ハイスクールD×D 〜鬼を継ぐもの〜   作:ルルガルウ

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ルルガルウです。
第9話が出来たので、早速投稿します。
今までで一番文字数が多いです。

まあ、こんなことになりますよね、普通。


第9話 真実

木場に連れられた一誠を追い、満は学園の外れに位置する旧校舎の近くまで来ていた。

 

(あそこか。)

 

慎重に辺りを窺い、警戒しながら旧校舎入り口までたどり着く満。

少しドアを開け、中を覗き込むと、奥の方に灯りの着いている部屋がある。

 

(今は使われていないはずの旧校舎に、電気?そもそも、旧校舎を部室にする、ってのはアリなのか?)

 

怪しい。

ますますそう感じた満は、持ってきたスポーツバッグから隠し入れてきた短めの模擬刀を取り出し、ベルトに差すと、音を立てないように慎重に灯りのついた部屋の前へと移動し始めた。

 

□□□□□□□□

「部長、イッセー君を連れてきました。」

「ありがとう、祐斗。」

 

自らの下僕に感謝を伝えたリアスは、目の前で部屋の中をキョロキョロと見回している少年、兵藤 一誠を見る。

 

彼は昨晩、堕天使の男に襲われ、瀕死の状態になった。

その時に一誠が持っていた契約のカードで呼び出されたリアスは、咄嗟に悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を彼に埋め込み、悪魔へと転生させることでその命を救っていた。

 

(まあ、兵士の駒(ポーン)を8個まるまる使うとは思っていなかったけれどね。)

 

一誠が居心地悪そうにし始めたのを見たリアスは、

 

「ようこそ、オカルト研究部へ。歓迎するわ。」

 

と、まずは基本の挨拶から始めることにした。

 

□□□□□□□□

「…で、…と…な」

「…って…が…」

 

(…うまく聞き取れないな。)

 

部室の前にやって来たが、どうにも中の会話が聞き取りにくい。

 

(ドアに耳を近づけるしかないか。)

 

そう判断し、ドアに耳を近づける。すると、部屋の中でバサッ、と翼をはためかせるような音が聞こえ、

 

「私たちは悪魔なのよ。」

「えええええええっ!?」

 

リアス・グレモリーのそんな言葉と、慌てふためく一誠の声が聞こえた。

 

(…やはり)

 

半ば予想していたが、ここまでとは。

身近なところに人ならざるモノが潜んでいたことを改めて痛感し、しばし目を閉じる。

 

(今すぐに飛び込んで、イッセーを救うべきだろうか。)

 

少なくとも一誠をこの場から離すのが先決と考え、部室に突入しようとした瞬間。

 

「あ、イッセー。貴方も悪魔だから♪」

 

呼吸が、止まる。

 

(イッセーが…悪魔?)

 

守るべき友が、倒すべき敵であった。

目を逸らしていた、その可能性が当たっていたことに。満は、目の前が真っ暗になりかける。

 

が、すんでのところでそれは回避される。されてしまう。

次に聞こえたリアスの、こんな言葉によって。

 

「そう。この、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を使ってね♪」

 

瞬間。

満の中で、何かが斬れる音がした。

 

□□□□□□□□

リアス・グレモリーが部長を務めるオカルト研究部の部室にて。

翼を広げ、目を白黒させている一誠に向かって、リアスは言う。

 

「私たちは悪魔なのよ。」

「えええええええっ!?」

 

仰天する一誠。当たり前である。

 

(ふっふっふっふ…)

 

その驚き様に気を良くしたリアスは、さらに一誠を驚かすために続ける。

 

「あ、イッセー。貴方も悪魔だから♪」

「ええええええええええっ!?」

 

先ほどよりもびっくりする一誠。ますます気を良くしたリアスは、ここらで種明かしをする。

 

「貴方は生まれ変わったのよイッセー。瀕死の状態からね。」

「えっ。それって、夢だったんじゃ…」

「紛れもない現実よ♪」

「ええええっ!?そ、それで、生まれ変わったっていうんですか!?俺が悪魔に!?」

 

気を良くしたままのリアスは、誰が聞いているのかも知らず、笑顔で言った。言ってしまった。

 

「そう。この、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を使ってね♪」

 

その瞬間、血相を変えた朱乃が叫ぶ。

「部長!結界が破られましたわ!侵入者が…!」

 

朱乃の言葉が終わるより早く、ドアが斬り裂かれ、細切れになる。

そこに立っていたのは。

 

「…ミツ?」

「えーっと…どちら様かしら?」

 

殺気をほとばしらせこちらを睨みつける、刀を持った男子生徒がおり、その右腕には奇妙な形状をした籠手が着けられていた。

 

□□□□□□□□

(まさかこんなことになるなんて…)

 

木場 祐斗は後悔していた。

あの男子生徒がこちらのことを尾行していたのは知っていた。

だが、旧校舎には朱乃特製の結界が張られており、一般人が近づけるものではなかった。

だから安心して中に入ったのだが、よもやその結界を破壊して入ってくるとは。

 

(…話し合える状態じゃなさそうだね。)

 

部室入り口付近に立っている男は怒り狂っている。

まるで、親の仇を目の前にしたかのようだ。その怒気と殺気は、鬼の姿を祐斗に幻視させた。祐斗の額に、冷や汗が浮かぶ。

 

(これは、真面目にやらないとこちらがやられる。)

 

"この男は危険だ。"

そう判断した祐斗は、その身に宿す神器、魔剣創造(ソード・バース)を使ってふた振りの魔剣を創り出すとそれを構え、自らの主を庇うようにして立つ。

もはや無駄だと悟りつつ、祐斗は呼びかける。

 

