贖罪のゼロ   作:KEROTA

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第37話 SPREAD OUT 散開

 

 ボンっ、とエンジンが噴気の唸りを上げ。

 

 次の瞬間、墜落しつつあるアネックス1号から、6機の高速脱出機は各々定められた方角へと飛び出した。

 

 ――アネックス計画『プランδ』。

 

 アネックス本艦での帰還が困難になった際に発令されるこのプランは、110人の乗組員を6つの班に振り分け、高速脱出機によって別々の方向へ散開。その後、再び本艦へと集合した後、ウイルス研究を続けながら地球からの救助艦を待つというもの。

 

 着陸前のテラフォーマーの襲撃、乗組員の中に紛れ込んでいた6人の潜入護衛員(サイドアーム)、そして既に到着してる救助艦など、やや変則的な状況下ではあったが――()()()()()()()()()、プランδは発令された。

 

 

 

 各国が派遣する救助艦の到着まで、残り39日。

 

 アーク1号より出撃した救助団の各班合流まで、残り――。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 ――レーダーに反応なし、酸素濃度も良好。

 

「よし、もうマスクをとってもいいぞ」

 

 運転席からかけられたミッシェルの声に日米合同第二班の面々は一斉に機内用のマスクを取り外し――。

 

「お、おお……」

 

「息苦しくない……!」

 

 そして、自身の肉体の変化に気が付いて驚嘆の声を上げた。

 

 テラフォーミング計画で火星に放たれた苔は科学者たちの目論見通り、この惑星で酸素を算出していた。しかし計画の実行から500年が経った現在でも、その供給が生物の生存に適しているだけの量を賄っているとは言えなかった。

 

 2620年現在、火星地表の平均酸素濃度は概ねアンデス山脈の頂上と同程度。これは通常の人間ならば、いつ高山病を発症してもおかしくない数値。そんな環境にありながら、彼らは全く息苦しさを感じていないのだ。

 

「すごい……あんまり実感なかったけど、変態しなくても本当に手術の効果って出てるんですね」

 

「人体改造手術なんて仰々しい名前つけてるぐらいだし、そりゃな」

 

 百合子の呟きに、自身もマスクを取り外したミッシェルが言葉を返す。

 

「学生の頃、学校で体力テストとかやっただろ? 今やれば、まず間違いなく自己ベスト更新できるぞ。何しろ、体が細胞レベルで別物になってるからな……なぜか体つきまで変わっている奴もいるわけだが」

 

 ミッシェルの言葉で、脱出機内の班員たちの視線が一斉に一ヶ所へと向けられる。その視線の先、注目の的となったキャロルは羞恥心を誤魔化すように笑い声を上げた。

 

「あ、あははは……あ、あんまり見ないでくれると嬉しいなぁ」

 

 ――しかし、隠しきれず。

 

 日焼けで小麦色のキャロルの肌は、林檎のような赤に染まっていく。思わず彼女が体を縮こまらせると、平時よりも大きく膨張した彼女の胸部が揺れ、班員――特に男性班員の視線を釘付けにする。

 

「……オイ」

 

 そんな緊張感のないややピンクな空気は、ミッシェルの低い声で一気に霧散した。自分達の置かれた状況を思い出した班員たちは、キャロルも含めて一斉に姿勢を正す。

 そんな彼らの様子にミッシェルは思わず深くため息を吐くと、眉間を押さえながら口を開いた。

 

「まぁ、色々と聞きたいことも言いたいこともあるが。細かいことはひとまず保留だ」

 

 ――だから、これだけ聞かせろ。

 

 そう言うとミッシェルは、キャロルの瞳を真っすぐに見据える。

 

 

 

「お前は『私達の味方』で『戦力』。そう考えていいんだな?」

 

 静かな言葉だった。だがその言葉には、決して虚偽の回答を許さないという強い意志が込められていた。

 

「――勿論です、ミッシェル副艦長」

 

 それを感じ取ったキャロルは、どこか緩んでいた己の精神をもう一度引き締め直すと、しっかりと頷いた。

 

 真剣さには真剣さで以て応える。

 

 それが彼女のポリシーだった。例え『アネックス計画の参加者を守る』という大義名分があろうとも、自分達がしていたことは紛れもない内通である。

 

