ルルガルウです。
第42話、投稿していきます。
それでは、どうぞ。
「へぇ、コカビエルを倒したのか。やるもんだ。」
「!」
全員が、声のした方へ振り向く。
そこには、
「…グッ!?」
「ミツ!?どうしたの!?」
と、唐突に満が右腕を押さえて苦しみだす。
正確には、鬼の籠手を、だ。
(…なんだ?右腕が、いや、"籠手"が疼く。これは…怒り…?)
斬れ。
斬れ。
奴を斬れ。
我らが
「…あああああああっ!」
「!どうしたミツ!」
「ハァッ…ハァッ…大丈夫、大丈夫だ…。」
荒く息をつく満。
その右手からは、血が滴っていた。
咄嗟に満は自身の爪を力任せに引っぺがしたのだ。
(ふざ…けるなよ。俺は、お前らにも、運命にも、操られるつもりは、ない。)
満は改めて空に浮かぶ人物の姿を見る。
まず目に入るのは、白い龍の翼を模した鎧だ。
全身がその白銀の鎧に覆われ、シルエットからは性別を判別できない。
また声も機械音声のような声で、判別はできなかった。
その水晶のような目が、非人間的な怖さを助長する。
「…"白龍皇"。」
リアスが呟く。
「まさか、"二天龍"の担い手を両方この目で見る時が来るなんてね。少し前までは考えもしなかったわ。」
(…二天龍。)
目を細め、感慨深げにそう続けると、その表情を真剣なものに変え、鎧の人物に問う。
「何の用かしら?」
「ああ、そこに無様に転がっているモノを捕獲、回収しに来たんだが…。倒されてしまったものは仕方がない。遺体だけでも回収させてもらおう。」
「待って。まだ貴方が何者で、どこの組織の者なのかを聞いていないわ。それを聞けない限り、許可できないわね。」
「ああ、ボクはヴァーリ。そうだな、所属は"神を見張るもの"だよ。」
「…"神を見張るもの"?白龍皇の貴方が、何故堕天使の組織に?」
「ふふ、そんなことはどうでもいいじゃないか。ともかく、そこの遺体は回収させてもらうよ。」
「…私たちに報復はしないの?」
「ボクに任されたのはコカビエルの尻拭いだからね。詳しいことは近くアザゼルから声明か何かがあるんじゃないかな。」
警戒するリアスたちを尻目に、悠々とコカビエルの遺体の元に降り立つと、
「…ここまで"芸術的"とはね。アザゼルが見たら驚くな。」
コカビエルの上半身と下半身をムンズと掴むと、そのまま飛び立つ。
『おい、無視か、白いの。』
「ドライグ!?」
突然、一誠の"赤龍帝の籠手"から声が響く。
『起きてたのか、赤いの。』
ヴァーリの鎧、その翼からも声が響く。
『生憎な。で、どうする?』
『ここでおっ始める訳にもいくまい。"藪をつついて鬼を出す"のだけはゴメンだ。』
『違いない。それにお互い、戦い以外に興味対象があるようだな。』
『ここはお互い、独自に楽しむとしようじゃないか。』
『それもまた一興というものか。じゃあな、アルビオン。』
『ああ。
「おい待てよドライグ!一体全体、どうなってんだよ!?」
突然の二天龍同士の会話に、訳が分からず困惑する一誠。
「ボクたちはいずれ戦う"運命"ということさ。せいぜい強くなっておくことだね、宿敵くん?」
その言葉にピクリと眉を動かす満。
「まあ今は君よりも、隣の彼にボクは興味があるかな?」
そのままヴァーリは満をジッと見つめる。
その視線は無機質でありながら、まるで獲物を狩る猛獣のようなギラギラしたものを感じた。
「…」
満は黙って視線を返す。
「ふふ、それじゃあね。」
満足したのか、ヴァーリが飛び去っていく。
と、ガクッと満の膝が折れる。
「お、おいミツ!」
「大丈夫だ。奴に何かされたわけじゃない。ただ、ちょっと疲れただけだ。」
「…そうね。コカビエルを倒したのだものね。お疲れ様、ミツ。改めてお礼を言うわ。」
「やめてください。俺も、皆に助けられました。…木場。」
「…なんだい?」
「どうやら、悪夢は無事に払えたみたいだな。」
「…おかげさまでね。今日はぐっすり眠れる気がするよ。」
そして、満と祐斗はどちらともなくガッシリと握手をする。
「それと、木場、なんて他人行儀な呼び方はよしてくれ。祐斗、と呼んでほしい。」
「それを男に言うのはどうなのかね?まあともかく、よろしく、"祐斗"。」
「ああ、よろしく、"満"。」
その光景をニコニコしながら見ていたリアスは、二人に話しかける。
「祐斗、ミツ。一時はどうなることかと思ったけど、二人とも無事でよかったわ。」
「…?部長?」
そのニコニコとした笑顔に、何故か違和感を覚える満。
「それじゃあ、 正 座 し ま し ょ う か ?」
「…へ?」
「ああ、あそこにいい感じの砂利があるわね、行きましょう。」
「えっ、その、ぶちょ」
「黙りなさい。」
満は違和感の正体に気づいた。
リアスの額に青筋が立っている。
「祐斗は無謀な突撃を繰り返すし、ミツはミツで私に相談もせず危ない橋をムーンウォークで渡っていくし、大体ね、ミツは他の女の子に…」
ガミガミガミガミ!
