トッキーに、G1アイアンハイドがログインしました。   作:イビルジョーカー

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いよいよ、かの慈愛大帝が?!




ディセプティコン日和

 

 

 

 

「ふむ。ここはこうで、この部分はこのような感じかな?」

 

 エーデルフェルトの双子館。

 

 かつて行われた第三次聖杯戦争において参加した魔術師家系エーデルフェルト家の姉妹が拠点として使用されていた西洋屋敷だ。

 

 第三次聖杯戦争においてエーデルフェルト姉妹が敗退して以降は誰にも使われなくなり、もはやカビ臭いだけの廃墟と化したその場所でサーヴァント召喚の儀式を行う為、懇切丁寧に魔方陣を描く少女が1人。

 

 年は高校生位か。

 

 その風貌は薄紫のパーカーの上に白衣を纏い、長い髪の一部を一対の角のような奇抜な形状に整えている。顔には赤い単眼スコープが妖しく光るメカニカルな金属製のアイマスクを着用し、魔方陣に一切の間違いがないよう一つ一つを確認しながら完成に近づけていく。

 

「よし、完成だな」

 

 やがて魔方陣は完成し、その出来栄えに良し良しと顔を満足気に浮かべて自分の左手の甲に刻まれた令呪を見る。その形状は、かつて少女が属していた軍団が掲げていた、その首領たる男が自身の側近の顔をモチーフにした紋章。色も通常の赤ではなく、彼女が着ているパーカーの薄紫を濃くした紫色になっている。

 

「もう間もなくです、かの破壊大帝。私は貴方をこの世界へと招き入れる為に下等な有機生命体へと転生し、虎視眈々と準備を執り行って

 

来ました。そしてその労力と時間の浪費が今、貴方を召喚する事で報われるのです」

 

 愛しく、尊敬で、忠誠。

 

 そんな思いを含ませながら言葉を紡ぐ彼女の姿は、さながら思い人を待つ恋人のような雰囲気を醸し出している。しかし決してラブロマンス的なものではない。恋愛とはまったく異なる『愛』であり、絶対的に歪むことも揺らぐこともない『忠誠』。それこそが彼女という存在を構築しているのだ。

 

 そしていよいよ、彼女は召喚の儀式を始める。

 

 一句一句の前半は通常のもの。しかし後半は通常のものとは違う仕様となっていた。

 

「我はかの者を招く者。汝はかの破壊を持って圧政を成す大帝」

 

「悪を成し、破壊を成し、全てを支配するに至れりは貴方なり」

 

「今ここに来たれ! オールハイル! メガトロン!!」

 

 最後の詠唱が紡がれた瞬間、まるで呼応するかのように光り輝いていた魔方陣は一層とその光を強め、エーテルの凄まじい奔流がエーデルフェルトの双子館を包み込む。通常の英霊召喚ではありえない現象だが、しかし少女はそれによって確かな手応えを感じていた。間違いなく目当ての英霊を召喚した、と。

 

 そして光が収まった瞬間、それは姿を顕現させていた。

 

「我が名は……破壊大帝メガトロン。貴様は何者だ? 一体此処は…ん? 何だこの情報のアップロードは!」

 

 それは白銀に近いロングストーレートの髪型に白と黒のセーラー服に似た衣装を着こなし、両足には長い黒の革靴を着用。右腕に装着された『融合カノン砲』呼ばれる武器が漆黒と輝く風貌の少女だった。その名も『破壊大帝メガトロン』。

 

 遠坂時臣ことアイアンハイドと……メガトロン自身を召喚した魔術師の少女が『そうである』ように、かつては屈指の戦闘能力と謀略をもってして全宇宙の征服を目論んだ悪名高きトランスフォーマー。

 

 魔術師の少女の手甲に刻まれた令呪の形状こそが、まさにメガトロンが率いていた軍事組織『ディセプティコン』の象徴なのである。

 

「お久しぶりです。我が偉大なる主、メガトロン様」

 

「ん? なんだ貴様は………も、もしや『レーザーウェーブ』か?!」

 

「はい! ディセプティコン防衛参謀『レーザーウェーブ』! 御身の為にこの世界へと招き入れました!!」

 

 先程までの淡々とした口調と雰囲気とは裏腹に非常に興奮気味で、まさに情熱的な喋り方は彼女の外見だけを知る者からしてみれば異様の一言に尽きるだろう。

 

 だが、これこそが彼女の本質なのだ。

 

 魔術師の少女……人間としての名は『レザール・シュナイダー』であり、生前の名は『レーザーウェーブ』というトランスフォーマーだった存在。しかもメガトロンが率いるディセプティコンの中でも、首領たるメガトロンの次に地位の高い『参謀』の異名を持つ幹部の1人だったのだ。

 

「……ふむ。未だ混乱はあるが、ずっとそうしていても仕方あるまい。じっくりと事情を聞かせてもらうぞレーザーウェーブ」

 

「はい。全てお話しますので、どうぞ別の部屋へ。ここは正直埃などのゴミで汚い故」

 

