トッキーに、G1アイアンハイドがログインしました。   作:イビルジョーカー

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 かなりの間をもって待たせてしまって、本当にすみません(汗)

 新しい小説やら色々で遅くなってしまいましたが、どうぞ!


倉庫街の第1戦/オートボットとディセプティコン
倉庫街の戦い Part1


 

 

 

 

聖杯戦争の緒戦は人気のない夜の倉庫街から幕を開けることになる。

 

 剣を扱い、剣術に特化した白兵戦で挑むサーヴァント・セイバー。

 

 槍を操り、槍術に長けた白兵戦で挑むサーヴァント・ランサー。

 

 両者は一歩も引かず、しかしあまり進展もなく互角なまでに熾烈な戦いを繰り広げていた。その傍らではセイバーの仮マスターであるアイリスフィール・フォン・アインツベルンが固唾を飲んで戦慄する。

 

 これが超常の域に達する英雄の死者…その写し身であるサーヴァント同士の戦い。かつて神秘が当たり前のようにあった時代を駆け抜けた先達者たる英雄同士の一騎討ちは、まさに神話と称するに相応しいもの。それを目にして平然としていられるほど彼女は剛毅な肝の持ち主ではない。

 

「ふっ、なかなかやるじゃないか。最初こそ女と侮っていた自分が恥ずかしくなる」

 

「ならばもっと後悔することになるぞランサー。我が剣の身技がこの程度と思ってもらっては困るな」

 

 互いに言葉を交わすが、そこに軽蔑や侮辱は一切無い。

 

 両者共に相手を認め合い、その誇りをかけるに相応しいと思っているからだ。

 

 生まれた時代も形も違えど、ましさく正統なる騎士同士による果し合い。あまりに理想的で甘美な戦いだが、それに水を差すかのように1人の男性の声が倉庫街全域に響き渡る。

 

≪一体いつまで遊んでいる? そこのセイバーは難敵だ。宝具の開帳を認める故さっさと始末しろ≫

 

 ランサーのマスターだった。まるで、エコーでも掛かっているかのような感覚から想定するに幻惑の魔術を使用して声による位置特定を隠遁しいているのだろう。

 

自身が今生において仕えている主君たるマスターの命令に対し、ランサーは顔に一切の不満もなく。むしろ高揚に等しき感情から不敵な笑みを浮かべる。

 

「了解しました。我が主よ」

 

 ランサーが自身のマスターに対して承知の声を述べた瞬間、まるでそれがきっかけ…あるいは自然であるかのように、ランサーの二振りの槍に巻かれていた呪詛の帯が紐解かれ、赤き長槍と黄の短槍の全貌が明らかとなる。

 

 宝具。今、セイバーがその手に持つ『見えない剣』もそうだが英雄にはやはりその者を英雄へと昇華させ、そうたらしめた物が存在する。

 

それは武器から道具、果ては乗り物だったり特殊能力だったりと万象様々でバリエーションに決まった形など無い。

 

 そしてこの場合、槍兵の座に収められた彼が有する宝具は『槍』。

 

 おそらく人類がまだ原人だった頃……獲物を突き刺し致命傷を与える為に作られた最初の狩猟道具にして武器。

 

 それが『槍』だ。

 

 現代の一般社会においては槍投げの競技または宗教的儀式に用いる事にしか使われないそれを、ランサーは武器として振るいセイバーの首級を取るつもりなのだ。

 

「我が主の命に従い貴様の命、ここで取らせてもらうぞ!」

 

 今までは相手の力量を見る為の小手調べに過ぎなかったが、今この瞬間より本格的なものへと変貌した。ランサーは左右大きさの違う二本を自在に操り、難なくこなす槍捌きでもってセイバーに肉薄する。赤と黄の閃光が迸り、しかしてそれをセイバーは一つも漏らすことなく防いで見せた。

 

 だが、この時セイバーの中で驚愕が起こる。  

 

 彼女の真名を看破させない為、その愛剣に纏わせた風の宝具『インビジブル・エア』がほつれたのだ!