 ミッシェルは優しいが、決して甘い人間ではない。そしてキャロルもまた、筋の通らない行為は大嫌いだった。

 

「『救助隊が合流するまで、第二班を護衛する』。それがアタシの任務だし、皆のことは本当に仲間だと思ってるから――だからアタシは、皆を守る。神に誓って、これだけは絶対に違えません」

 

「……そうか」

 

 キャロルの返答に、ミッシェルはただそれだけ返した。それから微かに表情を和らげると、彼女は運転席に取り付けられた電子パネルへと向き直った。

 

「私はこれから他班と連絡を取る。キャロル、お前は燈と脱出機周辺を警戒しとけ……任せたぞ」

 

「了解っ!」

 

 キャロルは威勢よく答えると立ち上がり、ミッシェルの背中に敬礼してから、意気揚々と脱出機の出入り口へと向かう。そんな彼女を慌てて追いかける燈の背に「薬、忘れんなよ」と声をかけながら、ミッシェルは電子パネルを操作した。

 

「さて、他班と通信が繋がるといいんだが――」

 

 ミッシェルは祈るように呟くと、画面に表示された『Call』ボタンをタッチした。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

「――外れ引いたかもな、こりゃ」

 

 脱出機の外に広がる光景に、ジョセフは呟いた。

 

 アネックス1号を脱出したヨーロッパ・アフリカ第6班。彼らを待ち構えていたのは100匹以上のテラフォーマーと、彼らが用意していた巨大な網であった。

 

 多少のテラフォーマーの群れならば強引に突破できる速度で進むことができる高速脱出機だが、大勢で待ち構えられた上に、進路上に大掛かりな罠を設置されてはどうしようもない。結果として彼らの脱出機は、ゴキブリ達の狙い通りにまんまと網にかかってしまったのだ。

 

 まさに袋のネズミ、状況は最悪と言ってもいいだろう。

 

「嘘だろ、なんでゴキブリが……!?」

 

 第6班が抱える班員数はアネックスの全班内で最も多く、当然在籍している非戦闘員の数も最多である。そんな彼らに、この数のテラフォーマーたちに囲まれて平常心を保てという方が無茶な話。非戦闘員たちの間に動揺が走り――。

 

 

 

「まぁこう言うときのために、この  ク  ー  ル  な  私と、その仲間たちがいるわけですがね!」

 

 

 

 張りつめたその空気は、カリーナの緊張感のない声でぶち壊された。

 

「ほら、マルシアにムテバ、出番ですよ!」

 

 彼女は振り返ると、懐から取り出した変態薬――脱出する際、荒れた倉庫に立ち寄ってちゃっかり持ち出しておいた物だ――を、後部座席に座る第6班の主要戦闘員(トップランカー)2人へと放り投げた。

 

「ちょっと、アタシ達までイロモノ扱いするのやめてもらえない?」

 

 それを右手でキャッチしながら、呆れたようにマルシアが言う。

 

 ――手術ベース『麗しき水の狙撃手(テッポウウオ)』、マーズランキング11位。この肩書が意味するのは、彼女が班長のジョセフに次ぐ第6班の主戦力であるという事実。その顔には微塵の恐怖の色もなく、脱出機を取り囲むテラフォーマーなど歯牙にもかけていない様子だ。

 

「というかカリーナ……まずお前、戦えるのか?」

 

 マルシアの隣に座っていたもう1人の戦闘員、ムテバが怪訝な声を上げる。手術ベースの『蛮勇の凶獣(ラーテル)』を彷彿とさせる、強面の男性戦闘員だ。マーズランキングはトップランカー中では14位と低めながら、一対一の肉弾戦ならマルシアをも凌ぐ戦闘力の持ち主だ。

 

「お前の運動訓練の成績、班内でも普通に低かった気がするんだが」

 

「ああ、そこはご心配なく。私も手術ベースも、確かに運動神経があるタイプではありませんが――」

 

 どこか心配そうなムテバを安心させるように言いながら、カリーナはトローチ型――刺胞動物用の変態薬を口に含んだ。

 

 

 

 

 

「――その分、皆さんよりも()()()()()()ことは得意なので」

 

