諦めちまうんだよ。だから俺は…」

 

『そんなことしたら、この街はどうなる!?父さんは、母さんは!?オレは絶対諦めねぇ、諦めてたまるかこんちくしょう!』

 

「…イッセー。」

 

知らず知らずの内に、その手は握り拳を作っていた。

 

「でもな、もう動かねぇんだよ。戦うだけの力が俺にはもう…」

 

『もう、もう嫌なんだ。私を庇って、死んでしまう人がいるのは。だから、私は、死に場所を探して…』

 

「…ゼノヴィア?おいおい、そんなこと考えてたのかよ…。」

 

『神様。悪魔だっていい。この人を助けてください。私は何でもします。何でもするから私を…』

 

『私を、ひとりぼっちにしないでよぉ!』

 

「…」

 

黙りこくる満。

 

「…だとよ。オイ、どうする?」

 

満は唐突にそう問う。

いつの間にか、満の隣には"あるもの"が佇んでいた。

ソレは、武者のカタチをしていた。

しかし、ソレは同時に、()()()を立ち昇らせている。

 

『…』

「…だよな。」

 

ソレが、なにかを呟く。

ノイズだらけで聞こえないそれは、不思議と満には意味がしっかりと伝わっていた。

 

「オンナノコにあんなことまで言わせて、なにもしねぇ、できねぇってのは…」

 

『…男が廃る、ってもんだな。』

 

いつの間にか、満はソレと一体となっていた。

満は躊躇いもなく、手に持った"剣"で目の前の空間を斬り裂いた。

 

□□□□□□□□

「くっ…。コレも通じねぇのかよ!」

 

ケルベロスを屠った朱乃とリアスの、ブーストされた同時攻撃でさえ、コカビエルには通じなかった。

いよいよ焦る一誠だが、

 

「っ!?満さん!?」

 

突如響く、信じられないものを見たようなアーシアの声。

そちらの方へ視線を向けると、倒れ伏していた満が、その身体をゆっくりと起こしていくところだった。

 

「ったく、遅えんだよ!いつまで寝てる気だ!ミツ!」

 

一誠は嬉しそうに、そう叫んだ。

 

□□□□□□□□

「ったく、遅えんだよ!いつまで寝てる気だ!ミツ!」

 

一誠のその声を聞いたリアスは、満が起きたことを確信する。

そして振り返りもせず、こう言った。

 

「信じてたわよミツ!さあ、反撃の時よ!」

 

その声は、希望に満ち溢れていた。

 

□□□□□□□□

「…そう。満、あなたはその力を使ってしまうのね。」

 

麗那は、満が何をしようとしているのかを察し、悲しげに微笑む。

 

「…準備を急がなきゃね。」

 

□□□□□□□□

「あ…ああ…!」

 

立った。立ち上がった。

生存を絶望視されていた男が、自らを庇った男が、再び立った。

これは正にー

 

「神の…奇跡…!感謝します、神よ…!」

 

そして祈るゼノヴィアだが、その頭が小突かれる。

 

「痛っ…」

「おいおい、寝ぼけてんじゃねーよ。」

 

小突いた張本人、満は顔を顰めながら言う。

 

「部長が、イッセーが、なにより、お前が、俺を呼んだんだろうが。俺は神サマとやらに起こされた覚えはねえぞ。」

 

そして優しげな笑みを浮かべ、

 

「…ありがとう。ちったぁ、目が覚めた気がするよ。」

 

そう、言った。

 

「ッ…!」

 

感極まったゼノヴィアは満に抱きつこうとするが、

 

「おっと、そいつは後だ。今は、他にやるべき事がある。」

 

それを押しとどめた満は、コカビエルを見据える。

 

「ちっと決着、

 

…着けてくるわ。』

 

その身体から、紫の炎が立ち昇る。

 

□□□□□□□□

「ほう、立ったか。死んだかと思っていたが。」

『ああ、俺もだよ。でも五月蝿いのがいてな、寝かせてもらえなかった。』

 

コカビエルが感心したような声をあげれば、

ノイズ混じりの声を発しながら、満はそれに応える。

その身体からは紫の炎を昇らせたままだ。

 

「しかし、それは何だ?まるで毛を逆立てて威嚇する猫だな?いつの間に鼠から生まれ変わった?」

『地獄に行っている間ちょっとな。…決着、着けさせてもらうぞ。』

「フン。…見てくれが変わったところで、いい気になるなよ、鬼!」

 

そしてコカビエルは光の槍を満に放つ。

戦術殻を使わなければ消せなかった槍、それよりもさらに力を込めたものだ。

 

(何かわからんが、余計な真似はさせず、一気に叩いてくれる!)