 

「(馬鹿な。風がほつれるなど有り得ない。しかし……)」

 

「フッ、晒したな。秘蔵の剣を。そして間合いも見て取れた以上、惑わされたりはしない!」

 

 見えなかった筈の彼女の剣が、纏っていた風の鞘がほつれた事で一瞬ばかりだが晒されてしまった。

 

 この事実に驚愕を禁じえないセイバーを尻目にランサーは大して構わず追撃を繰り出していく。セイバーは追撃を何とか退けては受け流していくが、やはり先程のように一撃一撃と剣が槍に当たる度にほつれを見せていく。

 

 この戦い、セイバーの方に敗色が見え出していた……。

 

「師よ。最初の戦端が開かれた模様です」

 

 一方。剣士と槍兵の一騎打ちによる攻防戦をアサシンとの視覚共有で監視していた綺礼は蓄音機のような通信用の魔術装置を使い、自身の師であり、水面下で同盟関係にある遠坂時臣へと連絡する。

 

『………』

 

「? どうされました?」

 

 しかし一向に返事が来ず、その事を怪訝に思いながら再度連絡を図る綺礼。すると……

 

『ヒャッハーーーー!! おいおい、どうしたよアイアンハイド! 人間になっちまって鈍ったかぁ?』

 

『ええい! うるさいぞワーパス! 見ていろ~~~!!!!』

 

『まぁまぁ、落ち着きなってトッキー。でもさ~このゲーム面白いよね。アドミラル大戦略』

 

「……」

 

 遊んでいた。

 

 もう一度言おう、遊んでいた。

 

 声からして今時臣の側にいるのは『ワーパス』と『バンブルビー』だろう。

 

「………我が師よォォッ!!」

 

『ガッ、ドチャッ! …………はは、どうした綺礼。そんな大声を出して。ああ…いやすまない。少し野暮用があって席を外していたんだ…うん。気にしないでくれたまえ』

 

 何とか平然とした態度を取り戻そうとする、その必死しさが隠れ切れていない苦し紛れの言い訳であった。しかし一々指摘しては話も進まないと思い、気を取り直して綺礼は戦況報告を始める。

 

「倉庫街でセイバーとランサーが対峙し、戦闘へと至りました。ステータスのみで鑑みればセイバーに分があるものの、それ以外ではまだ

何とも言えません。現に見たところセイバーが少々押されているように見えます」

 

「ふむ、そうか……これで最初の戦端は開かれたという事か。では綺礼。アサシンにそのまま監視を徹底させ情報収集に専念するよう命じてほしい」

 

「了解しました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほほう。サーヴァントとやらは予想以上に中々やるな」

 

 アサシンと視覚共感し、最初に開かれた第一戦の戦況を見据えているのは時臣陣営だけではなかった。

 

 旧双子館のディセプティコン臨時地下基地では、サウンドウェーブの部下にして優秀なスパイたるコンドルがアサシン同様に闇に紛れて戦場監視を行っていた。更に自身に備わる内蔵カメラで基地のモニターに中継する形で映し出しており、セイバーとランサーの戦闘を見たメガトロンは卑下する事も侮蔑する事もなく、ただ画面越しで繰り広げられる剣と槍の攻防戦を見ては素直に驚嘆の声を上げた。

 

「確かに凄いぜ。こいつを物に出来れば相当な戦力になりますよ!」

 

「そうだともスタースクリーム。殺すのは簡単だが利用できる物は利用しなければならん」

 

 機械的な金属で構成されたイスに腰を下ろすメガトロンの隣では、メガトロン同様にスタースクリームがサーヴァントに対し中々の評価を下していた。自信過剰で他者を見下す彼にしては珍しい反応だが、それほどまでに…という一つの証明に違いない。

 

「しかし、このセイバーとやらは少し押され気味だな……」

 

「とにかく捕獲しましょう! とっ捕まえて、ささっと改造してしまえば我々の野望に一歩近付きます!」

 

「……珍しくまともな意見だなスタースクリーム。確かにあのセイバーとランサーはサーヴァントの中でも優秀な方だ。あの2人だけでも戦力に加えれば聖杯戦争の勝率は我等ディセプティコンに大きく傾く。よし、至急出撃する! 準備を整えよ!」