「何があったかは知らないが、少し落ち着こう。人間、話し合えば解り合えるはずだよ。」

 

祐斗が言った言葉に男子生徒は首を傾げる。

 

「…あ?人間?テメェら全員悪魔なんだろ?解り合えるわけねーだろうが。」

 

男子生徒は続ける。

 

「正直テメェらが何をやってようが、どうでもいい。興味すらねぇ。」

「俺が聞きたいことは一つだけだ。答えろ。」

 

「テメェらは一体イッセーに何をした?」

 

□□□□□□□□

オカルト研究部副部長にしてリアス・グレモリーの女王(クイーン)、姫島(ひめじま) 朱乃(あけの)は焦っていた。

 

(まさか、自分の通った部分だけ結界を切り取るようになんて…油断していましたわ。)

 

思ってもいなかった結界の突破方法に、朱乃は戦慄する。

結界全体が破壊されていないので、魔力の供給は変わらず続けられる。それがこちらに気づかせにくい要因になっていた。

 

(それに、破壊痕が滑らかすぎる。まさか本当に切り取ったとでもいうのですか?)

 

感知系の結界も当然張られていたが、それすらも切り取られるように破壊されていたため、感知出来なかったのだ。

 

「テメェらは一体イッセーに何をした?」

 

目の前の男子生徒はそう問う。その問いに、朱乃は少し安心する。

大方、こちらの話を断片的に聞いて、一誠に何かしたと思ったのだろう。

これなら説明すれば怒りも収まりそうだと、朱乃は安心しきっていた。

 

「それはね、ええっと…」

「何って、この、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を使って悪魔に転生を…」

「ッ!リアスッ!いけませんッ!」

 

どう納得してもらおうかと、言葉を慎重に選んでいた朱乃より早く、リアスが聞かれたことに対して素直に答えていた。

嘘は言っていない。嘘は言っていないのだが、この状況では余りにも説明不足であり、誤解を招きかねない言葉だった。

普段のリアスからは考えられないほどに初歩的なミスだ。

それほどまでに男子生徒からのプレッシャーは凄まじかった。

 

リアスが問いに答えた瞬間、

 

"リアスの首が宙に舞い、頭部を失った体が崩れ落ちる。"

 

「「「「「ッッッッ!!??」」」」」

 

慌ててリアスの方を向くと、顔を青ざめ、首に手を当てているリアスが見えた。

 

殺気を向けた相手のみならず、周りの者たちにすら殺気を向けた相手の死を幻視させる。

それほどまでの濃密な殺気を撒き散らしつつも、この男は動こうとはしない。

 

それを疑問に思いつつも、迂闊に動くことは出来ない朱乃だった。

 

□□□□□□□□

オカルト研究部の一員であり、リアス・グレモリーの眷属、塔城(とうじょう) 小猫(こねこ)は、恐怖していた。

 

向けるだけで相手に死んだと思わせるほどの濃密な殺気。

また、元々猫の妖怪である小猫の鋭い聴覚を欺いて旧校舎に入ってきたということ。

 

そして。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

何故この男からこんなにも匂ってくるのか。

殺気に当てられ、正常な思考が乱されている小猫は懐かしい匂いの主がこの男に殺されてしまったのではないかと思い、精神が大きな悲しみと恐怖に支配された。

 

恐怖の眼差しを男に向けていると、

 

「今言ったことは、本当なのかイッセー。」

 

男が、オカルト研究部に新しく入ってきた新入りに問いかけていた。

 

□□□□□□□□

「今言ったことは、本当なのかイッセー。」

 

兵藤 一誠は、困惑していた。

突然細切れになったドア。何故か物凄く怖い表情で先輩を睨みつける友人。突然目の前に映し出されたスプラッターな光景。

 

正直展開について行けてなかった一誠だが、友人の問いには、

 

「おう、その通りだぜ。リアス先輩がいなかったら、オレは死んでたんだってさ。」

 

しっかりと答えることができた。

 

□□□□□□□□

 

「…そうか。」

 

短く、そう言うと、満は殺気と怒気を引っ込めた。

この間、五分とかかっていなかったが、オカルト研究部の部員たちには、何時間もの出来事に感じられた。

 

誰からともなく、深く息を吐く。

 

と、そこで動きがあった。

部室の入り口に立っていた満が、一歩前に踏み出す。

先ほどまでの満の様子から、即座に警戒態勢に入る一誠を除くオカルト研究部の面々。

そんなことは意に介さず、満は足を曲げ、腰を曲げ、手をピタリと床につける。

仕上げに頭を床にこすりつけ、

 

「申し訳ございませんでしたッ!」

 

全力の土下座を敢行した。




はい。第9話でした。
如何だったでしょうか。
満は基本、身内に甘く、身内を脅かすものに対してかなり厳しいです。
なので、こういう状態になるかと。

この下からは、あまり意味のない話です。
興味のない方は、最後の方までスルーしてもらって構いません。


本来ならば、今話は我らが部長が「出てらっしゃい、覗き魔さん?」みたいなことを言って、満が(…ばれてたか。)みたいな感じになる、という予定でした。
しかし何が起こったのか、満のプッツン回になってしまいました。
今回、過去最多文字数になったのはひとえに満のブチ切れのせいです。
ちなみに、イッセーがあそこでうまく答えられなかった場合、幻視が現実のものとなっていた場合があります。



いつの間にかUAは3000を超え、お気に入りも54も登録してもらえていました。

私が書き続けていられるのも、こういった皆様のお陰です。
ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
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