THE WHITE GUARDIAN   作:ひなたロボっち

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18.壊れていく一味

 ウソップはメリー号をルフィから奪うために、決闘を申し込んだ。その決闘は結局、ルフィが勝って終わり、それでもルフィは船をウソップに明け渡した。

 その日の夜は宿をとっても、眠りにつけなかった。ロビンは見つからず、ウソップは一味を出て行った。あんなに楽しかったはずの時間が全て嘘のように思えて、苦しくなった。屋上に行くと、ルフィとゾロがいた。ルフィは屋根の上に乗ってる。

 

「…まだ起きてたのか」

 

 ゾロはこちらを見てそう言った。今はもう夜中の二時、普段ならとっくに寝ている。

 

「ゾロも、寝てない」

 

「俺はいーんだよ。ガキは寝る時間だろ、さっさと部屋もどれ」

 

 そう言われても、戻る気にはなれなかった。ゾロの方に行き、その隣に座った。ウソップが一味を抜け、ロビンは昼間に出かけたっきり帰ってこない。一味がバラバラになるような不安に襲われ、ゾロの横にぴったりとくっつく。ゾロはちらりとこちらを見たが、何も言わなかった。肩から伝わる温度に安心して、ゆっくりと眠りについた。

 

「ぅ…」

 

目を覚ますと何故かゾロの膝の上にいた。

 

「…起きたか」

 

「のど、渇いた…飲み物、飲んでくる」

 

「あぁ…」

 

ゾロの膝からゆらりと立ち上がった。飲み物を部屋に取りに行く途中で、ロビンの波動を感じて足を止めた。

 

「…ロビン?」

 

 反応のある場所にかけていけば、そこにはロビンと仮面を被った男がいた。

 

「ロビン!!どこ、行ってたの?みんな、心配して…」

 

 一瞬だった。仮面の男が目の前に来たと思ったら、身体に強い痛みを感じる。

 

「っ…消失《ロスト・タイム》」

 

 みるみるうちに痛みがおさまる。

 

「ほう、やはりお前が”ハク”か」

 

「その呼び方…」

 

 青キジと同じもの。怖くなって後ずさる。今手元には、スケートボードを持っていない。逃げる術が、ない。

 

「ロビン、なんで、政府の人間と…」

 

「お前を連行する」

 

「っ、無衝撃《ノーショック》!」

 

 とっさに構えて能力をつかえば、相手の蹴りの勢いが落ちる。繰り出される攻撃の衝撃をおさえる。とはいえ、全てを抑えきれずに蹴りがあたって、身体が吹っ飛んだ。

 

「っ、はぁ…はぁ…」

 

 私は攻撃する術を、知らなかった。だけど守りを固めるだけじゃ、やられるのを待つだけ。

 

「衝撃《インパクト》改!!」

 

 だから無衝撃で自分に受けた衝撃を記憶し、自分の手から繰り出す。インパクトの貝なしバージョンだ。

 相手に直撃し、油断していた男はもろにそれを食らってよろける。

 

「おとなしく捕まっておけばいいものを…指銃(シガン)!!」

 

 胸に指を突き刺され、口から血が溢れ出す。

 

「かっ…はっ…」

 

「何してるの!傷つけないと約束したはずよ!」

 

 焦ったようなロビンの声が聞こえた。

 

「殺してはない」

 

「っ、ろ、びん、」

 

 ガチャ、と手に手錠をかけられたのを最後に、記憶は途切れた。

 

 

 ***

 

 

「大変なの!みんな!」

 

 ナミは泊まっていた宿の屋上に駆け上がると、勢いよくドアを開いた。その音に目を覚ました。なぜかゾロの膝の上に移動していた。それにルフィとゾロだけではなく、チョッパーとサンジもいる。

 

「どうしたんだい、ナミさん」

 

「アイスバーグさんが、暗殺未遂だって街の人が騒いでるのよ」

 

「アイスのおっさんが?人に好かれてそうなのになんで…」

 

「そりゃ一体誰なんだ?」

 

「昨日お世話になったの。この街の市長で、造船所の社長でもあるんだけど」

 

 そりゃまた随分大物が狙われたな、とサンジがタバコをふかしながら言った。

 

「ロビンちゃんも帰ってこねーし…一体どうなってんだ?」

 

「あれ?…ねぇ、ソラは?」

 

「ソラならのど渇いたって、飲みモンとりに行ったぞ」

 

「え?でもおれが来たときにはいなかったぞ」

 

「飲み物取りに行くだけにしちゃあ…遅くねェか」

 

その場にいる全員が顔を見合わせる。

 

「えっ!?じゃあどこに…」

 

「次から次へと…一体どうなってやがる」

 

ナミが驚き、サンジはそう言ってガシガシと頭を掻いた。

 

「おれ、匂いを辿って探してみるよ!ここから昨日の夜いなくなったなら、まだ匂いは撹乱してないだろうから」

 

「…おれは、アイスのおっさん見てくる」

 

「私もついていくわ。チョッパー、ソラのことよろしくね」

 

「うん」

 

 ナミがルフィを追っていなくなり、サンジとゾロはチョッパーについて歩き始める。

 

「匂いは…ここで止まってる」

 

「…なんだこれ」

 

 サンジがポツリと呟いた。そこには血だまりができていた。まるで誰かが争ったような形跡に、その場にいた三人は背筋が寒くなる。

 

「しかもこの血、ソラの血だ…」

 

 チョッパーの声は震えていた。

 

「どうしよう!!こんなに血を流してるなんてっ…早く治療しないと!!もし能力使って治してたとしても、酷い熱が出てるはずだ!」

 

「っ、何があったんだ一体…」

 

「とにかく探すぞ!」

 

 ゾロはサンジとチョッパーと別行動で動き始めた。サンジとチョッパーは歩きながらソラのいそうな場所を探す。

 その途中、チョッパーはロビンとソラの匂いを嗅ぎつけてその場所に向かった。

 

「ロビン!!ソラ!!」

 

「ロビンちゃん、無事で良かった!ソラちゃんのこと助けてくれてたんだね」

 

 ロビンの腕に抱かれた傷だらけのソラ。意識はなく、その腕には海楼石の錠がついていた。

 

「はやくソラを治療しないと!」

 

「そっちに行くからちょっと待ってて」

 

 サンジがどうにかして水路を渡ろうとした時だった。

 

「いいえ、その必要はないわ」

 

 ロビンの声が、その場に響く。

 

「…え?」

 

「彼女をこの状態にしたのは…私よ。この子は元海軍。あなたたちの手におえないわ。この子がいるべき場所は麦わらの一味ではない。そしてそれは私も」

 

「なっ!?」

 

「あなたたちには罪をかぶせてしまって申し訳ないと思ってるわ。けど、私に関しては全て事実よ」

 

 ロビンが淡々とそう告げた。

 

「どういうことだよ…ロビンちゃん、ちょっと待って…待てよ!!」

 

「何言ってんだよロビン!」

 

 さよなら、と告げて後ろを向いて歩き出したロビン。サンジとチョッパーの声に、彼女が振り返ることはなかった。

 

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