ハイスクールD×D 〜鬼を継ぐもの〜   作:ルルガルウ

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ルルガルウです。
今回は、第6話と第7話を1分置きに連続投稿します。
ですので、あとがきは第7話の方に載せさせていただきます。

それでは、どうぞ。


第6話 違和感

めったに見ないイイ女(レイナーレ)に絡んでいた男たちは、声がした方を睨みつける。

声の主は、一言で言えば、平凡な容姿をしていた。

黒髪。少しだけ茶色がかった瞳。身長は平均からするとちょっと高いぐらいの、ごくごく平均的な日本人の特徴を有した男。

よく言えば普通。悪く言えばつまらない。そんな男だった。

 

ただ、その表情と視線はとても印象的だった。

必死な表情。まるで、これから魔王に挑む勇者のような、最悪死を覚悟しているような表情。

視線は鋭く、決して油断するものかという気概を感じさせていた。

 

男たちのリーダー格はその表情が気になったが、その平凡な容姿と彼我の人数差から、彼女を必死で守ろうとする平凡男、という評価を満に下し、

 

「あ?何だテメェ。見てわかんねーのか?俺たちはこのお姉さんとお喋りしてんだよ。邪魔するんじゃねぇ。」

 

と、ドスの効いた声で威圧する。

他の男たちも、

 

「え?何君?どこの誰よ?何邪魔してくれてんの?ボコられたいの君?」

「つーかダッセ。なにその顔。必死すぎて逆にウケるわ〜。」

 

と、囃しはじめる。

 

(オラ、早く諦めて帰んな。テメェじゃ役不足だ。)

 

リーダー格の男は、自分の命が助かったことも知らずに、頭の中で役不足の間違った使い方をしながらこう考えていた。

 

□□□□□□□□

(よし、まずはアイツから注意を逸らすことができた。あとは適当に挑発でもして、逃げ回れば…)

 

満はそんなことを考えながら、挑発の言葉を口にしようとする。

と、その時、満の頭の中に言葉が浮かび、

 

「テメェら、女一人に寄ってたかって。恥ずかしくねぇのか。」

(あれ?)

 

離せよ。嫌がってんだろ。

テンプレなセリフを吐こうとしていた満は、気づけば頭に浮かんだ言葉を口走っていた。

何処かで黒スーツにシャッポを被り、黒いグラサンをつけた男がサムズアップをしたような気がしたが、今の満にはそんなことはどうでもよかった。

 

当然、その言葉を聞いた男たちは怒り狂う。

 

「なんだとテメェ!」「やんのかコラァ!」

 

口々に怒号を発し、その中でも一番体格の大きい男が、

 

「ボコられても文句言えねぇよなァ!」

 

と、殴りかかってきた。

 

(うおっ、やべっ。早く逃げねぇと。)

 

自分でも何故あんなセリフを吐いたのかはわからないが、とにかく逃げなくては。

流石に自分3対1では分が悪いと、満はそこから駆け出そうとする。

だが。

 

(あれ?遅くね?)

 

相手のパンチがやけにゆっくりに見え、気がつけば片手でそれを掴み取っていた。

 

パシッ。

「あ?」「お?」

 

パンチを放った男はいとも容易く、しかも片手で受け止められるとは露にも思っていなかったし、満は満で受け止める気などさらさらなかったので、二人はしばし呆然とする。

 

「な…は、離しやがれテメェ!」

 

我に帰った男はそう言いつつ満に掴まれた腕を振り払おうとしたが、自らの拳を握っている手ははまるでコンクリートで固められているように硬く、一向に振り払える感じがしない。

 

「えっ。お、おう。」

 

その言葉で我に帰った満は、掴んでいた拳を離す。

振り払おうと必死になっていた男は急に解放されたことでバランスを崩し、後ろへと転んでしまう。

その様子が滑稽だったので、後ろで様子を見ていたレイナーレはつい笑ってしまった。

起き上がり、怒りと羞恥心で顔を真っ赤にした男は、

 

「ふざけんなテメェ!」

 

と、懐からナイフを取り出す。

 

((((((!!!!!))))))

