Magical Girl Lyrical NANOHA StrikerS Lunatic 作:テラ吉
潮の匂いが鼻を付き、波の音が耳に囁き掛ける―――業務をサボって衣服を脱いで泳ぎなよ。
しかしまだ四月と言う春先の季節であり、風が少し吹くだけ肌寒い。そんな場所で泳げだと? アホ抜かせ。
幻聴を鼻で笑い、タクヤはフェイトから教えられた海面に浮かべられた大型鉄板の訓練場へと辿り着く。
そこで見えた光景にタクヤの心労はイエローからオレンジへと限界間際のシグナルへと変化した。
「おいおい……男はどうした? 可動式にあれほどいた男共はどこへ行った?」
訓練場にいるのは二人を除いて最年長で十代半ば、最低で学校の初等科ぐらいの十に満たないであろうガキども。
あの可動式でいたガタイの良い男どもは一人もいない。あいつらの股間に付いていたシンボルは飾りだったのだろうか? だとするなら切り落とせ。
戦力とベッド、ここにはいない男たちのその両方を一方的に不能と決めた付けたタクヤはシニカルな笑みを浮かべ、一人遅刻してその集団へと接近する。
タクヤに気付いた五人はこちらへと身体を向けると四人は敬礼し、一人は困ったように笑うだけだった。
「えっと、タクヤ・D・アルバトロス二等空尉ですよね?」
「Why? エースオブエースが俺のことを知らないのか? こんな良い男を有名人が知らないとは世も末だな」
困った顔で笑うエースオブエース―――高町なのはの問いに嘘だろう、とでも言うように大袈裟に目を見開き、腕を広げて見せる。
良い男。とは彼の冗談であり、本当のことを言えば雷様から自分の事を聞かされていないのか? と確認しただけである。
「フェイトちゃ、じゃなくて、フェイト執務官からは聞いています」
「そうかい。じゃあ、どんな風に聞かされているか教えてくれないか?」
「えと、それは、その……あ、あはは……」
乾いた笑いで返事をしたなのはは大人だった。幼馴染から聞かされた目の前の人物のことを語るのは饒舌に尽くし難いのだ。愚痴ばかりで。
それを読み取ったタクヤは困ったもんだ、と言わんばかりに頭を振って右手を差し出す。
「改めて。タクヤ・D・アルバトロス二等空尉だ。君の名前は知っているが君の口から直接聞かせてくれないか?」
「高町、高町なのは一等空尉です。気軽になのはって呼んで下さい」
「そうか。それじゃ、なのは、宜しく頼むよ」
「はい、こちらこそ宜しくお願いします」
タクヤの差し出した右手を、なのはは優しく握った。
女性特有の柔らかさを感じながら、タクヤは内心で舌を打つ。
―――こんな少女がエースオブエースとは。ガキになんていう物を背負わせてやがる。
改めて管理局はクソでしかない、と思うとともにそんな物を受け入れている彼女に、何故か少しやる瀬ない気持ちになった。
そんなタクヤの気持ちをなのはは露知らず、残りの四人へ挨拶をするようにと目配せする。
「エ、エリオ・モンディアル三等陸士であります!」
「キ、キャロ・ル・ルシエ三等陸士です。それでこっちが白竜のフリードリヒです……」
最初に名乗りを上げたのは幼き戦士たち。青臭いだなんて物ではなく、乳臭いと表現するべき子供たちとパタパタと浮遊する爬虫類。
一見すればペット連れで社会見学に来たのかと聞きたくなるが、訓練着を着込んでいるし先の名乗りで彼らが初等科の学生ではないことがわかる。
不安そうな顔でタクヤの反応を窺う様はやはり子供であり、彼らには失礼ながらも頼りなく見えてしまう。
はてさて、どうするべきかと頭を悩ませるもそんな時間などありはしない。このまま何も言わなければ第一印象は悪くなるだけだ。
だとすればどうするべきか? 答えは簡単だ。ガキを不安にさせるのは怒った母親だけで十分なのだから。
タクヤはエリオとキャロの目線に合わせてしゃがみ込み、その頭に手を置いてワシワシと力強くも優しく撫でる。
「OK、エリオにキャロ。そっちがフリードだな。肩の力を適度に抜いてくれ。あんまり固くされると返ってこっちも固くなるからな。OK?」
「「は、はい!」」
「キュー!」
目線を合わせてしゃがみ込み、頭を撫でながらウインク一つをかましてやれば不安気な顔はそこにはない。
唐突なことに少しだけ驚いているも元気の良い返事と笑顔であり、タクヤの顔も自然と笑顔になる。周りをパタパタと浮遊するマスコットも居れば尚更だ。
先のオレンジゾーンだった心労がグリーンゾーンまで巻き戻るのを感じつつ、タクヤはまだ紹介されていない者たちへと顔を向ける。
「スバル・ナカジマ二等陸士です! 宜しくお願いします!」
「ティアナ・ランスター二等陸士であります!」
タクヤは思った。苦手なタイプだと。嫌いな訳ではない、寧ろ好意を抱ける存在だ。しかし、だからといって得意という訳ではない。
片や純粋、片や真面目。どちらも冗談が通じないタイプであり、ふざけようものならスバルという少女は真に受け、ティアナという少女は機嫌を損ねてしまうだろう。
「ティアナにスバル……いい名前だ」
擽ったそうに笑うスバルと少し戸惑いを見せるティアナにタクヤは笑い、エリオとキャロの顔がどこか不服そうに見えたなのはも口元に手を当て少し笑う。
それに気付かずなのはにウインクを一つくれた彼は少々滑稽で、彼女は笑い声を上げそうになるが身体を震わせることで我慢する。
笑われたことに気付かない本人は四人を順に見遣り、少しだけ目付きを鋭くして手を叩く。
急なことにその場にいた全員が驚くが、雰囲気で察しFW陣全員が背筋を正す。
「さて、これから俺となのはとでお前らを鍛える。俺から一つだけ言っておくことがあるが、それは頭の片隅にでも留めて置くぐらいでいい」
タクヤの目付きは更に鋭くなり、誰かはわからないが息を呑む。
一体自分よりキャリアの長いこの二等空尉は何を言うのか、なのは一教導官として興味を持つ。
「―――祈っておけ。俺となのはの指導が厳しくないことをな」
犬歯を剥き出しに笑うタクヤの顔は、今から訓練が厳しいことになるであろうと容易に想像できる物だった。
・名前:タクヤ・D(ディアーズ)・アルバトロス
・年齢:29歳
・性別:男
・身長:170cm
・体重:58kg
・階級:二等空尉
・術式:ミッド式
・髪の色:黒に紅のメッシュ
・髪型:ポニーテール
・目の色:ワインレッド
・魔道師ランク:空戦S-
・所持資格:危険物処理、大型自動車免許、大型バイク免許、A級デバイスマイスター
・魔力変換資質:炎熱変換
・趣味:読書、
・特技:イカサマ(賭博関連)
・好きな物:戦闘、紅茶(特にレモン)、ピザ(オリーブ抜き)
・苦手:めんどくさいこと、アルコールが入った物全般 水泳
・嫌いな物:頭の固い奴
・口癖:That sucks(最悪だ)
丸丸一か月かかった上に文が少なくてすみません(汗)