 

満は回避や、防御するそぶりすら見せず、コカビエルの方へ歩み寄っていく。

 

(馬鹿め!もう一度地獄に叩き落としてやるわ!)

 

内心ほくそ笑むコカビエル。

そして、満に光の槍が直撃した。

 

「み、ミツ!?」

 

一誠の焦ったような声が響く中、コカビエルが堪えきれず大声で笑いだす。

 

「フハハハハハ!なんだそれは?わざわざもう一度死にに来たとでも言うのか?ハハハハハ!」

 

尚も笑い続けるコカビエルだが、

 

ザリッ

 

と、地面を踏みしめる音が聞こえた。

 

「ハハハ、ハ…?」

 

先程と全く変わらない姿をした満が、先程よりもコカビエルに近づいていた。

 

「ど、どういうことだ…!?貴様、一体何を!」

『答える必要はないな、コカビエル。それともテメェは"敵"にペラペラと情報を教えるほどのバカなのか?』

「…よかろう。もはや手加減はせん!一息に消し去ってくれる!」

 

そう言い、コカビエルは力を溜め始める。

その力の密度は、今までの攻撃など遊びか何かのように見えるほどに強かった。

その力を見たリアスは、背筋をゾクリと震わせた。

 

「避けて!ミツ!」

「フハハハハハ!避ければ仲間もろともここら一帯が吹き飛ぶだけだ!貴様に逃げ道はないぞ!くたばれ!」

 

極大の光の槍を構え、コカビエルが吠える。

放たれた槍は、過たず満にー

 

車 斤 ッ !

 

『…で、どう消し去ってくれるんだ?』

 

斬り裂かれた。

いつの間にか、満の手には見慣れぬ直剣が握られている。

 

「ば…馬鹿な!?この俺が、本気で力を練り上げた槍だぞ!いかな"鬼"とて、タダでは…!」

『なら見誤ってたってことだろ?なあ、現実を見ろよ堕天使。』

 

ニヤリとしながら満は言う。

 

『貴様の攻撃は俺に傷一つ付けられてないぜ?』

 

満の言葉に顔を紅潮させて怒るコカビエルだが、

 

「…フン。どちらにせよ、貴様も俺を傷つけることはできん。その珍妙な力、いつまで保つかな?」

 

途端に冷静さを取り戻し、光のバリアを形成し、冷笑を浮かべる。

 

『…ま、確かにそこまで時間はないな。悪いが、決めさせて貰うぞ。』

 

対して満は手にした直剣(毘沙門剣)をゆっくりと構え、小さく呟く。

 

「何をしようと、

 

 

無駄…だ…!?」

 

気がつくと、満がいない。

そして、コカビエルの様子がおかしいことにリアス達は気付く。

 

ズ…ズ…

 

少しずつ、コカビエルの上半身と下半身が斜めに光のバリアごとズレていく。

まるで下手なCGのような光景に、リアス達は惚けたように見つめるのみ。

 

「な…に…?い…つ…の…」

 

信じられない。そんな顔をしたまま、コカビエルの上半身がついに下半身と別れ。

力を失って、地面に落下していった。

 

□□□□□□□□

『ぶっつけ本番だったが、

 

…うまくいったな。」

 

コカビエルが落下した地点の近くに、満は立っていた。

直剣を構え、小さく呟いた瞬間、満はコカビエルにすら知覚できないスピードで跳躍。

そのままバリアごとコカビエルを斜めに斬り裂いたのであった。

 

(かなり無理矢理だったが、鬼の力を限界まで乗せて斬り込めば、"一閃"と同じ様な現象を引き起こせるっぽいな。"鬼刃一閃"とでも呼ぼうか。)

 

ふと右手を見れば、先程まで握っていた直剣が無くなっている。

 

(…アレは、何だったんだ?ひどくしっくりくる握り心地だったが…?)