 

 こうして、メガトロンの指揮の下『サーヴァント捕獲作戦』が展開される事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わり、セイバーとランサーが激闘を繰り広げる倉庫街は更なる戦局を見せ始めていた。

 

 ランサーの赤い長槍が魔力を一時的に立つ事で、魔力で編まれた鎧の防御を無効化するものだと察したセイバーは鎧を魔力に返還。解除してドレス姿の状態となることで速力を上げ、更に魔力放出をブーストの役割として利用する事で飛躍的な速度をもっての一撃でランサーを仕留めようという策に出た。

 

 乾坤一擲。まさに捨て身の業に近いそれをランサーはそう称し、自身はそれを真正面から堂々と迎え撃つべく槍を構える。

 

 だがランサーの場合、策なしという訳ではなかった。

 

 彼は先程もう一本の黄色に染まる短槍を地に捨て、そのままにしておいた。

 

 この意図は単純なもので短槍をフェイクと思わせる為だ。おそらくセイバーは戦闘中の思考の中で『もう一本はフェイクである可能性が高い』と考えるだろうとランサーは予想した。真名判明のきっかけになりかねない宝具を隠蔽する方法として、フェイクを使うのは常套手段であればこそ、初見の際の効果は非常に高い。

 

 現にセイバーは短槍の方をフェイクだと完全に誤って認識してしまっている。このまま彼の思惑通りに行けば、ランサーの初の仕留めた首級はセイバーになるやもしれない。もう間もなく射程圏内に入る。

 

 そうすれば地に捨てた黄槍を使い、仕留める算段だ。

 

 しかも短槍はただの槍ではない。あらゆる回復手段を完全に阻害してしまう不治の呪いの効果を持っている。例え致命傷を負わせるに至らなくとも、それなりの弱体化は望めるし致命傷を負ってしまえばそれで相手の死が決する。

 

 どちらに転ぼうともメリットは大きかった。

 

 そしてついにセイバーがランサーの射程範囲に入ったその時!

 

「なっ!?」

 

「ぐあッ!!」

 

 空気を切り裂き、一筋の紫光が2人の間へと着弾した。

 

 ランサーとセイバーは吹っ飛ばされ、ランサーはすぐに着地態勢で対処できた。が、魔力放出によるブースト状態だったセイバーはうまく対応することが叶わず、そのまま地面へ叩きつけられてしまった。

 

「おのれ! 尋常なる一騎討ちの戦いに邪魔を差すとは……卑劣なッ!」

 

「ぐっ、今のは…一体!」

 

 ランサーは憤り、セイバーは痛みに堪えながらもあの光の正体に関し思考する。

 

 そしてその主犯はすぐに二人の前に姿を現した。

 

「フン、まったくもって御めでたい馬鹿どもだ。戦いにおいて卑劣も何もない。ただ勝つ事が重要であり、いかにして高い確率で敵を倒せるか…全てはそこに帰結するのだ!」

 

 凛としながらも威圧感を孕んだ声が倉庫街に響き渡る。

 

 声のした頭上に2人が視線を向ければ、そこにいたのは黒と白のセーラー服に身を包んだ灰銀の長髪を揺らす少女…ディセプティコン破壊大帝メガトロンとその部下達だった!!

 

「ディセプティコン、アターック!」

 

 メガロトンの咆哮の如し掛け声が倉庫街に響き渡り、彼女の部下達はセイバーとランサーの2人を捕らえようと襲い掛かった!

 

「コンドル、ジャガー、イジェークトッ!」

 

 情報参謀サウンドウェーブは胸元からカセットを取り出し、イジェクトのキーボイスで鷲型トランスフォーマーのコンドルと豹型トランスフォーマー『ジャガー』へと変形させる。

 

 空から襲いかかるレーザー光線を次々と打ち払い、同時に襲い掛かるジャガーを回避し時には斬り付ける。その戦いぶりこそ剣士の座に据えられた最良クラスのセイバーに相応しい芸当と言えた。

 

 しかし、敵はコンドルとジャガーだけではなかった。

 

「おいおい、俺を忘れてもらっちゃ困るぜ! このハンマーアームを受けてみな!」

 

 いつの間にかセイバーの背後にいた人並みの大きさの小型トランスフォーマー『ランボル』。彼は両腕をハンマーに変形させ巨大な地震を引き起こした!

