ローズヒップ小隊長がフリーダムに動いてくれたので、キリの良い所で投稿します。
午後の戦車道の授業の冒頭。ダージリン様の口から、私のラミン襲名が発表された。
発表に対する反応は様々であった。羨望の視線を向ける者、嫉妬の視線を向けるもの、品定めをするような視線を向けるもの。私はそれらの視線を正面から、平然とした様子を崩さずに受け止める。
一年以外が通常の訓練に散ったのちに、私は同学年の前に立つ。
「先ほど、ダージリン様よりご紹介がありました。ラミンです。コメット巡航戦車の車長を任されました。現在、乗員の選別中です。現在募集していますのは、装填手と砲手です」
私はそこで、言葉を区切る。私の言葉を一部の例外を除いて、全員が聞いているのを確認すると、改めて口を開いた。
「この砲手と装填手は志願者から選抜いたします」
何人かの目に、意欲が浮かぶのを感じる。
私は基本方針を宣言することで、選別を少しでも楽にしようと考え実行に移した。
「我々は指揮小隊に配備され、独立偵察部隊として運用されます。我々は全軍の長い耳と、良い目になり。情報を集めるために戦場を縦横に、自由に走り回ります。そして、戦機に恵まれれば、敵を混乱または、重要戦力の破壊の為に勇敢な戦闘を展開します。両車の支援は期待できませんが。手荒い、ビックゲーム・ハンティングを楽しめるでしょう。故に、我が車のモットーは、"Who Dares, Wins"―勇気ある者が勝利する―であり、"By strength and guile"―力と知恵で―です。私は21日で、それを可能にする様に命じられました]
私はSASとSBSのモットーの二つを並べ、両方必要とされること強調した。
そして、強引に笑顔を作る。俗に言うサメの様な笑みを作れていればいいのだが。
「楽しい日々をお約束いたします。志願される方は、砲手、装填手の希望者用の受付を用意しますので、並んでください。聖グロリアーナ女学院戦車道部隊の新たなパイオニアにならんと言う方とお会いできることを楽しみにしています」
残り21日しかない。それが私の焦点だった。
大洗との交流試合の前に一回はオーバーホールを行って、慣らし運転をする必要があると、車両整備部門から先ほど伝えられた。
私は一礼すると、菖蒲と桐花に用意させた志願者受付に向けて歩き出した。
「ラミン!待ちなさいですわ」
ローズヒップ小隊長の声が、戦車格納庫に響いた。
何事?
私は内心の混乱と狼狽を必死に隠しながら、声のした方を凝視する。
ローズヒップ小隊長は、中型のトラック運転席、その屋根の上に仁王立ちしていた。
なんのトラックだろう?
「聞きましたわ。コメットは調整中で今日は動かせないと。日数が少ないのに、これでは乗員の選別を無為に一日を過ごすことになりますわ。故にこの車両を用意させましたわ!」
「ローズヒップ。降りなさい」
「わかりましたわ。ダージリン様」
ダージリン様の一喝で、ローズヒップ小隊長は車両から飛び降り―凄い運動神経だな―。車両が回頭して、後部を見せる。震度7とかを体験できる防災車両を急いで改造したのらしく。マンションの台所を模した上下左右に激しく振動する部分に、戦車の砲塔内部を模したモックアップが取り付けられていた。
「ローズヒップ様…これは?」
誰かが、私が尋ねるより早く尋ねた。
ローズヒップ先輩は、誇らしげに胸を張って答える。
「これは、装填手選別用に車両整備部門にお願いして改造してもらいました。ローズヒップ発案、戦闘時装填訓練装置ですわ。上下左右に激しく動くこの上で、命令通りに装填ができるように訓練ができる装置ですわ」
たしかに、震度7とかを再現できる機構を流用すれば。戦闘時に激しく揺れる戦車の車内の再現が出来て、その中で重い砲弾を持ち、命令通りに装填する訓練をすることが出来る。
発想は、素晴らしいが…あ、ダージリン様の米神に青筋が…
「流石ですわ。ローズヒップ。その発想と行動力は称賛するべきモノですね」
ダージリン様は、笑顔でローズヒップ小隊長に歩み寄る。
その、あの、笑顔が怖いです。
「なので、後輩たちの手本になるように貴女が、まず実演しなさい」
その声と共に、控えていた車両整備部門の人間が、ローズヒップ小隊長に模擬弾を抱えさえ、装置に乗せる。
「え、え?」
「では、スタート」
ダージリン様は渡された制御装置を操作した。
スイッチを捻る。出力は躊躇なく、最大出力で…
「わたくしにかかれば、これしき楽ら…わわわわわわわわ」
激しいい振動と共に、何故かグレン・ミラーの「ダニー・ボーイ」が流れたす。そして、ローズヒップ小隊長の絶叫。
「装填、急ぎなさい」
ダージリン様の命令で、ローズヒップ小隊長は両足で床を踏みしめ、模擬弾を仮設砲に装填する。
「装填された模擬弾はレールの中を通り、下に設けられた弾薬ケースに移動するのね。これなら、足元を転がって跳ねて足にぶつかる事は無いわ。良くできているわね」
アッサム先輩が、装填手訓練装置の機構を見ながら感心した様に呟く。それには同感だが、無駄に手が込んでいると思う。
「次、榴弾」
「りょぉ、かい。ですわ」
流石は、クルセイダー小隊の小隊長兼車長兼装填手なだけあって。最初は振動に驚いていたがそれ以降は、ダージリン様の命令通りの砲弾を迅速に装填してゆく。
「ここまでにしましょう。お疲れ様です。ローズヒップ」
ダージリン様は満足したらしく、機会を停止させる。自然とギャラリーから拍手がおこった。
「こぉ、これくらい、できて当然ですわ」
ローズヒップ小隊長は降りて、胸を張る。
―あぁ、足が震えて無ければ決まったのに―
私はそう思いながら、ダージリン様に視線を向けていた。
「使えるようですし、振り落としには使用できると思いますわよ」
「その様ですね。ありがたく使わせていただきます」
こうして、装填手候補の第一次選別方法が決まった。
因みに、起動時に流れる曲はグレン・ミラーの曲オンリーだった。
車両整備部門謎の技術力。