そして始まる説教。
「…帰ります。」
「こ、小猫さん!?あの、部長さんを止めなくても…」
「よーし、帰るぞアーシア。あ、朱乃さん、おつかれっしたー。」
「ええ、お疲れ様。」
「えっ?えっ?イッセーさん?あのあの!」
「いいんだって、たまにはいい薬だろ、ほら行くぞ〜」
「わわ、待ってくださいー!」
呆れたように帰っていく小猫。
ざまあ、という顔をしながら帰路につく一誠。
ニコニコしながらリアスたちの様子を見つめている朱乃。
躊躇いながら、帰る一誠を追うアーシア。
そして朱乃は、残りの二人に話しかける。
「それで、あなた方はどうするおつもりで?」
「…一度教会へ帰る。任務を果たさなければな。」
「そうね…。はぁ、どんな顔をして報告すればいいのよ…。」
聖剣の核を回収すると、複雑そうな顔をしてゼノヴィアとイリナの二人も教会へと帰って行った。
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「うおおおお…。まだ足がビリビリするぅ…。」
「情けないこと言わないの、ミツ。オトコノコでしょ。」
「いや関係ねっすよ。」
あの後30分程説教を受けた後、痺れる足に鞭打って帰り道についた満と、スッキリした顔のリアス。
どうやら言いたいことを言ったおかげでストレス解消になったようだ。
「でも、本当に生きててよかったわ。ミツが槍に貫かれた時、目の前が真っ暗になったもの。」
「俺も流石に死を覚悟しました。実際死んだようなものですし。」
「あ!あの時にミツに悪魔の駒を埋め込めば良かったわ…。」
「勘弁してくださいよ…。出来る限りは人間でいたいんですから。」
しまったという顔をするリアスと、苦笑する満。
「人間でいたい、ねぇ。神話の存在を叩き斬った人間なんているのかしらね?」
「いるんじゃないですか?ほら、英雄とか。」
「それは自分が英雄って言ってるのかしら?」
「まさか。俺はただの人間ですよ。」
他愛のないことをリアスと話しながら、満は思う。
(何のために守るのか。…それを、見つけなきゃな。)
ー決して揺らぐな。
始まりの夜のことを思い出す。
わかっていたはずなのに、コカビエルの言葉で簡単に揺らいでしまった。
(確固たる理由が必要だ。仲間を守るために。)
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「で、だ…。ひっじょーに今デジャヴュを俺は感じているんだがな?」
「むぐむぐ。…む?」
ハンバーグをほうばりながら首を傾げたのはゼノヴィア。
「む?じゃない。む?じゃ。お前ら確か教会に帰った筈だよな?」
「うん、そうだよ。エクスカリバーの核もきちんと届けてきたし。」
あっけらかんと答えるのはイリナ。
「…んじゃなんでお前らが
「ん?教会を追放されたからだ。」
「はぁ!?」
「うっさいわねー。食事の時ぐらい静かに食べれないのかしら。」
特に気にする風もなく、ゼノヴィアは答える。
イリナも別に気にしてはいないようだ。
「いやいやいやいや、だってお前ら、なんで…」
「恐らくは我々が神の不在を知ったからだろう。」
「混乱は避けるべき、ってね。組織としては当然の判断よ。」
「…お前らはそれでいいのかよ?」
その問いにゼノヴィアは目を閉じる。
「…悲しくはある。しかし、祈るのを禁止されたわけではない。神を信じるのもな。」
「そうそう。我らが主は死んでしまったけれども、その思いを、愛を受け継ぐのは私たちの自由よ。」
「…強いな。」
「満に言われると皮肉にしか聞こえんな。」
「茶化すなよ。俺は強くなんかない。」
「あれだけの強さを見せておいて、まだ足りないの?」
「違う違う。精神的な強さだよ。…俺にはない強さだ。」
少し寂しそうな笑顔で満は言う。
「…まあなんだ。我々は何も気にしていない。暖かいうちに食べてしまおうじゃないか。」
空気が微妙に重くなったところで仕切り直すようにゼノヴィアが言う。
「あ、ああ。そうだな。」
満もその言葉に乗り、食事を再開する。
(私、空気よね…?)