 

「ぐっ!」

 

 足下が揺らぎ、ほんの一瞬だがバランスを崩してしまったセイバー。

 

 その僅かな瞬間を、隙を、逃さない彼等ではない。

 

 コンドルは上空からミサイル攻撃を仕掛け不意打ちし、ジャガーは腰部に装備されたガトリングガンで発砲。二匹の同時攻撃を喰らった

セイバーはダメージを負い倒れてしまう。

「セイバー!」

 

 近くにいたアイリはすぐさま治癒魔術による補助を行おうとするが、ランボルは彼女の身体を両腕で拘束してしまう。

 

「きゃっ!」

 

「おお~っと、あんまし暴れんなよ? 大人しくしてりゃ~怪我はさせないさ」

 

 セイバーが不利に陥り、アイリが拘束される一方でランサーもまた不利な状況に貶められていた。メガトロンの片腕には先程まで魔術でその身を隠蔽していたランサーのマスター『ケイネス・エルメロイ・アーチボルト』が首を絞められた状態で吊り上げられ、その間ランサーはスタースクリームが率いるサンダークラッカーとスカイワープらが繰り出す三次元攻撃の餌食になっていた。

 

「がァァッ! ぐゥッ! おのれ……貴様等、聖杯に招き寄せられた英霊たる者が……このようなことをして恥ずかしくないのか?!」

 

 体中に火傷を負い、口から血を吐きながらも眼前の敵たるメガトロンに対し問う。

 

 貴様等はこのような誇りを穢すようなことをして、恥ずかしくはないのか。と。

 

 しかし返って来た答えは、至極冷淡なものだった。

 

「……確かに、誇りは大事だ。だが時にはそれを捨てねばならん事もある。貴様とセイバーの戦いをワシは密かに偵察を使って見ていたが

……あの決闘のような遊戯は何だ? これは戦争だぞ? 貴様はこの人間に忠誠を使っていると言う風情だが……もしこいつが非情な決断を下した時、貴様は騎士道とやらを優先するのか?」

 

「な、なんだと……」

 

 突然のその問いにランサーは心中で肯定する以外になかった。

 

 自分は生前騎士だった。忠節を何よりも重んじ、かのケルト神話において名を馳せた英雄フィン・マックール。そんな彼を盟友であり己が仕えるべき主として忠誠を捧げたのが自分……『輝く貌』の異名を持つ『ディルムッド・オディナ』。

 

 異性を虜にする黒子のせいでフィンの婚約者だった王女グラニアを魅了してしまった。聖誓(ゲッシュ)を強制的に誓わされ、まさに愛の逃避行と言う名の愚行を犯してしまった自分。だがそこに後悔はなかった。

 

 果てに自分はグラニアを愛し結ばれ、その最期にはフィンに見殺しにされようともだ。

 

 ただ……もう一度この世へと舞い戻れる機会があるのなら、今度こそ己が仕える主に忠節の道を尽くそう!

 

 今回の聖杯戦争もその決意を持って臨んだ次第だった。

 

 だが自分は騎士道を重んじる生粋の騎士。故に騎士として主が見過ごせない行為に奔るのなら、必ず止めてみせる。

 

 少なくともランサーはそういった性根の男である。だがメガトロンはそんな彼の在り方を否定する。

 

「もし騎士道を選ぶと言うのなら、言ってやろう。それは忠誠などではない。そも貴様は『従僕』というものがどういった者なのか…何か分かるか? 自分が仕える存在の命令を受け入れ実行する者のことだ。『仲間』ならば志を同じとし、時にはその同志の行いを諌めるものだが……貴様はあくまでもこの男の下僕としてその忠誠を誓っているのだろ? 