 

 

 

 

 途端、ベース生物の特性を発現させた彼女の体が、極細の触手のベールを纏った。彼女の周りで揺れる黄緑色のそれは一見美しく、しかし触れた瞬間の死を想起させる毒々しさも同時に孕んでいる。

 

 戦闘員の持つ強さとはまた異質な危険性。それを肌で感じ取った第6班の班員たちは、思わず身を固くした。唯一物怖じしていないのは、一度変異した彼女の姿を見ていたマルシアくらいのものだった。

 

「まぁそういうわけで、皆さんどうかご安心を! 初っ端から散々な展開ですが、この私が――この ク ー ル ビ ュ ー テ ィ な 私 が ! 皆さんをちゃーんと、任務完了まで守って見せますから!」

 

 そう言って彼女はいつも通りに笑うと、脱出機の操縦席に座るジョセフへと歩み寄った。

 

「さぁ、ジョセフ班長! まずはクールに、ゴキブリ共の掃討を済ませましょう! サンプル200体をクールに確保すれば、ミッシェル副艦長からの評価も爆上がり間違いなし、ですよ!」

 

 

 

「――うん、そうだね」

 

 

 

 カリーナの言葉に頷き、ジョセフは己の専用武器である西洋剣の柄に手をかけた。

 

 

 

 ※※※

 

 

 

 ――みんな、大丈夫かな?

 

 脱出機の外でテラフォーマーと激しい戦闘を繰り広げている第1班の戦闘員たちを、シーラ・レヴィットは不安げに見つめた。

 

 

 

 アネックス1号脱出直後、日米合同第1班は着陸地点で待ち構えていたテラフォーマーによる襲撃を受けた。

 

 その数は、およそ50匹。同時時刻に攻撃を受けた第6班に比べれば数自体は少ないものの、その襲撃が十分な脅威であることに変わりなかった。

 

 

 

「全戦闘員、変態! 一気に叩くぞ!」

 

 

 

 小吉の判断は迅速だった。これだけのテラフォーマーとの戦闘ともなれば、例えトップランカーであっても一瞬の隙で命を落としかねない。万全を期すため、彼が非戦闘員に機内で身を隠すように指示し、戦闘員たちを率いて出撃した。

 

 それが、つい数分前のこと。現在、班員たちの奮戦によってテラフォーマーたちは着実に数を減らしているものの、未だに戦闘自体は続いている。戦う術のない自分達は、脱出機内に身を潜めていることしかできない。

 

「はぁ……」

 

 シーラの口から、無意識にため息を零れた。彼女の幼馴染であるマルコスやアレックス、U-NASAで出会った燈や大河は、戦闘員として前線で役に立っている。

 

 では、自分はどうだろうか。非戦闘員と言っても、その層は厚い。エンジニアやウイルス研究員として能力を発揮している者もいる一方、自分にそれらの技術や知識はない。精々できることといえば、雑用係が関の山である。

 

 ――自分は、正しくこの班の仲間でいられているのだろうか?

 

 数匹のテラフォーマーをまとめてなぎ倒す幼馴染の姿眺めながら、シーラは自問する。

 

 自分は彼らのお荷物になっていないだろうか? この班の役に立てているのだろうか? この火星での任務で、自分が果たせる役割などあるのだろうか――?

 

 

 

「シーラちゃん、大丈夫?」

 

「へっ?」

 

 掛けられた声に、シーラの意識が現実に引き戻される。声の方へ顔を向ければ、隣に座っていた女性班員――中之条江莉佳(なかのじょうえりか)の顔が視界に入った。

 

「なんだか、ぼうっとしてるみたいだったから。気分、悪かったりしない?」

 

 どうやら、自分の身を案じて声をかけてくれたらしかった。医療要員である彼女が思わず声をかける程、自分の表情は暗かったのだろう。こんなことではいけないと気を引き締め、シーラは首を横に振った。

 

「大丈夫です、私は全然。ちょっと考え事をしてて……心配させて、ごめんなさい」

 

「そう? ……困ったことがあったら、遠慮なくいってね」

 

 そう言ってエリカが笑いかける。事情を深く聞かないのは、彼女なりの気遣いなのだろう。それがシーラにはありがたかった。

 