 

遠くから満と男たちを見学していた周りの客は、男がナイフを取り出したのを見て騒然とする。

ナイフを見ても平然と、もしくは冷静に観察することができたのは、この場においてはレイナーレと満だけだった。

 

満は、男がナイフを取り出しても、脅威を感じてはいなかった。

確かに恐怖感はある。刺されれば痛いし、血も出るだろうが、満にはどうしてもそれが死の恐怖には結びつかなかった。

昨晩のような、圧倒的な死の予感。それがない。

ちっぽけな人間程度では決して抗うことはできない存在を目の当たりにした満には、そのナイフがとても陳腐なものにしか思えなかった。

 

「死ねやオラァァァァ!」

 

ナイフを見ても動揺する様子を見せない満に感情が爆発したのだろうか、男は叫びながらナイフを構え、突っ込んできた。

それを見て周りの客は悲鳴をあげる。

満は冷静に突っ込んでくる男を見ると、

 

(やはり、遅い。)

 

ナイフを突き出してきたその手首を掴み、握りしめる。

万力のような力で握りしめられ、男の手から力が失われる。

カランカラーン、と乾いた音を立てて落ちるナイフ。

 

「いででででで!」

「おい」

 

先ほどとは違い、痛みで顔を青くした男に話しかける。

 

「その落ちてるモン拾って、とっとと失せな。そして二度とちょっかいを出すんじゃねぇ。」

 

そして男の手を離してやり、こちらを恐怖の表情で見る3人組の男たちに、

 

「わかったな。」

 

再度念を押すように睨みつけ、言った。

 

その視線に恐怖を感じた二人と、視線に加えて痛みも与えられている男はコクコクと頷き、ナイフを拾うと、一目散に逃げていった。

 

満はそのまま、遠巻きに見ている客たちを睨みつける。

その視線に耐えられなかった客たちも、あたかも何も見ていないかのように現場から視線を逸らしながらその場を後にした。

 

「…ふぅ。」

 

なんとかなった。

満は内心で独りごちる。

 

(だが、気は抜けねぇ。一番厄介なのは…)

 

視線を感じ、その方向を見る。

そこには、興味津々にこちらを見る「人間とは思えないほどの美しい女」。

 

(コイツだ。)

 

満は、その女の視線に見え隠れする、殺意の光を見逃しはしなかった。

 

□□□□□□□□

レイナーレは感心していた。

 

(人間は体格差がそのまま力量差、と聞くけれど…そういうわけでもなさそうね。)

 

見るからに冴えない、平凡そうな男が見せた人間としては規格外の反射神経や力。

レイナーレの脳裏には、さっきの男がパンチを放ってから満が反応し、受け止めたことと、男がナイフを握れなくなるまでの力を加えることのできるその握力がしっかりと刻まれていた。

 

加えて、最後に男たちや客を退散させたあの視線。

はっきり言って、この平凡そうな男が出せるような迫力ではなかった。

殺気なしであそこまでの迫力を出せるのは、そういない。

かと言って、悪魔や天使の気配も感じない。

 

(これは、神器持ちの可能性が高いわね。)

 

内心で、この男も抹殺対象に加えながら、

 

「ありがとうございます!」

 

と、レイナーレはにっこりと声をかけることにした。

 

 

□□□□□□□□

満は、これからどうするかを考えていた。

手元に武器(模擬刀)は無い。

鬼の籠手の出し方もわからない。

これは一旦自分の部屋に帰ったほうがいいかと、そこまで満が考えた時。

 

「ありがとうございます!」

 

女がにっこりと笑ってそうお礼を言ってきていた。

この女は人間ではないと、そう確信を得ている満は、

 

「ああ。あんたも気をつけるんだな。」

 

と、適当にその場を濁して去ろうとする。

が、その腕を、女が掴む。

 

「あの、これから時間ありますか?私、お礼がしたいんです!」

 

(…殺す気満々の視線を向けといてよく言う。)

 

満は頭の中で考える。

 

(どうする、このままコイツについていくのはマズい。かと言って断って尾けられたりすれば、家がバレる。俺がこいつの抹殺対象(ブラックリスト)に入ったのは明確、なら…)

 

アパートには、近づけることはできない。

そう判断した満は、

 

「ん、そういうことならついていくよ。さっきみたいな奴らが絡んできたら次こそ危ないだろうからね。」

(絡んできた男たちがな。)

 

本心を隠しながら、その女のお誘いに乗ることにした。




読了ありがとうございます。
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