ならば主たる者の言い分を拒絶し、騎士道を優先する貴様の行いは忠節の道とは程遠い。ようは自己満足に過ぎん。貴様は所詮誰が主たろうともどうでもよく、問題はいかに自分が騎士足り得るか。そこが貴様にとって重要なんだよ」

 

 メガトロンの高度な観察眼から読み取られる推測。それはランサーにある種の『納得』という感情を落し、故に嫌悪と混乱の泥沼に足を

掴まれてしまった。

 

「おっと、口にするだけ野暮と言うものだな。ワシは貴様のことなどに興味はない。興味があるのは貴様の戦闘能力そのもの」

 

 そう言い、メガトロンは不敵な笑みを浮かべて右腕に装備された『フュージョンカノン』と呼ばれる武器の砲口をランサーへ向けた。

 

 砲口から解き放たれた紫色に蛍光と輝くエネルギーがピラミッド型に形成され、その中にランサーは閉じ込められてしまう。

 

「なっ、これは一体……」

 

「貴様ら対サーヴァント用の檻だ。これで貴様はもうそこから出られまい」

 

 口角を吊り上げては、勝ち誇るような笑みを作り出すメガトロン。ふと見ればセイバーも同じく檻によってその身を囚われてしまっていた。

 

「ぐっ、こんなもの……ッ!!」

 

「おっと、あまり無理しない方が身の為だぞ? そいつは激しい動作、宝具の使用、あるいは魔術を行使しようとすれば即座に反応して貴様らの魔力を大幅に奪う代物だ。とは言え安心しろ。現界に必要な魔力はきちんと残しておくさ……貴様らを兵器に改造する為にな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ、一体なんだ奴等は!」

 

 倉庫街の闇夜。

 

 それに紛れ、絶好とは行かないものの、それなりに良い狙撃ポイントを確保していたセイバーの真のマスター『衛宮切嗣』は内心、どうしようもない焦燥感を感じていた。

 

 彼の聖杯に託す願いは『恒久的世界平和』。

 

 幼少の頃に恋慕を抱いていた大切な少女を始め、その後次々と大切な者たちを失い、多くの戦場を駆けた。

 

 切嗣は優しい男だった。それ故に戦争で人の命が失う場面を嫌と言うほどその目に刻み込み、そして救える命だろうと『少数だから』と言う理由で切り捨てて来た。

 

 『全を救うことなどできない。絶対の不可能。ならば十を助け、その為の一を捨てよう』

 

 その繰り返しだった。だがそんな機械的で愚かな行為に嫌気が差して来た頃、彼はドイツの魔術師名家『アインツベルン』へと招かれ万能の願望機にしてかの聖なる杯の贋作である聖杯の存在に魅力を感じた。

 

 それをもってすれば、この世界に…人間の中にある『戦争』の概念を消し去り、恒久的世界平和が実現できる!

 

 そんな期待を胸にこの戦いに臨んだ。妻であるアイリス・フォン・アインツベルンを娶り、イリヤという自分にとって掛け替えのない娘

も得た。それは誰がどう言おうと幸せ以外になく、それ以外など絶対にありえない。

 

 正直な所、恒久的世界平和の願いを捨てて、家族と共に歩む道も考えなかったのは否定できない。幸せなのは間違いない…なら、それでいいんじゃないのか? このまま聖杯戦争を抜け出してイリヤをアインツベルンから連れ出し、極普通の在り来たりな生活を送りたいと言う願いは誰しもが抱く事だ。決して特別な物ではない。

 

 しかし、できなかった。

 

 それを肯定してしまうと言うことは、過去に切嗣がその手で命を奪って来た者たちへの犠牲を無意味なものにしてしまう。

 

 切嗣のこれまでの歩みの……否定になってしまうからだ。

 

 だからこそ、有り得る未来への可能性を捨ててこの戦場に立っている。聖杯戦争という、血塗られた魔術師の闘争と言う名の儀式に。

 

 だがアレは何だ? サーヴァントなのは分かる。だがその数が規定の七体以上を遥かに行き、尚且つそれら外見は人間のそれではなくロボットそのもの。人間の姿をした者も混じっているが、それでもその格好は過去の時代の英雄というより、極めて現代と大して変わらない

