1話 なでこフューチャー
先刻、千石撫子の騒動が貝木によって解決された。どんな手段で何を考えてかという憶測をしてみたら限がなさそうなのでやめたが正当な方法でないのは確かだろう。
そう思うと解決といっていいのかは定かではない。事実、今この町は霊的に不安定になっているらしい。しかし、僕がなんと言おうと貝木によって千石撫子という一人の少女が救われたのは変えることのできない真実である。
いや、違う、、、明確に言えば救われたのは「僕たち」3人である。僕、阿良々木暦と戦場ヶ原ひたぎ、そして忍野忍のこの3人。
千石撫子は自分が〝邪魔″をされ腹を立てているだろうか。
〝おそらく答えはYES ″
それはそうだ、殺したいと思っていたあいてが殺せなくなってしまったのだから。
「千石、、、か。」
僕が、千石にしたことを考えれば貝木に言われた通り千石にはもう二度と関わらずに記憶からも思い出からも意識からも消えてしまうのが今の僕にできる、千石に対して償える唯一の責任の取り方なのは分かっている。
救われた僕がいえる立場ではない。だが、それが貝木の言うことをそのまま鵜呑みにしていい理由にはならないのもまた事実だ。あいつは詐欺師。言うこと為すことすべてが虚偽そのもの見たいな奴だ。やはり、しっかりと千石に会おう。会って罪を償おう。
僕は千石に会うことを決意した。
「その前に一つやらねーとな」
そんな思いを実行に移そうとしたとき僕のケータイに着信が入った。電話に出ると案の定というべきか僕の愛しい彼女、戦場ヶ原ひたぎからだった。
『もしもし、あなたの愛しい彼女だぞ!』
ふてぶてしくも憎めない顔が目に浮かんだがそこは触れないことにした。
『どうしたんだよ、戦場ヶ原おまえから電話なんて珍しいじゃねーか。なにか用でも
あるのか?』
『あら、心外ね。用がなければあなたに電話してはいけないの?阿良々木君あなたいつ
からそんなに偉くなったのかしら。死ねばいいのに。』
軽蔑を通り越してちょっと引いちゃったよ。僕に引かれるなんて誇っていいレベルだよ。マジで。
『まぁ、そんなことはどうでもいいのよ。少し重い話になってしまうのだけれど冗談を交えつつ話すわね。』
どうやら僕に拒否権はないらしい。
『単刀直入にいうわ。阿良々木君あなた千石撫子のところに行くつもりね?やめなさい今度こそ殺されるわよ。拾った命をどぶに捨てる気?』
大方予想はしていたが僕の考えは彼女に筒抜けらしい。いや、彼女たちというべきなのか。幸いにも羽川翼もといあの、完璧委員長からの電話じゃなくて助かった。おそらくそれも分かった上での彼女からの着信なのだろうが。
『それはできないよ。僕は僕の与えられる全てを千石に与えると決めた。お前と別れろと言われればそうするだろうし二度と顔を見せるなと言われれば千石の前から消える。今、一番大切なものを壊せと言われば、、、、、、そう、するだろう。これが僕の覚悟であり償いだ。』
『そう、わかったわ。』
こんな、自己満足のようなもので分かってもらえないだろうとおもってどう説得させるか頭の中で色々と考えたが彼女のやるせない返事は僕の思考を一刀両断するかのごとく軽々切り捨てた。
『本当にこんな説明で納得したのか?』
やはり、信じられなかったので念のため再度確認を取った。
『納得なんてしてないわよ。』
『え?でも、お前はさっきたしかに』
『納得はしてない。けど、承諾はしてあげる。あなたが私の言葉で引きさっがていたら私があなたを殺してたわ。私が惚れた男はこんなことで引き下がるような聞き分けのいいお人好しじゃないってね照。』
『照。じゃねーよ!怖すぎるよ。どこのヤンデレ少女だよ!』
『安心しなさい。私はあなたを愛し続けるわこれからもずっと。』
僕は何度彼女に、戦場ヶ原ひたぎに救われただろう。こんな僕にはもったいないくらいのいい女を僕は捨ててしまうのかもしれない。まだ色々言いたい事もあるのだが照れくさいので一言だけ伝えるとしよう。
『僕を、こんな僕を好きになってくれてありがとう。戦場ヶ原、僕も君を愛してる。』
ツーツーツー。
30分にも満たないであろうやり取りを終えた僕は、現時刻14:30分弱足早と千石撫子の家へと向かった。