「よし、案内しろ」

 

 

 

 

 移動中。

 

 

 

 

「では、改めて聞こうかレーザーウェーブ」

 

 埃一つない完備な清潔感に包まれた豪華絢爛な椅子。そこに腰を降ろしたメガトロンはその眼前にて片膝を地面に付き、頭を垂れる己がかつての従者であったレーザーウェーブことレザールに説明を促した。

 

「はい。まずこの世界はかつてメガトロン様がいた地球ではなく、並列して異なる時間軸に存在する別世界の地球なのです」

 

「なんだと! つまりパラレルワールドという事か」

 

「左様です。そして私は謎の存在によって人の身へと転生させられました」

 

「謎の存在?」

 

 曖昧な表現をするレザールにメガトロンを顔を怪訝に歪ませた。

 

「出会った時は声のみで姿を現すことはありませんでした。ただ、あのユニクロンの襲撃時において死した私のスパークを何もない真っ白な異空間へと転移させた力を鑑みれば、何者であれ侮れない存在かと」

 

「ふむ。で、そいつはお前に何といったのだ?」

 

「『転生させてやる。しかし転生先の世界では神秘性が予想以上に高過ぎる異物で有る為、人間として新たな生を成して聖杯戦争に勝利し

 

ろ』と言っていました。間違い有りません」

 

「聖杯戦争……このアップロードされた情報によれば万能の願望機たる聖杯を巡り、七人の魔術師とかいう人間どもがサーヴァントと呼ばれる英霊を召喚し覇を競う殺し合いとあるが、ワシもそのサーヴァントとして召喚されたということか?」

 

「はい。その謎の存在は貴方をサーヴァントとして復活させるよう、私自らに召喚の為に必要な魔術的知識を授けました。貴方を召喚できたのもそれによる所が大きいのです」

 

「ふぅぅむ……」

 

 ここまでの話を聞き、メガトロンは考えるようにして唸る。

 

 レザールの話に登場する『謎の存在』。少なくとも死した生物を別の生物へと転生させるという荒業を鑑みれば、正体の候補として上がるのが『プライマス』か『ユニクロン』になる。

 

プライマスは宇宙誕生から存在する『善性』を司る超常生命体であり、トランスフォーマーの故郷である『惑星サイバトロン』そのもの。この世界で言えば間違いなく『神霊』クラスに匹敵する存在だろう。

 

 対するユニクロンは『悪性』を司る超常生命体であり、惑星そのものにトランスフォームする超大型トランスフォーマーだ。

 

 そんな規格外以上とも言える二名を候補に上げたが、途中でプライマスを候補に上げたことに関してメガトロンは、それを有り得ないと考えを破棄する。

 

 まずプライマスだが、かの創造神が司るのは『善性』。自分よりも劣る命でありながらそれを尊び、慈しみの心でもって接し守ろうとする倫理的な思考。メガトロンにしてみれば愚か過ぎる考えだが、現にそういう風な思考の者がレーザーウェーブを選別し転生させるというのはおかしい。

 

 ならば、ユニクロンならどうか?

 

 聖杯とユニクロンに何らかの繋がりがあるとして、その為にレーザーウェーブを転生させて自分をサーヴァントとして召喚。そして自分たちが勝つ事によって何らかの利があるとしたら?

 

 可能性として考えれば無くもない話だが、何分それを裏付けるだけの証拠も情報も何もない。

 

 ともかく、その『謎の存在』に関してはこの際伏せるか。

 

そう判断したメガトロンは自分のブレインサーキットにアップロードされた情報群の中で一つ、非常に興味をそそられる『聖杯』に関して聞き出した。

 

「次の質問だがワシのブレインサーキットにアップロードされている情報の源は、願望機たる聖杯その物。そしてこの情報群に誤りはない

 

と思っていいんだろうな?」

 

「はい。聖杯戦争に参加するサーヴァントには聖杯から現代に関するものと、聖杯戦争に関係するある程度の知識が与えられます」

 

「なるほど。そこまでするとはまさに高性能だな」

 

「聖杯の力は強大です。これを利用しない手は無いでしょう」

 

「無論だ。いかなる相手が立ちはだかろうともワシはその全てを壊し尽くすのみ。それこそが破壊大帝たるワシの本質なのだ」

 

 かの破壊大帝の姿は見た目こそ可愛らしく美しい少女なれど、それを一変させてしまうほどに凶悪な微笑を浮かべては、只己が野望の為の邪悪極まる謀略を張り巡らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聖杯戦争が始まる前夜。エーデルフェルトの双子館はその姿こそあまり変わらぬままだが、その地下においては劇的に変化していた。

 

 地下は魔術的、科学的にも優秀過ぎる防衛網がこれでもかと備わっており、内装はまさにSFに出てくるようなオーバーテクノロジーの

 

結晶とも言える軍事基地だ。これをレザールとメガトロンの2人だけで成し得たのかと言えば、答えはNOだ。

 