「おーい!ミツー!」

「ん…?」

 

声のした方を見れば、一誠たちが手を振り、こちらへ駆けてきている。

目を覚ました祐斗と、ショックからどうにか抜け出したイリナも一緒だ。

満も手を振って応え、駆け寄っていく。

と、一誠たちを追い抜いて、満に飛びついた影があった。

 

「左馬!いや満!」

「うおっ!?ぜ、ゼノ…!?」

 

飛びついたのはゼノヴィアだった。

涙を湛えた満面の笑みでギュウウウウ、と満を絞め殺さんばかりに抱きしめる。

 

「ぜ、ゼノヴィア、極まってる、極まって…んむぅ!?」

 

そして、躊躇いなく満の唇に自身の唇を重ねた。

 

「「あーっ!?」」

 

リアスと、朱乃の悲鳴が同時に木霊する。

 

「ちょ、ちょっと!離れなさいよ!満が苦しそうじゃない!」

「そ、そうです!離れなさい!」

 

必死に満とゼノヴィアを引き剥がそうとする二人だが、何故かゼノヴィアを引き剥がすことができない。

たっぷり10秒ほどキスをし続け、やっと唇を離したゼノヴィア。

満は何が起こったのか全くわからず、目を白黒させるだけだ。

 

「Je ne peux pas vivre sans toi!」

 

そしてゼノヴィアが笑顔で放った一言で、さらに空気が凍る。

 

「…は?」

「うおっ…!?」

「な、な…っ!?」

「あ、あはは…」

「は、はぅぅ…!?」

「ちょっと、ゼノヴィア!?」

「…ひゅーひゅー。」

 

空気を(あえて)読まない小猫の口笛がこのカオスな空間を表しているかの様だった。

 

「…え?ゼノヴィア、何て?どういう意味だ?」

 

()()()()()()()()満は、ゼノヴィアの言った言葉の意味がわからない。

どうして皆が固まっているのか、その理由もわからないのだ。

 

(いやいや、別に愛の告白ってわけじゃねぇだろ?だって、フランス語で"あなたが好きです"って確か…ジュテーム、とかいう発音だろ?全然発音違ったし。あれ?フランス語だよなあれ?英語だとアイラブユー、だし。多分さっきのキスも、"助けてくれてありがとう"ぐらいの気持ちだって、多分。)

 

と自分に都合のいい(めんどくさくならない)考えを展開する満。

いまだ満面の笑みのゼノヴィアは、頬を赤らめ、

 

「んー?うん、そうだな、日本語で言うと…"あな「「「わー!わー!わー!」」」

「うおっ!?ぶ、部長?朱乃先輩?紫藤も!?」

 

ゼノヴィアが懇切丁寧に日本語で説明しようとしたところでリアスと朱乃、そしてイリナの全力の妨害が入る。

 

「あ、あ、貴女ね!何てことを言ってるのよ!」

「そ、そうですわ!いくら何でも…!」

「そうよそうよ!」

「む、邪魔立てする気か、魔王の娘。いかな貴様と言えども…!」

 

そのままギャーギャーと喚き立てる4人。

満はパカーンとしたままだ。

 

「…結局、何だったんだ?」

「あはは…。」

「くっそぅ…なんでミツばっかり…!」

「…イッセーさん?」

「ヒッ!?あああアーシア!?ななな何でもないぞう!?」

「…ジゴロ。」

 

混乱したままの満に、苦笑する祐斗。

羨む一誠に、黒いオーラを放つアーシア。

ボソリと呟く小猫。

 

これでいつもの日常がー

 

「へぇ、コカビエルを倒したのか。うん、やるもんだ。」

 

訪れるとは限らない。

 

□□□□□□□□

「…満が、"あの力"を使ったわ。」

「…」

「…そうね。こちらはいつでも動けるわ。そちらの準備は?」

「…」

「…そう。では、決行は、満が再度"あの力"を使った時よ。」

 

「…失敗は、許されないわ。」




如何だったでしょうか。

ゼノヴィアの回想。
アレは、知っている方は最早説明する必要もないでしょう。
"3"のアレです。

既プレイの方は懐かしく、未プレイの場合は…何があったのか想像しながら読んでくだされば幸いです。
そこの未プレイの方!今すぐ鬼武者シリーズをやろう(ダイマ)

…まあ今のご時世、ハードもソフトも入手しづらいので、難しいですよねぇ…。
権利者云々はわかるのですが、アーカイブスで出てくれねぇかなぁ…。

また、この話を本編にブッ込む都合上、ゼノヴィアはフランス出身、ということにさせていただきます。
そもそもデュランダルってフランスの英雄、ローランの聖剣ですし。

さて、今作初登場となりました、鬼武者状態。
ゲーム本編でも屈指の性能を持つ状態です。
"鬼刃一閃"は、"新"のあの技のオマージュです。
流石にあそこまでの威力は出せませんよ、ええ。

ゼノヴィアが満に言った言葉は…さて、どんなことを言っていたのでしょうね?

さて、次回で今章は終わりです。
その次から第4章に入ります。

それでは皆様、またお会いしましょう。
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