THE WHITE GUARDIAN   作:ひなたロボっち

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第3章 ウォーターセブン
16.水の都 ウォーターセブン


船が大きく動き、ベッドから落ちて目を覚ます。

 

「いててて…」

 

額を抑えながら立ち上がり、部屋から出る。するとゾロ、ルフィ、ウソップ、チョッパーが帆をたたんでオールを漕いでいた。

 

「おうソラ!お前も手伝え!あそこに身体中怪我だらけでクロールしてるカエルがいるんだ、おれは是非ともあいつを丸焼きにして食いたい!!」

 

「あ、本当だ!…って食う!?」

 

「ちょっとあんたたち!!なに勝手に進路変えてんのよ!」

 

ナミが出てきて、ルフィたちを叱りつける。けれどルフィの勢いは止まらない。カエルを追っているとどこかに乗り上げたように船が揺れた。

 

「きゃっ、」

 

「あぶねっ」

 

海に放り出されそうになった身体を、ルフィに掴まれてなんとか船にとどまる。カンカンカンカン、と警告音のようなものが鳴り響き、汽笛の音が聞こえる。

 

「なに、あれ…」

 

「っ、船を戻して!!何か来る!!」

 

ナミはそう叫んだ。急いで船を戻すと、そこを細長い船が煙を上げながら走っていった。

 

「あんな船見たことねぇぞ!」

 

慌てて船を後ろに戻し、間一髪で列車から逃れることができると、ルフィが驚いたように言う。

 

「一体何なの…」

 

「船が煙出しながら走ってたぞ!」

 

口々に言い合っていると、灯台から少女が顔を出した。

 

「ばーちゃん!ばーちゃん!海賊だよ!!」

 

そこには二つ結びをした女の子と青色のウサギがいた。

 

「なにっ?本当かいチムニ」

 

女の子よくの呼びかけに応じて出てきたのは女の子と同じ髪の色をした女の人。酔っているのか、顔が赤い上に呂律が回っていない。通報しようとしていたが、電話の途中で忘れました〜と言って電話を切ってしまった。

ナミとルフィとウソップと一緒に一度船をおり、灯台にいく。

 

「あたしはチムニ。猫のゴンベと、ココロのばあちゃんよ」

 

サンジの作ったパイユを食べながら、さっきの列車について説明してくれたチムニ。

 

「子供、しっかりしてる」

 

感心してそう言うと、

 

「いやいや、お前も子供だろ」

 

とウソップとルフィに突っ込まれた。

 

「あ。」

 

そう言えばそうだった、と思い直す。

 

「んががががが、面白い子供らねェ。それで、あんたらはどこに行くんだい?こっから行くとすりゃあ、春の女王の街セントポプラ、美食の街プッチ、カーニヴァルの街サンファールト!どこも楽しいよ」

 

「じゃあ、美食の街で」

 

「私も!」

 

ルフィに便乗して答える。美食の街…楽しそうだ。

 

「行かんわ!!私たちは乗らないわ、船があるからログに沿って進むだけ」

 

バコンッと頭を叩かれる。ナミのパンチは手加減というものを知らない。

 

「へぇ、どこさしてるの?」

 

とチムニが聞く。

 

「ここから東の方」

 

「そうか、そりゃおめぇ、ウォーターセブンだね。さっきの列車はその島のブルーステーションから来たんらよ。水の都っつーくらいでいい場所だわ」

 

ナミが答えると、ココロさんが言った。

 

「ウォーターセブン?」

 

「何よりあんた、造船所でのし上がった都市だ。その技術は世界一!作る船は世界政府御用達ときたもんら!すげーらろ」

 

「へぇ~、ってことは、すっげー船大工もいるな!」

 

「いるなんてもんじゃないよ、世界最高の船大工の溜まり場だぁ、あそこは!」

 

「ウソップ!」

 

「あぁ!」

 

どうやらこれから行く場所は、ずっとルフィたちが欲しかった船大工を手に入れるのに適している場所らしい。目をキラキラと輝かせるルフィとウソップに、クスリと笑った。

 

「ったく、どっちが子供かわかったもんじゃないわね」

 

そのあとココロさんにウォーターセブンの地図とアイスバーグさんへの紹介状をもらって、灯台をあとにした。

 

「またね!チムニ、ゴンベ!」

 

手を振れば、振り返してくれた。

 