「メガトロン様、報告。霊脈ヲ利用シタ魔力収集装置ニヨリ、保存エネルギーが500%ニ到達。基地運用エネルギーハ783%トナリマシタ」

 

 言葉の先から先まで片言な機械的口調で喋る少女。彼女の名は『情報参謀サウンドウェーブ』。

 

 青いスクールブレザーと同色の赤いラインが入ったスカートで身を包み、バイザー状のサングラスと藍色のショートヘアが特徴的な彼女

 

は、メガトロンと同じ元トランスフォーマーにして人の姿をした英霊である。とは言っても彼女がこうして現代に顕現できるのは聖杯によ

 

るものではなく、レザールが独自に『冬木の聖杯』を解析して開発に成功した擬似的な聖杯装置『ケルヒコン』を用いて限定数はあるがメガトロンのような元トランスフォーマーの英霊を現世へと繋ぎ止めることに成功しているのだ。

 

「おう、そうか! いやご苦労だったなサウンドウェーブ。もう間もなく聖杯戦争は幕を開ける。それまでに必要以上のエネルギーを搾取しなければならん」

 

「ハイ。ソレニ、魔術師ニヨッテ召喚サレル『サーヴァント』ノ戦力ガ未知数デアレバ、データ収集モ必要トナルデショウ」

 

「無論だとも。お前の『情報参謀』の名が伊達ではないこと、余が十分に承知している。期待しているぞ」

 

「勿体無キ御言葉デス」

 

 そんな会話をしながら、メガトロンとサウンドウェーブの2人は基地内の長い通路を歩き一室の広いウエポンルームへと足を運んだ。

 

 そして、そこで目にした光景は!

 

「『スタースクリーム』! 貴様何をしている!!」

 

「……」

 

 メガトロンはいきなり怒声を張り、片やサウンドウェーブは目の前の人物に対し呆れと諦めで何も言えない状態。

 

 無理もない。ウエポンルームに入ってすぐ目に入った光景はレザールやサウンドウェーブ同様、『参謀』の名を冠するディセプティコン有数の幹部クラスがレーザーキャノンをバカスカと試し撃ちしているという状況。しかも、そのレーザーキャノンは大量のエネルギーを消費してしまう為、何十回としていればあっという間にエネルギーがなくなってしまうのだ。

 

 そんな無駄な消費をしてしまったのは、メガトロンと同じくセーラー服だが赤い色彩の物を着用し、背中に戦闘機の翼のようなものを付けた黒髪ツインテールの少女……『航空参謀スタースクリーム』である。

 

「何ってメガトロン様。俺はただ新兵器のテストをしてただけですぜ? こーいうのは何回もやってこそ実用性があるんですよ」

 

「この愚か者めが! そのせいで大量の保存エネルギーを無駄にしてしまったのだぞ?!」

 

「いいじゃありませんか。霊脈から魔力を好き放題搾り取ってるんですから、つまりそれだけエネルギーはゴロゴロしてるってことでしょう!」

 

「その時間が勿体無いというのだ! いかに霊脈から魔力収集装置で魔力を吸い出しているとは言え、時間が掛かるのだぞ! 万が一の時

 

に備えなくしてどうする気だ!!」

 

「ハッ、こいつはお笑い草だ。ディセプティコンのリーダーたる者がそんな弱気な考えじゃあ、お先真っ暗なもんですよ」

 

「だまれ!」

 

 とうとう我慢の限界とばかりに右腕に装備してあったフュージョンカノン砲に魔力から生成したエネルギーを充填。威力を出来る限り最

 

小に止め一気にスタースクリームへと喰らわせた!

 

「ぐああッ!」

 

「ふん、まったくもってスタースクリームめ! 相変わらず碌な事をせん。ビーコンたちは作業を続けろ! サウンドウェーブ。至急レー

 

ザーウェーブに魔力収集装置の稼働率を出来る限り高めろと伝えてくれ。あとついでに『スタースクリームがとんでもないバカをしでかしたせいで』、と付け加えてな」

 

「了解。コンドル、イジェーックト!」

 

 サウンドウェーブは『カセットボット』と呼ばれる自らの宝具にして優秀な部下の一員たる『航空奇襲偵察兵コンドル』を懐から取り出し、掛け声と共にカセットからメカニックな鷹の形へとトランスフォームさせた。

 

 そして変形したコンドルは主たるサウンドウェーブに従い、伝言の任を担う形でレーザーウェーブの下へと向かっていった。

 

 更に基地内に100体以上いる人型アンドロイド『ビーコン』たちはメガトロンの命令に従い、一時中断していた兵器開発に携わる作業を続行。何事もなくいつもの光景へと戻った。

 

「そこの大バカ者は放って置け。それよりも大事な仕事が山ほどある」

 

「ハイ」

 

 メガトロンの威力を最小限にしたフュージョンカノン砲を喰らい、目を回して気絶しているスタースクリームはその後誰にも心配されず

 

、自力で目覚めるまでそのままだったらしい。

 

 

 







ニューリーダー(笑)は、やっぱりニューリーダー(笑)だった。


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