 シーラは優しい同僚に感謝を述べるために口を開き――しかし飛び出したのは、別の言葉だった。

 

 

 

「危ないッ!」

 

 

 

 咄嗟にシーラは叫び、状況を飲み込めていないエリカの腕を強引に引っ張る。勢い余って床に倒れ込む2人。周囲の班員たちが何事かと視線を向けたその瞬間――ガラスが破れる音が響いた。

 

「ひっ……!」

 

 エリカが息を吞む。つい数秒前まで自分達が座っていた座席にはガラス片が突き刺さり、彼女の頭があった空間にはテラフォーマーの拳が伸びていた。シーラが助けなければ、今頃自分の頭はトマトのように潰されていただろう。

 

「じょうじ」

 

 ガラスに空けた穴から腕を引き抜き、左腕に紐を巻きつけたテラフォーマーが鳴く。接近に気が付かなかった理由は至って単純、レーダーが生体反応を感知しなかったためだ。

 

 テラフォーマーは高速脱出機の屋根に手をかけると強引にねじり外し、機内への侵入経路をこじ開けた。

 

「っ、なんで……!?」

 

 そう言いかけて、シーラはその言葉を飲み込んだ。命の危機が目前に迫っている時、優先すべきは『原因の解明』ではなく『現状の打開』。これもまた、彼らの教官であったリーにさんざん言われてきたことだ。

 

 ――どうする?

 

 この場にいるほとんどの班員は、恐怖で体が硬直してしまっている。小吉やマルコスが脱出機への奇襲に気付いたようだが、援護は恐らく間に合わない。この状況を何とかできるのは、自分だけだ。

 

 ――何か、この状況を打開できるものは……!?

 

 周囲へ視線を走らせたシーラの目に、1つの物が映りこむ。それは本来、非戦闘員である彼女とは無縁のもの。万が一の場合に備え、本当に最低限の使い方を教えられただけの武器。

 

 しかし、シーラはそれに手を伸ばすことを躊躇わなかった。彼女はそれの持ち手をしっかりと握りしめると、沸き上がる恐怖を押さえつけて声を振り絞る。

 

「タ、ターゲット――」

 

 ――テラフォーマーが狙う対象には、優先順位がある。

 

 1つ、この生物は女性を優先して狙う。1つ、この生物は武器や道具を持っている者を優先して狙う。

 

 この二つの条件を満たしたシーラに、自然とテラフォーマーの危害意識は向けられ――そして、次の瞬間。

 

 

 

 

 

「――捕獲!」

 

 

 

 

 

 シーラの手に握られた『対テラフォーマー発射式虫取り網』から、生け捕り用の捕獲ネットが放たれる。

 

「っ、じ……!?」

 

 テラフォーマーの三倍の筋力でも引きちぎることのできない化学繊維で編まれた網は、過たずテラフォーマーの体にまとわりつき、動きをほぼ完全に封じた。

 最後のあがきと、テラフォーマーはシーラごと網を引きずりながらの逃走を試みるが――。

 

「っし! ぎりぎり間に合った!」

 

 振りほどかれる寸前、駆けつけたマルコスがシーラに手を貸し、これを阻止した。

 

「マルコス!」

 

 頼れる幼馴染の姿に、呼びかけたシーラの声に明瞭な安堵が滲む。そんな彼女に、マルコスは焦ったように問いかけた。

 

「無事か、シーラ!? 怪我はないな!?」

 

 シーラが頷くとマルコスは思わず胸をなでおろした。それと同時に彼の体は人間のそれへと戻り始めていく。人為変態の効果が途切れる直前に、ベースの特性で脱出機まで一気に引き返したらしい。

 

 それを理解すると同時に、緊張の糸が途切れたシーラは、そのまま床へとへたり込んだ。今になって、手が震える。それを隠すように、シーラはマルコスを見上げた。

 

「みんなは大丈夫……?」

 

「ああ、あっちは大体片付いた。お前のおかげで、他の奴らも無事だ」

 

 マルコスの言葉通り機外での戦闘もほとんど終わったようで、脱出機へ引き上げてくる戦闘員たちの様子が映った。

 

「ったく無茶しやがって……けど、よくやったシーラ! サンプル1体に、非戦闘員の命!