感じのものばかり。

 

 一体全体どうなっているのか……切嗣は完全に計りかねていた。

 

「舞弥、聞こえるか?」

 

 ともかく、自分と同じく闇夜に紛れ戦況を覗き見し、尚且つライフル銃でいつでも狙撃できるよう体制を取っている自身の相棒にインカムで連絡を取ろうとする切嗣だったが、応答は無く雑音のみが耳の奥の鼓膜に届くのみだ。

 

「(どうなってる、何故通信できない……)」

 

「答えは単純。特殊妨害電波使ってるだけさ」

 

 突然降り掛かった粘質を混じえたような男の声に反応し振り向いたが、その瞬間。稲妻が身体を駆け巡るかのような痛みと感覚に襲われ

、切嗣は成す術なく倒れ伏してしまった。

 

「馬鹿な人間だな。ただ闇夜に隠れてるだけじゃ簡単にバレるってのによ……まぁ、これで俺の株も上がったりだな~おい」

 

 完全に痺れて麻痺を起こし、それでも尚必死に頭を動かしては自分を一瞬にしてこのような状態に追い込んだ敵を見ようとする。

 

 敵は何とか見ることができた。だがその存在は全くもって切嗣の想像の範疇を超えていた。

 

 巨大なクワガタムシのロボット。、

 

 端的に表現すればまさにそのまんま通りの外見を成してはいるが、何故こんなものが自分の目の前に存在しているのか…まったく理解できなかった。

 

「ほほう。まだ意識はあったか。じゃっ、おネンネしてな!」

 

 巨大な金属の大顎から小さな電撃が発射され、それを浴びせられた切嗣は先程とまた同じ感覚に陥ってしまいその意識を無情にも刈り取られてしまった。

 

「こちら『シャープネル』。『ボンブシェル』、『キックバック』。そっちの首尾はどうだ?」

 

≪ああ、簡単に終わっちまったよ≫

 

≪呆気ないな。こんなんじゃ不燃焼もいいとこだぜ!≫

 

 通信から声が聞こえる。それぞれが違う物だがクワガタムシのトランスフォーマー『シャープネル』と同じ陰気且つ粘質なものを帯びている。

 

 彼等の名は『インセクティコン』。

 

 虫の姿をしたトランスフォーマーによる三人構成+量産クローンから成る特殊部隊なのだ!

 

「んじゃ、報告するぜ。こちらシャープネル! メガトロン! セイバーのマスターとその部下の女を確保したぜ!」

 

≪ククッ、よくやったぞシャープネル。そいつらを連れてこっちに来い」

 

「了解~! んじゃ行くぜお前等!」

 

≪≪おおーーーッッ!≫≫

 

 シャープネルの言葉に意気揚々と投合する、ボンブシェルとキックバックの両名。

 

 倉庫街の戦いはあっと言う間にその状勢がディセプティコンへと傾きつつあった……。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








 ~~今回の/TFネタ~~

 

 『三次元アタック』

 スタースクリーム、サンダークラッカー、スカイワープの三人が繰り出すまったくもって何処に三次元要素があるのか不明なフォーメーション的な何か。

 G1で登場し、その後一切使われなかった。




 『ゲームで遊ぶオートボット』

 オートボット(サイバトロン)って、ソーラータワーの回で勤務中バスケで遊ぶ司令官を代表として、結構遊んでいるシーンがあるんです。

 あと地球のドラマ見たりとか。

 ぶっちゃけ、G1戦闘シーンは両軍揃ってチャンバラごっこしてる風にしか見えない回が本当に多いんですよ(笑)

  


 『大きさの概念は捨てるんだ!』

 通信機越しの登場となった生粋の赤組『ワーパス』と愛嬌さ№2(1はやっぱグリムロックですよ、はい)の『バンブルビー』。

 この両名、実はロボット形態でトッキーとゲームしてたんです!

 え、ロボット形態じゃあ、人間サイズ基準の屋敷には入らないですって? 

 安心して下さい。TF世界では大きさの概念はとっくに捨て去られてます(特にG1は……ね)



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