 

 

「うわああ!!」

 

「綺麗な島ね」

 

まるで島全体が噴水のような、美しい島だった。それに住民たちは海賊に慣れているのか、妙に親切だ。船を岬に定着させると、ナミが黄金の換金と船の修理を依頼しに行くためにルフィとウソップを連れて行った。

 

「私たちも行こうかしら…ソラも来る?」

 

ロビンとチョッパーの誘いにふるふると首を横に振った。

 

「今、眠い」

 

ふわ、と欠伸をすればロビンが笑う。

 

「そう、じゃあ行ってくるわね」

 

ロビンとチョッパーが船をおり、寝ているゾロの隣に座ると眠りについた。

 

 

「ん…」

 

目を覚ますとなぜか私にだけタオルケットがかけられており、ゾロは相変わらず隣で眠っていた。立ち上がって船内を見れば誰もいなかった。おそらくサンジも食材を探すために島に降りたのだろう。

 

「ん?」

 

部屋を出ると知らない軍団が船にいて、目を丸くする。あちらもこちらを見たまま固まっており、私もあちらを見たまま固まる。

 

「っ、きゃああああ!!」

 

「チッ、静かにしろ!!」

 

掴まれそうになった時、男は吹き飛んだ。

 

「隠れてろソラ!」

 

その言葉に、船の中に戻ると女部屋に入って机の下に潜り込んだ。

 

「はぁっ、はぁっ…びっくりした…」

 

あんなに明らかにワルそうな軍団を前にして思わず逃げてしまった。だけど船の番なら、逃げちゃダメだったんじゃないか?でもゾロは強いし…私が行ったところで足手まといになる。

音がしなくなったところで、部屋から出た。

 

「…ゾロ?さっきの奴らは?」

 

「フランキー一家だと。俺の首を狙った賞金稼ぎだったらしい」

 

「そっか、ゾロの首…ってえええええ!?ゾロ、危なかった!?」

 

「あぁ…でも「ゾロ、怪我ない!?無事!?」

 

ゾロの周りをグルグルまわりながら、ペタペタと筋肉質な身体に触れる。

 

「いいから落ち着け。あの程度どうとでもなる、お前に心配されるほど落ちぶれちゃいねェよ」

 

「よかった…」

 

ホッと胸をなでおろすと、ゾロがこちらをジッと見ていた。きょとん、と首を傾げる。

 

「どうかした?」

 

「…いや、なんでもない」

 

ゾロはふいっと目をそらすと、床にあぐらをかいて座り、また寝始めた。私はその隣に座ると、自分の手を見つめた。ハクハクの実の能力について、ロビンに聞いたときのことを思い出していた。

 

 

***

 

 

「ハクハクの実の能力は、還す力と言われているの」

 

「還す力?」

 

「そう、消すというのはその延長にあるもの。全ての物質は無から生まれるでしょう?有を無に戻すと消えるから、ハタから見れば消しているように見える。物質を消すというのは、物質をない状態に還すということになるわ」

 

「へぇー…」

 

 私はいったいこの世界で、なにをしたのだろうか?青キジは何か知ってるみたいだったけれど。

 

「政府、なに、させたかった?」

 

「おそらく…歴史の隠蔽(いんぺい)よ」

 

「歴史の、隠蔽?」

 

「この世界には空白の100年がある。残されているのはポーネグリフという文献。それを知ったものから、記憶を奪う。それが貴女の仕事だった」

 

「記憶…」

 

「貴女は還す力を持つ。おそらく記憶を消すことができるはずよ。それだけじゃない、貴女はこの世界に存在するあらゆる物質を消すことができる」

 

「そんなことを!?」

 

「えぇ…だから政府は貴女を危険視している。そして同時に、喉から手が出るほど欲している」

 

 ごくり、と唾を飲み込む。

 

「なんか…嫌な仕事…」

 

「えぇ、だから貴女は海軍を裏切ったんじゃないかしら。貴女は海軍の”闇”の部分の中心にいたと言っても過言じゃないから」

 

「そう…わかった!ロビンありがとう!」

 

 

***

 

 

 過去になにがあったかはわからない。けれど私はこの一味の役に立つために、できることをすればいい。

 

ーーこのときはそう考えていた。けれど私はなにもわかっていなかったのだ。自分の持つ力の危うさも、恐ろしさも。

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