 お手柄だ!」

 

 そう言って、マルコスが背中を叩く。何を偉そうに、と普段なら憎まれ口を返すところだが――不思議と今はそんな気分にはならなかった。

 

 彼女の中にあったのは、達成感。自分が班員を守りきったのだという実感が、今になって沸き上がる。

 

「……ん、ありがと」

 

 自分が皆の役に立てたことが嬉しくて。シーラははにかみながら、マルコスにただそう返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   ガサッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え……?」

 

 シーラが『それ』に気付けたのは、本当に偶然だった。

 

 網に捉えられたテラフォーマー。その個体が、両腕をシーラへ向けてぐいと突き出していたのだ。その両掌に刻まれているのは、二つの孔。

 

 その姿勢と身体の特徴は奇しくも、シーラ達に生存の心得を叩きこんだ教官――ゴッド・リーの姿を彷彿とさせた。

 

 ――()()()

 

 直感的に命の危機を悟ったシーラは、咄嗟にその場へ伏せようとする――が、体が動かない。

 

「――!?」

 

 シーラに落ち度があったわけではない。恐怖も経験不足もあったが、それは体が動かなかった直接の要因ではない。リーの指導の下で訓練を重ねていた彼女の体は、指導された通り、咄嗟に攻撃を躱すための動きを確かに実行しようとしていた。

 

 では、なぜ体が動かなかったのか。

 

 その理由は極めてシンプル、彼女の体が『物理的に』拘束されたためだ。

 

 

 

 

 

「じょじょう」

 

 

 

 

 

 いつの間にかシーラの背後に忍び寄っていた、もう一匹の()()()()()()()()()()()。その口から伸びる、6本の触手(バッカルコーン)によって。

 

 

 

「ッ、何だコイツ!?」

 

 体の向こう側の景色が見える程に透明度の高い甲皮と、それ越しに見える赤色の臓器。

 

 通常とは明らかに違う、異形の個体。その出現に気が付いたマルコスは、動揺しながらもその身を翻して臨戦態勢をとる。

 

 

 

 ――それが致命的な隙を生んでしまった。

 

 

 

「あ……」

 

 脱出機にいた班員の多くは半透明のテラフォーマーに気を取られ、捕獲した個体の行動に気付いていない。シーラに迫る危険が1つではなく、2つあることに彼らは気付かない。いや、気づけなかった。

 

 

 

 

 

 小さなミスの代償が、取り返しのつかないものになって返ってくるのは世の常。彼らはそれを、身を以て知ることになる。

 

 

 

 

 

「じじじ」

 

 眼前の人間達を嘲笑うように、網に囚われたテラフォーマーは短く鳴いた。

 

 

 

 そして次の瞬間――その両手の孔から、超高温のベンゾキノンがシーラの胸を目掛けて放たれた。

 

 

 





【オマケ】14位

カリーナ「長らく謎に包まれていたマーズランキング14位の正体がついに明かされるゥ! その名もムテバ・ネルソン・ムテキチ・インビクタスJrァァ! 
手術ベースは原作であの慶次をも手こずらせた『ラーテル』! 正直頭髪の色で予想はついてましたが、変態したら滅茶苦茶クールなこと間違いなし!
専用武器は対テラフォーマー臭気式偵察ドローン『ベアーズ・サイドキックス』! あ、これラーテルと共生関係にあるミツオシエにちなんでつけられてるんですね? 最高にクールなネーミングじゃないですか!?
使用武術は高専柔道! 本来相手に密着し、しかも寝技が中心の高専柔道は対テラフォーマー戦には不向きですが、ラーテルの無敵防御でそれも帳消しとかいうクールな仕様!
将来の夢は、男性格闘家専門のファッション店? またニッチなところを!? でもそこがまたクールですね、貴家先生まじさすがです!
さぁそんなわけで読者のみなさん、ムテバ・ネルソン・ムテキチ・インビクタスJrに熱き声援を! ムテバ・ネルソン・ムテキチ・インビクタスJrに熱きry」

マルシア「落ち着きなさい」

ムテバ「何か乗り移ってないかコイツ?」




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