贖罪のゼロ   作:KEROTA

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【謝罪】
 前話のあと書きにも書きましたが、39話の終盤シーンのインパクトがあまりに強すぎ、他の部分がかすんでしまうという問題が発生したため、急きょ二話に分けて投稿し直すことにしました。変更点は以下の通りです。

・旧39話終盤シーンの独立。
・それに伴う新39話・新40話の一部加筆・修正
・両話へのオマケの追加

 新情報はありませんので、既に旧39話をお読みになった方は読み飛ばしていただいても大丈夫です。逆にまだお読みになっていない方で、お気に入りなどからこの話を読み始めた方は、お手数ですが前話から読んでいただければ幸いです。

 ご迷惑をおかけします。



第40話 PROSPERITY 増殖

 

 

 

 大河がクリオネ型を下した瞬間より、時間は少し遡る。

 

それは各脱出艇がアネックス本艦を離陸した直後、第一班の戦闘員たちがテラフォーマーとの交戦状態に入る少し前のこと。第一班の脱出機から2つ向こう側の丘に、奇妙なテラフォーマーたちがいた。

 

 数は十匹程度。見た目は通常のテラフォーマーのそれに近いが、その全身からは毛と、ミミズのような尾が生えている。しかし、それはMO手術で後天的に付与されたものではなく、むしろ先天的に組み込まれていたもののように見える。

 

 しかし本当の意味で奇妙なのは、彼らの見た目ではなく、むしろその行動にあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じ、じぃッ……♡!」

 

「じょうっ♡ じょうっ♡ じょうッッ!」

 

 ――彼らがしていること。端的にそれを言い現すのであれば、『交尾』である。

 

 詳しい描写はすまい。だが、テラフォーマーたちが入り乱れて絡み合うその様子は、明らかに異常なものであることは間違いなかった。

 

「じょうじ♡ じょうじ♡」

 

 野太くも甲高い嬌声が周囲に満ちる。永遠に続くかと思われた、その気味の悪い情事はしかし――

 

 

 

「じっ、キィイィィィイイィイィ♡」

 

 

 

 組み伏せられている側の一際大きな叫び声でひとまず終了する。それが合図だったかのように、組み伏せていた側のテラフォーマーたちがピタリと運動を止めた。

 

 

 

 さて、異様なのはここからである。その途端、組み伏せられていたテラフォーマーたちが、一斉に痙攣し始めたではないか。白目を剥き、どこか恍惚とした表情で涎を垂らすテラフォーマーたち。そして彼女らは、()()()()()()

 

 産み落とされるは、黒いカプセル状の卵鞘。母体から完全に卵鞘が分離しきると、彼らはもはやそれに見向きもせず、交尾を再開した。

 

 一方、放置された卵鞘はほんの2,3分ほどで孵り、中からは数匹のテラフォーマーたちが生まれる。

 当初は幼体であるテラフォーマーだが、何らかの改造が施されているためなのか、目に見える速度で成長を始める。1分ほどで生体ほどの大きさになると、彼らもまたつがいを見つけて交尾を始める。そしてまた、卵鞘を産み落とすのだ。

 

 

 交尾、産卵、孵化、成長。

 

 交尾、産卵、孵化、成長。

 

 交尾、産卵、孵化、成長。

 

 交尾、産卵、孵化、成長。

 

 交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長。交尾、産卵、孵化、成長――。

 

 

 

 文字通りネズミ算式にテラフォーマーたちは増えていき、瞬く間に緑の丘を黒に塗りつぶした。

 

 

 

 

 

 彼らこそは『異常繁殖型テラフォーマー』――作成者であるアダムにより『エロフォーマー』と名付けられた人造テラフォーマーである。

 

 

 

 その実態は、かつてアダム・ベイリアル・サーマンが完成させた『バグズデザイニング』の応用版とも言える技術『MOデザイニング』によって、アダム・ベイリアルが生み出した悪夢が如き生命体。

 

 テラフォーマーの遺伝子にアンテキヌスの遺伝子を組み込んだことで、彼らは強靭な肉体と正常な思考回路を引き換えに、異常な性欲と繁殖能力を手に入れた。

 

 無限に増え続ける兵力というのも脅威ではあるが……何よりも恐ろしい点は、エロフォーマーたちにとって「あらゆる生物が発情の対象である」という点だ。

 

 アンテキヌスが文字通り『死ぬまで』交尾を止めることがないように、エロフォーマーたちもまた『死ぬまで』交尾を続けるだろう。無論その対象には人間も含まれている。

 

もしも彼らが人間と出会ってしまったのならば……そこから先におこる惨劇は、想像に難くない。

 

 

 

 

 

 

 ※※※※※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 狂気はほくそ笑む。

 

 傷を負う覚悟はしているだろう、死ぬ覚悟をしている者もいるだろう……だが、果たして。

 

仲間が、大切な人が、そして自分自身を犯す汚らわしき獣欲に。心と体、そして魂の尊厳すらも蹂躙し尽すその暴力に、どれだけの者が耐えられるだろうか?

 

 

 

 

 狂気は笑い、嗤い、そして見定める。彼らは果たして――

 

 

 

――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――この悪夢と日米合同第1班が接触するまで、あと10分。

 

 

 

 

 






【オマケ①】
エロフォーマー(贖罪)「じょうッ♡! じょうッッ♡!!」

エロフォーマー(テラ休)「……ちょっとこれと同類扱いはやめて欲しいんスけど」

アダム「キェアアアアアシャベッタアアアアアアア!?」


【オマケ②】

モニカ「ところで皆、このページの最上部を見て頂戴……気付いたわね? そう、本話は純粋な話数で数えると45番目のお話なのよ! つまり、この回が最新話の状態で話数カウントを見ると45/45でシコシコにな――」

シモン「(無言のげんこつ)」



※お騒がせして本当に申し訳ありませんでした。

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