釈然としない顔をしたリアスもいたが。
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「おい、こんなところにいると湯冷めするぞ。」
「…ゼノヴィア。」
その後、風呂を沸かして入ることにした満。
何故かリアスやゼノヴィア、イリナも入ると言いだし、断固反対する満だったが、3人の"上目遣い+涙目"のコンボで渋々了承したのだった。
最初は乱入などのトラブルを避けるため、一番最後に入ろうとした満だったが、
「私たちの残り湯を使ってナニするつもりなの〜?へんたーい!」
というイリナの一言でブチ切れ、真っ先に入って正に烏の行水の勢いで風呂を出たのだった。
さて、場面は現在に移る。場所は満の部屋、そのベランダだ。
「冷えるも何も、大してあったまっちゃいねぇよ。ノーカンだ、ノーカン。」
「それではますます良くないと思うのだが…。」
不貞腐れたように言う満に、心配そうな顔をしたゼノヴィア。
「…んで?」
「え?」
「え?じゃねーよ。本当にそれだけを言いに来たのか?」
「そうだが。」
がくっ、とバランスを崩す満。
「えぇ…?マジか、これただ俺が恥ずかしいだけじゃねーか…。」
「?何かわからんが大丈夫か?」
「大問題だよ。」
赤くなった顔を隠すようにそっぽを向く満。
「俺ばっかり恥ずかしい目にあうのは我慢ならん。ゼノヴィア、何か身の上話でもしろ。恥ずかしいエピソードがあればなお良し。」
「…ふむ。では、聞いてくれるか?」
「聞くも何も、俺が話せって…」
「私な、孤児なんだ。」
満の動きが固まる。
「…そりゃあ、」
「ああ、いや、別に同情とか、そういうのが欲しいわけじゃない。ただ、お前に聞いておいてほしいんだ。」
「…」
真剣な顔になってゼノヴィアを見つめる満。
「…ありがとう。」
そうして、ゼノヴィアは話し始める。
10年前、両親が化け物に襲われて死亡したこと。
そうして孤児となり、教会へ引き取られたこと。
いつか両親の仇を取るため、聖剣使いとなったこと。
それがいつしか、それを忘れ、教会の思うように動く駒となっていたこと。
満がゼノヴィアを庇った時、その時の記憶がフラッシュバックしたこと。
「恐らく私は、考えたくなかったのだろうな。あの連中は悪魔などではない。もはやどこを探しても見つからず、親の仇を取れないことを。」
目を細めて言うゼノヴィアを見つつ、満は今の話を頭の中で整理していた。
満が特に気になったのは、そのゼノヴィアの両親を襲ったという化け物の造形だった。
(…サムライのような化け物、ねぇ。もしかすると…)
10年前のパリでの大規模テロは世界的なニュースとなった。
犯行グループは皆刃物を主体とした凶器を使用していたらしく、被害者は皆一様に切り裂かれていたり、貫かれたりしていたようだ。
奇妙なのは、街並みは一切傷つけられてはいなかった、ということだ。
それと、生存者の証言も無茶苦茶で、救助にあたったフランス軍の兵士、士官たちも引退者が続出。
当時の関係者も口を一様に噤むと、非常に謎多き事件となった。
("あの夢"に出てきたのが同じ化け物なら…)
「…行ってみる価値はある、か。」
ボソリと呟く満。
「ん?どこにだ?」
それに気づいたゼノヴィアが満に問う。
「ん、ああ、一度、ゼノヴィアの両親のお墓に挨拶に行こうかな、と思ってな。」
まさか"その化け物の痕跡を漁りに行きます"、なんて言えないので咄嗟にフランスに行くための言い訳を言う満。
「おお!それは!」
それをストレートに受け止めたゼノヴィアは目を輝かせる。
(あれ?…地雷踏んだ?)
嫌な予感がする満。
「知っているぞ!"おたくの娘さんをください"、というやつだろう!よし行こうすぐ行こう今すぐ行こう!」
「えっ、ちょっ、まっ…」
キラキラした目で満の両手を握るゼノヴィア。
やっちまったという顔をする満。
ーその時、満に天の助けが訪れる!
ベランダの入り口を見れば、リアスが黒いオーラを放ちながら
「…何をしているのかしら?」
…失礼。トドメを刺しに来たらしい。
「どうやらまたお説教が必要なようね?」
「いや違っ」
「せ い ざ。」
「アッハイ」
そして、説教が始まった。
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「…随分とお疲れのようね?」
「…あ?おお、麗那か。お前、今までどこに行ってたんだよ?」
説教の後、ベッドに潜り込もうとするリアスたちを部屋から叩き出し、一息ついていた満にいつの間にか帰ってきていた麗那が話しかける。
「ええ、ちょっとね。」
「なんだよ、気になるな。」
「イイ女には秘密がつきものなのよ?」
「へいへい、だったら詮索はしねえよ。俺も疲れたしな。」
ふああ、と欠伸をしつつベッドに入り、眠りに入る満。
暫くすると、静かな寝息が聞こえてきた。
「…あなたは皆の味方かもしれないけどね、満。」
「…私は、
如何だったでしょうか。
この作品内では、フランスの幻魔襲来による犠牲者はただ一人を除き全て死亡したままという設定にしております。
また幻魔自体も歴史改変では消滅せず、ただし幻魔王封印により弱体化、フランス軍に殲滅されたことにしております。
気まぐれによる次回予告
オカルト研究部が行ったプール掃除。
夏の暑さが、満の内面に怪物を生み出した。
次回、ハイスクールD×D 〜鬼を継ぐもの〜
"プールサイドからのSOS"
お楽しみに。