THE WHITE GUARDIAN   作:ひなたロボっち

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14.海軍本部大将、青キジ

 ゾクリと鳥肌が立つ。

 

「今はまだ政府は軽視してるが、細かく素性を辿れば骨のある一味だ。少数とはいえ、これだけ曲者が顔を揃えてくるとあとあと面倒なことになるだろう。所業の数々、成長速度、長く無法者どもを相手にしてきたが、末恐ろしく思う」

 

「なっ、おおおお前!さっき見物しに来ただけって」

 

「特に危険視される理由はお前だよ、ニコロビン」

 

「お前!やっぱりロビン狙ってんじゃねーか!!ぶっとばすぞ!!」

 

「懸賞金の額はなにもそいつの強さだけを表すわけじゃない、政府に及ぼす危険度を示す数値でもある。だからこそ、ニコロビンは八歳という幼さで賞金首となった。取り入っては裏切って、取り入っては利用して…うまく生きてきたもんだ。

お前たちもそのうちわかる。厄介な女を抱え込んだと…後悔する日もそう遠くねェさ」

 

「昔は関係ねェっつってんだろ!」

 

ルフィが叫んだ。

 

「あぁそうだ!昔なんか気にしてたら元海賊狩りや女泥棒なんかと付き合えるか!!」

 

「なんかは余計よ!」

 

ウソップがそう言って、ナミに殴られていた。

 

「ロビンは大切な仲間だ!仲間の悪口言うな!」

 

 そしてチョッパーも、みんなが口々に反論する。けれどそれを青キジは気にすることなくこちらをジッと見ていた。

 

「今回はまぁ、ニコロビンの視察が主だったんだが……ニコロビンを差し出せ、そしたらお前らを見逃してやる」

 

「ロビンは俺の仲間だ、仲間をお前なんかに渡すわけないだろ!!」

 

「なら、力づくでも」

 

 氷で剣を作り出し、ロビンめがけて剣を振りかざした。とっさにゾロがその剣を受け止め、サンジが剣を蹴り飛ばす。ルフィが青キジを殴る。

 彼らの青キジに触れている部分が、みるみるうちに凍っていく。

 

「うぉあああっ」

 

「っ、あ…」

 

 みんなが苦しんでる間に目の前に来た青キジが、ロビンを包み込むように抱きしめた。

 

「ロビン!危ない!逃げろ!!」

 

 みるみる凍っていくロビンの身体。全身を氷漬けにされたロビンに、一味は顔に驚愕の色を浮かべた。

 

「お前よくも!!」

 

「喚くな。ちゃんと解凍すればまだ生きてる。だがまぁ、割れたら死ぬけどな。こんな風に…」

 

「やめろおおおおお!!」

 

叫んだルフィ、みんなの声が遠く感じる。身体の中の意識のすべてが、氷漬けにされたロビンに向かう。私は仲間を…ロビンを失うの?そんなのーー嫌だ!!

 

「っ、還元(リセット)

 

私はロビンに触れ、そう言った。ロビンの身体が淡い光に包まれ、みるみるうちに氷が消えた。

 

「お、まえ…まさか…”ハク”か?」

 

「ロビン!」

 

意識を失っているロビンの身体を、ウソップが支える。

 

「ウソップ、ロビンを連れて逃げろ!!」

 

ルフィが叫んだ声に、ウソップはロビンを背負って逃げ出す。けれど青キジは動かなかった。ーーこちらに目を向けたまま。

 

「生きて、いたのか…?」

 

その手がこちらに伸びてくる。

 

「ソラ!!」

 

「ぁ…」

 

身体の自由が利かなくなる。

 

「こりゃあもっと厄介なモン…見つけちまったかもしれねェな」

 

青キジは目の前にいた少女を氷漬けにすると、そう言って小さくため息をついた。

 

「ソラに…何やってんだテメェ!!」

 

殴りかかろうとするルフィの前に、氷漬けにされたソラを出す。ルフィは慌てて手を引っ込めた。

 

「調べなきゃならないことができた。このくらいの大きさなら、自転車でも連れて帰れるか」

 

「おいお前!ソラをどこに連れて行くつもりだ!」

 

”酷いなァ、青キジくんは”

 

そんな声がして、青キジは咄嗟に手を離した。パリン、と音がして氷が粉々に砕け散る。

 

「あーあ…手が滑って殺しちまったじゃねェの」

 

 青キジは少女だった氷を見て呟く。もし自分の考えていることが”本当”なら、政府にとって少女が死んだのは相当まずいことになる。だけど少女にとっては死んだ方がマシかもしれない。

 

「あ…あぁ…」

 

 ナミが口を抑える。

 

「ソラちゃん…嘘、だろ…」

 

 サンジが震える声でそう言った。しかし次の瞬間、ポンっと少女の身体がもとに戻る。

 

「さむっ!!死ぬかと、思った!!」

 

「「「いや、普通なら死んでるよ!!」」」

 

 ぶるりと身体を震わせれば、みんなに突っ込まれて、きょとんと首を傾げた。それからハッとしたように動き出し、ルフィ達の氷を解く。

 

「消失《ロスト・タイム》」

 

 ルフィたちの患部から、氷が消えた。

 

「助かった」

 

「ありがとうソラちゃん」

 

「おいおいそんなに能力多用して…。二つだけ教えといてやる。お前の能力は身体に大きな負担がかかるから、使いすぎると後でツケが回ってくる。それとお前らはそいつの危険度をなにもわかっちゃいない。仲間になんざ、するもんじゃねェ」

 

「こんなちっこいの相手に、随分ご執心だな」

 

「政府に必要なんでね」

 

こちらを見た青キジに、背筋に冷や汗が伝う。ゾロとサンジとルフィが、守るように私を後ろに隠した。

 

「これ以上、」

 

「好き勝手に!」

 

 サンジとゾロが青キジに向かってかけていく。けれどまた簡単に腕と足を凍らされてしまった。それでもなお、攻撃しようとする。

 

「待った!お前ら!」

 

 そう叫んだのは、ルフィだった。

 

「そいつと一騎打ちがやりてェ」

 

ルフィの言葉に、目を丸くする。

 

「でもルフィ!」

 

「いいから逃げろソラ…それと、とりあえず力はもう使うな。チョッパー、サンジとゾロを治してやれ」

 

「わかった!」

 

チョッパーは足をやられたサンジを支える。

 

青キジを見据えたまま、静かに言ったルフィの言葉に私は唇を噛み締めた。これは船長命令だ、逆らうことはできない。でも確実に、今のルフィでは青キジに敵わない。かといって私にできることは、何もない。

 

「さっさと行け!!」

 

そう叫んだルフィに、私はその場から離れた。

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